バラの葉がレース状になったり、穴だらけになったりしていませんか? それは「ハバチ類」の幼虫による食害かも知れません。
バラの害虫として有名なチュウレンジバチだけでなく、クシヒゲハバチやオオシロオビクロハバチによる被害も意外と多く見られます。今回は、葉の食べられ方の違いから見分けるポイントと、それぞれの対処法・予防方法を初心者向けに紹介します。
バラの葉がレース状・穴だらけになるのは「ハバチ類」かも
▲穴だらけのバラの葉
バラの葉が穴だらけになってしまう・・・。もしかしたらそれ、ハバチの幼虫のせいかも知れません。バラの葉を食べる害虫はさまざまです。代表的なところではハバチ類の幼虫、ヨトウムシなどのイモムシやシャクトリムシ(蛾の幼虫)、コガネムシやバッタまで。
なかでもハバチ類の幼虫は集団で食害するので、ほんの1日でバラの葉がボロボロにされてしまうことも少なくありません。
バラにつくハバチというと「チュウレンジハバチ」(正確にはチュウレンジバチ)が有名ですが、実際には「クシヒゲハバチ」や「クワガタハバチ」、「オオシロオビクロハバチ」による被害も多く見られます。
このページでは、これらバラの葉を食べるハバチについて、その見分け方と対処法をまとめて紹介します。
ハバチは蜂の仲間だが、人は刺さない
名前に蜂とついているので刺されると思ってしまいがちですが、じつはハバチは人を刺すことはありません。
ハバチの成虫(メス)はお尻に針をもっていますが、これは植物に産卵するための管で、攻撃するためのものではなく毒ももっていません。ハバチの成虫に攻撃されることはないので、その点では安心して大丈夫です。
被害を出すのは幼虫
成虫はあまり問題ではないけれど、幼虫はバラにとって大問題です。成虫がバラに産卵し、孵化した幼虫が集団でバラの葉を食べるので、またたくまに葉がボロボロにされてしまいます。
見た目も良くないし、もちろん葉が減れば光合成効率も悪くなります。
ハバチの種類によって葉の食べられ方が違う
チュウレンジバチ、クシヒゲハバチ、クワガタハバチ、オオシロオビクロハバチ、それぞれのハバチの種類によって被害の出方は違います。
チュウレンジバチ幼虫は葉の縁から食べ始めます。クシヒゲハバチ幼虫とクワガタハバチ幼虫、オオシロオビクロハバチ幼虫は、葉裏の真ん中から食べ始めるので、幼虫がまだ小さいうちは葉がレースのように透けて見えます。
どのハバチも、いずれ葉脈だけを残してバラの葉を食べつくします。とても大食漢です。
葉の症状別早見表
今回登場する4種類のハバチ幼虫を見分ける方法を、葉の症状別に表にしました。
| 葉の症状 |
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| 葉の外側から食べられている |
チュウレンジバチ |
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葉の真ん中からレース状になっている |
クシヒゲ/クワガタ/オオシロオビクロ |
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葉脈だけが残る |
ハバチ幼虫全般 |
まず症状チェック|あなたのバラはどのタイプ?
