初心者がバラを選ぶときに覚えておきたい5つのポイントを紹介しています。
初心者ロザリアンYOUです。バラって、素敵な品種がたくさんありすぎて、どれをどう選んでいいか分からないの! 初心者でも育てやすい素敵なバラを選ぶときのポイントを教えて!
選び方ポイント1、木の形に注目! 初心者は、鉢植えで育てやすい「木立ち樹形」または「枝先が長くならないシュラブ樹形」のバラを選ぼう!/作業や管理がしやすいバラ!
▲とても花つきが良い木立ち樹形の「うらら」【F】
古くから愛されているバラは、その歴史の深さゆえに品種も膨大な数があります。どれをどう選んでいいか迷いますよね! バラには初心者でも育てやすいものから、栽培経験豊富な方向けのものまでさまざまな品種があります。初心者なら、もちろん育てやすいものを選びたいですね。
初心者、とくに初めてバラを育てるなら、かならず鉢植えから始めましょう。鉢植え栽培の方が置き場所を移動できたり、病気にかかりにくかったりするので、育てやすさが高まります。
鉢植えで育てやすいバラを選ぶときには、木の形に注目します。
「木立ち樹形」のバラ、または「あまり枝先が長くならないシュラブ樹形」のバラが、鉢植えで育てやすい樹形です。どちらも1mちょっとにコンパクトに管理することができて場所も取らないので、多くのプロや本で初心者におすすめされている樹形のバラです。
ただし、ミニバラは木立ち樹形ですが、意外と育てにくいものが多いので初心者はさけたほうがいいですよ!
選び方ポイント2、バラの系統に注目! 初心者は「フロリバンダ系統」か「シュラブ系統」がおすすめ!/たくさん咲くので満足感が高い!
▲フロリバンダ系統のバラ「スーリールドゥモナリザ」
バラは、育ちかたの特徴別にいくつかの系統に分けられますが、初心者におすすめしたいのが「フロリバンダ系統」のバラです。フロリバンダは1本の花径の先に房状に花を咲かせる特徴があります。要するに花がたくさん咲くので、咲いたときの満足感が高いバラなのです。フロリバンダ系統のバラは、略記号で【F】または【Fl】と書かれます。
「シュラブ系統」のバラも房咲きする特徴があります。シュラブ系統のバラは、フロリバンダ系統のバラよりもややうつむき加減に咲き、花数がフロリバンダ系統に比べるとやや少ない傾向があります。もちろん、品種によりけりですが。シュラブ系統のバラは、略記号で【S】または【Sh】と書かれます。
花数は少なくてもいいから、いかにもバラらしい高貴な雰囲気のバラが好き! という方にはハイブリッド・ティー系統のバラがおすすめなのですが──。ハイブリッド・ティー系統のバラには弱くて育てにくいものもあるので、品種の特徴をよく読んで育てやすいものを厳選する必要があります。
選び方ポイント3、バラの強さに注目! 「強健」または「樹勢が強い」かつ、「耐病性が高い」品種を選ぼう!/育てやすいバラを!
▲「アイスバーグ」【F】の品種紹介 出展/バラの家
バラの育てやすさを示す項目に「強健」と書かれているのをよく見かけます。「バラの家」の表示だと「樹勢」にあたるものです。「強健」または「樹勢が強い」バラは、どんどん芽を吹き、伸びていく強さがあります。
こういうバラは、たとえば病気にかかっても弱りにくく、病気と共存しながらもちゃんと生長し、調子を崩してかなり葉を落としても復活しやすかったりします。そういう意味で、育てやすいのです。
もうひとつ育てやすさで大事なのが、「耐病性が高い」かどうかです。バラがかかりやすい2大疾病があります。「ウドンコ病」と「黒星病」です。この二つともにかかりにくいバラなら、かなり育てやすいと言えます。あまり農薬を使わずにすみます。
上の画像は「アイスバーグ」を紹介する「バラの家」のページです。一番下の「特徴」のところに書いてあるように、「アイスバーグ」は初心者向けの育てやすいバラです。
「アイスバーグ」の「ウドンコ病」と「黒星病」の耐性はどちらも★4。わたしの印象では、雨の当たらない場所の鉢植え栽培ならほとんど無農薬でいけます。ただし、「樹勢」は★3。つぎつぎ新しい芽を伸ばすというよりは、古い枝がいつまでも老化せず長もちするというタイプです。
「強健」で「耐病性が高い」バラなら間違いなく育てやすいバラですが、「アイスバーグ」のように、樹勢が中程度でもじゅうぶん育てやすい初心者向けのバラといえます。
意外とオールドローズにも強健で耐病性の高い育てやすい品種がたくさんあります。ただし、ほとんどが1季咲きなので、四季咲き品種に比べて満足感が低いため、ツウ好みのバラといえそうです。
これ以外のポイントとして、「耐虫性が高い」バラというのも、ときどきあります。害虫がつきにくいバラです。夢のようですよね! しかし、まだまだ数が少なく、今後の開発に期待したいところです。
選び方ポイント4、国際的なバラコンテストの受賞品種は、やはり優秀!/育てやすくて美しいバラの宝庫!
