2019年4月19日~21日にパシフィコ横浜で「日本フラワー&ガーデンショウ2019」が開催されました。その詳細レポートをお送りします!


趣向を凝らした各ブースと体験型イベントが充実!

本フラワー&ガーデンショウは、家庭園芸の普及と底辺拡大を目指す「日本家庭園芸普及協会」が主宰する総合園芸イベントです。これまで足を運んだことがなかったのですが、今回、近所で開催されていることもあり、初めて訪れてみました。会場は、パシフィコ横浜。横浜のみなとみらい地区にある総合展示場です。

 

▲会場入り口から観たところ

 

会場は、いくつものブースに仕切られています。上の写真でいうと、手前からタキイ種苗、レインボー薬品、住友化学園芸のブースになっています。

 

それぞれのブースでは、商品販売はもちろん、体験コーナーがあったり、いろいろな質問に答えてくれるようになっていたり。ブースごとに趣向を凝らしていて、ひとつひとつがとても見ごたえがありました。

 

ブース数は大小合わせて50以上。個別ブースをいくつか紹介しましょう。

 

住友化学園芸のブースでは木村卓功さんのミニ講演が!

▲住友化学園芸のブース

とえばマイローズシリーズのバラに使える農薬や肥料などを販売している住友化学園芸のブースでは、バラの家の木村卓功さんがミニ講演をしていました。残念ながら聞き逃してしまったのですが、おそらく農薬などの上手な利用方法なんかを教えてくださっていたのでしょうね。

 

▲ロサオリエンティスの「マイローズ」

 

住友化学園芸は、今年50周年のアニバーサリーイヤーを迎えるそうで、それを記念して、木村卓功さんがアニバーサリー・ローズとして「マイローズ」を発表しました。マイローズは、真紅の美しいカップ咲きのバラ。花径7~8cmの中輪で、写真のとおり房咲きします。香りこそ微香ですが、とても花つきがよく、日本の夏の暑さに強く、耐病性も高い育てやすいバラなのだそうです。

 

住友化学園芸の方いわく「バラの家で今日(4月20日)から販売しています!」とのことでしたが、ネットで確認してみると残念ながらすでに売り切れていました・・・みなさん素早いなぁ!

 

ちなみに講演の後、会場を見学していた木村卓功さんに直接お聞きしたところ、「ばらフェスタ2019」では、5月15日(初日です)の14時~「大成功のバラ栽培」についてお話しされるそうです。こちらも楽しみです^^

 

横浜イングリッシュガーデンのブースにはホワイトガーデンが出現!

▲横浜イングリッシュガーデンのホワイトガーデン

浜駅から1駅の街中にありながら、本格的なイングリッシュガーデンが楽しめる「横浜イングリッシュガーデン」のブースには、白い花を集めた爽やかなホワイトガーデンがつくられていました。デザインしたのは、スーパーバイザーを務める河合伸志さんです。

 

▲ロシアンオリーブの花

 

横浜イングリッシュガーデンのガーデナーさんによると、この庭の見どころは、左奥にあるロシアンオリーブの木なのだとか。

 

オリーブの木によく似ているので「ロシアンオリーブ」と呼ばれるこの木は、学名Elaeagnus angustifolia。中国、中央アジア、ロシアが原産のグミ科の植物です。別名をヤナギバグミ、スナナツメなど。耐寒性も耐暑性もあり、日本各地の庭で育てられます。

 

初夏に咲く花は良い香りがして(すごく甘いハチミツのような香りがしていました!)、秋に実る実は食用になります。シルバーリーフも美しく、庭のシンボルツリーなどに今後人気が出そうです。

 

テーマフラワー「カーネーション」の展示コーナー

▲カーネーションの植栽展示

ーネーションといえば、母の日に贈る花として知られています。赤や白、ピンクなどの色鮮やかな花色と、ふんわり丸く咲く姿、そして比較的手ごろな値段も魅力です。切り花として流通する高性種のカーネーションのほかに、鉢花として流通する矮性腫もいろいろあります。

 

カーネーションの植栽では、矮性のカーネーションをたくさん使った愛らしい庭がつくられていました。

 

植栽を担当したのは、昨年のガーデニングコンテストで優勝した藤沢市にある日本ガーデンデザイン専門学校の生徒たち。コンセプトは“Happiness”。繊細な美しさをもつカーネーションをたっぷり使って、幸せな雰囲気あふれるガーデンをつくりあげました。

 

花コミステージでのイベント「横浜ローズウィーク」初開催記念トークショウ

▲三上真史さん(左)と河合伸志さん(右)

