15世紀、中世のイングランドで起きたバラ戦争で、ヨーク家が記章として掲げた白バラといわれるのがアルバ系統のバラです。アルバ系統は、オールド・ローズを代表する白バラの系統です。
アルバ系統は、ロサ・アルバを親とする系統
▲古代のアルバ・ローズ(ロサ・アルバ)にもっとも近いとされる「アルバ・セミプレナ」
アルバ系統は、オールド・ローズを代表する白バラ
ロサ・アルバ(Rosa × alba)を親とする系統のバラをアルバ系統と呼びます。もともとのロサ・アルバは現存しませんが、写真の「アルバ・セミプレナ」が、かつてのロサ・アルバにもっとも近い品種といわれています。
「alba」は、ラテン語で「白」を意味します。その名の通り、アルバ系統はほとんどが白バラです。まれに淡いピンク色もあります。アルバ系統のバラは、オールド・ローズを代表する白バラといえます。
アルバ系統のバラを総称して「アルバ・ローズ」と呼んでいます。
花径は6cm前後の小ぶりな中輪咲き。
春のみの一季咲きです。
花の香りは爽やかで、かすかにレモンの香りを含みます。
青みがかった葉が特徴的で美しい
ロサ・アルバは、ダマスク・ローズ(ロサ・ダマスケナ Rosa × damascena)と、ロサ・コリイフォリア・フロエベリー(Rosa coriifolia var. froebelii)の交雑種といわれています。ロサ・コリイフォリア・フロエベリーは青みがかった灰緑色の美しい葉をもち、その特徴がアルバ系統のバラに受け継がれています。この葉が美しいからと庭に植えるガーデナーもいるほどです。
樹形は大型。枝は直立しがちで、あまり柔軟性はありません。枝先は2m以上にまで伸びるので、壁やトレリスに誘引することもできます。
棘はあまりありません。
耐寒性・耐病性・耐陰性の強い品種が多く、育てやすいオールドローズです。
アルバ系統は、オールド・ローズ基本4種のうちのひとつ
オールド・ローズにはさまざまな系統がありますが、ヨーロッパで古くから親しまれてきた代表的な4つの系統を「オールド・ローズの基本4種」と呼んでいます。
アルバ系統
ガリカ系統
ダマスク系統
ケンティフォリア系統とモス系統(モス系統は、ケンティフォリアの変異種です)
の4系統が「オールド・ローズの基本4種」で、アルバ系統はこのうちのひとつです。オールド・ローズの基本4種は、どれも花が美しいばかりでなく、香りもすばらしいのが特徴です。
バラ戦争でヨーク家が記章にしたバラ
▲ヨーク家が記章に用いた白バラ
中世イングランドで勃発したヨーク家とランカスター家の30年に及ぶバラ戦争(1455~1485年)で、ヨーク家の記章にあしらわれたのが白バラでした。その白バラがアルバ系統の祖となったアルバ・ローズだったといわれています。
ちなみに、ランカスター家の記章にあしらわれたのが赤バラ。このため、後にこの戦争に「バラ戦争」という名まえがつけられました。ランカスター家の赤バラは赤バラの祖ガリカ・ローズだったといわれています。
▶ガリカ系統のバラはこちらをご覧ください。
ヴィーナスの誕生にもアルバ・ローズが描かれた
▲ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」
ルネッサンス期のイタリアの画家ボッティチェリの作品「ヴィーナスの誕生」で描かれたのも、アルバ・ローズだったといわれています。
キリスト教では、白百合は聖母マリアを象徴する花とされます。白バラも同じように聖母マリアの象徴とされています。アルバ・ローズの清楚な美しさや高貴さが、聖母マリアやヴィーナスにふさわしいと考えられたのでしょうね。
まとめ
黄色いおしべが目立つ白バラは、清楚で気品があります。香りもすがしく、葉の色も美しく、現代でも人気のある系統のバラですね。
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