埼玉県行田市にある「古代蓮の里」は、古代蓮をメインに整備された公園です。古代蓮の悠然とした花姿とともに、田んぼアートも楽しめるスポットとして人気です。夏の一日、早起きして出かけてみては?
古代蓮10万株と世界の花蓮2万株が咲く「古代蓮の里」。「田んぼアート」も同時に観られて満足感アリ!
▲古代蓮会館と古代蓮 写真提供/天女の舞子
埼玉県行田市にある「古代蓮の里」は、行田市の天然記念物であり市の花でもある古代蓮(行田蓮)をシンボルとする公園です。行田の古代蓮は、公共施設建設のさいに掘り起こされた蓮の種が自然発芽し、1973年(昭和48年)に開花したもの。この蓮の種は、出土した地層の遺物や木片の放射性炭素年代測定から、1400~3000年前のものと推定されています。
▲古代蓮の里マップ 出展/古代蓮の里公式
「古代蓮の里」の広さは14ヘクタール、東京ドーム約3個分。ここに、行田蓮10万株と、40種類約2万株の世界の蓮が植えられています。
「古代蓮の里」には、行田蓮を移植した調整池と、古代蓮について学べる古代蓮会館。「世界の蓮」が見られる池、梅林、ローラー滑り台などがあります。古代蓮会館の展望台からは、「古代蓮の里」の隣に作られている田んぼアートが一望できます。
「古代蓮の里」じたいは無料でどなたも入園できますが、古代蓮会館と蓮の開花期間のみ駐車場が有料になります。
古代蓮の見頃は6月中旬~8月初旬、田んぼアートの見頃は7月中旬~9月いっぱい
▲古代蓮会館から展望できる田んぼアート 写真提供/天女の舞子
古代蓮の見頃は6月中旬~8月初旬
「古代蓮の里」には、40種類以上の花蓮が植えられていて、品種により早い遅いはありますが開花期は6月中旬~8月上旬です。蓮の花は朝咲いて昼にはつぼみにもどってしまうので、朝7時~9時に観るのがもっともきれいです。
田んぼアートの見頃は7月中旬~9月いっぱい
「古代蓮の里」に隣接する田んぼには葉の色が異なる稲で絵を描いた田んぼアートがあり、古代蓮会館の展望台から田んぼアートと広がる田んぼ、天気が良ければ筑波山や遠く富士山まで見晴らすことができます。
田んぼアートは7月初旬~稲刈りがされる10月中旬まで観られますが、特にくっきりと良い状態で観られるのは7月中旬~9月いっぱいです。
「古代蓮の里」と「田んぼアート」をレポートします!
応援レポーターの天女の舞子です。古代蓮を観に7月30日に「古代蓮の里」を訪れました。古代蓮会館から観られる田んぼアートも合わせてレポートします!
▲純白の真如蓮(しんにょれん) 写真提供/天女の舞子
埼玉県行田市にある「古代蓮の里」は、行田市で発見された古代蓮「行田蓮」(行田市の花)をメインに、多くの蓮の花が楽しめる公園です。
▲千葉県で発見された古代蓮の「大賀蓮」 写真提供/天女の舞子
入口を入ってすぐの「世界の蓮園」には、世界中の約40種類の蓮が植えられています。純白の真如蓮や、千葉県で発見された古代蓮の「大賀蓮」、さらに黄花の蓮や覆輪の蓮など、さまざまな品種の蓮がみられます。大賀蓮は花径30cm以上ありそうなとても巨大な花で、花びらの縁にうっすらピンク色の覆輪がぼかしたように入る優雅な雰囲気の蓮でした。
▲蓮池を通る歩道 写真提供/天女の舞子
蓮池の中には蓮を間近に観られるように、木の歩道が作られています。2019年は長梅雨の日照不足のため、蓮の花が少ないと聞きました。時期的にも時間的にも花を観るには少し遅く、もう実になってしまっている花も多くて少し残念でした。チャンスがあればまた来年、来たいですね! 例年の花の時期には、たくさんの蓮の花が群れ咲きます。
▲ミストが嬉しい休憩所 写真提供/天女の舞子
「世界の蓮園」の隣にはミストが降り注ぐ休憩所があります。暑い時期に咲く花なので、少しでも涼しく観られるよう配慮してあるのが嬉しいですね。休憩所の売店では、かき氷やアイスを買うことができます。「蓮の実甘露」という、蓮の実を丸ごと使ったお菓子もありました。
