バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「ブルーヘブン」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


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「ブルーヘブン」は、こんなバラ

▲ブルーヘブン 出展/河本バラ園

ラにはさまざまな花色の品種があるけれど、晴れた日の空のように色鮮やかな青バラはまだありません。2004年に遺伝子組み換え技術により誕生した「アプローズ」という青バラ(切り花品種)がありますが、これとは別に日本には純粋な交配だけで青バラをつくろうという流れがあります。

 

バラの育種家・河本純子さんは、世界でも珍しい女性育種家です。河本純子さんの育種も交配だけで青バラをつくろうというもの。「ブルーヘブン」は作出された2002年時点で「世界で一番水色に近いバラ」と人気になりました。ただし「ブルーヘブン」は病気に弱く、育てにくい品種です。

 

その後、河本純子さんはさまざまな青バラを発表しています。より青く、より育てやすい品種も登場していますが、今でも「ブルーヘブン」は河本純子さんを代表する品種のひとつです。

 

「ブルーヘブン」は、河本純子さんをモデルにした映画「ブルーヘブンを君に」(2021年公開)で、再注目されている品種です。

 

「ブルーヘブン」は、中輪房咲き・四季咲き・木立性のフロリバンダ系統のバラ。夏花は白に近い花色になります。香りは微香。「バラの家」のスコアは、「樹勢/とても弱い」「耐病性/普通」「耐陰性/とても弱い」「耐寒性/とても弱い」「耐暑性/普通」です。鉢で大切に栽培したい品種です。

 

今回育てる「ブルーヘブン」の環境DATA

和歌山県の北西向きの庭で、鉢の向きは南東向き。(真夏はよく日が差すが、冬は自宅の陰になるので午前中に2時間・午後に1時間だけと季節により差があります)。

今年の1月に届いた大苗

今年の目標/切り花でどっさり生けられるように咲かせたい。でも、今年は苗を育てる1年になるかな?

育てる人/ORCA

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

2月11日の「ブルーヘブン」/冬の植え替え後・剪定手直し

▲樹高は約20cm 写真提供/ORCA

ルーヘブンはなかなか販売がなく、探しに探してようやく見つけた大苗です。すでに冬剪定された状態で今年の1月に届きました。届いてすぐに8号鉢に植え替えてあります。(ブルーヘブンはフロリバンダ系統のバラなので、ネームタグの略記号はFまたはFlです。あとで書き換えておきます)。

 

比較に置いたレンガの高さが1個21cmなので、現在の樹高は20cmほどです。

 

植え込み用土はバラの培養土を使いました。いろいろなメーカーのものを購入したのでどれを使ったかハッキリしませんが、おそらく「花の土屋さんカネア バラ専用土No1」(完熟国内産馬ふん配合の土)だと思います。土の上にバーク片を敷いています。

 

▲まっすぐ立ち上がる樹形 写真提供/ORCA

 

2月に入って芽吹いてきたので、剪定手直しします。なるべく状態の良い幹を残したかったので細い枝は付け根で切り落とし、枝先が内芽になっているものは外芽のところまで切り戻しました。

 

2月27日の「ブルーヘブン」/追肥(芽出し肥)

▲樹高計で計測すると高さは22cm 写真提供/ORCA

高計を作りました。鉢土の高さが20cmなので、そこから上がバラの樹高になります。前回は樹高約20cmと書きましたが、正確には22cmあるようです。

 

▲まだ小さい赤い点が見えるていど 写真提供/ORCA

 

一緒に育てているミニバラはどんどん新芽が大きくなっているのに、ブルーヘブンはほとんど変化なし。ま、よーく見るとちっちゃな赤い点がありますが^^

 

芽出し肥として「ばら専用ぼかし肥料」(ザ・ローズショップオリジナル)を鉢の四隅に少しずつ(大さじ1杯くらいずつ)埋めました。

 

3月19日の「ブルーヘブン」/若葉広がる

▲まるでミニバラのような小さな若葉 写真提供/ORCA

ルーヘブンに小さな、まるでミニバラのような若葉が広がってきました。ほかのバラに比べて生長がとても遅いです。一番日当たりの良い場所に常に移動して、雨にも当てていないんですけどね。

 

▲今年は木の育成優先 写真提供/ORCA

 

あまりに芽も若葉も小さいので、内芽切りもせず、ぜんぶ伸ばしています。今年は木の育成に励みたいです。

 

去年の秋から敷いていたマルチングチップを外し、モリムラマンネングサをチマチマ挿しました。

 

4月3日の「ブルーヘブン」/新芽が伸びる・ベニカXガード散布

▲新芽が伸びて樹高32cmに 写真提供/ORCA

変わらずほかのバラに比べて生長が遅いんですが、ようやく新芽が伸び、樹高が32cmになりました。

 

▲若葉は目立つオレンジ色 写真提供/ORCA

 

ブルーヘブンの若葉ってオレンジ色なんです! オレンジ色から明るい黄緑色になり、それから緑色に変化します。小さいサイズの7枚葉です。

 

害虫が心配になってくる時期なので、少し前の3月下旬に「ベニカXガード」(住友化学園芸)を株元に散布しました。

 

4月10日の「ブルーヘブン」/発蕾・芽かき・葉の整理

▲芽かきと葉摘みで風通し良く 写真提供/ORCA

芽が伸び、葉も増えてきたので、昨日、芽かきと混み合った葉の整理をしました。

 

▲枝先に待望の蕾 写真提供/ORCA

 

枝先に、なんとも小っさい蕾を見つけました。え? これで本当に咲く? ってくらい小さいです。

 

4月17日の「ブルーヘブン」/ウドンコ病が発生

▲樹高も伸びて蕾も大きく 写真提供/ORCA

ルーヘブンは、ゆっくりながらも生長しています。樹高は40cmになり、蕾も大きくなってきました。

 

▲ウドンコ病発生!

