7月の新苗の状態

7月の新苗は、梅雨明け前の2度目の鉢増しが最大のポイントです。

6号鉢から8号鉢へ鉢増しすることで、根が伸びるスペース(根域)が広がり、新苗はさらに大きく丈夫な株へ育っていきます。

また、梅雨明けからは一気に真夏の暑さがやってきます。暑さ対策や水やり、蕾摘みなど、夏を元気に乗り切る管理も欠かせません。

このページでは、2度目の鉢増しの方法と夏管理のポイントを写真付きで解説するとともに、「根域」とエネルギー管理の考え方についても分かりやすく紹介します。


7月の新苗は、2度目の鉢増しでさらに大きく育てよう

7月のバラのサイクル図

▲年間サイクルの中で、今はこの位置です(7月)

月の6月では、株元から発生した元気なベイサルシュートを適切にピンチしました。そして、ベイサルシュートを題材に、「頂芽優勢」という植物の性質を理解しました。

 

頂芽優勢は、樹形づくりと関係の深い性質です。頂芽優勢を意識することで、こんもりとした良い樹形をつくることができます。良い樹形は見た目がいいだけでなく、バラが健康に育ちやすく、管理もしやすい樹形です。

 

7月の学びは「根域」(こんいき)です。これを理解すると、鉢の大きさの大切さが分かり、5月のときとはまた違った角度でエネルギー管理について深く理解できるようになります。

 

YOUYOU

先月は、生物の時間に習った「頂芽優勢」について、実際に見ながらその仕組みをおさらいしたわね。

考えてみたらバラって植物だから、生物の知識が必要になるのは当然なのね。

じつはわたし生物は得意じゃなかったけど、でもバラの話を絡めた説明は面白いと思ったわ。

あいびーあいびー

学校の授業より、実際のバラを見ながらだから、こっちの方が面白いし理解しやすいわよ。

今月は、土の下、根に注目していきましょう。

植物が根を張る範囲を「根域」といって、これがとても重要なの。

7月の新苗の育て方│やること一覧

7月のやることリスト

・梅雨明け直前(7月はじめ)に2度目の鉢増し 肥料やり・病虫害対策

・梅雨明け後は暑さ対策を マルチング・二重鉢

・通常管理 蕾をピンチ・活力剤の利用

7月の新苗の状態

7月の新苗の状態

▲7月初めは6号鉢から8号鉢へ、2度目の鉢増しをする時期

イサルシュートが2本発生し、先月よりこんもりと葉を茂らせている7月の新苗。梅雨時期はバラがどんどん生長する時期なので、根もしっかり張って、6号鉢では窮屈になりつつあります。

 

梅雨明け直前の7月初めは、新苗の2度目の鉢増しをする時期です。

 

2度目の鉢増しでは6号鉢→8号鉢に鉢増しします。一気に10号鉢にしたほうが、後の管理が楽そうに思えますが、それは避けた方が無難です。一気に鉢を大きくすると、土がなかなか乾かず、根腐れしやすくなります。

梅雨明け前に鉢増しする理由

鉢底から根が出ている

▲こんなふうに鉢の底穴から根が出てきたら鉢増しを

通常、新苗の2度目の鉢増しは「鉢の底穴から根が飛び出してきたら鉢増ししましょう」と、言われます。

 

しかし、これは6月での話。7月に入ったら、鉢底から根が見えてこなくても、梅雨明け直前には2度目の鉢増しをします。

 

理由は2つあります。

 

1、真夏に鉢増しするのはバラにダメージになるから、梅雨のうちに鉢増しを行う

 

2、6号鉢のままでは夏に水切れしやすくなり、何度も水やりしなければいけなくなるから、あらかじめ鉢増ししておく

 

順調に育っている株なら、鉢底から根が見えていなくても、すぐに6号鉢では窮屈になるのが分かっています。だから、少しでもバラに負担にならない梅雨のうちに鉢増しをするのです。

新苗の2度目の鉢増しをしよう

1、6号鉢から株を抜く

2度目の鉢増し1

▲片手で台木をもち、もう片手で下向きに叩くと鉢が抜ける

まず、今植わっている6号鉢から株を抜きます。

 