▲行田蓮の咲く池 写真提供/天女の舞子
入口近くにある「世界の蓮園」から木立ちを抜けて「古代蓮池」にたどりつきます。池のほとりに、ここ行田市で発見された古代蓮の「行田蓮」について詳しく書かれた看板があるので、読んでみると理解が深まります。
▲ピンク色の花びらが美しい行田蓮 写真提供/天女の舞子
1973年、「古代蓮の里」にほど近い場所で、焼却場施設を建設するための造成工事にともないできた池に蓮が咲いているのが発見されました。同時に出土した縄文土器や、千葉県の古代蓮「大賀蓮」の例から、今から約1400~3000年前のものだろうと推定されたというのが、行田蓮が発見されたいきさつです。
縄文時代のこの場所に、今観られるのと同じ蓮が咲いていたのかと思うと、感慨もひとしおですね。
▲花径30cmはありそうな行田蓮 写真提供/天女の舞子
行田蓮の花はとても大きく、わたしの手と比較してもこの通り! おそらく花径30cmくらいありそうです。この悠々とした姿は、バラとはまた違った魅力があります。
▲SNS映えする写真スポット 写真提供/天女の舞子
池の側には、ハート型に景色を切り取って撮影できるスポットがありました。ちょっと面白い写真が撮れそうです。
古代蓮の池は自然が多く、ウシガエルの声が聞こえたり、トンボや糸トンボが飛んでいたり、蓮池の中にはメダカなどの小魚が泳いでました。近くの森では樹液が溢れてる木があり、もしやと思い少し観察すると、すぐにカブトムシのメスを見つけられました。とても自然が溢れている所なので、蓮以外の自然に触れるのも楽しいですね。
古代蓮会館では古代蓮を学び、展望台から田んぼアートが観られます!
▲50mの展望台をもつ古代蓮会館 写真提供/天女の舞子
園内でひときわ目を引く50mの展望台をもつ建物は「古代蓮会館」です。この建物は、蓮の姿をイメージしてデザインされているそうです。なるほど、長い茎の先に花が咲いているイメージなんでしょうね。
▲蓮の葉を使った天然の噴水 写真提供/天女の舞子
「古代蓮会館」の前には、蓮の葉を使った天然の噴水がありました。蓮の茎にホースを接続して水を流しているのですが、葉脈に沿って葉の縁から水が玉のように流れ出ていて面白かったです。
▲蓮の模型がぎっしり! 写真提供/天女の舞子
古代蓮会館の1階は、蓮について学べる施設です。さまざまな種類の蓮の写真や模型がずらりと並んでいました。色別に並べられていて、展示のしかたがきれいですね。
▲展望台から田んぼアートが観られる! 写真提供/天女の舞子
高さ50mの展望台に上ると、360度広がる大パノラマが楽しめます。天気が良ければ秩父山や遠く富士山まで見えるのだとか。さらにこの展望台からは、素晴らしい田んぼアートが観られます。
「古代蓮の里」に隣接する田んぼでは、毎年、巨大な田んぼアートが制作されます。これは品種により稲の葉の色が違うのを利用して田んぼに絵を描くアートです。行田市では2008年から田んぼアートに取り組んでいて、2015年の作品では「最大の田んぼアート」としてギネスブックに認定されました。
2019年のデザインは、ラグビーWC日本代表・姫野和樹選手(左)、リーチ・マイケル選手(中央)、田中史朗選手(右)の3選手が田んぼに出現! 図柄の下の方には、スポンサーのリポビタンDのマークや、「WORLD CUP」の細かい文字まで描かれていて、素晴らしい出来栄えです。
▲改元を祝う「令和」の文字の田んぼアートも! 写真提供/天女の舞子
別の田んぼには、改元を祝う「令和」の文字の田んぼアートもありました。この田んぼアートを手で持ったようなポーズで写真を撮れば、新元号を発表したときの菅官房長官の気分になれます!
