世界じゅうの美しいバラと、魅力あふれるガーデンを集めてみせてくれる「国際バラとガーニングショウ」。2018年度の国際バラとガーデニングショウは、初回開催から数えてなんと第20回を迎えました。この記念すべき節目のショウを、趣向を凝らしたかずかずの展示で盛り上げ、わたしたち来場者を魅了してくれた国際バラとガーニングショウ2018の詳細レポートをお届けします。第1弾は、ウエルカム・ガーデンと、吉谷桂子さんのアニバーサリー・ガーデンの紹介です。

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まっすぐ入場できるメインゲートがイイネ!

▲カラフルなミニバラの花鉢を壁に並べたメインゲート

力あふれるバラとガーデンを一堂に見せてくれる「国際バラとガーニングショウ」。毎年、バラ咲く5月に開催されるこの祭典は、年を重ねるごとに充実し、なんと2018年には第20回を迎えました。2018年の来場者数は20万人が見込まれているというから、どれだけ多くの方に楽しみにされているかが分かりますね。

 

今年、20回の節目の開催を迎え、主催者側の力の入れようが伝わってくる熱い祭典となりました。

 

まず、メインゲートがすごく良くなりました。これまではメットライフドームの客席の上の方まで坂を上り、さらに客席内の狭い階段を一番下まで降りなければいけませんでした。これが一切なくなり、ドームの外に出店しているマーケットを抜けたら上の写真のような大きなメインゲートがあり、そのまま階段も坂道もなくじかに会場に入ることができるようになっているのです。

 

これなら、車イスの方もすんなり入場できます。じっさい、わたしの前にチケットを購入していた方は、お一人で来場された車イスの方でした! とても良い改善ポイントだと思います!

 

ウエルカムガーデンは南仏プロヴァンスのイメージで

▲ウエルカムガーデンの中心には滝の流れる華やかな花壇が!

インゲートをくぐると現れるのが、今回の20回を記念したピンク色のアニバーサリー・ロゴを中心に、同系色のピンク色のバラを散りばめた滝の流れるガーデンです。

 

目に飛び込んでくる華やかなバラたちに迎えられて、すっかり気分が上がります!

 

▲南仏プロヴァンスをイメージにデザインされたウエルカムガーデン

 

滝の流れるガーデンの両脇には、明るい色の石壁に、バラとハーブなどを配したガーデンが造られています。このウエルカム・ガーデンのコンセプトは「どこか懐かしく、変わらないでいてくれる大切な場所」なんだとか。壁や屋根の素材などディテールにこだわり、ノスタルジックな雰囲気を大切に設計されています。

 

バラは明るい壁面に似合う濃い赤色。アンクルウォルター、シンパシー、デトロイターといった品種が主役に選ばれています。迫力ある赤バラと対照的に、こぼれ種で増えるようなナチュラル感の強い宿根草を組み合わせ、どこか南仏プロヴァンスの明るい陽ざしと草いきれを感じさせてくれるガーデンになっています。

 

▲2017年のガーデニングコンテスト大賞作品

 

制作にあたったのは、昨年のガーデニング・コンテストで大賞を受賞した「mement・森+A-TECH DE SIGN」のコラボチーム。上の写真が昨年の大賞を受賞した庭です。覚えている方も多いのでは? いわれてみれば全体の雰囲気に、今回のウエルカム・ガーデンと通じるところがありますね。

 

PICK UP! <コツウォルズのあの石垣・ドライストーン・ウォールが日本で手に入る!>

▲空積み技法で造られた石壁「ドライストーン・ウォール」

エルカムガーデンの石壁をみて「これはっ!?」と、思った方がいたとしたら、もしかしたら「イギリスでもっとも美しい村」といわれるコツウォルズ地方を旅したことがある方かもしれません。

 

コツウォルズのどのお宅の石壁も、畑の仕切り壁も、道路脇のちょっとした壁さえも、この白っぽい明るい茶色の石を積み上げた壁でできていて、そのため、景色ぜんたいがとても明るくナチュラルな雰囲気がするのです。

 

この石壁は、コツウォルズ地方で採れる石灰岩を、接着剤を使わない「空積み」と呼ばれる伝統的な技術で積み上げたもので、「ドライストーン・ウォール」と呼ばれます。

 

ウエルカムガーデンの石壁は、まさにこの「ドライストーン・ウォール」でした!

 

会場に置かれたパンフレットによると、日本には「Dry Stone Walling Association of Japan」(英国伝統石積み協会日本支部)という団体があり、プロの施工者向けに空積みのセミナーを行い、イギリスでの国家認定職能資格を取得する活動を行っているそうです。

 

日本での資格取得者も30名以上いるそうです。下記の公式サイトには、会の活動や有資格者の詳しい紹介が載っているので、興味のある方は覗いてみてはいかがでしょうか? なかなか本格的ですよ!

 

 

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吉谷桂子さんのアニバーサリーガーデンは、圧倒的な花の色合わせがまさに吉谷流!

