6月の新苗は、来年の主幹になる大切な「ベイサルシュート」が伸び始める時期です。ここでの管理が、来年の花付きや株の樹形を左右します。このページでは、ベイサルシュート処理の方法や蕾摘み、追肥、2度目の鉢増しの目安まで、初心者向けに写真付きで分かりやすく解説します。


6月の新苗は、来年の株をつくる大切な時期

バラのサイクル図6月

▲年間サイクルの中で、今はこの位置です(6月)

月の5月では、新苗を6号鉢に鉢増しし、蕾をピンチして株を育てました。

 

なぜ蕾をピンチするのか、なぜ花を咲かせてはいけないのかは、「エネルギー管理」を考えると理解できます。花はとてもエネルギーを使うものなので、花や蕾を取り除くことで、その分のエネルギーを株づくりに回しているのです。

 

YOUYOU

前回教えてもらった「エネルギー管理」ね。

どうしても、花を咲かせないのは我慢しているって感じてしまうけど、本当は、たくさん花を咲かせられる丈夫な株を作っているのよね。

あいびーあいびー

その通り。そして6月は、もうひとつ大切な植物の性質を学ぶ時期よ。

「頂芽優勢」という性質。これを理解すると、樹形の大切さとベイサルシュートの扱い方が分かるようになるわ。

6月の新苗の育て方│やること一覧

6月のやることリスト

・ベイサルシュート処理

・蕾をピンチ

・鉢裏から根が出ていたら2度目の鉢増し

・肥料やり(最初の鉢増しから2週間以上たっていれば追肥を)

6月の新苗の状態

6月の新苗

▲6月~7月の梅雨時期は、バラがどんどん生長する時期

1カ月前は、まばらな葉がついたひょろりとした主幹1本だけの姿だった新苗は、ずいぶん葉が茂ってきました。

 

6月初旬~7月中旬にかけての梅雨時期は、バラがどんどん生長する時期です。枝葉が伸びるのも速いし、蕾も次つぎ発生します。

 

それともうひとつ、とても重要なことが起きる月です。それはベイサルシュート(ベーサルシュート)の発生です。上の写真でも、左右に1本ずつ計2本のベイサルシュートが伸びてきています。

 

大苗を育てた経験のある方なら分かると思いますが、ベイサルシュートは来年以降の主幹になる枝で、これを適切に管理することで、今後の花付きが良くなり、株の樹形が整います。もちろん新苗でも同じです。

 

今回はベイサルシュートの処理方法だけでなく、「なぜそうするのか」という理由も一緒に学んでいきましょう。

 

なぜバラ育てではエネルギー管理が大事なのか、なぜ頂芽優勢を意識することが大事なのか、さらに樹形をイメージする大切さも、ベイサルシュート処理から学ぶことができます。

 

あいびーあいびー

理科の時間に習った「頂芽優勢」について、思い出しながら読み進めてください。

きっと新しい発見や、バラへの深い理解が得られます。

ベイサルシュートを育てて丈夫な株をつくろう

ベイサルシュートとは?

新苗のベイサルシュート

▲株元から2本のベイサルシュートが発生

6月に入ったら、新苗の株元に注目してください。きっと勢いの良い新しい枝が出て来ているはずです。ベイサルシュートです。ベイサルシュートは秋まで適切に管理して、充実した枝に育てます。

 

充実したベイサルシュートには、秋の花から咲かせてOKです。もちろん、来年の春には主幹として、たくさんの花を咲かせてくれるはずです。

 

半日陰栽培の我が家では、だいたい2本のベイサルシュートが発生します。

高さ30cmを目安にソフトピンチする

左のベイサルシュート

▲左側のベイサルシュートを処理します

この新苗には2本のベイサルシュートが伸びています。矢印のベイサルシュートは、付け根から高さ33cmまで伸びています。目安として、高さ30cmを越えたらシュート処理をしましょう。

 

高さ30cmというのは、冬剪定まで見据えた、経験的にちょうど良い高さです。必ず30cmでなければいけないということはありませんが、これくらいで処理すると、後の作業がやりやすくなり樹形も整います。

枝先を折り取る方法

枝先を折り取る(ベイサルシュート処理)

▲枝先の柔らかいところをポキリと折る

枝先の柔らかいところを指でつまみ、ポキリと折り取ります。内芽・外芽を気にする必要はありません。上から葉っぱ3枚ていどをつけて折ります。

 

この、指で折れるくらい柔らかい場所をピンチするのが、良い枝をつくるためのシュート処理方法です。これを「ソフトピンチ」といいます。

 

ソフトピンチ後

▲葉っぱ3枚をつけてソフトピンチ

上から葉っぱ3枚をつけてソフトピンチしました。

 

