庭やベランダに咲いたバラを、素晴らしく素敵なバラ園のバラを、自分の見た感動そのままに写し取りたいと思いませんか? 今回は、コンパクトカメラでもバラをキレイに撮影できるポイントを6つプラスαを紹介します。ぜひ、役立ててくださいね!
コンパクトカメラでも、もっといい写真は撮れる!
花の季節を迎えましたね。庭のチューリップが咲きだし、つるバラの若葉がつややかな葉を広げ始めると、花好きはもういても立ってもいられなくなります。うちのバラはいつ咲くか、今年はどこのバラ園に出かけようかと、今からワクワクしてしまいますね。
でも、せっかく咲いた我が家のバラも、バラ園で出会った素敵なバラも、「目で見たほどにキレイに撮影できないなぁ~」と、思っていませんか? 「やはり一眼レフカメラじゃないから・・・」そう諦めてしまっている方も多いかもしれません。
いいえ、コンパクトカメラでも、じゅうぶんいい写真は撮れます!
もちろん一眼レフほど自在にイメージを操作できませんが、今のコンパクトカメラはとても性能が良くなっていますから、かなり良い写真が撮れるようになっています。ほんのちょっとの工夫で、バラをよりキレイに撮影するコツを紹介します。
少しだけ自己紹介
わたし、あいびーはもちろんプロカメラマンではありません。それどころか一眼レフカメラも持っていません。カメラに詳しくもありません。
ただし、プロの写真を山ほど見てきた経験があります。撮影現場にも何度も足を運んでいます。「良い」写真と「あまり良くない」写真の区別はつきます。その上で、わたしが撮影するときに気をつけていることをまとめてみました。どれも、すぐに実践できることばかりですよ!
コツその1、徹底的に状態の良いバラを探す!
まず、咲き方がきれいな1輪を探すことです。キレイな1輪を撮影すれば、キレイに撮れる確率は上がります。当然ですよね!
▲①あまりいい花がなく、これくらいで妥協か・・・と思って撮った1枚(イマイチ)
これは、横須賀のヴェルニー公園で撮影した黒バラの名花パパ・メイアンです。
どのバラを撮ろうか1輪1輪、選んでみると、意外と撮影に耐える整った花は少ないことに気がつくと思います。咲きすぎていたり、逆にまだつぼみだったり、咲き方が左右アンバランスだったり、色褪せていたり、虫食いだったり・・・。これ! と思えるバラがあっても、花壇の奥の方で手が届かなかったりして、なかなかいい花に出会えません。
①のバラは、花びらがツンツン尖っているのがイマイチだったのですが、一応押さえで撮影したものです。
▲②バラ園を1周して、ようやく満足できる1輪に出会って撮影したもの(花キレイ!)
ようやく見つけた状態の良いパパ・メイアンが②の写真。
花びらの状態が良く、花形のバランスも整っています。色味も黒バラらしく深い真紅ですが、かといって汚く黒ずんだりしていません。ビロードの光沢もでています。
選びに選んだ1輪を、周りじゅうから見て、もっとも美人に見える角度を見極めて撮影しましょう!
咲き始めのバラの方が状態が良い! バラ園に行くなら早い内に!
▲③咲きすぎて完全に崩れているパパ・メイアン(ぜんぜんダメ)
これもパパ・メイアンですが、ここまで咲き進んでは、どんなプロでもキレイに撮るのは難しい。バラは咲き始めの方が花形が整っているし、色のりも良いものです。バラ園に出かけるなら、春なら5月15~20日(関東基準)くらいがいいと思います。6月に入ると、撮影できる花を探すのに苦労します。
コツその2、背景にこだわろう!
