農研機構野菜花き研究部門は、サントリーグローバルイノベーションセンター(株)と共同で、「青いキク」の開発に成功したと報じています! 本当に美しい青いキクの誕生に、ふたたび青いバラへの期待が膨らみます! 青いキク誕生ストーリーを紹介します。
(上記写真出展:農研機構http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nivfs/076531.html)
キクは日本の切り花の40%を占める重要な花!
農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)は、日本の農業と食品産業の発展のための研究開発を行う国の機関です。その農研機構が2017年8月、青いキクの開発に成功したと報じました。
キクは日本の切り花のおよそ40%をしめる重要な花です。葬儀や仏花としての需要はもちろん、さまざまな花の形があることから洋風のブーケにも取り入れることができます。しかも値段が安いことから、カジュアル・フラワーにも取り入れやすい身近で便利な花材ですよね。
白、黄色、オレンジ、赤、ピンク、紫色、緑など幅広い花色をもつキクですが、青や青紫色はありませんでした。これまでにない花色のキクを開発しようと農研機構では2001年から遺伝子組み換え技術を用いた研究が重ねられてきました。
2004年からサントリーと共同研究を開始
▲サントリーが2004年に発表した青いバラ「アプローズ」
遺伝子組み換え技術により青い花を創り出すといえば──もちろん思いだすのはサントリーが開発した青バラ「アプローズ」ですよね。サントリーでは1990年から青いバラの開発に取り組み、14年の歳月を経てようやくパンジーから抽出した青色素をバラに導入する形で青いバラが誕生しました。そのバラには「アプローズ」(喝采)という名がつけられ、現在では切り花で流通しています。
この成功を受けて、2004年より青いキク開発は、農研機構とサントリーの共同開発で進められることになります。というのも、バラと同様に、キクも青色素デルフィニジンを含まないので、他の植物からデルフィニジンを導入する遺伝子組み換え技術が不可欠だったからです。
カンパニュラからデルフィニジンを導入
青色素デルフィニジンをもつ花はたくさんありますが、まず導入に成功したのは、カンパニュラの青色素でした。2013年、カンパニュラの青色素を導入したキクが完成。しかし、青色素をもつとはいえ、このキクの色は青ではなく紫色でした。
より青く見えるキクを目指して、さらに研究は続けられます。
チョウマメからデルフィニジン導入に成功!
Nilakkakkanam (Tamil: நீலக்காக்கணம்) / dinesh_valke
カンパニュラの青色素だけでは青く発色しなかったので、さらに研究が続けられた結果、2013年、ここに加えてチョウマメの青色素を導入することに成功します。
チョウマメ(蝶豆)は、赤道付近の熱帯アジア原産の植物で、耐寒性がないので、日本では夏のみ花を楽しむ1年草として扱われています。タイでは花をジュースにして飲んだり、料理に入れたり、石けんの着色にも使われています。「バタフライピー(蝶豆)のハーブティー」として、青いハーブティーは、日本でも人気が出てきていますね。
ついに青いキクが誕生!
▲紫のキクと青いキク(写真出展:農研機構http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nivfs/076531.html)
カンパニュラとチョウマメの青色素を導入したキクは、ついに青く発色しました! それが上の写真です。左がカンパニュラの青色素を導入してできた紫色のキク、右がさらにチョウマメの青色素を導入した青いキクです。本当に美しい青色ですね!
2001年の研究開始から何と16年を経て発表された青いキク。今後、どういう使われ方をしていくのでしょう?
農研機構ではさっそく、完成した青いキクを国内外に広め実用化するための取り組みに着手しています。国内での栽培、販売をするための準備が整えられつつあるようです。数年後には、実際に青いキクを見ることができそうですね!
東京五輪のヴィクトリー・ブーケに!
▲美しい青いキク(写真出展:農研機構http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nivfs/076531.html)
ところでこのキク、2020年に開催される東京オリンピックのヴィクトリー・ブーケに使ってはどうでしょう? 真夏に開催される東京五輪では、ヴィクトリー・ブーケに使う花材の確保に頭を悩ませるところだと思います。そんななか、キクなら安定して栽培できるし、日本らしい花だし、ぴったりだと思うのです!
今までにないヴィクトリー・ブーケが作れると思うのですが、どうでしょうか?
さらに青いバラにも期待ができる!
誰が見ても青いキクの完成は、他の植物にも応用できます。農研機構ではバラ、カーネーション、ユリ、ダリアなど、さまざまな植物の青花づくりに展開できる可能性があると、今後の可能性にも言及しています。
青色素をもつとはいえ、人の目には「紫色」と見えているサントリーの青バラ「アプローズ」をよりすすめて、誰が見ても青い青バラが近々誕生するのではないか!? そんな期待が膨らみます。青いユリというのも、すごそうですね!
まとめ
農研機構で2001年から研究がすすめられてきた青いキクが完成しました。共同研究したのは、青いバラ「アプローズ」を生み出したサントリーグローバルイノベーションセンター(株)です。開発に16年を費やした青いキクは、誰が見ても美しい青花です。
通常の切り花としての需要はもちろんあるでしょうがこれ、個人的にゼヒ、2020年に開催される東京オリンピックのヴィクトリー・ブーケに採用してもらいたいですね! きっと素敵なブーケになると思います。
さらに、この技術を使って、アプローズよりももっと青い青バラの開発にも期待が膨らみます! 数年内には嬉しい発表があるのではないかと思うのですが、どうでしょう? 楽しみに待ちたいですね^^