バラの資材にはさまざまなものがあって、どれをどう選べばいいのか分かりにくいですよね。今回は、バラの活力剤について紹介します。代表的な活力剤の種類や、多くの活力剤に使われている光合成細菌の効果、使い方のコツなどについて、まとめています。
そもそも活力剤とは? バラに必要なの?
バラの育て方を紹介している記事を見ると、肥料の与え方は書いてあるけれど、活力剤の与え方は書いてないことが多いですよね。(もちろん、活力剤のメーカーのサイトなら必ず活力剤を使うよう書かれていますけど)。わたしがまとめた基本的なバラの育て方の記事でも、活力剤には触れていません。
それはなぜかというと、活力剤はバラを育てるために必ずしも必要なものではないからです。
活力剤とは、サプリメントのようなもの
バラを人に例えると、肥料は食事、活力剤はサプリメントのようなものです。人は食事抜きでは健康に成長することができませんが、サプリメントがなくても大きな問題は起きませんよね。ただし適切にサプリメントを補うことで、より健康状態を良くすることができます。
バラもこれと同じです。問題なく育っているけれど、より健康で丈夫な株に育てたい、より大きく色鮮やかな花を咲かせたいときには、サプリメントとして活力剤を追加するといいのです。さらに、病虫害の被害にあってしまった後の株の回復をはかりたいときにも活力剤は有効です。
活力剤は、根に効く!
活力剤には、各メーカーから発売されているさまざまな商品がありますが、ざっくり言うとどれも「根に効く」ものだと言えます。
とくに初心者は、葉や花など目に見える地上部ばかりを良くしようと考えがちですが、植物はほとんどの水分も養分も土から根をとおして吸収していますから、根を育てるのはとても重要なことです。活力剤は土に含まれる菌に働き、善玉菌を増やすことで、発根を促し、水分や養分を吸収しやすくする働きをもちます。
その結果、株全体を丈夫に育て、花を美しくたくさん咲かせる、弱った株の回復を早めるなどの効果が期待できるのです。
活力剤に多く含まれる「光合成細菌」とは?その効果は?
活力剤には、「光合成細菌」を含んだものが多くあります。「光合成細菌」は、もともと田んぼや沼などの有機物を含んだ水たまりにいる土着菌です。土の善玉菌と表現されることもあります。
「光合成細菌」は、植物にさまざまな良い影響をもたらします。どんな効果があるのか、箇条書きにして紹介します。
1、葉の色つやを良くする。
2、作物の収量を多くし、糖度を高くする。
3、光合成細菌により土の細菌バランスが改善するので、植物が病気にかかりにくくなる。
4、土壌改善効果があるので、土の保水力、保肥力を高める。
5、光合成を盛んにし、日照不足を補う。
どうでしょう。素晴らしいですよね! 「光合成細菌」でなぜこのような効果が出るのか、詳しい説明は省きますが、「光合成細菌」が、とにかく植物にとって素晴らしい効果をもたらす菌であることは確かです。
活力剤を使う効果的なタイミング
活力剤と一口に言っても商品により含有成分は違うので、その使い方を一言でまとめるのは難しいです。詳しくは、それぞれの商品の説明書きを確認するのが確実なのですが、ここでは、ざっくりとした使い方を紹介をします。
活力剤は「根を育てたいとき」に使う!
バラの根を育てたいときに活力剤は有効です。たとえば挿し木をしたとき、さらに植え替えで古い根を切り詰めたときに。コガネムシの幼虫に入りこまれて根が食い荒らされたときには、害虫を駆除した後に発根を促すために活力剤を使うといいですね。
病虫害でバラが弱ったときの「回復時期」には肥料ではなく活力剤を使う!
▲花枝の先がブラインド(上図右側)になったときにも有効!
広範囲の病気や虫害にあったバラの樹勢回復のために、活力剤は効果的です。ハダニ被害などですっかり葉を落としてしまったバラの回復を助けるためにも、活力剤は有効です。
花枝がブラインドになってしまったときには、枝先を切り戻した後に発芽を促すために活力剤を利用するのも効果的です。
日照不足を補うため、日常的に使う!
我が家のように1日3時間ていどしか日照がない場所だと、バラを咲かせることはできますが、やはり日当たりの良い場所に比べると花つきが悪く、株もひょろひょろ徒長してしまいがちです。光合成細菌を含んだ活力剤を定期的に水やりの水に混ぜて使うことで、日照不足を補うことができます。
なんとなくバラの元気がないときに!
