冬の植え替えのとき、バラの葉はすべて取り除きます。ほとんどの本でそう書かれているけれど、その理由を知っていますか? バラの葉を取るときの注意点とあわせて紹介します。

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初心者ロザリアンYOUです。冬の植え替えのとき「バラの葉をすべて取りましょう」って言うけれど、それってどうして? 取らないとどうなっちゃうの? その理由を教えて!


バラが葉を落とすのは休眠のサイン

▲冬のバラ園は枝ばかり

には「常緑樹」と「落葉樹」がありますよね。たとえば松や椿は冬も葉を落とさない「常緑樹」だし、サクラや梅は冬に葉を落とす「落葉樹」です。バラは本来「落葉樹」です。現在あるほとんどの園芸品種のバラは落葉樹です。ただし「キモッコウバラ」や「ナニワバラ」のように常緑品種もいくつかあります。

 

ということで。ほとんどのバラは冬に葉を落とします。

 

植物が冬に葉を落とす理由は、こんなイメージです。葉が光合成をして作られるエネルギーと、その葉を維持するために使うエネルギーを比べたとき、光合成の量が減ってしまい、葉を維持する方がたくさんエネルギーを使うと植物が判断したら、葉を落とすのです。

 

要するに冬は寒くて葉を維持するのが大変な割に太陽光が乏しく、効率が悪いから葉を落としてしまうようです。バラは最高気温が7度以下になる日が1週間ていど続くと生長をやめ休眠に入る、と一般的に言われています。休眠に入るとバラは葉を落とし、光合成で得た養分を枝に貯えます。やがて春がきたら、その養分を芽吹きのエネルギーとして使うのです。

 

暖冬だとバラが葉を落とさないことも!

▲1月の京成バラ園 写真提供/天女の舞子

も、暖冬だと葉を落とさないときもあるんです。休眠期は関東基準で12月中旬~2月いっぱいとされますが、暖冬だと上の写真のように、1月だというのに青々とした葉が茂り花まで咲かせていることもあります。

 

葉が茂っているということは、葉で光合成してエネルギーをつくりだしているということ。上の写真のバラは、暖冬の上に日差しもあるので休眠に至っていないようです。

 

YOUYOU

そうそう。うちのバラも、ここまでじゃないけど葉がだいぶ残っているわ。せっかく光合成しているのに、この葉を取るのはもったいないというか、かわいそうというか──。そんな気がしちゃうんだけど。

あいびーあいびー

それじゃ次に、冬にバラの葉を落とすメリットを3つ紹介するね。

冬にバラの葉を落とす3つの理由

にバラの葉を落とす理由は、おもに3つあります。それぞれ順番に紹介します。

 

理由その1、春に病気や害虫を持ち越さない!

▲ウドンコ病や黒点病が発生している冬のバラ

ラがかかりやすい病気、たとえばウドンコ病や黒点病の病原菌は、葉にくっついたまま越冬します。やがて春がきて新芽が芽吹いてきたら、さっそく取りついて発症します。ハダニやアブラムシが葉について越冬することもあります。柔らかい若葉が広がってきたら、かっこうの餌食になりますね! こういうことを防ぐために、冬に葉をすべて処分して、春に持ち越さないようにするのです。

 

理由その2、剪定位置を見やすくする

▲葉がじゃまでいい芽が選べない!

はバラの剪定をする時期です。こんなに葉が茂っていては、どの枝がいい枝か、どこにいい芽があるか分かりません。剪定をしやすくするためにも、葉を摘み取る方がいいのです。

 

理由その3、春の芽吹きを早くする

▲しっかり休眠させた方が芽吹きが早い

に葉を取るということは、強制的にバラを休眠状態にするということです。強制的に休眠させた方が春の芽吹きが早いと言われます。

 

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なるほど。つまり冬に葉を落とした方が、病虫害にかかりにくかったり、手入れの作業効率が良かったりするのね。でも・・・冬に葉を落とさなくても問題ないっていう噂も聞いたことがあるんだけど。

