2016年9月に岩手県を訪れた天皇・皇后・両陛下が宿泊されたホテルと、ホテル再建に力を添えた小さな花「ハマギク」のエピソードを紹介します。
両陛下が岩手の「三陸花ホテルはまぎく」に宿泊
国体出席のため2016年9月に岩手県を訪れた天皇・皇后・両陛下は、大槌町にある「花ホテルはまぎく」に宿泊されました。じつはこのホテルに宿泊するのは2度目。以前に宿泊されたのは19年前のことです。当時のホテルは今の建物とは別のものでした。
19年前に宿泊された陛下は、ホテルから見える海沿いに咲いている花に興味をもたれ、名前をたずねられたのだとか。それは「ハマギク」という秋に咲く白い花でした。当時のホテルの社長は、花の近くまで陛下を案内したのだそうです。
陛下が東京に帰られて後、社長はハマギクの種を皇居に送りました。
ハマギクの花言葉は「逆境に立ち向かう」
2011年3月11日。東日本大震災の津波により、ホテルは3階まで水に漬かって壊滅します。さらに皇居にハマギクの種を送った当時の社長も亡くなってしまいます。
その年の10月、皇后の誕生日を伝えるニュース映像を見た亡社長の弟は目を見張ります。皇居を散策される皇后の足元にハマギクが群れ咲いていたのです。
「兄の送ったハマギクが皇居で咲いている!」。ハマギクの花言葉は「逆境に立ち向かう」です。皇居に咲くハマギクを見た弟は、ホテルの再建を決意します。
「よくがんばりましたね」
兄も従業員も失った弟は、その映像を励みに必死でホテルを再建し、ホテル名を「三陸花ホテルはまぎく」と名付けました。東日本大震災が起きた後「あのホテルは大丈夫だろうか」と気にかけていらしたという両陛下は、再建されたホテルに宿泊されることに。
玄関まで出迎えた現在の社長(かつての社長の弟)に陛下は「よくがんばりましたね」と声をかけられたのだそうです。そしてホテルで栽培されているハマギクをご覧になり「花びらが大きいですね」、「津波はどの辺まで来ましたか」と訊ねられたのだそうです。
まとめ
兄が贈ったハマギクが皇居で大切にされ、花を咲かせている。その思いが弟を勇気づけたのですね。花言葉は「逆境に立ち向かう」。素晴らしい花言葉です。三陸の浜辺にたくさん、たくさん咲いて、皆を勇気づけてもらいたいです。小さな花の、大きな力を感じました。
しかし皇后の誕生日を報じる映像は、どこで撮ってもよかったはずです。それをハマギクのところで撮影した宮内庁のカメラマンもGOOD JOB! でしたね! 隠れた功労者だと思います。