片手でしっかり株元の台木部分を持ち、少しだけ鉢を浮かせ、もう片方の手を拳に握って鉢の縁をトントン下向きに叩きます。

 

プラスチック鉢なら、これでスルリと抜けます。

 

2度目の鉢増し2

▲かなりしっかり根が張っている

健康そうな白い根がびっしりと張っています。これくらい根が張っていれば、健康状態はじゅうぶんです。

 

根鉢(根で鉢と同じ形になっている状態)を崩さないよう注意しながら、鉢底ネットを外しましょう。

2、8号鉢に、鉢底石、バラの培養土を少し入れる

2度目の鉢増し4

▲鉢底石とバラの培養土を少し入れる

8号鉢に、鉢底石を一層入れ、バラの培養土も少し入れます。

 

細かいネット状に穴の開いている鉢は鉢底石を入れなくてもいいという先生もいますが、わたしは、8号以上の大きさの鉢には少し入れるようにしています。

 

8号鉢以上のサイズは、これから長くバラを育てる鉢なので、少しでも水はけの良い状態にしたいからです。

 

ここは、好みで構いません。

3、高さを調整して植え付ける

2度目の鉢増し4

▲根鉢の土が鉢の縁から2~3cm下になるように調整

根鉢を崩さずに鉢に置き、根鉢の表土が鉢の縁から2~3cm下になるように、土の量を調整します。

 

上の写真の状態では、鉢の縁から4cmくらい下になっているので、もう少し土を足して高さを調整します。

 

この鉢の縁から下2~3cmが、水やりのときに水を溜める場所、つまりウォータースペースとなります。

4、培養土を入れて根鉢を固定する

2度目の鉢増し5

▲鉢との隙間にバラの培養土を入れる

鉢との隙間にバラの培養土を入れます。

 

ときどき鉢を少し持ち上げ、床にトントンして土を落ち着かせます。

5、固形肥料、ベニカXガードを施す

2度目の鉢増し6

▲固形肥料、ベニカXガードを撒く

支柱とラベルを戻したら、固形肥料、ベニカXガード(病虫害予防薬)を1株あたりの規定量10gを撒きます。

 

バラの培養土には元肥が入っているので、固形肥料は規定量の半分を目安に。グリーンそだちEXなら8号鉢の規定量15個のところ、半量の7個を置きます。

 

肥料はバラの株から離して、鉢に沿うように置きましょう。このように置くのには2つの理由があります。

 

1、肥料分が溶け出したばかりの濃い成分が、太い株元の根に当たって肥料焼けを起こしてしまうと、大切な太い根を傷めてしまう恐れがあるから。

 

2、水や肥料を吸収する根は白根です。バラの白根は株から少し離れたところに密集しているので、肥料を鉢に沿うように置くことで、すみやかに吸収されやすくなるから。

6、たっぷり水やりして完了

2度目の鉢増し7真夏の水やり

 

▲鉢底からたっぷり水が流れ出るまで水やりして完了

ウォータースペースに水を溜める要領で、鉢底からたっぷり水が流れ出るまで水やりを。最初の水やりは、通常よりしっかり時間をかけて行います。

 

新苗の2度目の鉢増しポイント

・6号鉢の次は必ず8号鉢に。いきなり10号鉢にするのは、あまり良くない。

・鉢を抜くときは、必ず台木(土に近い茶色の幹)を持つこと。

・根鉢は崩さない。

・まだ支柱を立てておく。

・肥料は規定量の半分を目安にする。

・病気と害虫対策の薬剤を撒く

 

YOUYOU

5月にやった、1回目の鉢増しとやり方はほとんど同じね。

鉢増しすると、もっと大きく育つようになるのよね!?

