つるバラは、大きくランブラー系統(R)とクライミング系統(Cl)に分けられます。ここではさらに細かく、ハイブリッド・ティー系統、フロリバンダ系統、さらにラージフラワード・クライマー系統(LCl)、クライミング・ミニチュア(ClMin)の、4種類のクライミング系統を紹介します。
クライミング系統は、モダン・ローズのつるバラ
▲フロリバンダのクライミング系統【ClF】「つるアイスバーグ」のアーチ
クライミング系統はモダン・ローズのつるバラの系統です。
同じつるバラでも、オールド・ローズのランブラー系統と枝の伸び方や硬さに違いがあります。クライミング系統は、ランブラー系統よりも枝が太くて硬く、やや曲げにくい特徴があります。また枝の長さは、ランブラー系統が6mや、長いものでは10mにも達するのに対して、クライミング系統は3m前後までで、ランブラー系統よりも狭い場所でも育てやすいというメリットがあります。
クライミング系統は、アーチ、壁、オベリスク、ポールなどに誘引して、庭に高さを演出するのに役立ちます。枝が硬くて曲げにくいので、低いフェンスなどには向きません。
クライミング系統のつるバラは、多くは春のみの一季咲きです。
クライミング系統は、細かく分けると4種類
クライミング系統は、親となったバラの系統により細かく4種類に分けることができます。それぞれの細かい系統に分けて紹介します。
1、クライミング・ハイブリッド・ティー系統【ClHT】
▲クライミング・ハイブリッド・ティー系統の「つるブラックティ」
ハイブリッド・ティー系統のバラが枝替わりでつる性になったバラが、クライミング・ハイブリッド・ティー系統(ClHT)です。枝が長く伸びる以外、花や葉の特徴は木立性のハイブリッド・ティー系統の品種と同じです。
ただし、四季咲き性は失われ、春のみの一季咲きとなります。
クライミング・ハイブリッド・ティー系統のバラは、地際から短く切り詰めると、もとのブッシュ樹形のバラにもどってしまいやすい性質があります。地際から短く切り詰めることは避け、苗を買うときには長尺苗を選ぶと、ブッシュ樹形にもどってしまう失敗が防げます。
2、クライミング・フロリバンダ系統(ClF)
▲クライミング・フロリバンダ系統の「つるゴールドバニー」
フロリバンダ系統のバラが枝替わりでつる性になったバラが、クライミング・フロリバンダ系統です。枝が長く伸びる以外、花を房咲きにさせる性質や、葉の特徴は木立性のフロリバンダ系統のバラとまったく同じです。
ただし、四季咲き性は失われ、春のみの一季咲きとなります。
地際から短く切り詰めると、もとのフロリバンダ系統にもどってしまいやすいので、短く切り詰めてはいけません。苗を購入するときには、長尺苗を選ぶと失敗がありません。
3、ラージフラワード・クライマー系統【LCl】
▲ラージフラワード・クライマー系統の「つるピエール・ドゥ・ロンサール」
ラージフラワード・クライマー系統(LCl)は、ランブラー系統のつるバラに、ハイブリッド・ティー系統やフロリバンダ系統の品種を交配して作り出されたつるバラです。
「ラージフラワード」とついていますが、花の大きさは大小さまざま。2.5cmほどの小花から12cmほどの大輪まであります。写真の「ピエール・ドゥ・ロンサール」は花径が12cm。「ピエール・ドゥ・ロンサール」は、ラージフラワード・クライマー【LCl】を代表するつるバラです。
ラージフラワード・クライマー系統のつるバラは、短く切り詰めブッシュ樹形のように管理してもよく咲いてくれる性質があります。
4、クライミング・ミニチュア系統【ClMin】
▲クライミング・ミニチュア系統の「つるスタリナ」
木立性のミニチュア系統が、突然変異でつる性になったグループがクライミング・ミニチュア系統(ClMin)です。花も葉も小さいまま、枝先を長いものは2mくらいまで伸ばします。返り咲きの性質が強いものが多いようです。
まとめ
クライミング系統のつるバラを紹介しました。
クライミング系統のつるバラは、細かく分けると「クライミング・ハイブリッド・ティー系統」「クライミング・フロリバンダ系統」「ラージフラワード・クライマー系統」「クライミング・ミニチュア系統」の4種類があります。
どれも枝がやや硬いので家の壁や高い塀などに誘引して、高さを出す演出に向きます。ほぼ一季咲きですが、上手に利用すれば、華やかな庭が作れますよ! ラージフラワード・クライマー系統のつるバラは、冬に50cmほどに切り詰めてもよく咲いてくれますが、それ以外のクライミング系統のバラを短く切り詰めてしまうと、ブッシュ樹形にもどってしまいやすいので、切り詰めないよう注意しましょう!
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[…] バラの系統/クライミング系統 […]
つるバラの事が少し理解出来ました。有り難うございます。
では、つるバラをブッシュに育てたい時は、ハイブリッドティー系は、冬に3分の1近くに太枝を切り詰めれば木立で咲いてくれるでしょうか?
またフロリバンダ系も、シュラブ的に
低めで育ってくれるでしょうか?
宜しく御指導お願い致します。
れもんさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
いやいや「御指導」なんて、できません。
わたしも実際に育てながら勉強中です。
このサイトは、わたしの勉強した備忘録のようなものですから(^^;
つるバラを木立ち樹形で育てたい場合ですが、
じつはわたし自身はやったことがありません。
そのため、実体験としてお伝えするのではなく、
資料で調べたこと+他の方からの聞きかじり+推測となります。
まず、ハイブリッド系つるバラは元の木立ち樹形に戻りやすい品種が多いです。
たとえばつるブルームーンなど、いくつかの品種は簡単に戻ってしまいます。
つるブルームーンを買ったのにつるバラにならないということも、よくあるようです。
ただ、枝ぶりは木立ち樹形のものよりも、ちょっとひょろりとなるようですが。
フロリバンダ系つるバラも、低く管理することは可能です。
実際に、フロリバンダ系つるバラを木立ち樹形に仕立てた例が
そだレポにあります。
そだレポ一覧から「フォースオブジュライ」を選択してご覧ください。
その上でなのですが。
これまで数年、つるバラとして花を咲かせてきた太枝を切り詰めても
うまく木立ち樹形になりません。
やるなら、そだレポのように、最初から木立ち樹形に仕立てた方がいいと思います。
この辺りのことは、バラのプロの方がそう話してられました。
おそらくですが。
新しく出てきたベーサルシュートを順次木立ち管理していけば、
古いつるバラでも、やがて木立ち樹形にできると思います。
ただしこの場合、四季咲きになるとは限りません。
品種によるところが大きいと思われます。
そだレポの「フォースオブジュライ」は、元々つる樹形でも
ほぼ四季咲きに近いバラなので、
木立ち樹形で上手く四季咲きしてくれていますが、
たとえば「ピエールドロンサール」を木立ち樹形に仕立てても
一季咲きのままです。
ご参考になさってください。
あいびー