バラの花が終わったら、どこで切ればいいのでしょうか? 花がら切りは、次の花をキレイに咲かせるための大切な手入れです。この記事では、花がら切りと切り戻し(花後剪定)の違いを整理しながら、タイプ別の切り戻し方法や切るタイミングを分かりやすく解説します。


バラの花が終わったら、花がら切りをしよう!

▲ハラハラ散る「レディエマハミルトン」の咲き終わり

しく咲いていたバラも、いつかは咲き終わります。品種によっては、上の写真のようにボロリと花びらが落ちて咲き終わりが分かりやすいバラもあれば、花びらが茶色く変色してもまだ枝先に残っているバラもあります。

 

▲茶色く変色するまで枝先に残る「グリーンアイス」 写真提供/ORCA

こういうタイプのバラは、いつ切っていいのかちょっと迷ってしまいますね。

 

結論から言うと「いつ切ってもOK!。ただし、汚くなったらカットをオススメします。

 

バラの花はいつ切る?

・テーブルに飾りたいから、ちょっと開いたくらいでカット:問題なし

・8分咲きでカット:バラの世界では、これが「基本」とされます

・茶色く汚くなったらカット:問題なし

・花が枯れても、ずっとつけっぱなし:見た目に悪いし、種づくりに株のエネルギーを消費するので早めカットをオススメ

 

つまり、ずっとつけっぱなしにしなければ、基本はいつ切っても構いません。でも、8分咲きでカットしましょうと言われるのには理由があります。

 

詳しくは、記事の下の方で解説しています。

言葉の整理「花がら切り」と「切り戻し」

花がら切りと切り戻し図

▲花だけを取るのが「花がら切り」枝を切り戻すのが「切り戻し」

ラの世界では、使う人によって言葉づかいが微妙に違っていて、分かりにくいことがよくあります。「花がら切り」や「切り戻し」も整理されずにごちゃごちゃになっている言葉のひとつ。

 

まず、言葉の交通整理から始めましょう。

 

上の図の〇で示したように、咲き終わった花をさす言葉が「花がら」「花殻」「花柄(はながら)」「咲きがら」などと呼ばれるものです。いろいろな呼び方があって、ややこしいですね。これを取り除くのが「花がら切り」または「花がら摘み」です。

 

「花がら切り」は、観賞価値のなくなった花を取り除く手入れです。

 

これに対して「切り戻し」は、花の咲いている枝を赤いラインまで大きく切り戻す手入れをさします。

 

「切り戻し」は、枝を適切な太さのところまで大きく切り戻すことで、次の花を状態良くキレイに咲かせる目的で行います。「花後剪定」(かごせんてい・はなごせんてい)と言う方もいます。

 

バラの専門用語の交通整理

花がら切り  観賞価値のなくなった花を取り除く手入れ

切り戻し・花後剪定 次の花をキレイに咲かせるための手入れ

 

「花がら切り」と「切り戻し」(花後剪定)は、本来別の作業ですが、バラの世界では同じ意味で使われることもあります。

 

このサイトでは「花がら切り」と「切り戻し」を分けて説明していきます。

 

※ちなみに、「花柄(かへい)」は、花のすぐ下の細い軸をさします。これも、ややこしくなる原因です。詳しくは、バラの各部位を紹介したページを参照してください。

各部位の名称はこちらからどうぞ

バラと小さなガーデンづくり

バラの基本構造と、各部位の名称

バラの基本構造と、各部位の名称

 

今回は、「切り戻し」(=花後剪定)のしかたを、3つのタイプの咲き方別に詳しく紹介します。

タイプA、バラの切り戻し(花後剪定)の基本!

▲花が咲いている枝の半分まで切り戻す

ず、バラの切り戻しの基本から。花枝の先に大きな1輪の花を咲かせるタイプAのケースで紹介します。

 

上の図の下の方に3本短く描いてあるのが主幹です。去年より前に出た古い枝ですね。そこから今年新しく伸びた枝の先に花が咲きます。この図では大きな1輪の花が咲いていますね。

 

この花が終わったら、「今年新しく伸びた枝の半分あたり、株の外側についている5枚葉の上5mm~1cmのところでカット」します。これがバラの切り戻しの基本です。

 

この位置まで切り戻しておくと、やがて切り戻したところからまた新しい花枝が伸びてきて、次の花(2番花)をキレイに咲かせることができます。

どうして花のすぐ下で切らず、長く切り戻すの?

YOUYOU

花のすぐ下でカットしないのはどうして?

くの木立ちバラは年に何度も花を咲かせます。切り戻しは、次に咲く花を良い状態で咲かせるために行う手入れです。

 

次に咲く花を良い状態に咲かせるには、ある程度太さのあるところまで枝を切り戻す必要があります。だから、半分の位置まで切り戻しましょうと言われるのです。

 

もし花のすぐ下でカットしてしまったら──枝が細いので、次に咲く花は小さくて貧弱な、状態の悪い花になってしまいます。

5枚葉の上で切る理由は?

