先日のNHKでは京都・大原の古民家に暮らす、ハーブ研究家のベニシア・スタンリー・スミスさんをゲストに迎え、イギリスでの暮らし、日本での暮らし、ハーブの使い方など、盛りだくさんに話されました。ベニシアさんが発信する、日本でのハーブを取り入れた暮らしのアイデアやなにげない毎日を丁寧に暮らす大切さを、番組の内容に絡めて紹介します。
「日本人はアメリカン・ハウスみたいな家に住みたがる!」
ベニシアさんが生まれたのはイギリスの由緒正しい貴族の家でした。イギリスで住んでいた家は、イギリス貴族の華麗な世界を描いたテレビドラマ「ダウントン・アビー」の舞台となった家です。なんと「ダウントン・アビー」は、ベニシアさんの曾祖父母の人生を地で行くストーリーなのだとか!
ケドルストンホールと呼ばれる広大な、まるでお城のような、いえ、そのままお城が住まいでした。見てください! 上の写真の壮大な建物がケドルストンホールです! ケドルストンホールは、現在はナショナルトラストが管理していて、誰でも自由に観光することができます。
ケドルストンホールがどんな住まいだったのか訊かれて、ベニシアさんはこう答えます。
「かくれんぼしたら、1日待ってても誰も来ない。ほんとに悲しい」
だから、ベニシアさんは小さい家がいいと思っていたそう。
そんなベニシアさんがいろいろな経緯から日本に来たのは今から45年前のこと。その頃の日本には、古い家はたくさんあるのに、皆アメリカン・ハウスみたいな新しい家に住みたがっていたという。それまで古い家にしか住んだことがなかったベニシアさんは、日本の古い家にひかれます。
「日本の古い家は雰囲気があるし、丈夫と思う」
今は若い人が日本の古い家の良さに気が付きはじめて、ベニシアさんが住む京都・大原の古民家を探している人もいるという。海外のものにばかり目を向けてきた日本人が、やっと古くからある日本の良さに気が付いてきたのですね。
「日本茶だってハーブですよ!」
大原の古民家に住み、庭に200種類ものハーブを育てているベニシアさんですが「一番いいハーブは日本茶かもしれない!」といいます。ご主人の山岳写真家・梶山正さんが日本茶が大好きなのだとか。
「日本茶飲んだら、頭が動くっていう感じになる。だからわたしすごい日本茶大好きで、でも、いつもショックを受けているんだ」
どうやらベニシアさんは、ペットボトル入りの日本茶にショックを受けているのだそうです。
「もーぅ、それすっごいお茶に失礼と思うよ! 今、日本茶は世界中で人気なのに、プラスチックに入れるかぁっ! て思うねん!」
京都にお住まいなので関西弁で、日本茶はきちんと急須で入れてほしいと怒るベニシアさん。なんかかわいいです。でも、お気持ちは分かりますが、日本茶って上手に入れるの難しいんですよね。しかも冷たいのが飲みたいときには、ペットボトル入りのお茶ってすごく便利なんです。わたしも急須もっているけど、ほとんど使いませんゴメンナサイ(^^;
どうやらベニシアさんのご主人がとても上手にお茶を入れられる方のようですね。素敵ですねー^^
「自然が大事ってことを広めないと危ない!」
ベニシアさんの京都・大原での暮らしぶりを紹介する番組「猫のしっぽカエルの手」(NHK Eテレ)では、ベニシアさんの暮らしぶりが放送されます。番組の話をする中で、ベニシアさんはこう語りました。
「自然が大事ってことを、広めないともう危ないと思ってるんですよ。コンクリートが、セメントがだんだん増えて、土がだんだん少なくなって、それでみんな忙しくて、コンビニでご飯買って食べて。日本はどうなっていくんだろうと思う」
だから、番組を見て、ベニシアさんの暮らしを真似てみようと思ってもらえたら嬉しいのだそう。
ベニシアさんの庭は、間違いなく日本にある庭だと思わせてくれる庭です。欧米風の庭に憧れて、日本なのに無理して西洋風に作っているというものじゃありません。だいたいベニシアさんご自身がイギリス人なのだから、欧米風に憧れる理由がありませんものね!
だれかに見せようとして作られているわけではなくて、生活のために必要だから、自分で見て楽しむために、そんな肩の力の抜けたベニシアさんの「好き」が集まった庭は、とっても素敵なナチュラル・ガーデンです。
でも、ベニシアさんの庭のコンセプトだけを抽出してみると、意外とわたしたちがよく知っている庭だったりします。
家族が見て楽しめるたくさんの花、食卓で活躍するたくさんのハーブ(シソとかみょうがとかネギとかね!)、たくさんの実のなる木(柿とか無花果とか枇杷とか!)、それって日本の田舎の家そのままの庭です。もちろんベニシアさんの庭は、普通の田舎家とは比べ物にならないくらいハーブの種類は多いけれど。
「日本のハーブも忘れないで!」
▲フェンネルの花
「フェンネルは脳のためにいいのよ、賢くなる。目のためにもいいんです」
魚料理に合うフェンネルは、お茶にしたり、さらにコットンパフに染みこませて目に載せてもいいのだとか! 目が疲れているときにイイそうですよ!
