先日アップした「コンパクトカメラでバラをキレイに撮影するコツ」の記事が好評だったので! 今回は第2弾です。自然光の上手な利用のしかたとマクロ撮影、オートフォーカスの欠点の克服のしかた、室内撮影の方法についてなどを紹介します。バラに限らず、どんな花の撮影にも使える簡単テクニックばかりですよ!
コツその1、庭のバラをキレイに撮るなら朝の光で!
▲①朝の光はフレッシュな発色をしてくれます(逆光ぎみだけど色味がきれい)
自宅の庭でバラを撮るなら、ぜひ早朝に撮影してください。または、バラ園で撮影するなら朝一番に出かけてみてください。朝の光はやや青みを帯びて澄んでいるのが特徴です。クリアな発色のバラが撮影できます。
しかも太陽がまだ低い角度から射すので、写真に立体感が生まれ、きれいな光と影の表情を特別なテクニックなしで捉えることができます。
朝7時~10時が、撮影にもっともおすすめの時間帯です。
光の筋を上手に画面に取り入れると、いい感じに撮れますよ!
太陽が真上にある11時~1時は撮影に向かない
▲②真上からの光が強すぎて、コントラストの強いギラついた写真(あまり良くない写真)
昼12時を挟んだ前後の2時間、つまり11時~1時は太陽が真上にあるので、被写体の上の方がやたら明るく、下に濃い影ができる時間帯です。この時間帯の撮影はあまりいい写真になりません。これがもし人間なら、目の周りと頬の下の方が真っ黒になって、とてもブスに写ってしまいます!
バラ園で撮影するなど、どうしてもこの時間帯に撮りたいなら、前回紹介した傘をさしかけて日陰を作って撮影するといいですね! 自宅の庭で撮影するなら、この時間帯は外した方が良さそうです。
▼前回の記事はこちらをご覧ください。
午後遅くなると光が赤味を帯びてくる
▲③午後は夕方に近づくにつれ全体に赤味を帯びた光になる(なんだかレトロな雰囲気)
午後の光は、太陽がまたどんどん低くなるので斜め上から射しこむ光がバラに立体感を与えてくれます。ただし、午後は光が赤味を帯びてくるので、朝のようにクリアな発色にならず、赤みを帯びた温かな雰囲気になりやすいです。
▲④レトロな雰囲気になってしまった③を画像編集ソフトで補正
もちろん、画像編集ソフトを使えばクリアな発色にすることもできますが、少し人工的な印象になってしまいました。
コツその2、逆光・サイド光・斜光を使おう!
▲⑤順光で撮影したチューリップ 色飛びはしていないけれど平面的な印象
写真を撮るときの常識に「順光で撮ろう」とか「逆光で撮ってはいけない」というものがあります。
が、これはもはや古い常識としか言えません。デジタルカメラ以前の手動カメラでは、確かに逆光で撮影すると人の顔が真っ黒に潰れて表情が分からなくなってしまうことがよくありました。でも、現代のデジタルカメラは高性能です。逆光でも上手に補正してくれるので、顔が真っ黒に潰れることはありません。
逆に、順光で撮影すると、被写体全体に光がまわりすぎてのっぺりと平面的な写真になってしまいます。さらに強い順光で撮影すると、ハイライトになっている部分が真っ白に飛んでしまいがちなのも大きなデメリットです。色が飛んでいる場所は、どんなに写真編集ソフトを使っても色を補うことはできません。
逆光を上手に使おう!
▲⑥逆光で撮影すると、光が透過した花びらや葉の色がきれい
バラに限らず花を撮影するときに逆光を使うと、花びらが透けた様子がとてもいい雰囲気を出してくれることが多いものです。透過した葉の色もフレッシュな印象です。もし被写体が黒く写ってしまっても、写真編集ソフトで明るく色調を整えることができます。色の飛んでしまっているところは色調調整できませんが、色があるところなら暗く写っていても明るくすることができるのです。
太陽の光が低い位置からさす早朝は、逆光を上手に使えるチャンスです。早起き+逆光で、素敵なバラの表情を捉えてくださいね!
しっかり写したいならサイド光や斜光で!
▲⑦サイド光で撮影すれば、立体感がしっかり表現でき、雰囲気寄りにもならない
逆光で撮影した写真の欠点は、どちらかというと雰囲気重視になりやすいところです。それに、逆光写真ばかりでは、あきてしまいますよね。雰囲気写真になりすぎず、しっかり写しながらもキレイな写真をめざすなら、サイド光や斜光がいい感じです。
サイド光は被写体の真横から光がきている状態で、斜光は斜め方向から光がきている状態です。
サイド光や斜光は、撮影でもっとも使いやすい光と言えそうです。
コツその3、花撮影モード(マクロ撮影)を使おう!