▲菅官房長官になれる!? 写真提供/天女の舞子
2020年の図柄は、きっとオリンピック関連ですよね! 毎年、違うデザインが楽しめるので、思わずリピートしたくなります。
この田んぼアートは、6月中旬に田植えをし、稲が成長すると7月下旬~8月ごろには色鮮やかな絵が浮かび上がります。稲穂が実るにつれじょじょに緑色の部分が黄色くなり、上の写真のようなくっきり鮮やかな印象はなくなりますが、稲刈りがされる10月中旬ごろまで長く楽しめます。
周辺観光/さきたま古墳公園
古代蓮と田んぼアートだけでも十分楽しめたのですが、近くに「さきたま古墳公園」があるというので、ちょっと足を伸ばすことに。古代蓮会館の外にある売店で、無料のレンタル自転車を借りて行きました。
▲稲荷山古墳 写真提供/天女の舞子
この辺りは大きな古墳が9基ある「埼玉(さきたま)古墳群」がある場所で、そのうち「稲荷山古墳」(埼玉県第2位の大きさの前方後円墳)と「丸墓山古墳」(日本最大級の円墳)には、歩いて上ることができます。
ちなみに、このあたりの地名「埼玉」(さきたま)が、埼玉県名の発祥の地だそうです。公園内には「埼玉県名発祥之碑」という大きな石碑があります。近くには同じく県名由来の古社といわれる「前玉神社」(さきたまじんじゃ)があります。
「稲荷山古墳」は5世紀後半に造られた前方後円墳です。ここから出土した鉄剣は国宝に指定されていて、「埼玉県立さきたま史跡の博物館」に展示されています。古墳の周りには詳しい看板や模型がいくつもあり、とても分かりやすく整備されていました。
▲「丸墓山古墳」は桜の名所としても有名 写真提供/天女の舞子
「丸墓山古墳」 にも行きました。ここの桜(ソメイヨシノ)は 、古墳の下から観ると天空に咲いているように見え、ナニコレ珍百景などの色々な番組に取り上げられています。
また、映画「 のぼうの城」の元になった戦いで 石田三成が陣を張った場所としても有名 。近くにはその時に掘った堤や、古墳の上からお城(忍城-おしじょう-)も見ることができます。辺りが平坦で 、小高い古墳から四方をぐるりと一望できます。
▲2012年の田んぼアート 出展/行田市公式
2012年には、「のぼうの城」をテーマにした田んぼアートがデザインされています。
訪れた人の口コミは?
7月中旬
埼玉県行田市にある、かなり広大な蓮田がある公園です。7~8月にかけて蓮を見に沢山の観光客が訪れます。駐車場は園内は期間中有料で、徒歩10分程度のところにある臨時駐車場は無料でかなりの台数が停められます。今年のピーク7月半ばの休日に出かけたところ、園内駐車場は満車で朝6時過ぎですでに臨時駐車場にもたくさんクルマがありました。毎年行きますが、一見の価値のある場所です。
7月末
7月末では枯れている蓮もありましたが、まだまだ元気に咲いている花も多く見られました。たくさんの種類があるので、広い敷地内を全部見て回ろうとすると、暑さで先に人間の方が枯れてしまいそうです。古代蓮会館は、一度入館するとその後出入り自由なので、涼みながら屋外見学するのが良いかと思います。
7月末
「古代蓮の里」は、ウシガエルの声がしていたりトンボが飛んでいたり、とても自然にあふれた公園でした。蓮はもちろんきれいだったのですが、ここは蓮を観るだけでなく、「田んぼアート」や近くの「さきたま古墳公園」も一緒に楽しめます。さらに「古代蓮の里」の外にある小さな売店ではB級グルメとしてちょっと有名な「ゼリーフライ」(コロッケですかね?)が売られていて、揚げたてを食べられます。いろんな施設が狭い地域に集まっていて、たっぷり楽しめるのがいいですね。
ただし「古代蓮の里」は、熊谷市の側なのでとても暑いです。朝でもスマホが熱でやられて撮影できなくなったりしたくらい! 蓮の花を観に出かけるときには日傘などの暑さ対策が必要です。「古代蓮会館」の中は有料(400円)ですが、冷房が効いていて涼しく、イスに座ってゆっくりできます。JAF会員の方は値引きされるようなので、会員証を持っていくと良さそうです。