病気でも害虫被害でもないし、肥料切れでもないし、しいていえば夏バテみたいなものかなぁ~? と、不調の原因がよく分からないときには、とりあえず活力剤を使ってみては? 土壌改良効果や根を育てる効果などから、元気をとりもどしてくれることも多いものです。
代表的な活力剤を紹介します
活力剤は、バラだけでなくさまざまな植物に有効です。そのため「バラ専用」とうたっている商品は少ないのですが、バラ栽培によく使われる代表的な活力剤を紹介します。
マイローズ バラの活力剤/マイローズシリーズの使いやすい万能型
【My Roses】ばらの活力剤 480ml 水でうすめて与える“天然有機で地力増進 バイタルエッセンス配合 バラ マイローズ” ZIK-10000
天然パーム油由来のバイタルエッセンスにより、発根を促し、光合成を盛んにします。鉄、カルシウム、マグネシウムをはじめ、豊富なミネラル、アミノ酸、ビタミンが植物全体に活力を与えます。水やり用の水に混ぜて与えるのが基本的な使い方ですが、200倍に薄めたものを葉面散布することもできます。液体肥料と混ぜて使うこともできます。
菌の黒汁/これぞ光合成細菌の力!
土中の善玉菌(光合成細菌)を増やし、連作障害を改善します。善玉菌やそれが生み出すアミノ酸の働きで、植物の生長を促します。黒点病などのバラの病気の元になる胞子を破壊するとされる有用微生物(放線菌)を増殖させることで、バラを病気にかかりにくくします。化学物質を含まないので、有機栽培をめざしている方にも!バラの絵のパッケージ商品もあります。
バイネキトン/がん腫病の予防と治療にも!
日射量不足補完に 植物活力剤バイネキトン500ml ZIK-10000
発芽や初期成育を促進し、根張りを良くします。光合成量がアップし、病気に強くなります。ここまでは、「光合成細菌」の特性と同じなのですが、バイネキトンの優れた特徴は、がん腫病対策に使えるところ。がん腫の切り口に原液をハケで直接塗ることで、再発を予防し、もし再発してもくり返し使うことでやがてがん腫をなくすことができます。がん腫を発症したけれど、どうしても処分したくない株に使いたいですね!
土母/光合成細菌の力で日照不足を補い優れた土に改善!
光合成細菌を主成分に、9種類の微量元素を配合した活力剤「土母」(どうも)。「土母」は、土中の有益な微生物を増やすことで、水はけがよくしかも保水力の高い土に改善します。花芽がつきやすくなり、花が大きくなります。葉の色つやを良くし、発根作用もあります。「土母」は使用量に制限がなく、原液のままでも薄めて使っても植物に悪い影響が出ないので、気軽に使えます。
HB-101/野菜にあらゆる植物に!
フローラ 天然活力剤 HB-101 100cc (100%天然植物エキスの活力液) [HB101 肥料 野菜作り 園芸]
杉やヒノキ、松などから抽出したエキスで植物を活性化する天然植物活力液です。減農薬、有機栽培に最適で、野菜やバラはもちろん、あらゆる植物に使えます。やや値がはりますが、評価の高い活力剤です。
リキダス/初心者にも安心の、入手しやすく使いやすい活力剤
【HYPONeX】ハイポネックス リキダス 450ml 活力剤 バラ ZIK-10000
植物の生育に必要な養分を吸収する力を高める働きをする、コリン、フルボ酸、アミノ酸、各種ミネラルを配合した活力剤です。不足しがちな必須微量ミネラルをバランスよく供給するので、おいしい野菜や美しい花が育ちます。根張りを良くしたいとき、花の後の疲れを回復したいときなどに水で薄めて使います。水で薄めずそのまま使えるアンプル・タイプの商品もあります。
活力剤の使い方
ほとんどの活力剤は液体です。規定量を水やり用の水に薄めて使います。
まとめ
活力剤について紹介しました。活力剤は主食ではありません。活力剤なしでもバラは育ちますが、天候のせいや病気や害虫のせいで、お世話を間違ったためになど、さまざまな要因からバラの調子が悪くなってしまうことは、よくあります。その予防や改善のために使うのが活力剤です。
バラを育て始めて1年目なら基本的な育て方でも問題ありませんが、ちゃんとお世話をしているつもりでも、何年も育てていると必ずバラが調子を崩すことがあります。どうして調子が悪くなってしまったのか、その原因が分からないなら、とりあえず活力剤を! という使い方もできます。
我が家のように日照不足ぎみな場所でバラを育てているなら、光合成細菌を含んだ活力剤は強力な味方です。活力剤には、使い勝手の良い汎用品から、がん腫病対策に使える商品まで、さまざまなタイプがあるので、上手に選んで使ってくださいね!
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