▲⑧花撮影モードでマクロ撮影したバラ(なかなかキレイ)
あなたのカメラに花撮影モードというのはないですか? 多くはチューリップのマークがついていたりしますが、これはマクロ撮影できるものです。マクロ撮影では、ぐぐぐっと被写体に接近して撮影することができます。
マクロ撮影では、ピントの合う範囲がとても狭く、周りがふんわりとしたきれいなボケを作ってくれるので、手軽に雰囲気が出る撮影モードです。
▲⑨マクロ撮影ならバラの花びらに乗った小さな水滴も撮れる
マクロ撮影なら、通常の撮影モードでは写すことができない小さな世界を捉えることもできます。わずか数ミリの小さな花も生き生きと写し取れます。上手く使いこなすと、一味違った写真が撮れますよ!
コツその4、オートフォーカスの悩みを解決!
自動でピントを合わせてくれるオートフォーカス機能はとても便利だけれど、自分でピントを合わせる場所を指定できないので、使いにくくて困る場合もあります。一眼レフなら自動解除できますが、コンパクトカメラでは解除機能がないことも! わたしのカメラも解除できません。解除できないというより、手動でピントが合わせられない機種なんです。
▲⑩手前のつぼみを撮りたいのに、奥の花にピントが合ってしまう
たとえば、オートフォーカスでは細いものにピントを合わせるのが苦手です。上の写真でも、真ん中のつぼみにピントを合わせたいのに、奥にある花にピントが合ってしまっています。
▲⑪指をつけることでピントが合うようになる
こんなときには、自分の指をピントを合わせたいものの横につけてピントを合わせ、シャッターボタンを半押ししてピントを固定してから、
▲⑫指を離して撮影すればOK!
指を離してシャッターを押せばいいのです! ホラ、きれいに撮れました^^
▲⑬マクロ撮影したルッコラの花
同じ方法で、ルッコラのように細い花や、ピントが合いにくい白い花にもピントが合わせられます。この写真、通常のオートフォーカスまかせだと、背景にピントが行ってしまいます!
コツその5、窓辺の撮影も自然光で!
▲⑭窓辺に置いたバラをストロボ撮影
室内の窓辺でバラを撮影するときには、ストロボなしで撮影しましょう。ストロボは真昼の光と同じように強すぎて、明るいところと影になった暗いところの差がありすぎて、硬い印象の不自然な写真になります。
▲⑮窓辺のバラを自然光だけで撮影(ふんわりとした印象でキレイ)
同じ場所でストロボを焚かずに自然光だけで撮影したのが⑮の写真です。逆光なので、バラの輪郭がふんわりとソフトに明るくなり、手前が少し沈んでいます。花のソフトな雰囲気と立体感がよく出ています。
▲⑯レフ板を使って手前を明るくして撮影
手前が暗く沈んだ感じになるのが嫌なら、レフ板(れふばん)を使います。レフ板と言っていますが、白い面があるものなら何でもいいのです。発泡スチロールの板でも色紙(しきし)でも構いません。それをバラの手前に持って角度を調整しながら外からの光を反射させてバラにあて、バラ全体にソフトな光がまわるようにします。
レフ板は、撮影の際プロが必ず使う撮影小道具です。
ちなみに、今回わたしがレフ板がわりに使ったのは、手近にあったコピー紙の束。どうやらマンションの防災管理についての注意書きのようです!
まとめ
今回は、バラをキレイに撮影したいときに知っていると役立つ情報第2弾として、自宅の庭で撮影する場合のコツを紹介しました。撮影時間、光の選択、マクロ撮影、オートフォーカスの弱点の克服法、窓辺で撮るときのコツと、いろいろ紹介しましたが、どれも簡単に実践できることばかりを集めています。
最後にもう一つだけコツを追加で紹介しましょう。
それは、「たくさん撮ること!」 です。
バラの写真は咲き方や天候や背景など自分でどうしようもない条件がたくさんあります。でも、たくさん撮れば、思いがけずキレイに写っている写真があるかも知れません。また、たくさん撮影することで、自分の好きなアングルや自分の好きな光の状態などが分かってくるものです。
瞬時にキレイに撮れる光や角度がつかめるようになれば、短い花の時期をフル活用してたくさんのキレイなバラを残せるようになりますよ!
ちなみに、わたしが使っているカメラはCanonのIXYです。確か1万円くらいのコンパクトデジカメです。
▼こちらのページも参考にしてください。