YOUYOU

わたしの育てているバラは7枚葉のもあるけど、5枚葉を探さないとダメなの?

年は品種改良が進んで、さまざまなタイプのバラがあるから、7枚葉のバラも増えています。7枚葉のバラなら7枚葉の上でカットします。

 

「5枚葉の上で切りましょう」というのは、花のすぐ下は3枚葉のことが多いのですが、ここで切るのはダメですよって意味です。もっと枝が太く充実した場所には5枚葉(品種によっては7枚葉)があるので、ここまで切り戻しましょう。

株の外側についている葉の上で切るのはどうして?

YOUYOU

株の外側の葉の上で切るのはどうして? ちょうど半分のところにあるのは株の内側についている葉なんだけど、どうすればいいの?

れは樹形と関係があります。次に伸びる枝は葉の付け根から伸びます。外側についている葉(ここから伸びる芽を外芽-そとめ-といいます)の上でカットすれば、外側に向かって新しい枝が伸びます。反対に内側についている葉(ここから伸びる芽を内芽-うちめ-といいます)の上でカットすると、新しい枝は内側に向かってしまい、枝が込み入った樹形になってしまいます。

 

外広がりの樹形は見た目がいいだけではなく、日光がまんべんなく当たり、風通しも良く、病気や害虫被害に遭いにくい樹形です。逆に込み入った樹形は、日光が当たらない枝が増え、風通しが悪いので病気や害虫がつきやすい樹形です。決して見た目だけの問題ではないのです。

 

ちょうど半分の位置に株の内側についている葉しかなかったら、1段上、またはもう1段下げて外側についている葉のところで切りましょう。

株の内側にある葉の上(内芽)で切る【応用編】

うつむいて咲くバラ(デスデモーナ)

▲枝が細くてうつむいて咲くバラ

基本を踏まえた応用テクとして、わざと内側の葉の上(内芽)で切ることもあります。

 

上の写真のように、花枝が細くてうつむいて咲いてしまうバラや、株の外側に倒れたように咲いている枝の場合、外側の葉の上で切りもどしすると、次に出てくる枝は余計に倒れてしまいます。

 

こんな場合は、あえて内側の葉の上で切り、全体の樹形をコンパクトに抑えます。

タイプB、房咲きタイプの切り戻しの方法

▲枝先にいくつもの蕾をつける房咲き

はタイプBのケース、枝先にいくつもの蕾をつける「房咲き」するタイプのバラの場合の方法です。

 

房咲きタイプのバラの咲き方は、まず中心に1輪咲き、その花より遅れて周りの蕾が開花します。最初に咲く蕾を「主蕾(しゅらい)」、周りの蕾を「副蕾(ふくらい)」または「側蕾(そくらい)」と呼びます。

 

▲青丸の位置にあった主蕾の花がらを切り取ったところ

 

房の中心にある主蕾が咲き終わったら、その花がらを花のすぐ下で切って取り除きます。上の写真は、青丸のところに主蕾の花がらがあり、取り除いたところです。

 

主蕾に遅れて側蕾が次々と咲いてきていますね。側蕾がだいたい咲ききったタイミングで枝の切り戻しをします。

 

▲花枝の半分まで切り戻し

このバラはもう側蕾も咲ききっているので、そろそろ切り戻しのタイミングです。基本の通りに切り戻します。

 

基本は「今年伸びた枝の半分の位置、株の外側についている5枚葉の上で切る」でしたね。ちょうど半分の位置にあるのが内側についている葉なので、その上のAまたは下のBの位置まで切り戻します。

 

▲切り戻し後

Aの位置まで切り戻しました。やがて葉の付け根から新芽が伸び、2番花が咲きます。

タイプC、脇からどんどん花枝が上がるタイプの切り戻しの方法

▲花が咲き終わる前に側枝が伸びて蕾をつける

いて紹介するタイプCは、近年の品種に増えているバラです。上の写真の真ん中の主幹を見てください。花がまだ咲き終わる前に、花の下からもう次の花枝が伸びて蕾をつけています。

 

つぎつぎ花を咲かせる連続開花性が強い品種で、花を楽しむという意味では嬉しいのですが、いつ切り戻していいか、ちょっと手入れに悩みますね。

 

▲赤丸、青丸の花が終わったら黄色のラインまで切り戻し

この場合は、脇から出てきた花枝も含めた房咲きだと考えると分かりやすいです。

 

まず赤丸で囲んだ花が終わったらこの花のすぐ下で切っておき、続いて左右の青丸で囲んだ蕾が咲き終わったら、それぞれの花の下で切ります。

 

最後にこの枝の半分のところ(黄色のラインを引いたあたり)まで切り戻すという手順になります。

2番花の切り戻しはどうする?

