バラの系統は、品種選びや育て方を考えるうえでの大事なヒントです。ただ、種類が多く、全体像がつかみにくいのも事実。
このページでは、モダンローズの主な系統を整理しながら、それぞれの特徴と詳しい解説ページへ案内しています。
バラの系統とは?初心者向けにやさしく解説
▲バラの系統は3つに分けられる
このページでは、バラの系統を全体像から理解し、それぞれの詳しい解説ページにも進めるようにしています。
▼より初心者向けにさらっと理解したい方はこちらのページをどうぞ
バラと小さなガーデンづくり
バラの系統とは?初心者向けに違いとおすすめをやさしく解説
何万品種もあるといわれるバラは、それぞれの似通った特性から、いくつかのグループに分けられます。そのグループ分けが「系統」です。
その「系統」も大きく3つに分けられます。1、原種の系統 2、オールドローズの系統 3、モダンローズの系統の3つです。
1、原種系統とは?
原種系統は、もともと自生している原種およびその原種を親につくりだされ、原種の特徴を色濃く残している品種をさします。
2、オールドローズの系統とは?
1867年に最初のモダンローズ(完全四季咲き性をもつ木立ちバラ)「ラ・フランス」がフランスで生み出されますが、それ以前のバラを「オールドローズ」と呼んでいます。
オールドローズには、親にした原種バラの特徴により、さまざまな系統のバラがあります。
3、モダンローズの系統とは?
1867年に最初のモダンローズ「ラ・フランス」が生み出されて以降のバラを「モダンローズ」と呼んでいます。モダンローズは、日本語で「現代バラ」とも呼ばれます。
このページでは、代表的なモダンローズの5つの系統 1、ハイブリッド・ティー系統 2、フロリバンダ系統 3、シュラブ系統 4、クライミング系統 5、ミニチュア系統 について紹介します。
▼原種・オールドローズ・モダンローズの違いはこちらの記事をご覧ください
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バラの分類/原種とは? オールド・ローズとは? モダン・ローズとは? それぞれの定義を正しく知ろう!
1、ハイブリッド・ティー系統【HT】の特徴
▲ハイブリッド・ティー系統のバラの樹形イラスト
モダンローズの代表的な系統が「ハイブリッド・ティー系統」です。省略して「HT」と書かれます。
ハイブリッド・ティー系統のバラの性質は次の5つ。
1、枝先に1輪の大きな花を咲かせる
2、花の大きさは10cmを越える大輪・巨大輪の花
3、上向きに花を咲かせる
4、1年に何度も花を咲かせる四季咲き性がある
5、木の大きさは1mちょっとで、しっかり自立することができる木立ち樹形
ハイブリッド・ティー系統のバラ2品種
▲ハイブリッド・ティー系統(HT)のバラ「イブピアッチェ」
このバラは「イブピアッチェ」という品種のバラです。木の大きさは1mちょっとで、枝先に1輪の大きな花を咲かせています。
この花の大きさは10~14cm。とても豪華な花で、1輪咲くだけで圧倒される存在感があります。四季咲き性質があり、年に何度も花を咲かせます。
▲ハイブリッドティー系統(HT)のバラ「ピース」
20世紀を代表するバラといわれる「ピース」もハイブリッド・ティー系統を代表する品種です。
ときに花径15cmに迫る巨大な1輪の花を枝先に咲かせ、年に何度も咲く四季咲き性をもち、木の大きさは1mちょっとで、自立できます。つまり「イブ・ピアッチェ」と同じ性質をもちます。
ハイブリッド・ティー系統のバラは20世紀に流行したバラで、いかに立派で豪華な花がつくりだせるか──当時の育種家たちは、そこに情熱をかけていました。
花の豪華さを競うため、香りや育てやすさはあまり問題にされませんでした。ハイブリッド・ティー系統のバラには育てにくい品種やほとんど香りのない品種が多くあるのは、そのためです。
一般の人が庭で咲かせるというよりも、コンテスト向きのバラという一面が強いです。このため「バラは難しい」とイメージされる原因にもなっています。
▼ハイブリッド・ティー系統についてより詳しくは、こちらをご覧ください
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バラの系統/ハイブリッド・ティー系統【HT】
2、フロリバンダ系統【F】の特徴
▲フロリバンダ系統のバラの樹形イラスト
フロリバンダ系統のバラは、木の形はハイブリッド・ティー系統とよく似ていますが、花の付き方が違います。フロリバンダ系統は省略して「F」と書かれます。「FL」という表記も見かけます。
フロリバンダ系統のバラの性質は次の5つ。
1、枝先にいくつかの花を房のように咲かせる
2、花の大きさは5~10cmほどの中輪の花
3、上向きに花を咲かせる
4、1年に何度も咲く四季咲き性がある
5、木の大きさは1m前後で、しっかり自立することができる木立ち樹形
フロリバンダ系統のバラ2品種
▲フロリバンダ系統のバラ「ブライダル・ファンタジー」
フロリバンダ系統のバラの大きな特徴が、中輪の花を枝先にいくつも房のように咲かせることです。上の写真の一番上の方の枝が分かりやすいと思います。
「フロリバンダ」とは、ラテン語で「花束」を意味します。ひとつの枝に花束のように咲くことから命名されました。