 

少しウドンコ病が出ているので、撮影の後、病葉と小さい蕾を摘み取りました。今年は1枝に1輪と思っていましたが、この春は1輪だけにしようと思い、ほかの蕾はカットしました。

 

てっきり湿度が高いからウドンコ病になると思い、雨の当たらないところに置いていたんですが、逆だったようです。ウドンコ病は雨の当たらない環境で出るらしいので、これから雨に当てて管理します。

 

4月30日の「ブルーヘブン」/蕾ふくらむ

▲蕾ふっくら 写真提供/ORCA

高が52cmまで伸び、蕾がふっくらしてきました。ウドンコ病で傷んでいる葉っぱを取り除いたのでスカスカしています。

 

▲今年の1番花はこれ一輪だけ 写真提供/ORCA

 

ガクが下りて、そろそろ咲きそうです。上手く開花するかな? 花びらの色は──よく見ればうっすら青いという感じ。

 

5月5日・6日の「ブルーヘブン」/開花

▲茶色い花びらがくっついている 写真提供/ORCA

5月5日の早朝、なかなか開かないブルーヘブンに、まさかの茶色いシミを発見しました! 花びら同士がくっついたようになっているので、これをそーっとはがしていきます。

 

▲茶色い花びらをはがし終えたところ 写真提供/ORCA

 

茶色くなった花びらを8枚はがし取りました。これで開花も進むでしょう。

 

▲うっすら青っぽい花色 写真提供/ORCA

 

翌日の5月6日の状態です。自然な感じで開花しました。花径は7cm。香りはブルー系の微香です。

 

この春は、残念ながら花瓶に生けられるほどの花ができませんでした。青系バラで、ドカンと大きな花瓶に生けられるのは、再来年くらいでしようね。

 

追記

1番花をカットした後、「ばら専用ぼかし肥料」(ザ・ローズショップオリジナル)で、お礼肥えをしました。

 

5月27日の「ブルーヘブン」/2番花の蕾ふくらむ

▲ウドンコ病が治まり、葉が増えてきた 写真提供/ORCA

年の1番花は1輪だけ咲かせ、それ以外の蕾は4月17日ごろにカットしています。それから約40日。カットした枝から短く伸びた先に2番花の蕾がつき、ふくらんできました。

 

ウドンコ病も治まり、葉っぱが増えてきています。

 

▲2番花の蕾は4輪 写真提供/ORCA

 

2番花の蕾は4輪。1番花はうまく開花できなかったので、今度はキレイに咲いてほしいです。雨で花びらが傷まないよう、屋根のある場所に移動しました。これからの季節は日差しもきついので、ちょうどいいかも知れません。

 

病気と害虫対策に「ベニカXガード」(住友化学園芸)を株元に散布してあります。

 

6月2日・4日の「ブルーヘブン」/2番花が開花

▲2番花の開花始まる! 写真提供/ORCA

ず6月2日のレポートから。ブルーヘブンの2番花がいよいよ開花してきました。

 

▲咲き始めは整った高芯咲き 写真提供/ORCA

 

咲き始めは巻きのゆるい高芯咲きで、整った花形です。影の差した部分に青みを感じる白花といった花色。

 

▲花色も香りも微かな「ブルーヘブン」 写真提供/ORCA

 

2日後の6月4日には大きく開花。全開して中心に黄色い雄蕊が見えてきました。花びらの先が両側に反り返る剣弁咲きです。

 

花径は全開して7cm。香りはブルー系の微香。鼻を近づければわかるていどの微かな香りです。株のため、明日には切り戻します。

 

▲屋根のあるところに花台を組んで管理 写真提供/ORCA

 

1番花が雨で上手く咲かなかったので、今回は屋根のあるミニドッグランに移して咲かせました。ワンコが当たっても大丈夫なようにプラス黒星病予防にレンガを組んだ花台に載せて管理しています。

 

左から「ブルーグラビティ」「ブルーヘブン」「ラピスヴェール」。「ブルーヘブン」の株の小ささがよく分かります。

 

葉になんだか分からない虫食い穴が開いているので、とりあえず「スミチオン乳剤」(住友化学園芸)を、バラだけでなくほかの植物も一緒に散布しました。

 

追記

▲キレイな青に咲いた「ブルーヘブン」 写真提供/ORCA

 

我が家には「ブルーヘブン」が2鉢あって、こちらはもう1鉢の花です。「よーく見れば青」じゃなくて「青や~ん!!」って感激しました。

 

蕾が出るまではお日様ガンガンで、蕾から半日陰がいいのかも。このところずっと曇りか雨だったので、それが良かったような、そんな気がしています。

 

▲青バラの花色比べ 写真提供/ORCA

 

ほかの青バラと一緒に。右下が「オンディーナ」、左下が「ブルーヘブン」、上が青竜です。花色が少しずつ違っていて、青竜が一番赤みがなく水色に近い花色です。

 

>>次のページでは「3番花の蕾をピンチ」から紹介しています。