春花が終わると、つるバラは新しいベイサルシュートを出す季節になります。
ベイサルシュートは来年以降の主幹になる大切な枝ですが、つるバラでは「シュートを出すこと」が目的ではありません。本当に大切なのは、古くなった主幹を新しい枝へ少しずつ世代交代させることです。
この記事では、ベイサルシュートを出しやすくする管理と、主幹を更新するタイミングを初心者向けに紹介します。
つるバラのベイサルシュートが出てほしいのは、こんなとき
▲つるバラの主幹を世代交代させる図
つるバラの主幹は、数年花を咲かせ続けると、やがて花付きが悪くなってきます。品種により差はありますが、一般的なつるバラなら3~4年ていどで世代交代することが多いようです。
もしあなたの庭のつるバラが、花付きが悪くなってきたとか、主幹の色が悪くなってきたなら、ベイサルシュートを発生させて主幹の世代交代をしたい時期ですね。
上の図のAの枝は、今年新しく出たベイサルシュートです。この枝が来年以降の主幹として、たくさん花枝を上げるベース(土台)となります。
Aのベイサルシュートが出たら、Bの花付きの悪い古い主幹は切り取ります。
つるバラは、こうして主幹の世代交代を繰り返しながら、いつもたくさんの花が咲く状態を維持するのです。
ベイサルシュートは「株の余力」があると発生しやすい
▲赤い矢印の枝がベイサルシュート
バラのベイサルシュートは、株に十分なエネルギーの余力があると発生しやすくなります。つまり、株に余力がある状態をつくることで、ベイサルシュートが出やすい状態にすることができるのです。
では、その「余力」はどうすれば生まれるのでしょうか。
ベイサルシュートを出しやすくするためには、次の3つを意識すると効果的です。
ここでは、分かりやすく表にまとめました。
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ベイサルシュートを出すための3原則 ①株を健康に保つ ②エネルギーの余力をつくる ③経験値として知られる方法 |
この記事では、これらをつるバラに取り入れる具体的な方法を紹介していきます。
ベイサルシュートを出やすくする記事は、木立ちバラ編もあります。木立ちバラでのケースを知りたい方は、そちらの記事をご覧ください。
木立ちバラのベイサルシュートが出やすくなる方法
バラと小さなガーデンづくり
バラのベイサルシュートを出やすくする方法|株に余力をつくって今年こそ出す!
梅雨時期は病気や害虫から葉を守る
▲黒星病にかかったつるバラの葉
梅雨時期のつるバラでもっとも注意したいのが黒星病です。葉に黒い丸いシミが増え、やがて葉が黄色くなって落ちる病気です。
黒星病が蔓延すると、バラの葉がほとんど落ちてしまうこともあります。そうするとつるバラは光合成することができず、エネルギー不足に陥ってしまいます。
病気だけでなく、ハバチの幼虫など、さまざまな害虫も多い時期なので、害虫もしっかり防いでキレイな葉を多く残しましょう。
エネルギーの余力をつくる4つのポイント
1、春花後に追肥する
▲化成肥料を株元に散布
通常の地植えバラの管理では、冬の寒肥だけを施して、それ以外は追肥しないものです。
でも、どうしても今年はベイサルシュートが出てほしい! そんなときには、春花後に追肥するのが有効です。
つるバラは春に爆咲きするので、花後にガックリ体力が落ちてしまいます。その分を追肥で補うことで、株のもつエネルギーに余力をつくります。
追肥には「元肥用」でなければ、どんな肥料でも構いません。しかし、これから暑い夏に向かう時期なので、オススメは化成肥料です。
有機質肥料は高温で溶け出す量が多くなってしまいがちですが、化成肥料は安定して一定量が溶け出すしくみになっています。
液肥や活力剤を葉面散布するのも効果的です。
2、出開きを整理する
▲つるバラの出開き
出開きとは、芽吹いたけれど2~3枚の葉が展開しただけで成長をストップした芽です。ちょうど上のような状態が出開きです。
芽吹きから春の開花までの間、少しでも光合成に役立てるために、出開きはそのまま放置するのをオススメしていますが、春花が終われば話は変わります。
どんなに健康なつるバラでも、探せば出開きがたくさんあるはずです。この芽を取り除くことで、株が使っているエネルギーに空きをつくり、ベイサルシュートが出やすい状態にします。
▲混み合ったところを中心に出開きを取る
出開きを探してみれば分かりますが、かなりたくさんあります。すべてを取り除く必要はありません。狙うのは、上の写真の〇印のあたり。つまり、葉が混みあっているあたりです。
梅雨時期のつるバラは、もうかなり葉が茂っています。出開きは枝にはりついたような状態なので、ほかの葉の下になっています。つまり、光合成にあまり貢献していないのです。
こういう、あまり役立っていない葉を取り除くことで、株のエネルギーに余力をつくることができます。
▲出開きをつまんで下に引き下げて取り除く
出開きを取り除くときは、ハサミで切るよりも、つまんで下に引き下げて取り除く方法がオススメです。この方法なら、芽自体をなくすことができます。
付け根をハサミで切る方法だと、しばらくすると新芽が復活することがあります。
3、古い主幹を整理して新しい枝へ世代交代する
▲色が悪くなった古い主幹
どんなつるバラも、じょじょに枝が老化していきます。老化した枝は芽吹きも花付きも悪くなり、やがて枝自体の色も悪く黄色っぽくなっていきます。
上の写真の上下の枝を見比べてください。明らかに上の枝が黄色っぽく、老化しているのが分かります。
こういう枝を春花後に株元から切り取ることで、ベイサルシュートの発生が促されます。
しかし、ここで大切な注意点があります。
