バラの分類方法の中でも「オールド・ローズ」「モダン・ローズ」という分け方は、とてもよく使われます。オールド・ローズにはオールド・ローズに共通する特徴があるし、モダン・ローズにはモダン・ローズに共通する特徴があるので、とても便利な分け方なのです。ここでは、モダン・ローズについて説明します。

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モダン・ローズの特徴は完全四季咲きの大輪バラ

 

▲モダン・ローズ第一号のラ・フランス(Rosa `La France´)

大輪四季咲き性のモダン・ローズは、ラ・フランスから始まった

1867年、フランスのギヨーによりラ・フランスという名のバラが作出されました。それまでバラの育種家たちは、大輪の完全四季咲き性をもつバラを競って作り出そうとしてきましたが、ここでようやくその夢が実現したのです。

 

 

ラ・フランスは、春、夏、秋に咲く完全な四季咲き性をもつ初めての園芸品種。しかも枝を長く伸ばすものが多かったオールド・ローズと異なり、コンパクトな木立性樹形で扱いやすかったこともあり、とても人気になりました。

 

 

ラ・フランスの登場以降、この性質を受け継ぐバラが多く作出され、ハイブリッド・ティー系統のバラと呼ばれるようになりました。四季咲きでさまざまな花色をもつハイブリッド・ティー系統は、木立ち樹形で場所を取らずに育てることができ、しかも花枝が長くて切り花にも利用しやすいことから、現代バラの主要な系統となりました。

 

 

このラ・フランス以降に作出されたバラの系統を現代バラ、つまりモダン・ローズと呼び、それ以前のバラの系統をオールド・ローズと呼び分けています。

 

 

【モダン・ローズに多く見られる特徴】

樹形 木立性(ブッシュ) 幹が硬く自立する。高さは1.8mくらいまで
花形 多様 HTの剣弁高芯咲きが代表的な花形
花色 多様 オールド・ローズにない鮮やかな黄色もある
花径 中輪~大輪 HTの15cmにもなる巨大輪が特徴的
花期 四季咲き 温度さえあれば1年じゅう咲く
香り 微香 あまり強く香るものは少ない
強健さ 弱いものもある

育てやすさよりも花の美しさを優先して品種改良されたため、

中には育てにくい弱いものも存在する

 

モダン・ローズの主な系統

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・フランスの登場以降、四季咲き性の性質を受け継ぐさまざまな系統のバラが作り出されました。モダン・ローズの代表的な系統を、それぞれの系統を代表する品種の写真とともに紹介します。

 

ハイブリッド・ティー系統(HT)

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▲ハイブリッド・ティー系統の「ピース」(Rosa `Pease´)

 

ハイブリッド・パーペチュアルとティー・ローズの交配で作出されたラ・フランスから始まる系統。モダン・ローズを代表する系統のバラ。大輪で四季咲き。

 

 

ポリアンサ系統(Pol)

▲ポリアンサ系統を代表するバラ「マザーズ・ディ」

日本原産のロサ・ムルティフロラとチャイナ系統の交配などから生まれた系統。小輪の花を房咲きにします。

 

フロリバンダ系統(F)

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▲フロリバンダ系統の「アイスバーグ」(Rosa ‘Iceberg’)

ポリアンサ系統とハイブリッド・ティー系統の交配で生まれた系統。中輪の花を房咲きにします。

 

ミニチュア系統(Min)

▲ミニチュア系統の人気品種「グリーン・アイス」

ロサ・キネンシスの矮性種とポリアンサ系統の交配で生まれた系統。小輪の花で、樹高も30cmていどが多い。

 

ミニ・フローラ系統(MinFl)

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▲パティオ・ローズの「モンタギュー」

フロリバンダ系統とミニチュア系統の中間のグループをさします。「パティオ・ローズ」の名称で呼ばれることが多い系統です。

 

シュラブ系統(S)

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▲イングリッシュ・ローズのグラハム・トーマス(Rosa`Graham Thomas´)

イングリッシュ・ローズ(ER)などがこの系統に属します。他のどの系統にも属さないものが「シュラブ系統」になるので、さまざまな性質のバラがシュラブ系統に属しています。

 

クライミング(Cl)は3種類

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▲ラージフラワード・クライマー系統のピエール・ド・ロンサール

ハイブリッド・ティー系統の枝替わりから発生したつるバラはクライミング・ハイブリッド・ティー(ClHT)。フロリバンダ系統の枝替わりから発生したつるバラはクライミング・フロリバンダ(ClF)。ランブラー系統のつるバラにハイブリッド・ティー系統やフロリバンダ系統を交雑して作り出されたつるバラはラージフラワード・クライマー(LCl)。

 

モダン・ローズは毎年、進化している!

ダン・ローズは現代のバラです。毎年、新しいバラが生み出されていますが、それらもすべてモダン・ローズです。

 

 

庭がなくても楽しめるように、鉢植えに適した小さいサイズのバラが登場して改良を重ねられていますし、今までにないクリアな青色をしたバラを求めて改良が重ねられています。ミルクティのように茶色味を帯びた花の色が人気になったこともありました。

 

 

バラの育種家たちの挑戦は続いています。

 

まとめ

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それまでのバラの系統を「オールド・ローズ」とひとくくりにしてしまうくらい、それくらい「ラ・フランス」の登場はバラの園芸史上エポック・メイキングな出来事だったようです。

 

 

考えてみれば、こんなに大輪の花を年に何度も咲かせるなんて! 他の花では考えられないことよね!

 

 

ヨーロッパでは16世紀ごろから園芸が盛んになったのだけど、「ラ・フランス」の登場をうけて、さらに園芸熱はエスカレートしていったんでしょうね。ヨーロッパの多くの文学作品からも、そんな様子がうかがえます。たとえばイギリスの児童文学者バーネットの「秘密の花園」(1911年)は、主人公の少女が荒れた庭をよみがえらせることで、その家に住む少年の心を開く物語でした。

 

 

これからもますます進化してゆくモダン・ローズ。どんなバラに出会えるのか楽しみですね!

 

▼オールド・ローズの特徴と主な系統は、こちらからご覧ください。

 

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