くり返し咲きするのが、ノワゼット系統の特徴です。西アジアから北アフリカ原産の原種バラ、ロサ・モスカータと、中国原産の原種バラ、パーソンズ・ピンクチャイナ(ロサ・キネンシス・オールドブラッシュ)の交配により生み出された「チャンプニーズ・ピンククラスター」を親として作り出された系統のバラがノワゼット系統です。
ノワゼット系統は、くり返し咲きする枝の長いシュラブ樹形
▲ノワゼット系統を代表するバラ「ブラッシュ・ノワゼット」
唯一、アメリカで作られたオールド・ローズの系統
オールド・ローズの育種は主にヨーロッパを舞台にされてきましたが、唯一、ノワゼット (Noisette)系統はアメリカで作られたバラです。
アメリカのサウスカロライナ州に入植した植物園長、フランス系のフィリップ・ノワゼットは、19世紀初頭、淡いピンク色のバラ「チャンプニーズ・ピンククラスター(Champney’s Pink Cluster)」をフランスに住む兄のルイ・ノワゼットに送りました。このバラを元にルイ・ノワゼットが品種改良をして定着したのがノワゼット系統のバラです。
チャンプニーズ・ピンククラスターは、西アジアから北アフリカ原産の原種バラ、ロサ・モスカータと、18世紀の終わりから19世紀初頭にかけて中国からヨーロッパにもたらされた4種類のバラのうちのひとつ、パーソンズ・ピンクチャイナ(ロサ・キネンシス・オールドブラッシュ)の交配により生み出されたといわれています。
チャンプニーズ・ピンククラスターを作出したのはフランス系のフィリップ・ノワゼットだと言われていますが、実は、隣に住む米(コメ)農家のジョン・チャンプニーだったという説があります。
ジョン・チャンプニーは、フリップ・ノワゼットから交配の親に使ったパーソンズ・ピンクチャイナをもらったお礼に、自分が作出したチャンプニーズ・ピンククラスターの苗をあげたのだそうです。フリップ・ノワゼットはこの苗から種を採り、種と苗をフランスの兄の元に送り、兄のルイ・ノワゼットが改良して市場に発表しました。ノワゼット系統は、ノワゼット兄弟の苗字が冠せられていますが、本当の手柄は、アメリカ人のジョン・チャンプニーにある、というのです。アメリカではこの説が強調されているのだとか。
ノワゼット系統のバラは四季咲きと言っていいほどくり返し咲く
▲ブラッシュ・ノワゼットは白に近い淡いピンク色
チャンプニーズ・ピンククラスターは、淡いピンク色で花径4cmの八重咲きの小花を房咲きするバラで、くり返し咲く性質があります。
このチャンプニーズ・ピンククラスターの実生で生まれたのがノワゼット系統を代表するバラ、ブラッシュ・ノワゼットです。ブラッシュ・ノワゼットはくり返し咲く性質の強いバラで、ほぼ四季咲きといってもいいほどです。
枝の長いシュラブ樹形で、つるバラのように使える
▲クレマチスと一緒に壁に誘引したノワゼット系統の「アリスター・ステラグレイ」
樹形はオールド・ローズの基本樹形、シュラブ樹形です。
品種によっては、ほぼ四季咲きといってもいいほど返り咲きするノワゼット系統のバラは、枝を誘引してつるバラのように使えるほぼ四季咲きバラとして、とても貴重です。
現代ではイングリッシュ・ローズやデルバール社のバラなどに四季咲きのシュラブ系統のバラが登場していますが、ノワゼット系統のバラは、やはり今でも魅力的なバラです。
まとめ
チャンプニーズ・ピンククラスターも、ブラッシュ・ノワゼットも、透明感のある淡いピンク色の小花を房咲きにします。花の色も、花柄が細くややうつむき加減に咲くところも、どこかソメイヨシノに通じるはかなげな愛らしさがあるわね。
つるバラのように誘引できて、しかもほぼ四季咲き、さらにあまり強くはないけれど香りも楽しめる、贅沢なバラね。華やかさこそないものの、とても女性好みのバラだと思うわ。もちろん、わたしも大好き!
スポンサーリンク