シュラブ系統のバラは、木立ちバラと同じように夏剪定していいのでしょうか? じつはシュラブには、夏剪定に向くタイプと、あまり向かないタイプがあります。 品種や株の性質に合わせた夏剪定の時期と切り方を、実例を交えて紹介します。 思い通りに秋花がそろわないシュラブとの付き合い方も、わたしの経験から解説します。
シュラブ系統のバラは、夏剪定と少し相性が悪い
▲シュラブ系統のバラだけで構成されたガーデン
夏剪定は、日本の気候とバラの性質を考慮して考案された、日本独自の手入れです。
必ず必要な手入れではありませんが、これを適切に行うことで、秋の開花に適した気温のころにまとまってバラの秋花を咲かせられる開花調整技術です。
近年は、「シュラブ系統」のバラ品種が増えていますが、じつはシュラブ系統のバラは、夏剪定と少し相性が悪く、一筋縄ではいきません。
シュラブ系統のバラは品種により性質がまちまちで、「四季咲きの木立ちバラ」そっくりな性質の品種もあれば、「一季咲きのつるバラ」そっくりな性質の品種もあります。
そしてほとんどのシュラブ系統の品種は、両者の中間的な性質をもっています。比較的「四季咲きの木立ちバラ」寄りの品種や、比較的「一季咲きのつるバラ」寄りの品種などさまざまです。
しかもシュラブ系統のバラは環境による影響を受けやすいところがあるので、たとえ同じ品種でも、育てている家庭により違った育ち方になることがあります。
つまり「シュラブ系統のバラはこうすればいい!」とひとくくりに言い切れない難しさがあるのです。このあたりが「シュラブは難しい」と言われるゆえんで、夏剪定でもやはり少々難しいです。
夏剪定に向いているシュラブ、向かないシュラブ
シュラブ系統のバラには、さまざまな性質をもっているバラがありますが、夏剪定向きのシュラブと夏剪定に向かないシュラブを、あるていど見分ける方法を紹介します。
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夏剪定向きシュラブを見分ける目安 ・「四季咲き」シュラブなら、夏剪定向き ・「繰り返し咲き」シュラブなら、夏剪定を試す価値あり ・「返り咲き」シュラブなら、秋も少し咲く可能性はあるが、夏剪定には向かない ・「一季咲き」シュラブは、秋は咲かない |
ただし、バラの開花性についての「四季咲き」「繰り返し咲き」「返り咲き」などの表記には、販売店やナーセリーによって違いがあります。ここでは、これらを夏剪定との相性を考えるための、おおまかな目安として見てください。
なお、夏剪定は本来、しっかり育った大株に向いた手入れです。この記事では、わたしが実際に育てている鉢バラを例に、シュラブ系統の夏剪定について紹介します。大株ではない鉢バラでの実例ですが、シュラブの性質と夏剪定との相性を考える参考として読んでください。
四季咲き性が強い品種は夏剪定向き
▲小型シュラブの「アレゴリー」は、ほぼ「四季咲きの木立ちバラ」と同じ性質
これはデルバールの「アレゴリー」です。「アレゴリー」はシュラブ系統のバラですが、樹高80cmていどの小型シュラブで、四季咲き性の強い品種です。
春の1番花の後、2番花、3番花と、花がらを切り戻したところに必ず蕾をつけます。シュラブ系統とはいえ、ほぼ「四季咲きの木立ちバラ」と同じ性質をもつ品種です。
こういう品種なら、「四季咲きの木立ちバラ」と同じ夏剪定をすることで、10月中・下旬ごろにまとまって秋花を咲かせることが狙えます。つまり、夏剪定向きのバラなのです。
「返り咲き」ていどの品種は夏剪定に向かない
▲「グラハムトーマス」は「返り咲き」のシュラブ
一方、イングリッシュローズの「グラハムトーマス」は、「返り咲き」表記のシュラブです。自然に咲かせれば秋にもある程度咲くことがありますが、秋花はかなり少ないか、ほとんど咲かないこともある品種です。
こういう品種に夏剪定しても、秋にそろって咲かせる開花調整は難しい。つまり「グラハムトーマス」は、あまり夏剪定向きではない品種といえます。
ここまで見てきたように、シュラブ系統のバラは品種により性質がまちまちなので、夏剪定向きの品種と夏剪定に向かない品種を見分けることが大事です。
目安として、「四季咲き」または「繰り返し咲き」表記の品種なら、夏剪定を試してみる価値があります。
