庭に咲いたバラを家に飾りたい。そんなときに知っておくと便利な、基本のコツを紹介します。


庭のバラをキレイに飾りたい。大げさでなく、さりげない感じで

▲木のためには、ここまで開く前にカットしたい

に咲いたバラ、木のためを思えば8分咲きくらいで切り戻した方がいいのですが、この花、捨ててしまうにはもったいない。皆さん、花瓶に活けて室内に飾っていると思います。

 

せっかくならキレイに飾りたいけれど、生け花やフラワーアレンジメントみたいな大げさな「作品」ではなくて、もっと日常的なかんじで飾りたい。そんな方も多いのでは? 

 

今回は、日常的な「花活け」のちょっとしたコツを紹介します。知っているといないとでは、グンと見え方が変わりますよ^^

 

日常的な「花活け」は、「生け花」でもないし「フラワーアレンジメント」でもない

▲生け花は花器につくった小さな自然

本にはさまざまな生け花の流派があり、フラワーアレンジメント教室もたくさんあります。生け花もフラワーアレンジメントも花を美しく見せるための技術ですが、両者には大きな違いがあります。

 

生け花は「自然の姿をより美しく再現する」ことを目指しています。そのため花を中心にしながらも、枝のラインを生かし、葉を添えて空間をとりながら花器に小さな自然を作り上げます。

 

▲フラワーアレンジメントはゴージャス

 

それに対してフラワーアレンジメントは「花の装飾」です。花をぎゅっと固めて花の美しさを強調するようつくられます。

 

どちらももともとはフォーマルな客迎えの花で、たくさんの花材を使って生け花なら壮麗に、フラワーアレンジメントなら豪華に飾られます。

 

でも家庭に日常的に飾る花は、生け花でもないしフラワーアレンジメントでもないですよね。

 

わたしは池ノ坊生け花の経験があるのですが、池ノ坊でいう型にとらわれない生け方の「自由花」で、かつ剣山を使わない「投げ入れ」の手法がもっとも家庭の花に参考になるかな、と思っています。

 

ここでは家庭に日常的に飾る花を「花活け」とでも呼びましょうか。

 

前置きはここまでにして、さっそく始めましょう。

 

花3輪で、かわいく決まる!

▲バラの切り戻し3輪でかわいらしく!

は夏なので、我が家のベランダではポツリポツリと2番花、3番花が咲いています。これを小さなコップに活けて窓辺に置きます。

 

写真は、オレンジ色のミニバラの2番花とごく小さく咲いたノヴァーリスの2番花。どちらも花径4~5cmの小さな花です。

 

今回は、この小さな「花活け」の作り方とともに、花を活ける超基本を紹介します。

 

準備する花材と花器

回の花材は、鉢バラの切り戻しを3輪だけです。切り戻しが主目的なので花枝の長さは短くて、左から10cm、9cm、7cmくらいしかありません。花はどれも大きく開いています。

 

 

花器は普段使いしているデュラレックス(DURALEX)のグラス。ピカルディシリーズのクリアタイプで、高さ7cmの小さなサイズを用意しました。

 

このグラス、底が厚くて適度な重さと耐久性があり、サイズ展開も豊富で、花器としても使いやすいです。

 

これ以外に、もちろん花を切るためのハサミを準備します。

 

花活けの手順

1、花がキレイに見える方向を確認する

▲花がもっともキレイな方向が表

屋で購入したバラは枝がまっすぐで花はつぼみがちですが、庭バラはもっと個性が強い。枝がカーブしていることも多く、花はぽってり大きく開いています。

 

この花の表(花がもっともキレイに見える方)はどこかを、まず探します。上の写真の、この方向が表ですね。

 

▲花が後ろ姿になるのが裏

 

反対向きにすると、この通り。花の後ろ姿しか見えません。これが裏です。

 

2、まず一番長いバラを挿す

ラスに水を入れたら、一番長いバラを挿します。水に浸かる葉は取り除きますが、この最初の1輪の葉は残しぎみにした方が後が楽です。

 

枝先がしっかりグラスの底につくように挿し、グラスから少し花が浮いたように見える位置に枝の長さを切って調節します。

 