奥行きのある背景を選ぼう
▲④背景が近すぎて、くっきり写っている(写真としてかなりヒドイ・・・)
状態の良い花を見つけたら、今度は背景に気を配ってください。このバラは咲きすぎたピエール・ドゥ・ロンサールです。花の状態も良くない上に、さらに背景が悪いですね。アルミの窓枠がはっきり写っていて、いかにもスナップ写真という出来上がりです。いい写真からは程遠いです。
▲⑤背景が遠くにぼけて写っている。ベランダかな?と分かるていど(まぁ許せる範囲)
基本的に奥行きのある背景を選び、花をアップぎみに撮影すれば自然と背景がぼけて花が引き立ちます。④の写真と同じ場所で撮影していますが、ピエール・ドゥ・ロンサールの表情がまったく異なり、こちらの方がより印象深く撮れています。
背景に写るものは、なるべくスッキリと!
▲⑥奥に枝垂れたバラの枝と緑の木立。バラ園か庭かな~? という空気感(背景きれい)
背景に写るものにも気を配ります。何かがぼやーっと写っていて、何となく場所の空気感が感じられる背景を選びます。あまりにゴチャゴチャした背景はうるさい印象の写真になり、バラが引き立ちません。
▲⑦背景がバッチリ写りすぎてうるさい印象。土が写り込むのもキレイに見えない(ダメ写真)
ちなみに、②の写真の背景は場所の空気感がよく出ていて、しかもドーム屋根のパビリオンがきれいにぼけているのでうるさくなく、とてもキレイな背景です。
コツその3、構図を考えよう!
▲⑧安定感のある中心構図(ややありきたりな写真)
整った花形のバラを画面の中心に置き、斜め上から撮影した写真は、とても安定感があります。もっとも人の目が見る構図に近く悪くないのですが、ややありきたり。いかにも図鑑の写真といった印象です。
▲⑨バラを画面の中心からほんの少し右にずらし、斜め横から撮影(花の表情が自然)
人間にたとえれば、⑧の写真は証明写真のようなものです。きちんと写っているのですが、どうも花の表情が硬く、自然な感じがしません。
⑨は、バラをフレームの中心から少し右にずらし、さらに真正面ではなく斜め横から撮影しました。バラの表情がナチュラルに、優しい印象になりました。
▲⑩バラを画面から左に少しずらし、斜め横から撮影(花の表情が自然)
今度はバラを左に少し寄せました。背景は、花の向かっている方向を多いめに残すのがコツです。
凛とした印象を大切にしたい剣弁高芯咲きのバラなら⑧のような構図が似合いますが、丸弁でややうつむき加減のバラなどは⑨や⑩のような構図の方が優しさが引き出せます。
フォーカルポイントを絞る
▲⑪つるバラが全体にわーっと咲いているのは伝わるけれど散漫な印象
フォーカルポイントは、視界の中心になる部分のことです。⑪の写真は、全体にたくさん咲いていることを伝えるための写真ですが、どこをフォーカルポイントにして見ればいいのか分からず、散漫な印象がします。
▲⑫フォーカルポイントがはっきりしているので、画面が締まって見える
引きの写真では奥行きと骨格を意識した構図に
▲⑬バラと背景の軍艦を同時に写そうとしたけれど、フォーカルポイントも骨格も感じられず散漫な印象
バラ単体ではなく風景を写す引きの写真では、⑪や⑬のように、散漫な印象になりやすいので、はっきりとした骨格を感じる構図を意識します。
▲⑭バラと背景の街灯、フェンス、軍艦がきれいな奥行きと骨格を作っている
ときに縦位置の構図をとると、奥行きや骨格がしっかりした写真になることがあるので試してみて!
コツその4、アングルを工夫しよう!
▲⑮ローアングルから狙えば、また違った表情が引き出せる
バラを撮影するときは、どうしても斜め上から狙ってしまいぎみですが、ときにローアングルからバラを見上げて撮影してみましょう。
このバラが背が高くて、空に向かって咲いている雰囲気が強くでますね。いつも斜め上からばかり狙わず、真横から、下からも狙ってみると、意外な表情の写真になります。
コツその5、晴れた日は日傘を持参しよう!
▲⑯自分の影が写真に写り込んでしまっている(ヒドイ写真!)