ベイサルシュートが発生する前に老朽化した主幹を切ってもいいケースと、ベイサルシュートが発生してから古い主幹を切った方がよいケースがあるのです。
ベイサルシュート前でも切れるケース
▲状態の良いほかの主幹が十分あるなら、古い主幹を先にカットしてもOK
状態の良いほかの主幹が数本あるなら、古い主幹を先にカットしても大丈夫です。
目安として、つるバラの主幹は4~5本あるのが理想とされます。4本ていどの状態の良い主幹があれば、古い1本をカットしても大丈夫です。
もし1本しかないつるバラの主幹を、ベイサルシュートが発生する前に切ってしまうと、大惨事になりかねません。
さらに、つるバラにはベイサルシュートが発生しやすい品種と発生しにくい品種があるので、注意してください。これについては次の章で解説しています。
ベイサルシュートの発生を待った方がよいケース
▲ベイサルシュートの発生後に古い主幹を切り取る
つるバラは枝先が長いので、場合によっては枝先は日が当たるけれど、株元付近は日当たりが悪いというケースがあります。また、我が家のように鉢でつるバラを育てている方もいるでしょう。
そんなときには、ベイサルシュートがある程度育ってから古い主幹をカットしてください。
上の写真は我が家で鉢栽培しているつるバラです。赤い矢印の枝はすべてベイサルシュートです。3本発生して、ある程度育ったのを確認してから青い矢印の古枝をカットします。
あまり環境の良くないつるバラは、必ずベイサルシュートが発生するわけではないので、「ベイサルシュート発生→古い主幹カット」この順番を守りましょう。
4、2番花をあきらて、エネルギーを温存する
▲グラハムトーマスの2番花
今年、どうしてもベイサルシュートを出したいと思っているつるバラが、返り咲きする品種だったら。そんなときは返り咲きの2番花をあきらめるのも一手です。
花に使われるエネルギーを空けて、その余力でベイサルシュートが発生しやすくなります。
ロザリアンの経験則で効果があると言われる方法
▲株元によく日が当たるようにする
これは科学的な裏付けがあるわけではないけれど、ロザリアンの経験則として効果があると言われている方法です。
株元にしっかり日が当たっていると、ベイサルシュートの発生がしやすくなります。株元を暗くしている草花を整理したり、周りに置いている鉢を動かしたりして日当りを確保しましょう。
つるバラは品種によって主幹の更新速度が違う
一般的なつるバラ
▲クライミング樹形のつるバラ「シンパシー」の春花
一般的なつるバラの主幹は、年数を経るごとにじょじょに劣化して花付きが悪くなります。そのため、新しいベイサルシュートが出たら、古い主幹を切って株を良い状態に保ちます。
目安として、3~4年経ったら、新しいベイサルシュートに更新するという方法が一般的です。
更新型のつるバラ(ベイサルシュートがよく出るタイプ)
▲我が家の「紅玉」
じつは、品種により主幹の更新スピードは異なります。
たとえば我が家で育てている紅玉は、主幹の花付きが悪くなるのが早い、つまり更新速度が速いタイプです。
発生した翌年のベイサルシュートはとてもたくさんの花を咲かせますが、その次の年になるとかなり花付きが落ちます。それを補うように毎年たくさんのベイサルシュートが上がるので、毎年、新しいベイサルシュートと古い主幹を更新しながら育てています。
古くから日本にある「キング」などのランブラー系統のバラも、たくさんのベイサルシュートを上げて頻繁に主幹更新しながら育てる更新型のつるバラです。
このタイプでは、一度にたくさんのベイサルシュートが発生することもあります。必要な本数だけ残し、残りは早めに整理すると樹形を保ちやすくなります。
骨格維持型のつるバラ(古い主幹が長く使えるタイプ)
▲アンジェラはベイサルシュートが発生しづらい品種
逆に「アンジェラ」や「ピエールドゥロンサール」、「つるアイスバーグ」などは、ベイサルシュートが発生しにくい品種です。
苗が新しいうちの数年間はベイサルシュートが発生しますが、年数を経るごとにベイサルシュートが出にくくなります。
ベイサルシュートが発生しにくいということは、古い主幹が劣化しづらく、毎年同じ主幹からたくさんの花を咲かせるタイプということ。つまり、主幹の更新頻度が少なく、長い期間同じ枝を使えるタイプなのです。
こうした骨格維持型のつるバラでは、新しいベイサルシュートが十分育つ前に古い主幹を切ると、花数が大きく減ることになります。注意してください。
一般タイプのつるバラか、更新型か、骨格維持型か、自分の品種がどのタイプなのか分からない場合は、まずは古い主幹を急いで切らず、新しいベイサルシュートが育ってから更新すると安心です。
まとめ│つるバラを良い状態に保つには、主幹の世代交代を
今回は、つるバラのベイサルシュートを出やすくする手入れと、主幹を上手に交代させるコツについて紹介しました。
つるバラは、木立ちバラに比べて手入れが楽なバラです。樹勢の強い品種が多いし、木立ちバラのように細かい剪定が必要なわけでもありません。手入れが楽でよく咲いて、満足感が高いバラ。それがつるバラです。
ただしシュート、とくにベイサルシュートを出して適宜、主幹を世代交代させていくのが美しく咲き続けさせるコツです。
ベイサルシュートは、無理に出させる枝ではありません。株に余力をつくる管理を続ければ、必要なタイミングで自然と発生しやすくなります。
今回紹介した方法を取り入れて、少しずつ株を若返らせながら、何年も長くつるバラを楽しんでください。
シュートについては、知りたい目的別に、それぞれの詳しい記事へ進んでください。
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