「返り咲き」表記の品種は、夏剪定をしてもいっせいに咲かせるのが難しいことが多く、「一季咲き」表記の品種は春しか咲かないので夏剪定しても枝が短くなるだけで意味がありません。
シュラブの夏剪定は、木立ちバラより早めに
シュラブ系統の秋花は、木立ちバラよりも枝がぐっと伸びてから花をつける傾向があります。
そのため、夏剪定する場合は、木立ちバラより早めに行うことがすすめられています。蕾をつける前に、枝を十分伸ばすための時間が必要だからです。
目安としてよく言われるのが「お盆過ぎ」です。ただし、これも一律に「8月15日以降」と考えるものではありません。
品種や株の状態、育てている環境、その年の気候によって、枝の伸び方や蕾の上がり方が変わるからです。
いつまでも暑いなら8月下旬~9月初旬に遅らせる、比較的早く涼しくなったならお盆すぎに夏剪定するといった具合に、その年の気候に合わせて時期を判断してください。
シュラブの夏剪定は、株の性質を見て切り方を変える
木立ちに近ければ上1/3で剪定
▲赤または青いラインで剪定する
剪定する位置は、上1/3を切り取る赤いラインです。全体にドーム型になるよう、だいたい同じ長さにそろえて切ります。花や蕾があっても残さず、すべて切り取ります。
これは四季咲きの木立ちバラの夏剪定と同じ方法です。木立ちバラに近いシュラブなら、この方法で夏剪定します。
▲10月下旬にそろって開花した「アレゴリー」の秋花
小型シュラブの「アレゴリー」は、9月6日に上1/3をカットする夏剪定で、10月下旬にいっせいに秋花が開花しました。上の写真は10月24日の撮影です。
迷ったら上1/4の弱剪定
▲赤または青いラインで剪定する
もしくは、上1/4を切り取る青いラインで浅く剪定する方法もオススメです。
シュラブ系統のバラは、木立ちバラより伸びやすい性質があることも多いので、品種特性が「繰り返し咲き」になっているなら、こちらの方法で秋バラがどう咲くか様子見するといいと思います。
夏剪定したら、秋花の咲き方を記録しよう
▲10月1日に開花した「デスデモーナ」の秋花
どの品種に9月〇日に、どの程度まで切り戻す方法で夏剪定したか、そして開花がいつだったか、夏剪定をしたらその記録を残しましょう。
それが、あなたの庭でのあなたの秋バラの咲き方です。
とくにシュラブは環境や品種により、秋花がどう咲くか読みにくいので、我が家のデータを残すことで、翌年以降の夏剪定をどうするかの参考にできます。
この機会に「バラの栽培ノート」をつけてみるのも良い方法です。
「バラの栽培ノート」のつくり方アドバイスはこちらからどうぞ
バラと小さなガーデンづくり
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我が家のレディ・エマ・ハミルトン、夏剪定の結果
▲「レディ・エマ・ハミルトン」の夏剪定後の秋花
ここからは、我が家のシュラブ系統のバラ「レディ・エマ・ハミルトン」に夏剪定した結果と、その結果を受けて、我が家でこれ以降どうすることに決めたかを紹介します。
「レディ・エマ・ハミルトン」は、樹高1mていどとあまり大きくならない品種で、春~夏ほんとうによく蕾を上げます。夏剪定向き品種に思えたので、木立ちバラの夏剪定同様に、上1/3をバッサリ切ってみたところ──。
9月10日に夏剪定した後、80日かかって11月下旬に1輪、90日かかって12月10日にもう1輪が咲きました。それが上の写真です。つまりこの年は、秋花がたった2輪しか咲きませんでした。
この品種が夏剪定に向いていないのか、我が家の環境のせいか、それともその年の気候のせいかハッキリしませんが、とりあえず我が家で「レディ・エマ・ハミルトン」に夏剪定するのはあまり良い結果につながらないのが分かりました。
▲9月12日の「レディ・エマ・ハミルトン」
この結果をふまえて、それ以降は我が家の「レディ・エマ・ハミルトン」に夏剪定しないことにしました。
上の写真は、夏剪定せずに管理した9月12日時点の写真です。樹高は65cm、蕾は9個あります。
10月中・下旬にいっせいに咲きそろうことはありませんが、今後はこの株のペースで咲きます。夏剪定をするよりも、格段に秋花の数が多く楽しめます。
