バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「イエライシャン」(夜来香)です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


「イエライシャン」(夜来香)は、こんなバラ

▲イエライシャン(夜来香) 出展/バラの家

エライシャン(夜来香)は、岐阜県大野町のバラ苗生産者・青木宏達さん2013年発表のバラ。

 

丸弁高芯咲きの艶やかな藤紫色の中大輪花を咲かせるハイブリッド・ティー(HT)系統のバラで、ブルー系の素晴らしい強香が特徴の人気品種です。

 

越後丘陵公園で開催される「国際香りのばら新品種コンクール」の第6回大会(2012年)で、HT系の金賞・国土交通大臣賞・新潟県知事賞の3冠を獲得しました。ちなみに国土交通大臣賞は、すべての部門の金賞を獲得した品種のなかでもっとも得点の高かった品種に贈られる賞で、新潟県知事賞は香り部門の最高得点品種に贈られる賞です。

 

「国際香りのばら新品種コンクール」で「イエライシャン」の香りは「深みのあるブルーローズの香りに爽やかな柑橘系のベルガモットとフルーティな甘さが感じられる明るく洗練された香り」と表現されています。

 

「バラの家」のスコアは 樹勢/普通 ウドンコ病/普通 黒星病/普通 耐陰性/弱い 耐寒性/弱い 耐暑性/強い。

 

トゲが少なく扱いやすい、強香品種なのに花保ちが良いなどの優れた点もあります。

 

品種名は、かつて李香蘭(山口淑子)が歌った中国歌謡「夜来香」とも、中国南部やベトナム原産のつる性植物「夜来香」(ガガイモ科テロスマ属)とも関係なく、作出者の青木宏達さんがこのバラを食卓に飾っておいたところ、夜に起きたとき部屋じゅうに香りが広がっていたというエピソードから名付けられたそう。

 

今回育てる「イエライシャン」(夜来香)の環境DATA

関東の農園/朝~夕方までよく日の当たる環境で、盆栽用の花台に載せて管理

昨年5月に新苗でお迎えして8カ月育てた株

今年の目標/ブルー系のバラでも育ちやすい品種としてわかるようなそだレポにしたいです

育てる人/天女の舞子

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

1月31日の「イエライシャン」/土替え・鉢増し・冬剪定

▲仮剪定状態の株。樹高は36cm 写真提供/天女の舞子

たしは香りのバラ、なかでもブルー香の品種が好きなんですが、数あるブルー香の強香品種のなかでも「イエライシャン」は有名で、ずっと気になっていたバラでした。

 

でも青バラは育てにくい弱い品種が多くて、これまで何株も枯らしてしまったこともあり、新しくお迎えするのは、ちょっとためらっていました。

 

そんななか、SNSでとても良く生長している「イエライシャン」をみかけて、「この品種、青バラなのにすごいな」と感心したのをきっかけに、昨年5月に新苗でお迎えしたという経緯があります。

 

▲6号鉢→8号鉢に植え替え 写真提供/天女の舞子

 

新苗から8カ月育てて、仮剪定してある状態の株を6号鉢→8号のスリット鉢に植え替えします。

 

以前のあまり日当たりの良くない実家の庭から日当たりの良い農園に引っ越してから、やはりバラの生育が良くなっています。しかも「イエライシャン」はしっかり根の張る品種のようなので、青バラとはいえ安心して育てられそうです。

 

▲6号鉢から抜いて根のチェック 写真提供/天女の舞子

 

6号鉢から根鉢を抜いてみると、やはり「イエライシャン」の根はしっかり育っていました。予想よりいい根で、計ってみると長いものは30cm以上ありました。

 

土を落として確認したところ、根頭癌腫病も害虫もナシ。健康です。

 

▲土替え・鉢増し・冬剪定を完了 写真提供/天女の舞子

 

鉢底石がわりに硬質赤玉土を1層入れ、バラ用培養土「わくわくローズソイル」(苗木部)+根腐れ防止剤のミリオン(ソフト・シリカ)+元肥にマグァンプk(ハイポネックス・ジャパン)大粒を8号鉢基準の半量15gを混ぜて植え付けました。

 

「わくわくローズソイル」には緩効性化成肥料が少し入っているのと、いずれ芽出し肥を与えたいので、元肥は規定量の半分にしました。

 

リキダス(ハイポネックス・ジャパン)1000倍液の水を掛け、最後に植物用水分計「サスティ」(キャビノチェ)を挿して、土替えと鉢増し作業は完了です。

 

▲芽を確認しながら冬剪定 写真提供/天女の舞子

 

もう芽が出ていたので、植え替えと同時に冬剪定をしました。

 

主幹は2本あり、どちらも締まった良い枝で、太さもあります。芽を確認しながら高さ15cmにしっかりカットしました。

 

3月14日の「イエライシャン」/芽出し肥・芽かき・芽薬(ダコサプ)散布

▲若葉が一気に広がってきた「イエライシャン」 写真提供/天女の舞子

3月に入り暖かい日が続いたこともあり、新芽から若葉がどんどん広がってきました。

 

▲芽出し肥&芽かき後 写真提供/天女の舞子

 

少し遅くなりましたが、芽出し肥を与えます。

 

「バイオゴールドセレクション薔薇」(タクト)の追肥用肥料を、8号基準30粒ですが、規定量の半分の15粒入れました。冬の植え替えのときに元肥として規定量の半分の「マグァンプK」を入れてますので、芽出し肥も規定量の半分にしました。

 

続いて芽かき。

 

株の下の方にある弱々しい芽や、混み合いそうな芽を取り除きました。写真左側の主幹が内芽ぎみなので、それと交差しないように芽の向きをみながら作業しました。──少しサッパリしすぎたかな?

 

▲今年から希釈タイプの農薬散布開始! 写真提供/天女の舞子

 

最後に芽薬を。

 

小山内先生オススメの「ダコサプ」(ダコニール+サプロール)に活力剤の「リキダス」(ハイポネックス)も加えた1000倍液をつくって散布します。

 

薬剤散布はこれまでハンドスプレーでやってきましたが、さすがに鉢数も増えたので、今年から希釈タイプの農薬を使います。

 

▲葉裏にもしっかり散布 写真提供/天女の舞子

 

開き始めた若葉の表にも裏にもしっかりかけて、春の病気を予防します。

 

3月25日の「イエライシャン」/発蕾

▲新芽がぐぐっと伸びてきた 写真提供/天女の舞子

年は暖かい春で「イエライシャン」の新芽がぐぐっと伸びだしてきました。

 

▲枝先に蕾が! 写真提供/天女の舞子

 

まだ3月だというのに、枝先に蕾が見えています。すごく早いですね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

育てた人紹介/天女の舞子

あまり植物を育てた経験がなかったので、以前は「バラは難しい」と諦めていました。でも、フラっと行った「国バラ」(国際バラとガーデニングショウ)でバラソムリエの小山内さんに会って。自分が本の内容を理解出来なかった理由がやっとわかりました。それから無事に1シーズン枯らさないで、育てることが出来るようになったばかりの初心者です。まだまだ理解できてない部分もあるので、必要な作業に自信が持てないところもあります。

 

趣味はメダカの飼育(繁殖)です。時々どうでもいいことをTwitterで呟いたり、たまにメダカの動画とかをYouTubeであげたりしています。 埼玉県在住

 

▼そだレポ検索は、こちらのページを利用してください

 

cropped-rose1.png
スポンサーリンク