戦後の名首相・吉田茂はこよなくバラを愛する人でした。旧吉田茂邸には、規模は小さいながら美しいバラ園があります。旧吉田茂邸の邸内、美しい和風庭園とともに、大磯にバラを観に出かけませんか?

旧吉田茂邸(大磯郷土資料館別館)

▲焼失後、再建された旧吉田邸母屋

和21年(1946年)から5期にわたり内閣総理大臣を務めた吉田茂が晩年を過ごした邸宅が旧吉田茂邸です。平成21年(2009年)に火事により母屋が全焼しましたが、地元の大磯町や神奈川県によりほぼ当時のままに復元され、2017年から一般公開されています。

 

戦後のサンフランシスコ講和条約や、日米安全保障条約の締結を行うなど、戦後の復興を支えた政治家・吉田茂は1945年から1967年に亡くなるまでの晩年をここで過ごしました。吉田茂は自宅から見える富士の景色をこよなく愛したといいます。

 

▲昭和29年建築の兜門(国登録有形文化財)

 

旧吉田茂邸の内門にあたる兜門は、軒先の真ん中が曲線状にくぼんでいるので屋根が兜のように見えることからこう呼ばれます。上の写真では、奥側の屋根がくぼんでいるのが分かります。

 

この門はサンフランシスコ講和条約締結を記念して建てられたことから、別名「講和条約門」と呼ばれています。兜門をくぐると心字池を中心とした和風庭園が広がります。

 

▲昭和38年建築のサンルーム(国登録有形文化財)

 

兜門から左手の方になだらかな丘になった庭園の一番高いところに母屋があり、母屋から左側にサンルームが続きます。このサンルームは焼失を免れたので、吉田茂が暮らしていた当時のままの姿です。兜門とサンルーム、さらに庭にある七賢堂は、国登録有形文化財に指定されています。

 

旧吉田茂邸地区では、土日祝日に10:00~15:00の間、大磯ガイド協会による有料(1人100円)の庭園ガイド(所要時間約45分)を行っています。

 

旧吉田茂邸バラ園

▲駐車場を取り囲む大輪のバラ

田茂は人一倍バラを愛する人で、多忙な中でも日本ばら会の会長を務めていたほどでした。かつてここには和風庭園と同じくらいの広さのバラ園があり、千を越えるバラが咲き誇っていたといいます。

 

昭和54年のカーター大統領と大平首相の日米会談の際に旧吉田邸が使われることになり、かつてバラ園だったところは駐車場に改修されます。そして残念なことに、バラ園の面積は大幅に縮小されてしまいます。

 

今も駐車場を取り囲んで、色鮮やかなバラがたくさん咲きます。ここに吉田茂が愛したバラ園があったことをほうふつとさせる景色です。バラの開花シーズンには、この駐車場だけでも楽しめるほどです。

 

▲バラ園入り口のパーゴラ

 

その後に公園整備され、現在は駐車場に隣接する場所(当時のバラ園の一角)にこじんまりとしたバラ園がつくられました。

 

▲吉田茂が好んだ大輪バラを中心に植栽

 

吉田茂はとくに大輪のバラを好んだそうで、このバラ園のバラも大輪品種がほとんどです。

 

どうやら当時植えられていた品種の詳細は残っていないらしく、年代的に吉田茂存命時と重なるころに作出された大輪品種が選んで植えられています。

 

▲小さいながら充実したバラ園

 

つるバラなら「スパニッシュビューティー」「コンラート フェルディナント マイヤー」、木立ちバラなら「クイーンエリザベス」「ジョンFケネディ」など。

 

なかには第二次世界大戦の終戦を祝い平和を願って命名され、サンフランシスコ講和条約の参加者の部屋に届けられたという「ピース」も植えられています。

 

旧吉田茂邸バラ園は、小さいながらもしっかり手入れされたとても美しいバラ園です。

 

▼「ピース」について詳しくは、こちらをどうぞ

 