葉を落とさなくてもいいという意見もあるけれど──

▲冬に葉を残した「紅玉」の春の芽吹き

にバラの葉を落とした方が、いろいろやりやすいのは確かです。作業効率を求めるバラのプロは冬に葉を取るよう指導しますが、愛好家のなかには冬にムリに葉を落とさなくてもいいと主張する方もいます。そう主張する理由としては、次の2点を挙げています。

 

1、バラが自分で判断して葉をつけたままにしているのだから、人が無理やり葉を取る必要はない。

 

2、葉をつけっぱなしにしておいても、春からの生長に問題はない。

 

わたしも去年の冬に「紅玉」の葉をつけっぱなしにしました。上の写真のように、たしかに春の芽吹きはまったく問題ありませんでした。でも、今年の冬は「紅玉」の葉をすべて取り除きました。その理由は、芽吹きの後にあります。

 

冬の間も残っていた葉は、新芽が開いてくるにつれ役目を終え黄色く変色し、やがて落葉したのです。瑞々しい若葉と黄色く変色した古い葉が混在している様子はとても汚く見えてしまって──あまりいいものではないな、と思ったのです。

 

たしかに冬に葉を落とさなくても大きな問題はないけれど、冬に葉を落とすメリットの方が大きいならプロが言う通り葉を落とした方がいいと、わたしは思います。だから今年からは普通に、冬に葉を摘み取って育てることにしたのです。

 

強制的に葉を落として休眠させる方法

▲取りにくい葉はつけ根からハサミでカット!

後に、強制的に葉を取り除く方法と、その際の注意点を紹介します。

 

そろそろ休眠してほしいのに、いつまでも枝にしっかり葉がついていたら──。1枚ずつ葉を株元に向かって引き下げるように引っ張れば取れます。引っ張っても上手く取れないときは、葉のつけ根からハサミで切り取ってしまいましょう。こうすることで、強制的にバラを休眠状態にすることができます。

 

注意が必要な葉の取り方

▲1、両手でつるバラの枝先をつかみ

るバラのように長い枝先にびっしり葉がついているとき、ひとつずつハサミで切るのも面倒なときは、枝をしごくようにして葉をとることができます。

 

まず皮手袋をはめた両手でつるバラの枝先をつかみ、枝先から枝元に向かって枝を握ったまま片手を滑らせることで一気に葉を取り除くことができます。

 

▲2、左手を枝元に向かって滑らせ葉を取る

 

この方法で葉を取るときには、必ずまだ芽が膨らんでいない時期にやりましょう。そうでないと、葉と一緒に芽も落としてしまう恐れがあります! つるバラは木立ちバラより芽吹くのが早いので、注意が必要です!

 

まとめ

近年の暖冬傾向で、バラの休眠期といわれる12月中旬以降になっても青々とした葉が残っていることが増えています。そのため、この葉を取っていいのか、残した方がいいのか悩む方が多いそうです。プロは皆さん「取った方がいい」と言いますが、愛好家のなかには「バラが葉を落とさないことを選んでいるのだから、バラの判断にまかせよう!」という意見も。

 

たしかにバラの葉を残しても大きな問題はありませんが、病虫害を持ち越さない、作業効率がいいなど、葉を取り除くメリットがあるのなら、プロの言う通りにした方がいいんじゃないかな、とわたしは思います。

 

それに、わたしは冬の植え替えと同時に剪定もしてしまうので、細い枝先に残っていることが多いバラの葉は、剪定とともにサヨナラしてしまいます。悩むことは、あまりないかも(^^;

 

YOUYOU

冬にバラの葉を落とすか残すか。たったそれだけのことだけど、理由を考えるとなかなか深いのね。バラの判断にまかせるっていうのも一理ある気がするわ。でも、ウチのバラは少し病気が発生していたから・・・やっぱり葉を取ることにします!

 

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