バラにはさまざまな品種がありますが、基本構造はどれも同じです。ここでは、バラの基本構造と各部位ごとの名称、さらに簡単な説明をしています。バラの基本知識なので、ぜひおさえておいてください!


バラの基本構造と各部位の名称

 

1.がく

重咲きの花びらと同じ5枚です。

 

2.花びら

重咲きは5枚。半八重は「アンジェラ」で12枚ていど。八重咲きは「ピエール ド ロンサール」で75枚ていど。一般に、花びらの枚数20枚以上で八重咲きと呼びます。

 

▼花びらの枚数についてくわしくは、こちらをご覧ください。

3.おしべ(雄蕊)

い花糸と花糸の先につく葯(やく)からなるおしべが密集しています。多くのおしべは咲き初めは鮮やかな黄色で、数日後には茶色へと変色していきます。おしべの奥にめしべ(雌蕊)があります。

 

八重咲きのバラの花びらは雄しべが変化したものです。そのため、八重咲き品種はほとんど結実しません。

 

4.花柄(かへい)・花枝(かし)

柄(かへい)は花を支えるための軸で、花梗(かこう)ともいいます。ふつう、葉っぱはつきません。

 

花を支えるための枝(幹と花柄の間の部分)を花枝と呼びます。下の図を参考にしてください。

 

植物には草と木があります。草と木の違いは、形成層があるかなしかの差です。木には樹皮の内側に形成層があり、年を経るごとに幹が太くなっていきます。一方、草には形成層がないので、あるていどの太さまでしか育ちません。

 

▲チューリップは草。花茎の先に花を咲かせる

 

チューリップを例にとってみます。チューリップは草です。チューリップは茎をのばしてその先に花を咲かせます。「茎」とは、草の幹をさします。チューリップの茎は花を咲かせるためのものなので「花茎(かけい)」と呼ぶことができます。

 

一方バラは木です。木の場合は「茎」という言い方はしませんので、花を咲かせる枝は「花枝(かし)」と呼びます。が、花枝という呼び方はあまり一般的でなく、専門家でも「バラの花茎」という言い方をする方もいます。

 

本サイトでは「花枝」で統一しています。

 

5.花殻(はながら)

が咲き終わっても残っている花の部分をいいます。見た目に悪いだけでなく、そのままにしておくと病気の原因になることもあるので、摘み取ります。ただし、種を採取したい場合は残します。「花柄」(はながら)と、表記される場合もありますが、花を支える軸を意味する「花柄」(かへい)と同じ漢字で紛らわしいですね。「咲き殻」といわれる場合もあります。

 

当サイトでは「花殻」または「花がら」と表記しています。

 

6.托葉(たくよう)

柄(葉を支えるための軸)のつけ根にある小さな一対の葉です。

 

7.トゲ

▲大きな赤いトゲが美しい!「ロサ・セリケア・プテラカンタ」

ゲは樹皮の一部が変化したもので、バラの品種により大きさや数はさまざまです。びっしりと幹を覆うようにトゲのある品種もあれば、大きなかぎ爪がぽつんぽつんとついているものもあります。上の写真の「ロサ・セリケア・プテラカンタ」は、新梢につくトゲが美しいネパール原産の原種バラです。

 

誘引作業が必要なつるバラでは、トゲのあまりない品種が好まれます。八重のモッコウバラにはトゲがなく、新しい品種にもトゲのほとんどないものがあります。

 

8.葉軸

葉の中央にある軸のこと。

 

9.小葉

▲左から3枚葉、5枚葉、7枚葉

ラの葉は頂小葉と、左右一対の小葉からなります。枚数は3枚から十数枚の奇数枚です。ただし、「ロサ・ペルシカ」という種類のバラだけは、葉が小葉に分かれず、1枚の葉です。

 

バラの葉は品種により、光沢のない葉と、ツヤのある照り葉があります。

 

10.頂小葉

ラの葉の一番先にある小葉です。

 

11.ヒップ

▲ハマナス(ロサ・ルゴサ)のヒップ

ップはバラの果実をさす言葉。「お尻」とは関係なく、「ヒップ」だけで「バラの果実」をさします。正しくは、「ローズ・ヒップ」と書く必要はありません。ヒップの中に種があります。

 

ビタミンCが豊富なため、美容や健康のため乾燥させてローズヒップ・ティーとして飲まれています。ヒップを取る主なバラは「ハマナス」(ロサ・ルゴサ)と「ドッグ・ローズ」(ロサ・カニナ)。ヒップの形は球形、紡錘形など、品種により異なります。

 

秋の庭の彩りのため、わざとヒップを残すガーデナーもいます。

 

まとめ

バラの基本構造を、花まわりを中心にご紹介しました。世界中に数万種類の園芸品種があるといわれるバラですが、どのバラも、基本構造は同じです。バラを知ろうと思えば、まず押さえておきたい基本情報です!

 

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