剪定バサミはロザリアンの必需品ですが──ちゃんとお手入れできていますか? 今回は、剪定バサミの手入れの仕方を紹介します。
剪定バサミの黒汚れは樹液がこびりついたヤニ!
▲剪定バサミにこびりつく黒い汚れはヤニ!
剪定バサミを使っていると、刃に黒い汚れがついてきます。これは樹液が固まった、俗に「ヤニ」と呼ばれる汚れです。
松ヤニなんかを思い浮かべると分かるのですが、樹液のヤニはベトベトしていて、固まるとかたくなります。ヤニを放置すると、やがて剪定バサミの切れ味が悪くなりますが、固くなったヤニが刃と刃の間に隙間を作るので、切れなくなってしまうのです。
また、剪定バサミを使っているうちに刃先が摩耗して丸くなります。これも切れ味が悪くなる原因です。
ということで。
1、ヤニを落とす
2、刃先を研ぐ
3、滑らかに動くように潤滑剤を塗る
の、3ステップで剪定バサミを手入れしていきます。
今回は、①熱湯+専用砥石で手入れする方法 ②ホームセンターの便利グッズを利用する方法 ③手軽にできる日常の手入れ の、3タイプの手入れ方法を紹介します。
熱湯+専用砥石で手入れする方法
応援レポーターのORCAです。長く使っている剪定バサミと芽切りが汚れてきたので、手入れをしていきます。お湯と専用砥石を使う簡単な方法を紹介します。
▲ヤニ汚れで切れ味が落ちてきた剪定バサミと芽切り 写真提供/ORCA
今回は、剪定バサミ(左)1本と、芽切り2本を研いでいきます。
芽切りはどちらも園芸バサミの専門メーカー岡恒(おかつね)の商品です。岡恒の園芸バサミは赤と白の持ち手が特徴で、ホームセンターでも広く扱っています。切れ味が良く耐久性もあり、バネなどのパーツも販売しているので、植木職人にも愛用されているハサミです。
▲ハンディサイズの剪定バサミ専用砥石 写真提供/ORCA
岡恒の園芸バサミはボルトとナットを外せば分解できますが、組み立てるときの調整が難しいので、一般の方は分解しないようにとメーカーからアドバイスされています。そのため、分解せずに研ぐための剪定バサミ専用砥石が販売されています。これを使って研いでいきます。
1、剪定バサミの金属部分を熱湯に浸け、ヤニを落とす
▲マグカップに入れた熱湯に剪定バサミを浸ける 写真提供/ORCA
まず剪定バサミの金属部分を熱湯に20~30分浸してヤニを落とします。すぐにヤニが落ちる専用クリーナーもありますが、熱湯で十分。少し時間がかかりますけどね。
▲20~30分後の残り湯 写真提供/ORCA
20~30分たつと、お湯だけでこんなに汚れが取れています。
2、砥石を水に浸けてから研ぐ
▲砥石は使う前に水に浸ける 写真提供/ORCA
砥石を10~20分、水に浸けておきます。
その後、平面と刃の部分を、力を入れずなでるように研いでいきます。ここでもヤニ汚れが落とせます。
▲刃先は小刃をつけるよう意識して研ぐ
最後に刃先を、イラスト下図のように角度をつけて研ぎ、小刃をつけます。イラスト上図のように小刃がない状態だと欠けやすくなります。
小刃は研ぎすぎたり、角度を薄くしようとしすぎると刃こぼれの原因になるので、小刃つけのときはとくに力まず優しくなでるようにするのがコツです。初心者なら、刃がきれいになっただけでも十分切れ味は変わってきます。
3、防錆・潤滑剤の「クレ556」を吹き付け完了
▲「クレ556」は、防錆効果もある潤滑剤 写真提供/ORCA
刃と、2枚の刃を止めてある回転部分に防錆効果のある潤滑剤「クレ556」(呉工業)を吹き付け、ティッシュペーパーで軽くふき取り作業は完了。これで、切れ味はスパッと元通りです。
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▲送料無料のメール便対応ミニサイズ
岡恒の専用砥石は使いやすい小さいサイズで、少し柔らかいのですぐに減ってしまいます。たくさん研ぎたいときには、追加注文しなければいけないかも。
ホームセンターの便利グッズを利用する方法
次に、ホームセンターや園芸店で手に入る便利グッズを利用する方法を紹介します。
▲ニセ岡恒の剪定バサミとクラフトチョキ
今回は、写真右側のクラフトチョキを手入れします。黒いヤニが、だいぶこびりついています。
▲どれもホームセンターにある便利グッズ
使用する便利グッズは「刃物クリーナー」(アルスコーポレーション)と「万能刃研ぎ」(株サボテン)です。ほかにキッチンにあった包丁用の砥石とボロ布を用意しました。
1、刃物クリーナーでヤニを落とす
▲スプレーしてすぐヤニが浮いてくる
まず「刃物クリーナー」で黒いヤニを落とします。スプレーを吹き付けるとすぐにヤニが溶け出すので、20秒くらい置いてボロ布でふき取ります。
▲20秒でここまで落ちる!