まったところに設えられた「花コミステージ」ではさまざまなイベントが開催されました。わたしは、20日の14時~行われた横浜ローズウィークのアンバサダー三上真史さんと横浜イングリッシュガーデンのスーパーバイザー河合伸志さんが出演する「横浜ローズウィーク」のPRイベントに参加してきました。「横浜ローズウィーク」は、今年から開催されるバラのイベントです。

 

内容を少しだけ紹介しましょう。

 

司会者「海外から初めて日本にもたらされた地が横浜だというものは、意外とたくさんあります。バラもそのひとつです」

三上「アイスクリームなんかもそうなんですよね」

司会者平成元年にバラが横浜市の花に制定され、令和元年に横浜ローズウィークが初開催されるのも、意味のあることのように思えます。横浜にはいくつもバラ園がありますが、三上さんはお気に入りのバラ園はありますか?」

三上横浜イングリッシュガーデンです。バラはもちろん素晴らしいんですが、バラのシーズン以外にも、いつ行っても楽しめるバラ園なんです。趣味の園芸の収録だけでなく、年間パスポートをとってもいいくらい、もう何度も訪れています」

河合「横浜イングリッシュガーデンのバラは1800品種くらいあります」

三上「バラの見せ方も色別になっていたり、バラを引き立てる植物の組み合わせなども、参考になりますよね」

河合「花束でバラにカスミソウを組み合わせるのがかつて流行ったんですが。それと同じように、バラを主役にするなら、主張しすぎない植物を組み合わせるといいですね

司会者「河合さんは、お気に入りの場所はどこですか?」

河合山下公園の噴水のある広場から未来のバラ園を観たときの、白いバラが見渡せる場所がお気に入りです。一斉に咲いている様子は、まるで自分のために咲いていてくれるように思えるんです」

三上「ボクは港の見える丘公園の沈床花壇も好きですね。バラとの距離が近い感じがするんです」

河合朝、なるべく早い時間がとくにバラの香り立ちがいいのでおすすめです」

三上「*里山ガーデンにも、数は少ないけれどバラが咲きますよ」(三上真史さんは、里山ガーデンのウエルカムガーデンのデザインと植栽を担当しています)

*里山ガーデンについての情報は下記をご覧ください

 

司会者「横浜でおすすめの観光ルートはありますか?」

河合横浜イングリッシュガーデンから昼食をはさんで山下公園や港の見える丘公園か、その逆か。バラ園だけでなく、横浜には美味しい物もたくさんあるので、お店巡りも楽しめます。洋館とバラを巡るルートもいいですよ

三上「横浜イングリッシュガーデンでは、**5月7日に公開収録がありますよね」(**公開収録の応募は終了しています)

河合横浜のバラはゴールデンウィーク後半からきれいになってきます。5月10日ごろからが横浜のバラのピークになりますね

 

▲ガーデンベアと一緒に記念撮影

 

左端は、ガーデンネックレス横浜(春に行われる横浜の花イベントの総称)のシンボルキャラクター「ガーデンベア」。右端の女性はカクテル世界大会「ワールド・カクテル・チャンピオンシップ(WCC)2019」の日本代表の大久保 郁さん。横浜ローズウィークの開催を記念して、大久保さん監修のもと、バラをテーマにした4種類のカクテルが創作されました。ステージ上では、そのうちの1種類を三上真史さんがシェイクしてつくるという実演が行われました。

 

これらのカクテルは、横浜市内のホテルやバーで楽しむことができるそうです。

 

三上さんがつくられたのと同じ「フラッフィ」という名のカクテルを試飲しましたが、甘くとろりとしたムース状の真っ白なカクテルで、口当たりはとてもいいのですが、けっこう強いお酒でしたね。ライトアップされた夜のバラ園を観ながら飲むにはぴったりだと思いました!

 

第5回ガーデニングコンテスト

本フラワー&ガーデンショウのガーデニングコンテストは、「ミニガーデン部門」「コンテナガーデン部門」「ハンギングバスケット部門」の3部門で競われました。それぞれの金賞作品を紹介します。

 

ミニガーデン部門

▲作品名「もしも、木の中に家があったら」

ニガーデン部門の金賞受賞作品は「もしも、木の中に家があったら」。木の皮を円錐型のテントのように並べ、その中に小さな部屋をつくってあります。コメントに「あり得ない想像を現実で実現。幼い頃の想像を今になって実現します」と書かれてありました。子どもの頃に誰もが憧れた秘密基地のようで、とても楽しいですね!