3、2番目に長いバラを組み合わせる

2番目に長いバラを、最初のバラの枝と交差するように挿します。1輪目のバラの枝と、残した葉の隙間に差し込むようにすると、2輪目が上手く止まります。

 

 

2輪目も水に浸かる葉は取り除いていますが、花に近い方にある葉はひとつだけ残しています。これで2輪がしっかり止まりました。

 

4、3輪目を載せる感じに

れまでの2輪の枝でできた枝と葉の隙間に、3輪目を挿します。

 

3輪目はしっかり底まで挿す必要はありません。先の2輪の花に載せる感じで、花が一番キレイに見える角度や場所を探します。

 

こうして枝を交差することで花が止まると同時に、ガラス素材で中が見える花器でも足元をキレイに見せる効果があります。

 

5、バランスを整えて完成

が裏向きにならないよう気をつけながら、3輪の花が寄り添っているようににバランスを整えて完成です。

 

キレイに見せる基本は三角形!

▲花3輪で三角形をつくる

れは生け花の基本なのですが、花をキレイに見せる基本は三角形なんです。

 

厳密には10:8:5の長さでつくられた不等辺三角形なのですが、そこまで厳密でなくてもいいので、ちょっとバランスを崩した三角形を意識すると、花がピタリと決まります。

 

▲花色を変えて

 

同じ活け方でも、花色を変えれば雰囲気もずいぶん変わります。

 

オレンジ色のバラはかなり色あせていたので手前に置かず、奥に控えて、手前の2輪を引き立てながら奥行きを感じさせるようにしました。

 

NGバランス

ったく同じ花材、花器を使っても、バランスの整え方が悪いと今ひとつ決まりません。せっかくの花を裏向きにするのはもったいないし、これでは散漫な印象です。

 

 

これでは間が空きすぎて、だらしない感じですね。

 

2輪はバランスが難しい

▲ポイントの花2輪は難易度高いめ

タンアイが可愛らしい赤いミニバラ2輪をメインに、爽やかなバジルの花穂2本を合わせました。

 

なんとかバランスを保っていますが、バラ2輪を主役にまとめるのはちょっと難しいです。

 

花を活ける器

▲口が広がった形や壺型が使いやすい

器にはさまざまなタイプがありますが、安定が良く、口が少し広がっている形が使いやすいと思います。狭い口の下が大きく膨らんだ壺型も、花をゆったり広げることができる形です。

 

上の写真は、奥がカッティングを施したクリスタルの花器、左が青いビールグラス、右がヒヤシンスの球根を載せて室内で咲かせるための壺型の器、手前がデュラレックス(DURALEX)のグラス。

 

サイズ的にビールグラスがもっとも使いやすく、ナチュラル感に欠けるせいかクリスタルの花器が一番出番が少ないです。

 

▲寸胴の器は使いづらい

 

扱いにくいのが、ストンと寸胴な器です。口が狭いのでどうしても枝を立たせることになり、花の顔が見えるよう枝の角度を調整することが難しい。ワンパターンの花活けになってしまいます。

 

まとめ

庭バラをステキに飾る方法を、ごく簡単に紹介しました。

 

わたしが師事したお華の先生は、会報誌の最初の方に1ページ大の作品写真が載るような方でした。とても可愛がっていただき、いつも自由にお花と遊ばせていただきました。

 

でも先生が忙しくなり代稽古が増えると、代稽古の先生からわたしには理解できない制約をいろいろ言われて、辛くなった覚えがあります。花展に出すには幅何cm以内にまとめなければいけない──とかね。花展に出す気なんてまるでないのに(^^;

 

フラワーアレンジメントの世界も少しは知っていますが、花屋さんがブーケを作ったり装飾花を仕上げたりするための技術指導、もしくは大使夫人がゴージャスな花をフラワースタンドやマントルピースに手ずから飾ったりするための優雅なお教室が基本ですかね。アートに走ったところもあります。

 

家庭に飾る自分のための花は、自分が楽しめれば何でもいいと思います。切り戻した庭バラを活けて楽しむのは、花展用でもなければ客迎えでもアートでもないのだから、好きに飾ればいいんです。でも、崩した三角形を意識するという小さなコツを知っていると意外なほど楽に決まります。

 

今回は3輪でつくりましたが、花数が増えても基本は同じです。試してみてくださいね^^

 

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