がんこにこびりついているヤニは、放置時間を長く1分くらいしてからふき取ればいいようです。
2、水に浸けた砥石で平面を研ぐ
▲20~30分、水に浸けておく
包丁用の砥石はあらかじめ20~30分、水に浸けておきます。
▲置いたままではなく、手にもって研ぐ
砥石を手に持ち、軽くなでるようにして平面部分を研ぎます。ときどき水につけて汚れを流しながら、粗目→細目の順で砥石を使います。
3、「万能刃研ぎ」で小刃をつける
▲「万能刃研ぎ」は小刃つけに便利
万能刃研ぎの研ぎ部(赤丸の部分)はタングステン(ダイヤモンドに次ぐ硬度)でできていて、このエッジを使って刃先に小刃をつけていきます。
▲小刃つけは、切れ味と耐久性のために重要
イラスト上図のように刃先に小刃がない状態だと刃こぼれしやすく、イラスト下図のように小刃をつけることで耐久性と切れ味が長持ちします。
4、防錆油を塗って完了
▲防錆油か「クレ556」を使って完了
万能刃研ぎの持ち手部分に防錆油が入っているので、これを塗って作業は完了。「クレ556」など、ほかの防錆剤を使ってもOKです。
▲切れ味復活!
薄い新聞紙1枚もスパッと切れるようになりました。
アルス 激落ち刃物クリーナー 100ml GO-1 [ARS 園芸用 剪定ばさみ 高枝ばさみ]
▲100ml、320ml、500mlの3タイプあり
【メール便可】サボテン 超硬万能刃研ぎ NO.6-A 4976365600512 [砥石・ペーパー ナニワ砥石 他]
▲メール便可能な「万能刃研ぎ」
日常の手入れで切れ味キープ
剪定バサミを日常的にこまめに手入れすれば、新品同様の切れ味をキープして使い続けることができます。ここでは日常手入れの方法を2つ紹介します。汚れがこびりつく前に、先手先手でヤニを落としていきましょう!
「刃物クリーナー」+防錆剤の方法
剪定バサミにつくヤニを「刃物クリーナー」で落としてボロ布やティッシュペーパーで拭いてから、防錆剤(「クレ556」など)を吹き付けておきます。
「ピカール」を使う方法
▲液状金属磨き「ピカール」
「ピカール」(日本磨料工業株)は、液状金属磨きです。
▲左の剪定バサミを磨く
「ピカール」は、ちょっとした汚れを落としながら金属を磨くことができます。上の写真左側の剪定バサミ(紅白の持ち手ですが、岡恒の商品ではありません)はあまり汚れていないので、これを「ピカール」で磨いていきます。
▲「ピカール」は研磨剤入りの白い液体
ボロ布に「ピカール」を取り、金属部分を磨きます。
手につくとよくないので、作業のさいには使い捨てのポリエチレン手袋を使いましょう。さらにシンナー臭もきついので、外での作業をオススメします。
▲磨き上がりはかなりキレイに!
汚れが落ちたら最後に乾拭きして作業は完了。ピカピカになりました。
▲ネット購入するならチューブ入りがオススメ。メール便対応。
ピッカピカに磨き上げたいなら「耐水紙ヤスリ」を使って!
▲#2000~3000の細かさの耐水紙ヤスリで磨く
金属がピカピカによみがえるのは、作業していても楽しいものです。もし、新品同様にピッカピカに磨き上げたいなら、耐水紙ヤスリを使いましょう。#2000~3000の細かさの耐水紙ヤスリが適しています。
▲メール便対応の#2000耐水紙ヤスリ
まとめ
今回は、ヤニで黒くなってしまった剪定バサミの手入れのしかたを紹介しました。
ORCAさんの方法は、分解せずに研げる剪定バサミ専用砥石と熱湯だけで切れ味をよみがえらせる方法。さらに、ホームセンターで入手しやすい便利グッズを使った方法も紹介しました。軽い汚れのうちに日常的に手入れする方法なら、ピカピカなまま気持ちよく剪定バサミを使い続けられます。自分に合った方法を試してくださいね^^
作業の際には、くれぐれ手を切らないよう、注意してください!
▼季節ごとのバラの手入れ一覧は、こちらからどうぞ