ソフトピンチした枝が、この後どんなふうに育っていくのか、ちょっとお見せしましょう。

ソフトピンチ後はこう育つ

ソフトピンチ後の枝

▲ソフトピンチした部分が分からないくらい自然につながり、元の枝と同じくらい太く充実した枝になる

これは別の株での例です。指で折り取れるくらい柔らかい場所は芽吹きが早く、枝の再生もとても早いので、その結果、上の写真のように真っすぐキレイにつながります。

 

しかも元の枝同等、いやむしろ太い枝になっていますね。こうして充実した良い枝に育てていくのが、シュート処理の目的です。

 

YOUYOU

すごーい!ピンチしたところがぜんぜん分からないわね。こんなふうになるなら、シュート処理も怖くないわ。

あいびーあいびー

ポイントは、指で折り取れるくらい柔らかいうちにやるってことよ。

枝が硬くなってからハサミで切ったら、こんなふうにならないから気をつけて。

蕾が見えたらすぐピンチする

もしベイサルシュートの先に蕾がついたら、その時点で蕾をピンチして取り除きます。30cmになるのを待つ必要はありません。蕾がつくと、バラは蕾にばかりエネルギーを注いでしまい、枝が伸びなくなってしまいます。

 

早いめに蕾を摘むことで、さきほどの写真のように、1本のしっかりした枝として長く伸びてくれます。

なぜベイサルシュートを低く管理するの?

理科で習った「頂芽優勢」を思い出そう

頂芽優勢の説明

▲枝の一番上の芽が優先的に育つ

小学校の理科の授業を思い出してください。頂芽優勢とは、植物の一番上にある芽(頂芽)が優先的に伸び、それより下にある芽(わき芽)は伸びるのを抑制されるという現象です。

 

じつは植物の先端でつくられる「オーキシン」というホルモンが、わき芽を伸ばすのを抑制する働きがあるためです。

 

上の写真で説明すると、もともと枝先が頂芽だったところ、枝先を折り取ったために矢印の芽が頂芽となり、今後はこの芽が伸びるようになります。

 

YOUYOU

これ、覚えてるわ。植物って面白いと思ったおぼえがある!

枝だけでなく株全体にも頂芽優勢は働く

頂芽優勢の説明2

▲もし株から極端に飛び出した枝を作ってしまったら?

この写真はベイサルシュートが他の枝より高く伸びている様子です。この枝を、もし赤い線のところでピンチしたらどうなるでしょう?

 

じつはバラでは株全体でも頂芽優勢のような働きが起こります。

 

そのため、他の枝より高く伸びているこの2本のベイサルシュートの枝先の芽が優先して伸び、それより低い枝の芽は抑制されて伸びないということになります。

 

翌年もこのまま、極端に飛び出した枝をつくったままにしておくと、この2本だけに花が咲き、ほかの枝は枯れないけれどまったく動きを止めたままになります。

 

バラの株は全体に同じ高さになるよう、ドーム状にこんもりとした姿に仕立てましょうと言われます。

 

それはこんもりした株姿がオシャレだからという見た目だけの問題ではなく、株のなかで極端な頂芽優勢を作らないことで、花数を増やす目的があるのです。

 

YOUYOU

「こんもり樹形にしましょう」って聞くけど、それってただの見た目だと思ってたわ。そんな大事な意味があったのね。

あいびーあいびー

今回は花付きだけを紹介したけど、日光の当たりやすさとか、葉の乾きやすさとか、薬剤の当たりやすさとか、いろんな意味で樹形ってとても大事なの。

これについては、また別の機会に紹介するね。

こんもり樹形が花数につながる理由

ベイサルシュート処理後の新苗

▲ベイサルシュートの処理後の新苗

これは、新苗のベイサルシュート処理をした後の写真です。株の左側にあるのが、ピンチで先端を折り取ったベイサルシュートです。ほかよりかなり低く抑えられているのが分かると思います。

 

じつはベイサルシュートはとても勢いの強い枝なので、株全体での頂芽優勢をものともしません。他の枝と同じ高さでピンチしても、勢いが強いので、すぐに他の枝より高く伸びてしまいます。

 

そのため、ベイサルシュートは他の枝より10cmほど低くピンチします。こうして株全体のバランスを保ちながら育てることで、他の枝にもエネルギーが行き渡り、こんもりとした丈夫な株になります。

 

あいびーあいびー

勢いのある枝を短くするのはもったいなくて思いきれない初心者さんは多いけど、ほかの枝より10cmくらい短くしても絶対に枯れないから大丈夫よ!