今年は長梅雨のせいで蓮があまり咲いていなかったようですし、暑さで奥のオニバスや睡蓮を見忘れてしまったので、来年、もう少し早い時期に訪れたいと思います。オニバスは子供が乗れるくらい大きいのは知っていて見てみたいと思っていました。来年は、東京オリンピック真っ最中なので「田んぼアート」も力が入ってそうですしね!(天女の舞子)
アクセスと施設の案内
電車
■JR高崎線
▲JR高崎線、行田駅前の「行田市観光案内所」 写真提供/天女の舞子
行田市観光案内所で、自転車のレンタルや観光について相談できます。
行田駅 東口から行田市市内循環バス(観光拠点循環コース右・左回り)
吹上駅 北口からタクシー【約8km】
■秩父鉄道
行田市駅 南口から行田市市内循環バス(観光拠点循環コース右回り・東循環コース右回り)
行田市駅 南口からタクシー【約5km】
■循環バス
▲「古代蓮の里」とJR行田駅間のシャトルバス 写真提供/天女の舞子
JR高崎線、行田駅から右回りで31分。左周りで21分。
秩父鉄道、行田市駅から観光拠点循環コース右回りで15分、東循環コース右回りで39分。
▼時刻表など詳しい情報は、「古代蓮の里」公式サイトにて確認してください。
車
東北自動車道羽生ICから約25分。
- 羽生インターを下りてすぐT字路(1つ目の信号)を右折する。→ 10分程度で国道125号バイパスへ出られます。
- 国道125号バイパスへ出たところの「砂山」交差点(T字路)を右折 → 熊谷方面へ向かいます。
- 国道125号バイパスを走っていると10分程度で「下須戸(北)」の交差点がありますので「下須戸(北)」交差点を左折します。→ そのまままっすぐ5分程度走れば「古代蓮の里」が見えてきます。
駐車場
あり/普通車490台
花蓮の開花期間中(6月中旬から8月上旬の5:00〜14:00まで)は有料/1日500円
それ以外の期間は無料
観光レンタサイクル(無料)
▲JR行田駅前観光案内所の観光レンタサイクル 写真提供/天女の舞子
レンタサイクルも便利です。観光レンタサイクルなら無料! 「JR行田駅前観光案内所」、「行田市バスターミナル観光案内所」、「秩父鉄道東行田駅前さくらメイト」、「ぶらっと♪ぎょうだ」、「郷土博物館」、「はにわの館」、「古代蓮の里売店」の7カ所なら、返却はどこでもOK。
ただし、レンタルサイクル利用時間は午前9時から午後4時まで。
▼くわしくは、行田市公式サイトで確認してください。
開園時間、休園日、入場料
開園時間
公園は終日解放
休園日
なし
入場料
無料
駐車場
終日解放
蓮の開花時期は5:00〜14:00まで有料。それ以外は無料。
古代蓮会館
▲1階の休憩スペース 写真提供/天女の舞子
古代蓮会館の1階には休憩スペースがあります。半券を提示すれば何度も出入りできるので、ここで休憩しながら蓮を見学すると暑さ対策になります。
■開館時間
通常(下記以外)/9:00~16:30 (受付16:00まで)
蓮の開花期(6月中旬~8月上旬)/7:00~16:30 (受付16:00まで)
イルミネーション期間中(12月1日~25日)/9:00~21:00 (受付20:30まで)
初日の出(1月1日)/6:00~9:00
■入館料/大人400円
売店とうどん店
▲売店は蓮関連商品が豊富! 写真提供/天女の舞子
シャトルバス停留所の側には、売店とうどん店があります。売店では、蓮に関係する本やグッズ、食品、地元のおみやげなどが買えます。ここの蓮関連商品の種類の多さは圧巻ですよ! この売店の隣に無料のレンタル自転車があります。また、うどん店の横には小さな休憩スペースが設けられています。
古代蓮の里住所
〒361-0024 埼玉県行田市大字小針2375番地1
古代蓮の里公式サイト
*お出かけの際には、必ず公式サイトでご確認ください!