誰しもこんな写真を撮ってしまったことがあると思います。自分やカメラの影がしっかり写りこんでしまっているんですね。晴れた陽ざしの強い日には、どうしてもこういう写真を撮ってしまいがちです。
それを防ぐために、晴れた日にはぜひ白や生成りの日傘を持参してください。バラに日傘をさしかけて、嫌な影が写らないようにするのです。
▲⑰日傘で日陰を作れば、自分の嫌な影が写らないし、発色もきれい!
日傘で日陰を作って撮影すると、もう一ついいことがあります。花色がきちんと発色するのです。
▲⑱日傘なしだと強い太陽光と濃い影でギラギラした印象の写真になる(あまり良くない写真)
強い日差しの下では、明るいところと暗い影との差がありすぎて、真夏のようなギラついた印象の写真になります。花色もきちんと再現されません。
プロのカメラマンも傘を使います。「アンブレラ」といいますが、絹でできた白いアンブレラや、銀色のアンブレラが使われます。写真は、明るい日陰で撮るのが一番きれいに写るのです。(プロの場合は少し使い方が違いますけどね!)
▲⑲薄暗い曇りの日は全体に濃淡のないのっぺりとした印象の写真になる
それじゃ、薄暗い曇りの日ならいいかというと、そうとばかりも言えません。
曇りの日は明暗の差がなさすぎて、インパクトのないのっぺりとした印象の写真になります。天気ばかりは自分でどうしようもありませんが、明るい薄曇りでときどき日が差すような天気が、わたしは一番好きですね!
コツその6、写真編集ソフトを使おう!
せっかくデジカメを使っているなら、フォトショップなどの写真編集ソフトを使いましょう。もしもっていないなら、フリーソフトでも構いません。わたしはFOTORというフリーソフトを使っています。
写真編集ソフトを使えば、色味を補正したり、トリミングしたりして、好みの写真に仕上げることができます。⑳~㉓はすべて同じ画像データを写真編集ソフトを使って補正で印象を変えたものです。
▲⑳ノーマル補正
▲㉑明るくコントラストの強い補正。華やかな印象
▲㉒暗くエッジの効いた補正。くっきり鮮やかな印象
▲㉓明るくコントラストの弱い補正。ふんわりとした印象
番外編 シズル感は・・・ほどほどに。
▲㉔シズル感たっぷりのミニトマト。すごく新鮮そうだけど・・・
シズル感とは・・・雫をつけることで、被写体のフレッシュな印象を強調する撮影技法です。
要は霧吹きでシュッシュと水滴をつけて撮影するわけです。料理写真には欠かせないテクニックですね。天然のシズルもあります。雨の日のアジサイなんかも、よくシズル感たっぷりに撮影されますよね。
お花もフレッシュに見せたいと、よく霧吹きシュッシュした写真を見かけます。悪くはないんですよ! 悪くはないのですが・・・正直シズル感って少し古臭い印象が・・・。乾いた質感の方が現代的だったりするので。まぁ、シズル感はほどほどに・・・した方がいいんじゃないかな、と、思うのです。好みの問題ですが。
マナー編 撮影マナーを守ろうね!
バラ園で撮影に夢中になると、つい配慮を忘れてしまいがちになるので注意してください。
園内が混んでいるときに三脚を立てるのは迷惑です。どうしても三脚を立てたいなら、朝一番にバラ園入りするくらいの覚悟で行ってください。混んできたら迅速に撤収です!(もっとも、コンパクトカメラで三脚立てる人もいないでしょうけれど)
また、花壇の奥の方にいい花があるからとずかずか花壇に入るのもマナー違反です。バラにも人にも配慮した、優しい撮影を心がけてくださいね!
まとめ
コンパクトカメラで撮影する際に、ちょっと覚えておくといい撮影テクを6つ紹介しました。
今あるカメラを買い替えなくても、撮影するときに少しポイントを意識するだけで、写真はぐっと良くなります。ぜひ、試してみてくださいね!
▼第2回目の撮影テクはこちらからどうぞ。