1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか、品種ごとの生長のしかたを追いかける「そだレポ」企画です。今回はハイブリッド・ティー系統のバラ「ブルームーン」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


「ブルームーン」は、こんなバラ

▲ふくよかに咲く薄紫の大輪花

ルームーンは1964年作出の古い品種ですが、今でもなお人気の高い青バラです。咲き始めは半剣弁高芯咲きの大輪花。ハイブリッド・ティー系統のバラらしい姿です。それからまるく開いていきますが、咲き進んでも長くきれいな花形を保ち観賞価値の高い花です。

 

ブルームーン以前も青バラはいくつも作出されてきましたが、どれも樹勢が弱く育てにくいものでした。しかしブルームーンは以前のものに比べて格段に育てやすく、美しい花色、整った花形からたちまち人気品種になりました。当時としてはもちろん育てやすい品種でしたが、手のかからない育てやすい品種が増えた現代からみれば、定期的に薬剤散布をしてしっかり手をかける必要があります。

 

ブルー系の強香も楽しめます。

 

樹高1.5mの木立ち樹形、四季咲き、ハイブリッド・ティー系統。

 

1964年タントウ(ドイツ)作出。

 

今回育てる「ブルームーン」の環境DATA

関東の南向きの庭(陽当たり良好)

緑枝挿しからちょうど2年の株

今年の目標/今回は挿し木苗なので、挿し木でもしっかり育つということを確信出来るレポートにしたいです。また、秋花を咲かせたいのでそれまでに枝葉をしっかり増やしていきたい。

育てる人/ハナたろう

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

6月1日の「ブルームーン」

▲緑枝挿しから2年 写真提供/ハナたろう

ょうど2年前の6月に挿し木した苗です。おそらく「ブルームーン」だと思いますが、タグをつけていなかったので、もしかしたら別の品種かもしれません。そこは咲いてからのお楽しみで・・・。

 

これまで蕾はすべてピンチして、花を咲かせるより樹を育てる方を優先してきました。今年の春花も咲かせていません。今年の秋から本格的に咲かせるつもりです。

 

現在、樹高は50cm。6号角鉢に植えてあります。黒星病にかかっています。

 

▲少ないながらも白根がちょろちょろ 写真提供/ハナたろう

 

根っこも順調に育っています。冬場の植え替えはしていません。

 

病虫害対策

黒星病にかかっているので、オーソサイド・サンヨール・ゼンターリの混合液を散布しました。

 

6月10日の「ブルームーン」/鉢増し

▲8号鉢へ鉢増し 写真提供/ハナたろう

回、鉢底から白根がのぞいていたので、6号鉢から8号鉢へ鉢増しをしました。

 

▲黒星病で葉が黄色くなってきている 写真提供/ハナたろう

 

黒星病の症状はこんな感じです。これ以上、葉を失いたくないです。適応の予防薬・治療剤を続けて散布したので、進行は抑えられると思います。

 

鉢増しの培養土

鉢増しに使用した培養土は「赤玉小粒6:腐葉土3:籾殻くん炭1にオルトランDXを混入」。

 

病虫害対策

6/6 オーソサイド水和剤(予防剤)・サプロール乳剤(治療剤)・アファーム乳剤(殺虫剤)

6/10 ジマンダイセン水和剤(予防剤)・トリフミン乳剤(治療剤)・スミソン乳剤(殺虫剤)

 

7月7日の「ブルームーン」

▲蕾は見つけ次第ピンチ! 写真提供/ハナたろう

星病の影響で下葉は枯れ落ちましたが、旺盛に新芽が吹いてきました。蕾も上げてきたので、見つけ次第ピンチしています。

 

7月23日の「ブルームーン」/2番花の開花

▲油断していたら2番花が開花! 写真提供/ハナたろう

続きで油断していたら、2番花が開花していました。秋花まで咲かせないつもりだったんですが・・・。

 

▲「ブルームーン」で確定! 写真提供/ハナたろう

 

タグをつけていなかったので、今ひとつ「ブルームーン」かどうか自信がなかったのですが、おかげで品種が確定しました。この株は間違いなく「ブルームーン」です。花径6cmと、小ぶりの花ですが、「ブルームーン」らしい花容です。ブルー香も芳しい!

 

9月3日の「ブルームーン」/夏剪定

▲黒星病は落ち着いている 写真提供/ハナたろう

星病は、猛暑日続きで落ち着いています。台風が近づいているようなので、その前に薬剤散布しなくては! 剪定前の樹高は70cm。

 

▲樹高70cmから55cmに剪定 写真提供/ハナたろう

 

「ブルームーン」は大輪種なので、夏剪定では太いところまで切り戻したかったのですが、そこまで立派な枝がなかったので・・・。今年は割り箸ていどの太さでカットしました。

 

枯れ枝、弱小枝を切り取り、細枝は光合成用に残しています。剪定後の樹高は55cm。まだ枝が細いので、この株が本来の大輪花を咲かせられるのは、来年以降になります。

 

追肥をしない理由

これまでの経験から、冬の元肥(地植えなら寒肥)だけで十分ではないかと思い始めています。そのため、他の品種も合わせて追肥はしていません。とくに地植えは、寒肥のみでしっかり育ちます。

 

花数は少なくなりますが「樹の体力で咲く」のが自然な姿だと思えます。微量要素は症状が出てから与えればいいかな? という持論に固まりつつあります。

 

それに、肥料を控えれば、ウドンコ病にもかかりにくいです。

 

>>次のページでは「秋花の発蕾」から紹介しています。