あいびーあいびー

その通りよ。どうして鉢増しすると大きくなるのか、その理由も考えてみてね。

2度目の鉢増し後の管理方法

置き場所

鉢増し後は、1~2日、半日陰に置いてからじょじょに日向管理に移します。

 

猛暑の夏はバラに負担になりやすいので、頻繁な水やり、マルチングや二重鉢などの、暑さ対策をしっかり行ってください。

 

暑さに弱い品種や、バラの夏越しに自信がないなら、夏の間は半日陰栽培でも構いません。

水やり頻度

雨続きの梅雨の間は鉢が乾きにくい状態です。その一方で、雨が当たっているからと油断すると、雨水が鉢土にかかっていないというケースもあります。かならず手で土の乾きを確認して、乾いていたらたっぷり水やりします。

 

梅雨明け後は、急激な暑さになり、鉢土が乾きやすくなります。日向管理だとほぼ毎日水やりが必要になってきます。場合によっては朝・夕2回の水やりが必要になる場合もあります。

 

真夏の水やりは、1回目は鉢の中の熱気を流すつもりで、2回目でフレッシュな水を与えるつもりで。いつもの倍量を与えましょう。

 

真夏の水やりのコツは、専門記事で確認してください。

→リンク準備中

肥料・活力剤

肥料は、鉢増しのときに規定量の半量を与えます。

 

梅雨の日照不足の改善に、続く猛暑の夏のストレス軽減に、積極的に活力剤を利用しましょう。

病気・害虫

梅雨時期は黒星病に注意を。ただし、ベニカXガードを使っていれば、それほどひどくならないことが多いです。

 

梅雨明けからはハダニに注意を。ハダニはベニカXガードでは防げない害虫です。ときどき葉裏にシリンジ(水をかける)して、予防しましょう。

 

黒星病とハダニ対策について詳しくは、それぞれの専門記事で確認してください。

黒星病対策はこちらからご覧ください

バラと小さなガーデンづくり

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夏の間は蕾を摘み続ける

蕾だけをピンチする

▲蕾だけを取り除く

気温が高い夏の間、バラは次からつぎへと蕾を上げますが、蕾が小さいうちに摘んでしまいましょう。

 

なぜなら、今はまだ株を大きく育てる時期だから。蕾や花はエネルギーをたくさん使うので、小さいうちに摘んで、そのエネルギーを株づくりの方に回してもらうのです。

 

蕾を摘む場合、なるべく蕾だけをピンポイントで摘みましょう。

 

葉は光合成してエネルギーを作り出す大切な器官です。1枚でも多くの葉を残し、エネルギーをたくさん作ってもらいましょう。

 

鉢増し後の管理まとめ

・置き場所 西日を避けた日当たりの良い場所に。管理に自信がなければ半日陰でOK

・水やり頻度 梅雨の間と梅雨明け後は急に水やりが変わります。土の乾きに応じた水やりを

・肥料 規定量の半量を、鉢増しのときに与える

・活力剤 梅雨の日照不足対策、夏の暑さストレス対策に、積極的に活用しよう

・病気と害虫 ベニカXガードで防除。ただしハダニには効果がないので、ハダニ独自の対策を

・夏の間は蕾を摘み続ける

なぜ鉢増しすると大きく育つの?

あいびーあいびー

2度目の鉢増し作業が終わったところで、改めてYOUちゃんに質問。

どうして鉢増しする必要があるんだと思う?鉢増しすると、どんないいことがある?

YOUYOU

さっきも聞かれて考えたんだけど・・・。

鉢増しすると、バラが大きく育つからよね。

でも、どうして大きく育つのかって改めて聞かれると、上手く説明できないわ。どうしてかしら?

バラは根域の大きさに合わせて育つ

根域を説明するイラスト

▲根域の小さいバラは上部も小さく、大きいバラは上部も大きい

バラはよく「地表面を境に上と下の大きさが比例している」と言われます。

 

つまり、根が大きい株は上部の枝葉がよく茂り大きく育つけれど、根が小さい株は上部の枝葉も大きくなることができません。

 

植物の根が広がっている範囲を「根域」(こんいき)というので「根域が大きいバラほど上部も大きく育つことができる」と言い換えることができます。

 

鉢栽培の場合は「鉢の大きさ=根域」です。つまり、鉢を大きくするということは、根域を広げる意味があるのです。

 

あいびーあいびー

根域が広ければ広いほど、水分も養分もたくさん得ることができるから、当然バラも大きく育ちます。

鉢植えより地植えのバラの方が大きいのは、根域がとても広いからなのよね。

YOUYOU

なるほど。鉢を大きくするってことは、根域が広くなるってことなのね。

だからバラが大きく育てるようになるのね。

根域を広げるのもエネルギー管理のひとつ

赤ちゃん苗だった新苗は今、どんどん枝葉を増やし大人の株目指して生長しています。わたしたちロザリアンは、その生長をサポートする手入れをします。

 