これは「レディ・エマ・ハミルトンは秋に咲かない」という意味ではありません。上1/3を切り詰める方法の夏剪定ではいい結果にならなかったけれど、夏剪定をせず自然に咲かせれば、秋にも多くの蕾を上げたという実例です。
しかし上1/4をカットする夏剪定はやったことがないので、それでどうなるかは分かりません。
ここまでの結果を表にまとめました。
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我が家のレディ・エマの秋花の咲き方 ・夏剪定(上1/3カット)した年→80日後に1輪、90日後に1輪 ・夏剪定しなかった年→9月12日時点ですでに9個の蕾 ・軽い夏剪定(上1/4カット)は、まだやったことがない |
シュラブは、狙い通りに咲かなくても大丈夫
シュラブは規則的な育ち方をしないことが多い
▲頂芽から1段下がったところから新芽が伸びている
最初に「シュラブは夏剪定と相性が悪い」と書きましたが、その理由を2つ紹介します。
まずシュラブの場合、必ずしも頂芽が伸びるわけではありません。
上の写真のように、頂芽から1段2段下がったところから新芽が伸びることもよくあります。
▲枝先に必ず蕾がつくとは限らない
また、せっかく夏剪定したのに、新しく伸びてきた枝先に蕾がつかなくてガッカリ──なんてこともあります。それは夏剪定のしかたが悪いわけではありません。
じつはシュラブ系統のバラって、そんなもんです。
頂芽が伸びたり1段下がったところから伸びてきたり、枝先に蕾がついたりつかなかったり。たとえ咲いても夏剪定から40日で咲いたり80日かかったり・・・。
シュラブ系統のバラは品種によっても気候や環境によっても咲き方が変わります。
つまりシュラブ系統のバラって、狙い通りに咲かせるのがとても難しいバラなのです。でもそんな、人の思い通りにならない気ままなところも、シュラブの魅力だったりします。
咲いたらラッキーくらいの、ゆったりした気持ちで付き合うのが良さそうです。
夏剪定しないなら、咲いたら切り戻すでOK
▲9月に咲いたシュラブの秋花
なかなか思い通りにいかないシュラブの秋花。夏剪定ではなく「9月のリセット」の方が相性が良さそうです。
9月にもう蕾がついているなら、その蕾が咲いたら弱く切り戻しておけばOKです。上手くいけば、秋の2番花が咲くかもしれません。
9月にまだ蕾がないなら、枝先を軽く切り戻して、次の開花を待ってみてもいいでしょう。もちろん蕾がつかないかも知れませんが・・・。
そこはシュラブだからと、ゆるく付き合ってください。
「9月のリセット」のしかたは、こちらの記事で確認してください
バラと小さなガーデンづくり
バラの夏剪定をしないなら?9月のリセットで秋バラを楽しもう
まとめ│シュラブの夏剪定は品種次第。分からないなら弱剪定を基本に判断して
今回は、シュラブ系統のバラの夏剪定について紹介しました。いろいろ書きましたが、シュラブってもともと、あまりキッチリ規則正しい育ち方をするわけじゃないので夏剪定と相性が良くないバラです。
日本の四季を考慮して考えられた夏剪定。「四季咲きの木立ちバラ」に似た性質のシュラブなら、木立ちバラと同じように夏剪定を試してみるのもいいと思います。
どんな秋花の咲き方をするのか分からない場合は上1/4を目安に切り戻す、弱剪定がおすすめです。
でも、狙い通りに行かない品種もたくさんあります。こういう場合は、シュラブ系統のバラってそんなもんと諦めてください。
我が家の「レディ・エマ・ハミルトン」のように、夏剪定に向かない品種は、咲き終わったら切り戻すの都度剪定を繰り返します。やがて気温が下がるともう蕾を上げることができなくなるので、そうしたらバラの季節はおしまい。
シュラブとの付き合いは、職人技で狙い通りに咲かせるゾ! なんて気負わず、ゆるく行きましょう。
夏剪定しない場合は「9月のリセット」をおすすめ
バラと小さなガーデンづくり
バラの夏剪定をしないなら?9月のリセットで秋バラを楽しもう
基本の夏剪定のやり方はこちらの記事で確認してください
夏剪定するタイミングを考えるのに役立つ情報はこちらから
そもそも夏剪定とは?初心者向きにQ&Aでこたえます
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