 

制作は、東京都の中央工学校 造園デザイン科 若林采花さん。

 

コンテナガーデン部門

▲作品名「春風の郷」

ンテナガーデン部門の金賞受賞作品は「春風の郷」。自然な枝ぶりが美しい木を主役に、いくつかの緑を合わせ、控えめに紫と白の花を合わせたナチュラルなコンテナです。まるで生け花作品のように、全体のバランスがいいですね。コメントには「日本各地にある誰もが懐かしいと思う里山の風景。そんな景色が作りたくて。”春風の郷”それは祖母の庭でした」と、書かれてありました。

 

制作は、千葉県の福田敏恵さん。

 

ハンギングバスケット部門

▲作品名「秘密の花園」

ンギングバスケット部門の金賞受賞作品は「秘密の花園」。淡い黄色の花を主役に、ライムイエローの斑入り葉や紫の小花を組み合わせて、シックにまとめられています。コメントには「緑に囲まれて、ゆっくり流れる時を過ごせますようにと、作成致しました」と、書かれていました。

 

制作は、茨城県の保坂真紀さん。

 

F&Gフラワーセレクション

▲鉢花や切り花の新品種を紹介するコーナー

花や切り花の新品種を紹介する「F&Gフラワーセレクション」のコーナーでは、人気投票をしていました。たくさんある新品種のなかから、いいと思った花の番号を記入して投票するのです。わたしが気になったものをいくつか紹介します。

 

▲湘南プチヴェルデ ヴァチカーノ

 

八重咲きの緑色の覆輪をもつ濃い紫色のペチュニアです。花径3cmほどの小輪で、たくさんの花を咲かせます。「ヴァチカーノ」という名前のとおり、なんともヨーロッパの重厚な雰囲気が漂う花ですね。

 

▲盆栽用ミニバラ「江戸桜」(仮)

 

花径1cmあるかどうかの小さなミニバラ「江戸桜」は、葉が見えないくらいにびっしりと花を咲かせる様子が見事です。説明書きには「四季咲きのオールドローズタイプ。鉢物用。小鉢向きの盆栽用ミニバラ」と書かれていました。

 

▲ビオラ「Star dust 夜空」

 

紫から黄色へのグラデーションがとてもきれいで目を引いていたのがビオラ「Star dust 夜空」です。説明書きを読むと、どうやらポイントは花色ではなく「生育していくと次第に枝垂れるようになるので、背景として使えます」とのこと。コンテナでの寄せ植えに使いやすそうですね!

 

▲アジサイ「サニーデイズ」

 

紺色に近い濃い青に白の斑が入った美しいガクアジサイです。写真では明るく写ってしまっていますが、実際はもっと濃い色をしていて、とてもきれいでした。「初夏の青空をイメージした花色です。丈夫で育てやすいです」と書かれていました。今回の展示では、わたしはこれが一番気に入りました!

 

まとめ

日本フラワー&ガーデンショウのもようをリポートしました。いかがだったでしょうか?

 

わたしの印象としては、昨年で幕を閉じた「国際バラとガーデニングショウ」と比較すると、全体的にこじんまりしていました。全体を統括したイベント企画というよりは、区画割された各ブースがそれぞれに趣向を凝らしているという感じ。入場してすぐに来場者の目を奪うウエルカムガーデンのようなものもなければ、バラの歴史を学べるような企画展示もありません。でも、それぞれのブースがとても頑張っているので、なかなか見ごたえがありました。

 

ガーデニングコンテストに割り当てられたスペースも、そう広くありません。でも、すぐに身近に取り入れられるサイズのとても現実的な作品が適度に展示されていて、好感が持てました。(「国際バラとガーデニングショウ」のガーデニング作品は、ほとんどがプロの技術の粋を凝らしたもので、観て楽しめるけれど、数が多すぎて少し疲れました^^;)

 

ステージもそう大きくないし、客席もそう広くありません。でも、逆に言えばそれだけステージとの距離が近く、よく見えて参加する側からすれば嬉しいつくりです。

 

日本フラワー&ガーデンショウは、とても現実的な展示です。夢の庭、プロの手による自分には実現不可能な庭ではなく、自分の庭やテラスに再現できるサイズの、すぐに取り入れられるアイデア満載の展示が集められていました。花のネックレスを作ったり、子どもたち向けの花の職業体験ができたり、タネ団子をつくったりと、体験イベントが多いのも嬉しく、子どもと一緒に1日しっかり楽しめる満足度の高いイベントですね! もちろん、バラやクレマチス、アジサイなど、さまざまな花を購入できるブースもいくつもありました。

 

思いのほか楽しめたので、来年もまた参加してみたいと思えました^^

 

cropped-rose1.png
スポンサーリンク