エネルギー消費の激しい花を咲かせないように蕾を摘むのは、今は花を咲かせるより株づくりにエネルギーを使ってほしいからです。

 

なるべく葉をつけずに蕾だけを摘むのは、光合成してエネルギーをつくりだす葉を1枚でも多く残すためです。葉はよく「ソーラーパネルみたいなもの」と説明されます。光からエネルギーを生み出す器官と言う意味では、本当に分かりやすいたとえですね。

 

葉がソーラーパネルなら、根は、その材料となる水や養分を集める補給基地です。鉢増しで根域を広げることで、水分や養分をたくさん吸収できる根を増やし、多くのエネルギーがつくれる体をつくってもらいます。

 

こうしてみると、バラ育てはエネルギー管理を念頭に考えると、とても分かりやすくなると思いませんか?

梅雨明けから始めたい暑さ対策

7月は、梅雨明けと同時に、猛暑の夏へと季節がガラリと変化します。

 

鉢植えの場合、鉢の中が熱くなることで根が焼けてしまうことがあります。体を支える大切な補給基地である根が焼けると当然、バラは調子を崩します。

 

そうならないように、梅雨明けと同時に暑さ対策を始めましょう。

マルチング

鉢の上になにかを置いて土が熱くなったり、乾きすぎたりするのを防ぎます。夏にやってくる怖い害虫コガネムシの産卵防止にも役立ちます。

 

マルチング材にはいくつかの種類があります。

1、バークチップ、ウッドチップ、クルミ殻

鉢土が熱くなりすぎたり、乾きすぎるのを防ぎ、コガネムシの産卵防止にもなります。

2、腐葉土

鉢土が熱くなりすぎたり、乾きすぎるのを防ぎますが、コガネムシの産卵防止にはなりません。

3、セダム(マンネングサ)

セダムで鉢土を覆う方法も効果的です。コガネムシの産卵防止にもなります。

二重鉢、遮熱カバー、半日陰に移動

二重鉢

▲一回り大きな鉢を鉢カバーにする「二重鉢」

鉢側面からの熱をさえぎり根が焼けるのを防ぐには、一回り大きな10号鉢を鉢カバーにして鉢を二重にする「二重鉢」が、もっとも一般的な方法です。

 

遮熱カバーで鉢を覆う商品を使ったり、100円ショップにもある遮熱フィルムを紐で固定するなどの方法もあります。

 

太陽の熱から根を守り、暑い夏を元気なまま乗り越えましょう。

 

もしスペースがあるなら、夏の間だけ鉢を半日陰に置くのが、もっとも簡単な暑さ対策になります。半日陰栽培なら、マルチングも二重鉢もナシで大丈夫です。

まとめ│根域を広げて、新苗をさらに大きく育てよう

今回は、7月の新苗の育て方を紹介しました。

 

7月のはじめ、梅雨が明ける前に2回目の鉢増しをして、根域を広げます。根域を広げることで、新苗はより大きな株に育ちます。

 

梅雨明けからは、急に暑さ厳しい季節に変わります。マルチングや二重鉢で、夏の暑さから根を守る準備をしましょう。

 

今月は「根域」の大切さについて解説しました。

 

根が広がれば木は大きくなります。

 

逆もしかりです。根がダメージを負って小さくなれば、大きな木を状態よく支えることができなくなります。バラが夏に不調を起こしやすいのは、根にダメージを負いやすいからです。

 

7月8月の猛暑の夏を、根にダメージを負わずに過ごすことで、秋にはきっと良い花を咲かせられますよ。

 

次の新苗の8月の育て方はこちらです

→準備中

毎月の育て方の全体は、こちらからどうぞ

バラと小さなガーデンづくり

バラの新苗の育て方|春から秋まで6カ月の育成ガイド

バラの新苗の育て方|春から秋まで6カ月の育成ガイド
初心者のための全体目次はこちらです

バラと小さなガーデンづくり

はじめてのバラ栽培|初心者向けガイド

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育て方の全体目次はこちらです

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バラの育て方/12カ月の育て方・季節ごと・一年を通して

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