「国際バラとガーデニングショウ」で毎年発表されるバラの新品種を紹介する名物コーナー「世界のニューローズ」。バラの専門誌「New Roses」編集長の玉置一裕さんが2017秋~2018春の最新バラを紹介してくれます。最新のバラ品種を実際にまとめて見られる機会は、なかなかないので、これは本当に貴重な企画ですね! 「世界のニューローズ・ベスト10」2018年版をお届けします!
玉置一裕さんが選ぶ、2017秋~2018春の最新バラ
毎年「国際バラとガーデニングショウ」を訪れている方にはおなじみの、最新のバラ品種を世界中から集めて見せてくれる「世界のニュー・ローズBest10」の展示。今年も紹介してくれるのは、バラの専門誌「New Roses」編集長の玉置一裕さんです。
今回は、イベント来場者に人気投票してもらい、後日、選ばれた人気のバラBest3を発表するという形式でした。あなたならどのバラに投票するか、考えながらご覧くださいね! では、玉置一裕さんセレクトの新しいバラを順番に紹介します。
ブルー・ムーン・ストーン Blue Moon Stone(河本バラ園)
クリームがかった白緑のつぼみから、花径5cmほどの薄紫色の花を咲かせる「ブルー・ムーン・ストーン」。品種名は、貴石の青みがかったムーンストーンを思わせることから名づけられたのでしょう。この薄紫色が、花により不規則に載るところがとても魅力的なバラです。そして、写真では分かりづらいでしょうか、ロゼット咲きの花の芯にちょっと緑色が覗いているのが。こういう咲き方を「グリーン・アイ」といいます。現代バラでこの花形は珍しいですね。
樹高1.2mほどのブッシュ樹形。房咲き。四季咲き。ブルー系の強香。
アッサンブラージュ Assemblage (京阪園芸F&Gローズ)
白~ごく淡いピンク色のカップ咲きの花びらが開くと、ロゼット咲きになり、写真ではみえませんがこれも中央にグリーンアイが覗きます。オールド・ローズ特有のこういう花形がまた人気になってきているのでしょうね。
樹高1.2mの木立性。花径8cmの1輪咲き。四季咲き。ダマスク香にフルーツをミックスした強香。
ペネロペイア penelopeia (バラの家 ロサ・オリエンティス)
ピンク色をベースにしながらも、花びらの裏がややクリームやアプリコットを含み、花びらの先が淡くなる波状弁のバラ。咲き始めは黄色をより強く感じ、咲き進むと黄色みは消えて紫がかってくるので、花によりさまざまななグラデーションや色合いが感じられます。
樹高は1.6mの直立性シュラブ。花径7cmの房咲き。四季咲き。ティー香とスパイスを含んだダマスク系の強香。
マイディア My Deae (コマツガーデン)
サーモンがかったローズピンクのカップ咲きの花は、咲き進むと中央がいくつもに分かれたロゼット咲きに。弁質が良いので、雨に強いのが特徴。
樹高は0.8mとコンパクトな木立性。花径7cmで、1~数輪の枝咲き。四季咲き。
恋きらら Koikirara (京成バラ園芸)
ふんわりした黄色の、先のとがった丸弁の花びらをカップ咲きにするバラ。淡い陽だまりのような優しい印象がします。フロリバンダ系なので花を房咲きにします。枝にトゲが少ないのが特徴。「恋きらら」というネーミングがすごくいいですね!