花一輪の豪華さではハイブリッド・ティー系統のバラにかないませんが、フロリバンダ系統のバラは花の多さが自慢です。
たとえ1輪散っても、次つぎ咲く花で、いつもバラが咲いている状態を長くキープできるので、花壇向けの品種として人気があります。
▲フロリバンダ系統のバラ「ノックアウト」
ハイブリッド・ティー系統のバラがコンテスト向きのバラとして発展してきたのに対して、フロリバンダ系統のバラは庭バラ(ガーデンローズ)として発展しました。
公園や一般家庭の庭であまり手をかけずに栽培されることを念頭に、育てやすい品種がたくさんつくりだされました。
育ち方は、品種により大きなバラつきがなく素直なものが多く、初心者がバラの育て方を学ぶには、ぴったりなバラの系統です。
▼フロリバンダ系統についてより詳しくは、こちらをご覧ください
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バラの系統/ポリアンサ系統【Pol】とフロリバンダ系統【F】
3、シュラブ系統【S】の特徴
▲シュラブ系統のバラの樹形イラスト
ハイブリッド・ティー系統とフロリバンダ系統は「木立ち樹形」といって、枝があまり長く伸びないので、フェンスや支柱がなくても自立できる樹形です。一方、シュラブ系統のバラは、つるバラほどではないけれど、木立ち樹形よりも枝先が長く伸びるバラです。
枝の長さ1.5mていどまでの品種なら、枝先が自然にしなる大きな茂み状に育ちます。ちょうど、上のイラストのような形です。こういうタイプの樹形を「シュラブ樹形」といいます。
つまりシュラブ系統のバラは、木立ち樹形のバラとつるバラの間のような樹形(シュラブ樹形)をもちます。シュラブ系統のバラは、日本語で「半つる性」と呼ばれます。
シュラブ系統のバラは、省略して「S」と表記されます。
シュラブ系統のバラの性質は次の5つ。
1、木立ち樹形とつる樹形の間の樹形(シュラブ樹形)をしている
2、横向きに花を咲かせる
3、花の大きさは小さいものから大きなものまで、さまざま
4、年に何度も咲く四季咲きに近い品種や、1度しか咲かない品種もあり、さまざま
5、木の大きさは小さいものから大きいものまで、さまざま
シュラブ系統のバラ2品種
▲シュラブ系統のバラ「レッド・レオナルドダビンチ」
シュラブ系統のバラは、小さなものから大きなものまでさまざまなタイプがあります。上の写真の「レッド・レオナルドダビンチ」は、木の大きさが1.2~1.5mほどで、シュラブ系統としてはコンパクトなバラです。
10号ていどの大きな鉢なら育てられますが、木の形がこんもりと横広がりに育つので、木立ち樹形のバラよりも広い場所が必要です。
シュラブ系統のバラは、横向きに花を咲かせる品種が多いので、見下ろすしかできない狭い場所では、その良さを感じることができません。広い庭に植えた方が映えます。
▲シュラブ系統のバラ「グラハムトーマス」
大型のシュラブ系統のバラは、枝先が長すぎて自立することができません。たとえば上の写真の「グラハムトーマス」は2mくらい伸びます。大型のシュラブ系統のバラは、フェンスや壁などに留めつけて育てます。
シュラブ系統は、モダンローズのなかでは新しい系統です。1961年にイギリスの育種家デビッド・オースチン(初代)が作出した「コンスタンス・スプライ」というバラが、シュラブ系統の最初の品種です。
このバラは、オールドローズの愛らしく多様な咲き方と香りをもちながら、モダンローズのように四季咲き性があるバラを目標につくりだされました。(ただし、実際には、ほぼ春だけの1季咲きでした)。
「コンスタンス・スプライ」以降、爆発的に発展したのがシュラブ系統のバラです。
育てやすい品種が多く、優しい花形と豊かな香り、剪定で短く切って木立ち樹形のように育てたり、枝先を伸ばしてつるバラのように育てられる自由さから、とても人気があります。
その一方、品種により性質がさまざまなので初心者には分かりにくく、バラ育てに少し慣れてから取り組みたい系統のバラです。
▼シュラブ系統についてより詳しくは、こちらをご覧ください
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バラの系統/シュラブ系統【S】
4、クライミング系統【Cl】の特徴
▲クライミング系統のバラの樹形イラスト
クライミング系統は、枝先が2m以上になるつるバラの系統です。枝が長すぎるので自立することができず、壁やフェンス、アーチなどに留めつけて育てます。
厳密にはつるバラにもいくつかの系統がありますが、通常「つるバラ」といえば、それは「クライミング系統」のバラをさします。
クライミング系統は省略して「Cl」と表記されます。
クライミング系統の特徴は以下の4つ。
1、枝が長く、2m以上まで伸びる
2、ほぼ春だけの1季咲き
3、花の大きさは大きなものから小さいものまでさまざま
4、ハイブリッド・ティータイプのクライミング系統は大きな花を1輪咲かせ、フロリバンダタイプのクライミング系統は中輪の花を房状に咲かせる
クライミング系統のバラ2品種
▲クライミング系統のバラ「ピエールドゥロンサール」
世界一愛されているバラとして名高い「ピエールドゥロンサール」は、一般にクライミング系統のバラとされます。