これからの季節は、ゆずや枇杷(びわ)の葉もオススメ。
ゆずはレモンの4倍の効果があるので、風邪を引いたときにもいいし、化粧水に入れてもよい。枇杷は古い葉をお茶にすると、風邪や腹痛にいい。スキンケアや湿布にも使えます。
「みんな外国のハーブが人気でしょ。でも、日本にもあるのね。日本のハーブは日本人の体に合うように自然が作ってくれている。だから、日本のハーブも忘れないで」
お母さまのアイデアで作られたクリスマス飾り
ベニシアさんが幼い頃に住んでいたケドルストンホールでのクリスマスに、お母さまのアイデアで作られていたクリスマス飾りがありました。オアシス(吸水性スポンジ)に常緑樹の葉っぱをさして簡単にできるその飾りを、当時は40個も作って、屋敷のあちこちに置いて飾ったそうです。
今ベニシアさんは学校の子どもたちのために、またはディナーパーティをするときに作るのだとか。この後、実際に作り方を教えてくれました!
人生の最後にしたいこと
視聴者に何か訊きたいことは? と言われてベニシアさんが選んだ質問が「人生の最期にしたいことは何ですか?」というもの。「自分の子どもや孫に歴史やルーツを伝えたい」「すべてのものに感謝できる自分でいたい」など、さまざまな答えが視聴者から寄せられました。
ベニシアさんの答えはこうでした。
「最期の1週間は、できれば病院を出て自分の家で家族と一緒にいたい。外に出て、ブルースカイを見たい。皆のいい思い出を話したい」
ベニシアさんは、どうしてこんな質問をしたのか? それは大事なことを伝えたかったから。
「最期のときにしたいことは、毎日、今日でもできることじゃない!」
そう、確かにそうですよね! 視聴者からの答えの「子どもや孫に歴史を伝える」ことも、「すべてのものに感謝する」ことも、ベニシアさんの答えの「自分の家で家族と過ごして、青空を見る」ことも。
生中継のため放送時間が押してしまい、最後の大事なところを語り切れなかったけれど、ベニシアさんの言いたいことは伝わりました。
「だから、毎日を大切に、丁寧に暮らしましょう!」
ってことですよね!
まとめ
イギリス貴族として生まれたベニシアさん。小さい頃に広大な屋敷に住んでいて、ちょっと寂しい思いをしたことから小さな家に住みたいと思っていました。それが叶ったのは、日本に来てから。ベニシアさんは今、京都の大原の古民家で、自然を身近に感じながら自然の恵みを生活に取り入れながら暮らしています。
日本ではイングリッシュ・ガーデンが流行りだして、イギリスの田舎風のコテージ暮らしに憧れる女性が増えました。庭にハーブを植えるのも、バラで美しく彩るのも、まさにその影響です。それは新しいもの好きな日本人らしい楽しみ方なんだけれど、つい熱を入れすぎて、日本の良さをないがしろにしてしまいがちなところがありますよね。
「日本には、日本の素晴らしいハーブがあるやん!」
それをイギリス生まれのベニシアさんに教えてもらうことで、無理に西洋風なものを取り入れなくても、日本には日本の良さがあるじゃないかと再認識させてもらえます。情けないことだけど、わたしたち日本人は身近にありすぎて日本の良さに気がつけなくなってしまっているんですね。
「人生の最期にしたいこと」というキーワードも同じです。大事なものはすぐ側にあるってことに気が付いてほしくて出した質問だったのです。ベニシアさんを通して、ありふれているけれど大切なものに気が付ける、とても素敵な番組でした^^
ベニシアさんが番組で教えてくれたクリスマス飾りの作り方は、こちらをご覧ください。
お城の写真を探してこちらに来ましたが、とても素敵な内容なのでついつい読みきってしまいました。
というのも、私の家では仏様と神様への朝のお給仕を欠かさないので、自分達も日本茶をよくいただきます。柚子もたしかに良いんですが、これからの季節は梅と赤シソが良いですね。殺菌作用とすっぱさが暑さにピッタリです。毎年梅干と梅酒、そして赤シソジュースを造っています。どちらもハーブといえばハーブですし。
ところでダウントン・アビーの舞台となった撮影場所はハイクレア城だったはず。外観もそうですし、中の部屋も使われてます。ケドルストンホールはどこが使われたんでしょうか。また見直さなくてはw
しまちゃんさま。
ベニシアさんは「ダウントン・アビーは曾祖父の物語」とお話しされます。
そして「撮影はケドルストンホールではなくて、別の建物を使いましたけれど」ともおっしゃいます。
そこのつながりを、じつはわたしもかなり調べたのです。
ダウントン・アビーの原作者ジェーン・オースティンとベニシアさんの実家カーゾン家がつながりがあり、カーゾン家をモデルにして原作の物語が描かれているのだろうか? と仮説を立てて調べたのですが、なかなか確実なところは調べきれませんでした。なので、こちらの本文中でもぼかした表現になっています。
できることなら、確実なところをベニシアさんにお聞きしてみたいところですね。
我が家はマンションなんですが、それでも毎年梅干しを漬けていました。
自分で作った2年目の梅干しはもう最高です!
自画自賛しちゃいます。
今はバラに乗っ取られてしまって梅干しを干す場所が確保できません(^^;
コメントをありがとうございました。