小輪房咲きのポリアンサ系統と、ポリアンサ系統にハイブリッド・ティー系統を交配して作り出された中輪房咲きのフロリバンダ系統を紹介します。日本原産のノイバラ(ロサ・ムルティフロラ)ゆずりの、花をたくさん咲かせる性質で、公園や庭づくりになくてはならない系統のバラです。

ポリアンサ系統は小輪房咲き

ポリアンサ系統の多花性は日本原産のロサ・ムルティフロラゆずり

ダン・ローズ第一号のバラとして名高い「ラ・フランス」を作りだしたギヨーは、さらに、日本原産のロサ・ムルティフロラ(ノイバラ)(Rosa multiflora)と中国原産のロサ・キネンシス(コウシンバラ)(Rosa chinensis)の矮性種から、1875年にパケレットという多くの小輪の花を房咲きさせる四季咲きのバラを作出しました。このバラの系統はポリアンサ系統と呼ばれます。

 

ポリアンサ系統は耐寒性にすぐれた系統です。

 

その後、ポリアンサ系統にハイブリッド・ティー系統を交配させた、ハイブリッド・ポリアンサ系統のバラも作りだされました。これが、後のフロリバンダ系統につながっていきます。

 

 

フロリバンダ系統は中輪房咲き

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▲フロリバンダ系統の名花アイスバーグ(Rosa ‘Iceberg’)

フロリバンダ系統は、ガーデン・ローズとして重要なバラ

ポリアンサ系統のバラはデンマークの育種家ポールセンにより、ハイブリッド・ティー系の品種と交配され、5~10cmていどの中輪房咲きの四季咲きバラであるフロリバンダ系統を作りだします。

 

フロリバンダとは、花束を意味し、房咲きする性質から名づけられた系統名です。

 

フロリバンダ系統の基本的な樹形は木立性(ブッシュ)ですが、ハイブリッド・ティーに比べるとよく枝分かれするので、こんもりとした茂みを作ります。枝先を2mくらいまで伸ばす品種も多くあり、半つる性のバラのようにフェンスなどに誘引して咲かせることもできます。

 

多くの花を咲かせるフロリバンダ系統のバラは、公園や庭造りに欠かせないバラです。

花の形は一重咲き、半八重咲き、八重咲きと、さまざまです。八重咲きでは、ハイブリッド・ティーゆずりの高芯咲きが多くあります。

 

 

フロリバンダ系統は、突然変異でつる性になることも!

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▲フロリバンダのクライミング系統【ClF】つるアイスバーグ(Rosa ‘Iceberg,Climbing’)のアーチ

ハイブリッド・ティー系統と同じように、フロリバンダ系統の木立性樹形のバラが突然変異でつる性になることがあります。フロリバンダ系統のつるバラは、クライミング・フロリバンダ系統(ClF)と、呼ばれます。

 

▶クライミング・フロリバンダ系統についてはこちらのページをご覧ください。

バラの系統/クライミング系統

 

 

【フロリバンダ系統に多く見られる特徴】

樹形 木立性(ブッシュ) 低いものは1m未満。2mくらいまで伸びるものも多い
花形 多様 一重咲き、半八重咲き、八重咲きでは高芯咲きが多い
花色 多様 多様な花色
花径 中輪 5~10cmの中輪を枝先に房咲きする
花期 四季咲き 返り咲くものが多い
香り 微香 あまり強く香るものは少ない
強健さ 強健 育てやすい

 

まとめ

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枝先にたくさんの花を房咲きするフロリバンダ系統は、庭にさまざまな表情を添えてくれる頼もしいバラよね。

この房咲き性質は、日本原産のロサ・ムルティフロラ(ノイバラ)ゆずり。バラの園芸史にとても重要な役割をもつバラが日本のバラだなんて! それだけで嬉しくなってしまいます。

 

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