大輪の花が下向きに咲くので、長い枝先を生かして高い場所に咲かせ、壁面や窓のまわりを優しく彩ります。
▲クライミング系統のバラ「アンジェラ」
抜群の花つきで知られる「アンジェラ」も、クライミング系統のバラです。つるバラは花1輪を楽しむというより、バラ咲く景色をつくりだすガーデン素材です。
つるバラは強健な性質の品種が多く、育て方じたいはそれほど難しくありません。しかし、品種それぞれの特性を知り、どうガーデンに生かすかが腕の見せどころ。知識と経験、さらにデザインセンスが求められるのが、つるバラの難しくも楽しいところです。
ややこしくなるので詳しくは書きませんが、じつは「ピエールドゥロンサール」も「アンジェラ」も、クライミング系統以外の系統として紹介される場合があります。系統は絶対的なものではなく、バラの専門家の考え方次第で捉え方が違うということだけ、頭の片隅に置いておいてください。
▼クライミング系統についてより詳しくは、こちらをご覧ください
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バラの系統/クライミング系統【Cl】
5、ミニチュア系統【Min】の特徴
▲ミニチュア系統の樹形イラスト
花も葉も小さい「ロサキネンシス’ミニマ’」と、他の系統のバラが交雑することで生まれたグループが「ミニチュア系統」です。一般に「ミニバラ」と呼ばれ、省略して「Min」と表記されます。
「ロサキネンシス’ミニマ’」の性質が強く出れば、花も葉も木の大きさも小さいバラになります。しかし他の系統の性質が強く出れば、花の大きさが10cmを越えるケースもあれば、枝先が長く2mを越えるつるバラタイプの「ミニチュア系統」の品種もあります。
花も葉も木も小さいものだけをさすわけではないので、意外と誤解されることが多いのが「ミニチュア系統」のバラです。
▲ミニチュア系統の親「ロサ・キネンシス’ミニマ’」
ミニチュア系統の親「ロサ・キネンシス’ミニマ’」は、木の大きさが25~50cm、花の大きさが3cmほど。ピンクの花をこんもりたくさん咲かせる矮性品種です。
ミニチュア系統のバラ2品種
▲ミニチュア系統のバラ「レディメイアンディナ」
レディメイアンディナは花径5cmと、ミニチュア系統のバラのなかでは大きな花を咲かせます。
ミニチュア系統のバラは、コンパクトな樹形にたくさんの花を咲かせて美しいのですが、地面から近いので病気や害虫被害に遭いやすく、手入れが難しいところがあります。
そのため、バラ園泣かせのバラという一面があります。
▲ミニチュア系統のつるバラ「つるスタリナ」
木立ち性のミニバラ「スタリナ」が突然変異でつる性になったのが「つるスタリナ」です。枝の長さは2mを越えますが、これもミニチュア系統のバラです。
▼ミニチュア系統についてより詳しくは、こちらをご覧ください
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バラの系統/ミニチュア系統【Min】とミニ・フローラ系統【MinFl】
まとめ
今回は、バラの系統について紹介しました。バラの系統は大きく3つに分けられます。原種系統、オールドローズの系統、モダンローズの系統です。
なかでもモダンローズの代表的な5つの系統「ハイブリッド・ティー系統」「フロリバンダ系統」「シュラブ系統」「クライミング系統」「ミニチュア系統」について、詳しく紹介しました。
それぞれの系統は、似た性質をもつバラのグループです。同じグループに属しているバラは、あるていど似たような育て方ができます。
系統が分かると、一段階バラへの理解が深まり、育て方の違いも整理して分かるようになります。系統をさらにさかのぼると、育種の歴史や原種にまでたどり着きます。バラの世界は広く深い。興味のある方は、それぞれのページでさらに詳しく知ることができます。
さらに詳しく知りたい方はこちらをどうぞ
▼原種・オールドローズ・モダンローズの違いが分かる記事
バラと小さなガーデンづくり
バラの分類/原種とは? オールド・ローズとは? モダン・ローズとは? それぞれの定義を正しく知ろう!
▼モダンローズについて
バラと小さなガーデンづくり
バラの下位分類/モダン・ローズの特徴と主な系統を紹介!
▼オールドローズについて
バラと小さなガーデンづくり
バラの下位分類/オールド・ローズの特徴と主な系統をご紹介!
▼モダンローズの5つの系統について│系統ごとの違いを深く知る
バラと小さなガーデンづくり
バラの系統/ハイブリッド・ティー系統【HT】
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バラの系統/ポリアンサ系統【Pol】とフロリバンダ系統【F】
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バラの系統/シュラブ系統【S】
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バラの系統/クライミング系統【Cl】
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バラの系統/ミニチュア系統【Min】とミニ・フローラ系統【MinFl】






