▲2008年ADR受賞「ベル・ロマンティカ」【F】
世界にはいくつもの国際的なバラコンテストがあります。コンテストにはそれぞれ特徴がありますが、育てやすさにこだわったコンテストとして有名なのが、ドイツのADR賞です。この賞は、化学薬剤を一切使わず3年間ドイツ各地で栽培された結果から育てやすくて美しいバラを選ぶので、世界一厳しいコンテストと言われます。
日本に比べるとかなり寒冷なドイツの気候で育てられるので、寒さに強い品種を選びたいときにもADR賞は有効です。
このところ温暖化傾向にある日本の夏でも調子を崩さず乗り越える「耐暑性」の高いバラを選びたいなら、アメリカのAARS賞、または日本の気候に合ったバラづくりをめざしている木村卓功さん作出の「ロサ・オリエンティス」のバラがおすすめです。
バラの総合的な魅力を判断して選ばれる「殿堂入り」のバラも、育てやすくて美しいバラが勢ぞろいです。ただし、育てやすさを重視するならなるべく新しい受賞品種から選んだ方が確実です。
▼「ADR賞」「AARS賞」「殿堂入り」のバラはそれぞれこちらからご覧ください
選び方ポイント5、定番の人気品種+2000年以降の新しいバラが育てやすい!/育てやすいバラがどんどん登場している!
▲2019年、木村卓功さん作出の「シャリマー」【S】
バラの専門誌「New Roses」編集長の玉置一裕さんによると、毎年2万5000品種もの新しいバラが作出されているのだそうです。それらのバラは、人々に愛されよく売れた品種ならその後長く残り、あまり受け入れられなかったバラは生産が中止されてしまう。だから、作出されたのはかなり以前なのに今なお販売され続けている定番の人気品種は、それだけ人々を魅了してやまない育てやすくて美しい、素晴らしいバラと言えます。
これとは別に、近年ではヨーロッパの個人宅の庭で農薬の使用が禁止されてきているという現状から、農薬を使わずに育てられるバラの育種が急ピッチで進められています。
上の写真の「シャリマー」は、木村卓功さん作出のバラですが、「樹勢が★4」、「ウドンコ病耐性★5」、「黒星病耐性★5」という、これまでにないほど育てやすいバラです。「バラの家」では「無農薬・低農薬OK」と書かれています。すごいですね!
このように、新しいバラほど育てやすくなっていることが多いので、初心者ならバラの新品種から選ぶのもいい方法だと思います。
「樹形」「バラの系統」「バラの強さ」「コンテストの受賞品種」「新しいバラ」。どれも育てやすいバラを選ぶには重要なポイントだと分かるんだけど・・・。こんなにイロイロ吟味して選ぶのは大変すぎるので。初心者にはこれとこれから選んで! って言ってくれると嬉しいんだけど・・・。
ですよね! YOUちゃんの気持ちよーく分かる。わたしも初心者向けのバラを一覧にしたものがないか探したことがあるけど、結構ないんですよね! 理由は、おすすめ品種がたくさんありすぎるからかなぁ~と思うけど。今度、がんばって一覧をつくってみるね!
まとめ
初心者がバラを選ぶときの判断基準を5つのポイントに整理して紹介しました。やはり「育てやすさ」と「咲いたときの満足感」がカギになると思います。
これをベースに、陽当たりがそんなに良くないなら「耐陰性の高いバラ」、寒冷地なら「耐寒性の高いバラ」、逆に暑さが厳しい場所なら「耐暑性の高いバラ」と、条件を絞っていけば自分の家にぴったりなバラが見えてくると思います。
最後に花の見た目や色、香りなどが自分の好みに合ったものを考えていくと、かなり品種が絞れてきますね。
次回は、「初心者におすすめのバラ」を、少し大変ですが一覧にしてみようと思います。お楽しみに!
▼初心者におすすめの育てやすいバラの一覧できました!
▼バラ初心者YOUのQ&A一覧は、こちらからどうぞ