▲2番花が咲くイメージ図

こまでは、1番花の切り戻しの方法を紹介しましたが、2番花の切り戻し方法はどうでしょう? 考え方の基本は同じです。

 

上の写真イラストをみてください。1番花を切り戻したところから新しく伸びた枝先に、2番花が咲く様子をイラストで加筆しています。

 

この2番花が咲き終わったら、枝の半分あたり(黄色いライン)まで切り戻しておけば3番花を咲かせることができます。

 

▲3番花を咲かせないときは、2番花のすぐ下でカットをオススメ

基本はそうなんですが、少し問題があります。2番花は梅雨の終わりごろに咲き、続く3番花は真夏の花となります。

 

2番花は1番花同様キレイに咲くことでしょう。でも3番花は花径も小さく花びらの枚数も少ない貧弱な花になりがちです。気温が高くなるため、どうしても春のように充実した花になる前に開いてしまうことが多いのです。

 

3番花や4番花などの夏花は観賞価値が低いので、咲かせず蕾のうちに摘みましょう(ピンチしましょう)と言われます。夏は花を咲かせない方が、ただでさえバラの苦手な暑い時期に体力を温存できるのでバラにとってやさしい手入れになるからです。

 

ということで。3番花を咲かせないときは、2番花の切り戻しをする必要がありません。切り戻しという作業は、次の花を状態良く咲かせるために行う手入れだからです。

 

3番花を咲かせないなら、2番花の花がらを切り戻しではなく、花首で切ってしまう花がら切りをオススメします。こうすることで、少しでも葉を残し光合成に役立ててもらおうという作戦です。

夏花も咲かせられるバラが増えている

ややこしくなるので、ここはさらっと簡単な説明に留めますが──。

 

近年の品種は、黒星病耐性が上がった結果、真夏でも良い状態を保つことができるようになってきています。その恩恵で、夏花もかなり美しく咲かせられる品種が増えています。

 

3番花、4番花と夏じゅう楽しめるバラは、軽い切り戻しを繰り返すことで、途切れることなく咲かせることができます。ただし、あまりに日当りの良い場所だと、花びらが日焼けで傷んでしまうので、鉢なら半日陰に移動する必要があります。

バラの花はいつ切るの?切り戻しするタイミングは?

▲8分咲きで切り戻しをオススメされるけれど・・・

後に切り戻しするタイミングについて紹介します。

 

これまで「花が終わったら切り戻しましょう」と書いてきましたが、どの状態で「花が終わった」と判断しますか? 花もちが悪く3~4日で散ってしまう品種なら花の終わりが分かりやすいのですが、花もちがいい品種だとどのタイミングで切り戻せばいいか悩みますよね。

 

通常は、「8分咲きで切り戻す」が理想とされます。

 

上の写真くらいが8分咲きです。全開になる前の、まだまだキレイな段階で切ってしまうのです。このため「花がら切りではなく、花切り、または花摘みだと思ってください」と、ローズスタイリストの大野耕生さんは分かりやすい説明をしています。「汚くなったから取り除く花がら切り」ではなく、花を花瓶に生けて楽しむための「花摘み」だと思って切ってくださいということ。つまり、花瓶に生けて楽しめるくらいキレイな内にカットしましょうということです。

 

1番花を早く切れば、それだけ2番花の開花が早くなります。切り戻しサイクルを早めることで、3番花でもいい状態に咲かせられるかも知れません。欲張って咲かせたいから、早め早めの切り戻しをオススメしているのです。

 

▲全開しても可愛いバラが増えている

上の写真は全開したバラです。ひと昔前の品種なら、全開した姿は美しくないものが多かったけれど、今は全開しても可愛いバラが増えています。

 

こういうバラなら、ロザリアンの本音としては「全開まで見届けたい」ではないでしょうか? さらに言うと「花が残っている限り咲かせておきたい」と思う人も多いのでは?

 

大丈夫です。全開まで咲かせても、花がキレイな限りいつまでも枝に残しておいても構いません。ただその代わり、次の花が咲くのが遅くなります。

 

早く切り戻して3番花まで咲かせるか、遅く切り戻して2番花までにするか、その判断はそれぞれの好みで構いません。

まとめ│花がら切り、切り戻し(花後剪定)の言葉の違いを整理して、花の後はしっかり切り戻しを!

1番花が終わったら行う切り戻しの方法を3つのタイプのバラで紹介しました。

 

花の切り戻しは、ただ汚れた花がらを取り除くために行うのではありません。次の花を良い状態に咲かせるために行う手入れです。しっかり切って、次のバラもキレイに咲かせましょう。

 

初心者さんは、枝を切るのがもったいないとか怖いとか思うかもしれません。大丈夫ですよ。ちゃんと育っているバラなら、枝を半分に切り詰めるくらいで弱ったり枯れたりしません!むしろ、前より元気になるくらいです。

 

夏花を咲かせないときは花首でカットするとか、8分咲きで切り戻すというのはいわば応用編で、より良くするための小技です。好みで取り入れてください。

 

バラの育て方は、こちらからどうぞ

バラと小さなガーデンづくり

バラの育て方/12カ月の育て方・季節ごと・一年を通して

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