バラを育てるなら、できればあまり手がかからず、楽してたくさんの花を咲かせてくれるバラがいいですよね! そんなわがままを叶えてくれるのがADR賞を受賞したバラです。今回は、ADR賞とはどんな賞なのか、賞の概要と代表的な受賞品種をご紹介します。
ADR賞は、厳しい栽培結果で評価される、価値あるドイツのコンテスト
ADR賞は、ドイツで開催されているバラの新品種を対象にしたコンテストです。ADR賞では、花の美しさはもちろん、そのバラの耐寒性や、耐病虫害性が重視されます。
世界じゅうからADR賞に応募された新品種のバラは、個人の庭や道路脇、公園などドイツの各地11カ所で3年間栽培されます。化学薬剤は一切使わないという条件で試作されるので、世界でも難易度の高いバラのコンテストと言えます。
そうして選出されたバラは、見た目の美しさだけでなく、育てやすさも厳しく審査され評価されたバラです。
つまりADR賞を受賞しているバラは、初めてバラを育てるから育てやすいものがいいという方や、バラは好きだけれどあまり手をかけられないという方の要望に応える、価値ある賞なのです。
とくに無農薬・減農薬栽培を心がけたい方や、寒い地方でバラを育てる方には、とても参考になる賞です。さらに耐陰性の高いバラが多くあるのも嬉しいところです!
代表的なADR受賞品種をご紹介!
実用的なバラを厳しい条件のもとに選び出すという、いかにもドイツ気質の賞を受賞した、代表的なバラを紹介しましょう。
1955年受賞「アイスバーグ」
純白の花を房咲きにする、フロリバンダの名花「アイスバーグ」は、1955年にADRを受賞しました。その後、数々のコンテストでグランプリをとり、1983年 世界バラ会議バーデンバーデン大会にてバラの栄誉殿堂入りを果たした世界的な名花です。
日本でも優れた耐病虫害性や耐寒性は健在です。さらに耐陰性にも優れているので、半日陰でもよく咲いてくれます。アイスバーグには、もともとの白花を基本としながら、同じ性質を受け継ぐピンク色やワインレッドのバラもあります。
▼アイスバーグの品種紹介は、こちらからどうぞ
1982年受賞「アンジェラ」
抜群の花つきの良さで、見た人を圧倒する「アンジェラ」は、1982年にADR賞を受賞しています。「アンジェラ」も、世界じゅうにファンをもつ名花ですね。
もともとアンジェラは、ヨーロッパではブッシュ樹形のフロリバンダとして扱われています。が、日本でのアンジェラは気候が温暖なせいか、ぐんとつるを伸ばして大型化し、つるバラとして扱うことができます。そのため四季咲き性は弱くなってしまったようですが、春の咲き方は爆発的です!
病虫害にも強く、耐陰性もある、とても育てやすいバラです。
▼アンジェラの品種紹介は、こちらからどうぞ
ADR賞を受賞したバラの品種一覧
バラを選ぶ際にとても役に立つADR賞を受賞した品種を一覧にしました。公式サイトがドイツ語のため、すべてを網羅しているわけではありませんが、日本で入手できる品種を紹介しています。参考にしてください。
ADR賞受賞品種は、修景バラとして扱われることが多くあります。
日本で育てた場合は、樹形や咲き方が変わる場合があるので、詳しくは各品種紹介をご覧ください。
*下に行くほど古い受賞品種になっています。
*系統の略記号は以下の通りです。
HT/ハイブリッド・ティー系統
F/フロリバンダ系統
S/シュラブ系統
R/ランブラー系統
Cl/クライミング系統
▼ADR賞を受賞したバラの詳しい一覧は、こちらのサイトでご覧いただけます(英文wikiです)
まとめ
ADR賞は、質実剛健を地で行くドイツらしいコンテストです。寒さ厳しいドイツでもよい結果を出してくれるバラ、そして薬剤散布なしでも大丈夫なほど病虫害に強いバラに対して賞が贈られます。
日本はドイツよりもずっと暖かく、しかも害虫の多い国です。ADR賞を受賞しているからといって、日本でもまったく病虫害が出ないかといえば、そうも行かないところなのですが。
それでも、ADR賞は病虫害に強いバラを選ぶには信頼できるコンテストです。たとえばマンションのベランダでバラを育てているなら、なるべく薬剤散布はしたくないところですよね。そんなときには、ADR受賞品種から選んでみるのも賢い方法です!
▼世界バラ会議と殿堂入りのバラはこちらをご覧ください。
▼アメリカのAARS賞についてはこちらをご覧ください。