モダン・ローズの代表的な系統、ハイブリッド・ティー系統について紹介します。見ごたえのある大輪の花を枝先に一輪だけ咲かせる姿は、凛として美しいたたずまいです。
ハイブリッド・ティー系統は、モダン・ローズの代表的な系統
▲最初のハイブリッド・ティー系統のバラ「ラ・フランス」
ハイブリッド・ティー系統はラ・フランスから始まった
オールド・ローズにない特徴を多く備えたハイブリッド・ティー系統は、モダン・ローズの代表的な系統です。
ハイブリッド・ティー系統は、ハイブリッド・パーペチュアル系統とティー系統のバラを交配して1867年にフランスのギヨーにより作出されたラ・フランスから始まりました。
木立性樹形で、壁やフェンスにはわせなくても自立します。
春、夏、秋に咲く完全四季咲き性をもちます。
長い花柄の先に、見ごたえのある大輪の花1輪だけを咲かせるので、切り花に利用しやすいという利点があります。花径は、大きいものでは15cmにもなります。
花の形は高芯咲き
▲ハイブリッド・ティー系統の名花ピース(Rosa `Pease´)
花の形は、花の芯が高く巻き上がる「高芯咲き」と呼ばれる特徴的な花形。「高芯咲き」には花びらが反り返る形により3種類あります。
■丸く反り返る「丸弁高芯咲き」
■真ん中から左右に分かれて外側に反り返り尖った形になる性質を「剣弁高芯咲き」
■「丸弁」と「剣弁」の中間ていどの形の「半剣弁高芯咲き」
「ピース」は丸弁高芯咲きです。
花びらは、オールド・ローズにくらべて厚みがありしっかりとしています。花びらの枚数は25~40枚ていど。
突然変異でつる性になることも!
ハイブリッド・ティー系統や、フロリバンダ系統などの木立性樹形のバラは、突然変異でつる性になることがあります。ハイブリッド・ティー系統のつるバラはクライミング・ハイブリッド・ティー系統(ClHT)と、呼ばれます。
▶クライミング・ハイブリッド・ティー系統についてはこちらのページをご覧ください。
【ハイブリッド・ティー系統に多く見られる特徴】
樹形 | 木立性(ブッシュ) | 直立し、剪定しなければ1.8mほどに伸びる |
花形 | 高芯咲き | ほとんどは40枚くらいまでの八重咲き |
花色 | 多様 | 多様な花色に加えて覆輪、しぼりなど豊富な花色 |
花径 | 大輪 | 12~15cmの大輪を枝先に一輪咲かせる |
花期 | 四季咲き | 春以外にも夏、秋にも返り咲く |
香り | 微香 | あまり強く香るものは少ない |
強健さ | 樹勢がある | やや病虫害に弱いものがある |
病虫害に弱い品種もある!
「バラは手がかかる」「バラは育てるのが難しい」というイメージのある人も多いのではないでしょうか? じつはそのイメージを作ってしまったのが、どうやらこのハイブリッド・ティー系統のバラのようです。
ハイブリッド・ティー・ローズ(ハイブリッド・ティー系統のバラ)は、大輪で、見ごたえのある花を咲かせるので、各地でバラのコンテストが開催されるようになっていきました。その結果、花の美しさばかりを優先した品種も作りだされ、病虫害に弱いバラも、実際に存在するようです。
オールド・ローズのような咲き方のハイブリッド・ティー・ローズも登場
最近では、ロゼット咲きやクオーターロゼット咲きなどのクラシカルな花形が好まれ、ハイブリッド・ティー系統でありながらオールド・ローズのような花形のバラも作りだされています。
ひと昔前なら、切り花のバラといえばほとんど高芯咲きのバラでしたが、今では一見オールド・ローズのように見える切り花のバラもたくさん見かけるようになりました。
まとめ
しっかり自立してくれる木立性樹形なので、広い庭の真ん中にも植えられるというところも、ラ・フランスが発表された当時としては歓迎されたのでしょうね。
日本人の目からすると、長らくバラといえばこのハイブリッド・ティー系統一辺倒だったので、逆にオールド・ローズの方が新鮮に見えてしまうくらいね。
そのせいか最近では、オールド・ローズの花形のハイブリッド・ティー・ローズが登場しているわね。なんだか、どんどん区別がややこしくなってきていて、頭を悩ませています。
スポンサーリンク