エルカム・ガーデンの左右には、異なった個性が光る二つのアニバーサリー・ガーデンが造られています。

 

右側が吉谷桂子さんのアニバーサリー・ガーデン、左側がマーク・チャップマンさんのアニバーサリー・ガーデンです。今回は、吉谷桂子さんのアニバーサリー・ガーデンを紹介しましょう。

 

▲構造物を白でまとめて、手前の花が明るくいきいきと見える吉谷桂子さんのアニバーサリー・ガーデン

 

谷桂子さんのアニバーサリー・ガーデンにはやられました! 花のもつ力強い吸引力をこれでもかと見せつけてくれたのが吉谷桂子さんのガーデンでした。

 

ガーデンタイトルは「My Back Ground 1950’s 昭和30年代に生まれて」だそうです。吉谷さんのお父様がバウハウスに影響を受けた建築家さんだったそうで、そのお父様が1946年に描いた「理想の庭」として描かれたスケッチが、今回のアニバーサリー・ガーデンのインスピレーションの源なのだとか。

 

▲黄色と紫、丸い花と穂状の花、対照的な色と形

 

しかし、ここに造られた庭のなんて美しいこと! とにかく花色の組み合わせ、葉物との組み合わせが、まるで虹を切り取って花壇にしたかのように目に鮮やかで美しいのです! 多くの方が感嘆の声を上げ、しげしげと細部までチェックしていました。気持ちはよく分かります^^

 

1枚目の写真は、ボリュームのある大輪のオレンジ色のダリアを主役に、同じ色の小花や、黒に近い黒赤の小花を背景にし、その間を右側から銀灰色の葉もので埋め、左側から黒赤の葉もので埋めています。壁面にも黒赤のつるバラを咲かせています。濃厚な赤を乾いた質感でみせた一角です。

 

2枚目の写真は、丸く咲くレモン・イエローの花(小ぶりなダリアとマリーゴールドかな?)と、穂状の紫のサルビアとの対比が軽やかで美しいですね。

 

▲丸いアリウムと丸いバラ、間を埋める白い穂状の花が爽やかさを運んでくれる

3枚目はアリウムの大きな丸い紫の花がリズミカルに並ぶ楽しい空間に、爽やかさを添える白い花穂と、コロコロ咲く愛らしいバラの一角。穂状の草花をたくさん合わせると、アリウムを使ってもこんなにナチュラルな雰囲気になるんですね!

 

▲輝くばかりにくっきり咲く黄色のユリと、ライムイエローのマリーゴールド

そうかと思えば、目も覚めるような黄色い花のグラデーションのコーナーもありました。マリーゴールドって、派手なオレンジ色のイメージでしたが、ライムイエローやかなり白っぽいふんわりした黄色もあるんですね。上手に組み合わせると、印象がまったく違ってみえます。

 

これだけの花が一斉に咲くのは、自然界ではないことですが、ショウガーデンならではの見ごたえある素晴らしいガーデンですね。これだけ見事に咲いていると、もう細かい説明なんていりません。「うっわ、きれい!」と圧倒されてしまいます。それくらい、迫力あるガーデンでした。

 

▲花の名前がわかるように手書きのネームタグがかけられて

もう一つ、このガーデンで気に入ったのは、植物名が分かるようになっていたことです。国際バラとガーデニングショウに来場しているほとんどの方は、ご自身でもバラを育て、ガーデニングを楽しんでいる方です。

 

「この花ステキ! 自分の庭にも欲しいけれど、なんて名前かしら?」

 

そう思ったときに、植物名が書かれていると助かりますよね。しかも足元にネームプレートが立てられているのではなく、実際の植物にネームタグがかけられていれば、「この花の名前はこれ? それともこっち?」と、悩むこともありません。とてもいいアイデアだと思います。

 

しかもすぐ隣に、それらの花苗が売られているのだから、素晴らしい! わたしは初日に行きましたけれど、もう売り切れ続出なほど、よく売れていました。

 

Pick Up! 星の王子さまミュージアムの庭を吉谷桂子さんが手がける!

 

根にある「星の王子さまミュージアム」は、作者のサン・テグジュペリ生誕100周年を記念して1999年にオープンしました。この庭を吉谷桂子さんが手がけています。

 

ミュージアムにはサン・テグジュペリが好きだった赤いバラを主役にしたローズガーデンがあり、花の時期にはローズフェアが開催されます。

 

ローズフェア2018は5月26日(土)〜7月8日(日)

ただし、6月13日(水)は休園

 

星の王子さまミュージアムは、20世紀初頭のフランスの街並みを再現した建物です。レトロなフランスの街並みを背景に咲くバラを見に箱根に出かけるのもいいですね! 星の王子さまミュージアムやローズフェアの詳細は、下記の公式サイトをご覧ください。

 

 

まとめ

2018年5月18日~23日に開催された第20回国際バラとガーデニングショウの詳細レポート第1弾をお届けしました。

 

今回の展示のなかで、吉谷桂子さんのガーデンは、とても個性的で記憶に残るものでした。これでもか! と、花の力を見せつけるガーデンでした。花の組み合わせ方の分かりやすいヒントがたくさん込められていて、しかもその花がすぐに購入できるようになっている展示のしかたも上手いと思いましたね。

 

花合わせのお手本に、ぜひ写真を参考にしてくださいね!

 

次回はマーク・チャップマンさんのアニバーサリーガーデンと、石原和幸さんのダイナミックなランドマークガーデンをお届けします。

 

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