YOUYOU

もったいないのもあるけど、何より怖いのよー!枯れたらどうしようって思っちゃう。

大丈夫だと言ってもらえて安心したわ

6月の管理ポイント

引き続き蕾をピンチ

蕾をピンチ

▲蕾をみつけたら、すぐにピンチで取り除く

5月に引き続き、蕾をみつけたら、すぐにピンチして取り除きます。

 

ベイサルシュートの枝でも、ほかの枝でも、見つけ次第ピンチしましょう。

追肥│普段より控えめに

最初の鉢増しから2週間以上たっていれば、追肥をしましょう。

 

梅雨時期はあまり日差しがないので、通常の環境の方でも規定量の6分目ていど。我が家のように半日陰なら4~5分目ていどを目安に追肥してください。

 

グリーンそだちEX「IBのチカラ」の場合、6号鉢の規定量が10粒なので、通常の環境ならなら6粒、半日陰なら4~5粒です。

2度目の鉢増しの目安

鉢裏チェック

▲鉢裏をチェックして、根が飛び出していれば2度目の鉢増しを

最初の鉢増しから2カ月ほどで2度目の鉢増し時期になります。もちろん生長のしかたはそれぞれの株ごとに違います。目安として50日たったあたりから、ときどき鉢の裏をチェックしてみましょう。

 

鉢底から根が飛び出していれば、2度目の鉢増しをする適期です。

 

上の写真のように、この株はまだ根が飛び出していないので、7月になってから2度目の鉢増しをすることにします。

6月の病害虫対策|黒星病と梅雨入り前のハダニ

気温も湿度も高い梅雨時期は、病気なら5月に引き続き黒星病が猛威を振るいます。ベランダではウドンコ病も少し発生します。

 

軒下やベランダなど雨の当たらない場所は、ハダニが発生しやすい環境です。ハダニはベニカXガードが効かない虫です。じゅうぶん注意して対策してください。

農薬散布

最初の鉢増しから1カ月経ったら、ベニカXガードを散布。散布したらカレンダーに記入しておきましょう。

病気対策

病気耐性の高い品種なら、あまり病気には困らないはずです。病気耐性の低い品種の場合は、黒星病やウドンコ病の専門記事で確認して対策してください。

黒星病とウドンコ病対策はそれぞれの専門記事で確認してください

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害虫対策

ハダニ被害のバラの葉

▲プツプツと白く色が抜けてきたらハダニです

軒下やベランダなど、雨の当たらない場所で栽培している方、とくにミニバラを近くで育てている方は、梅雨入り直前のハダニに注意してください。

 

ハダニはベニカXガードを使っていても防げない害虫です。水で手軽に対策できるので、専門記事で確認してください。

ハダニ対策はこちらで確認してください

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【バラのハダニ対策】ミニバラが狙われる理由とベランダで実践できる予防・駆除法

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6月の管理まとめ

6月の管理まとめ

・水やり 鉢土が乾いたらたっぷりと

・置き場所 なるべく日当たりの良い場所に

・肥料 最初の鉢増しから2週間以上たっていれば、控え目にほどこす

・活力剤 梅雨時期は日照不足になりやすいので、活力剤の利用をおすすめ

・病気 ベニカXガード散布で防除

・害虫 ベニカXガード散布で防除・梅雨入り前のハダニ対策

水やり頻度

梅雨は土が乾きにくい時期なので、鉢土が乾いたらたっぷり与えます。これまでより、水やり頻度はゆっくりになります。

置き場所・活力剤

なるべく日当たりの良い場所に。

 

梅雨時期はあまり日差しがないので、日照不足を補うため、リキダスなどの活力剤の利用をオススメします。

肥料

最初の鉢増しから2週間以上たっていれば、追肥を行います。あまり日差しのない時期なので、規定量の6割ていどを目安に与えてください。半日陰栽培の方は、さらに少なく4~5割ていどの量を与えます。

6月の新苗の育て方まとめ│ベイサルシュートを適切に処理してキレイな樹形を目指そう

6月の新苗は、ベイサルシュートが伸びる時期です。ベイサルシュートは来年の主幹になる大切な枝なので、きちんとシュート処理を行い、花を咲かせないように大事に育てましょう。

 

初心者さんは、勢いの良いベイサルシュートを低くピンチするのがもったいなくて、高いままにしてしまうことが多いです。そうすると、頂芽優勢の原理にもとずき、育つのはベイサルシュートばかりになってしまいます。

 

樹形は見た目だけじゃなくて、花つきにも強く影響する大切な問題です。飛び出した枝のないこんもり樹形をイメージしながら、ベイサルシュートはしっかり低くピンチしていきましょう。

 

早いうちから樹形を意識していけば、この先の管理も楽になるし、花もたくさん咲いてくれるようになりますよ。

 

次の新苗の7月の育て方はこちらです

→準備中

毎月の育て方の全体は、こちらからどうぞ

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バラの新苗の育て方|春から秋まで6カ月の育成ガイド

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はじめてのバラ栽培|初心者向けガイド

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バラの育て方/12カ月の育て方・季節ごと・一年を通して

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