▲吉田茂邸バラ園から全国に広がった「プリンセスミチコ」

 

皇太子妃だった頃の美智子さまに捧げられたバラ「プリンセスミチコ」は、旧吉田茂邸バラ園で栽培されたのをきっかけに全国に広がったといわれています。かつてのバラ園に「プリンセスミチコ」が植えられていたことだけは確かなようです。

 

バラの見頃は5月初旬~6月初旬

▲旧吉田茂邸のバラ園入り口

吉田茂邸バラ園のバラの見頃は、

 

春は5月初旬~6月初旬

秋は10月初旬~11月初旬

 

バラ祭りなどのイベントは開催されませんが、色鮮やかな大輪バラが咲き揃う様子は、それは見事ですよ!

 

旧吉田茂邸は「県立大磯城山公園」の一角

▲国道1号線を挟んだ右側に旧三井別邸地区

吉田茂邸は、「県立大磯城山公園」の一角です。「県立大磯城山公園」は、旧吉田茂邸地区と、一号線を挟んだ反対側にある旧三井別邸地区からなります。旧三井別邸地区には、相模湾が見晴らせる展望台や大磯町郷土資料館、茶室「城山庵」などが点在します。

 

管理休憩棟

▲管理休憩棟の休憩スペースでは飲食可能

ラ園の奥、兜門の右側に管理休憩棟があり、トイレ(多目的トイレあり)や休憩スペースもこの建物内にあります。休憩スペースでは、お弁当などの飲食ができます。

 

庭園内のあるていどの散策路がバリアフリー対応になっており、管理休憩棟では車椅子の貸し出しも行っています。

 

訪れた人の口コミは?

5月

旧吉田茂邸は、JR大磯駅から徒歩30分ほどのところにあります。

 

訪れた日は休館日で、旧吉田茂邸内部を観ることはできませんでしたが、バラ園や庭園を観ることができました。ちょうどバラがピークの時期で、色鮮やかな大輪バラが咲き揃い、それはきれいでした。駐車場を取り囲んで咲いているバラと、小さなバラ園、どちらもきちんと手入れされています。

 

芝生を貼った和風庭園も美しく、小高い丘に建つ邸宅の玄関から富士山を眺め、この同じ景色をかつての首相が眺めていたのかと感慨深かったです。

 

次は邸内も観てみたいと思います。

 

1号線を挟んだ反対側にある旧三井別邸地区にも立ち寄りましたが、こちらは急な坂道を登るのでちょっと大変でした。地元の方の犬の散歩にはぴったりですが、旧吉田茂邸のついでに寄るなら、展望台目当てに行くくらいでしょうか。こちらにバラはありません。(あいびー)

 

アクセスと施設の案内

国道1号西湘バイパス「大磯西IC」より3分・小田原厚木道路「大磯IC]より7分

国道1号沿い「城山公園交差点」よりすぐ

 

駐車場

旧吉田茂邸地区/26台分

9:00~17:00(入車は16:45まで)

土日祝日/1時間300円 以降30分毎150円 上限なし

平日/無料

 

電車

JR東海道線「大磯駅」下車

徒歩30分(約2キロ)

 

バス

「二宮駅行」または「湘南大磯住宅行」

「城山公園前」下車徒歩5分

 

開館時間、休館日、観覧料

開館時間

9:00~16:30(入館は16:00まで)

 

休館日

月曜日(祝日または休日にあたる場合は開館し、翌日以降最初の平日が休館)

毎月1日(館内整理日、1日が休館日の場合は翌日以降最初の平日が館内整理日となる)

年末年始(12月29日~1月3日)

 

観覧料

大人/510円

中・高校生/210円

小学生以下/無料

 

旧吉田茂邸住所

神奈川県中郡大磯町西小磯418

 

大磯城山公園 公式サイト

 

*お出かけの際には、必ず公式サイトでご確認ください!

 

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