樹高は0.7~1mのコンパクトな木立性。鉢植え向き。微香~中香。
ベルデセゴサ Belle de Segosa (ドミニク・マサド)
表が赤紫色、裏が白のはっきりとしたバイカラーの花びらで、ゆるく波打つカップ咲きのバラです。上の写真はイベントの初日のため開ききっていませんが、満開になるとその艶やかさがさらに際立ちます。
樹高は1.2mのコンパクトなシュラブ樹形。花径8cmの花で、1~数輪の枝咲き。フルーティーな強香。
ザ ミル オン ザ フロス THE MILL ON THE FLOSS(イギリス/オースチン)
このバラ! 会場ではちょっと損をしていましたね! 今カタログを見返してみて、すごく素敵なバラなんだと再認識。淡いピンク色の花びらを細い濃ピンクの縁取りがあるのが分かるでしょうか? カタログによるとほんとうは、地色はもっと白に近いピンクで、覆輪はもっと紅色なんです。しかも写真のバラは浅いカップ咲きですが、じつはころんと丸くなるディープカップ咲き。シャクヤクを思わせる豪華で魅力的なイングリッシュ・ローズです。
樹高1.4mのよく茂るシュラブ。房咲き。甘くフルーティーな香り。
フラマン ローズ Flamant Rose (フランス/デルバール)
中央にオレンジ色を感じさせる赤ピンクのバラです。写真ではかなり咲き進んでポンポン咲きのようになっていますが、本来はロゼット咲き。花名は、「フラミンゴ色のバラ」の意味。樹高は1.8mと枝先の長いシュラブなので、トレリスやアーチに誘引できます。トゲが少なく扱いやすい。
花径8~10cmの大輪花。四季咲き。強香。
フロキシー ベビー Phloxy Baby (フランス/メイアン)
フランスの名門ナーセリー・メイアンの新品種が、驚きの、野ばらのように素朴な印象のバラです。0.5~0.7mのコンパクトなシュラブ樹形で、バラというよりは宿根草のような雰囲気です。花径3cmほどのピンク色の一重咲きで、弁底(花びらの付け根)が白くなります。大きな房に咲き、花がらをカットせずにおけば、秋にヒップを楽しむことができます。四季咲き。
ジプシー ソウル Gypsy Soul(ドイツ/コルデス)
濃いローズ赤の大輪花を咲かせるハイブリッド・ティ。剣弁から咲きはじめ、やがてロゼット咲きへ咲き進むようです。渦を巻かないタイプのすっきりとしたロゼットですね。
樹高は1.2~1.5mの半直立性。1輪咲きだが、とても花つきがよい。四季咲き。微香~中香。
来場者に選ばれた人気の新品種バラBest3!
第1位「ベルデセゴサ」(ドミニク・マサド)
ドミニク・マサドさん作出のバラの日本の総代理店は大森プランツです。この結果を受けて、大森プランツに問い合わせが殺到しているそうですが、残念ながらまだ「ベルデセゴサ」の予約も販売も開始されていません。「秋までお待ちくださいませm(__)m」とのことです!
第2位「ペネロペイア」(バラの家 ロサ・オリエンティス)
第3位「恋きらら」(京成バラ園芸)
人気投票の結果は以上のようになりました。皆さまの予想はどうでしたか?
玉置一裕さんのイチオシはコレ!
ちなみに、玉置一裕さんのイチオシは、
日本作出のバラなら河本 バラ園の「ブルー ムーンストーン」、
海外作出のバラならイングリッシュ・ローズの「ザ ミル オン ザ フロス」でした。
まとめ
毎年、いち早く日本と世界からよりすぐりの新しいバラが見られる人気企画「世界のニューローズ・ベスト10」。今年も魅力的なバラが並びました。今回は、来場者参加型で人気ベスト3のバラを決めることになっていました。
わたしは玉置一裕さんと同じく「ブルームーンストーン」と「ザ ミル オン ザ フロス」が気に入りましたが、来場者の人気のバラにはどちらも入っていませんでしたね(^^;
この企画、それぞれ1鉢ずつしか出品されないので、その鉢がどんな色味に咲いていたか、最後まできれいに咲いていたかなどが、人気投票では重要になったと思いますね。ベスト1に選ばれた「ベル デ セゴサ」は、「花が最後までしっかり咲き続けてくれたことが勝因ではないか」と、ドミニク・マサドさんのバラの日本の総代理店・大森プランツでは分析されていました。「ベル デ セゴサ」は、厳しい環境にもよく耐える優秀なバラということの証でもありますね^^
▼昨年2017年の「世界のニュー・ローズ」はどんなだったかな? と、ちょっと振り返ってみませんか?
次回の詳細レポ第5弾は、ローズテラスでの小山内健さんと木村卓功さんの楽しいトークショウのもようと、ローズスタイリスト大野耕生さんがおすすめする新しいバラについて紹介します。
詳細レポ1~3弾をまだご覧になってない方は下記からどうぞ。
▼詳細レポ第1弾「ウエルカム・ガーデンと吉谷桂子さんのアニバーサリー・ガーデン」
▼詳細レポ第2弾「マーク・チャップマンさんのアニバーサリー・ガーデンと石原和幸さんのランドマーク・ガーデン」
▼詳細レポ第3弾「10人のロザリアンによるフラワーベッドとおすすめのバラ」