葉が縁から食べられている
▲チュウレンジバチの幼虫は葉の縁から食べる
バラの葉の縁から食べられていれば、それはチュウレンジバチの幼虫です。チュウレンジバチの幼虫は、目立つ場所の葉も集団で食べているので、比較的見つけやすい害虫です。
葉が真ん中から食べられレース状になっている
▲葉の中央からレース状に食べられている
クシヒゲハバチ幼虫、クワガタハバチ幼虫、オオシロオビクロハバチ幼虫は、バラの葉の中央から食べ進めます。葉裏から食べるので、まだ幼虫が小さいうちは表面まで食べられず、レースのように透けて見えます。
幼虫が大きくなれば、もちろん表面まで貫通して食べるので、葉が穴だらけになります。
これらの幼虫は、バラの下の方の葉を裏から食べることが多く見逃しやすいので、気づいたときには葉が穴だらけになることも多いです。
葉脈だけになっている
▲葉脈だけになった、ボロボロのバラの葉
どのハバチ幼虫の被害でも、最終的には葉脈だけを残して食べつくされ、気づいたらバラの葉がなくなってしまいます。ここまでボロボロになる前に対策したいですね。
次に実際のハバチの成虫・幼虫の生態について紹介します。
チュウレンジバチ(チュウレンジハバチ)の生態と被害
成虫の特徴と産卵のしかた
▲チュウレンジバチが産卵しているところ
チュウレンジバチは、バラの葉を食べる害虫としてよく知られているハバチです。成虫は体長1~1.5cmの黒い虫ですが、翅の下の胸やお腹は目立つ蛍光オレンジ色をしています。
5~10月ごろ、バラの若い枝に管を刺し産卵します。逆さになって産卵することが多く、産卵している間じっとしているので、比較的見つけやすい虫です。
枝に残る「産卵痕」の特徴
▲茶色く裂けたチュウレンジバチの産卵痕
産卵されたバラの枝から孵化した幼虫が出ると、産卵痕は縦に茶色く裂けます。初心者さんは病気かと思うようですが、これは病気ではなくチュウレンジバチの産卵痕です。
幼虫の特徴|お尻を上げる緑色のイモムシ
▲チュウレンジバチの幼虫は、お尻を跳ね上げるので見分けやすい
チュウレンジバチの幼虫は、8~15mmの小さな緑色のイモムシです。頭が黒や茶色で、体に黒い斑点があるものもいます。
バラの葉の外側から並んで食べ、お尻を跳ね上げるので見分けやすい害虫です。
大食漢のうえに集団で葉を食べるので、バラの葉を1日で葉脈だけにしてしまうほどですが、葉の縁なので人の目につきやすく、早い内に被害に気づきやすいのも特徴です。
4~5月ごろから年2~3回、発生します。
チュウレンジバチ被害の特徴
チュレンジバチ幼虫は、葉の縁にいるので人目につきやすい害虫です。農薬がよく効く弱い害虫なので、見つけたらすぐに駆除しましょう。
クシヒゲハバチ・クワガタハバチの生態と被害
成虫は小さい黒いハエのような虫
▲クシヒゲハバチまたはクワガタハバチの成虫(メス)
バラの葉を食べるハバチとしてチュウレンジバチは有名ですが、じつはクシヒゲハバチやクワガタハバチ被害も深刻です。
虫の同定が難しいためか、クシヒゲハバチやクワガタハバチがバラの葉を食べるということは、本でほぼ紹介されません。バラの専門家も口にしません。そのため、多くのロザリアンが「これは何だろう?」と頭を悩ませてしまうのが、クシヒゲハバチ幼虫やクワガタハバチ幼虫の被害です。
クシヒゲハバチとクワガタハバチは成虫の見た目も幼虫の見た目や葉の食べ方もほぼ同じで、なかなか見分けが難しい虫です。ここでは、どちらも同じ虫として紹介します。
これらハバチの成虫は、体長5mmていどの小さな黒い虫です。ハエのように見えますが、ハバチの仲間です。
オスの触覚が櫛状になっているのがクシヒゲハバチ、オスの触覚が二つに分かれているのがクワガタハバチですが、メスはどちらも枝分かれしない触覚なので、判別が難しいです。
4~10月にかけて2~3回発生します。
ここでは「クシヒゲハバチ」として紹介していきます。
葉柄に並ぶ白い産卵痕
▲バラの葉の軸に並ぶクシヒゲハバチの産卵痕
クシヒゲハバチはバラの葉の軸(葉柄-ようへい-)に産卵します。上の写真の白い点々が産卵痕です。
葉裏から食べる幼虫の特徴
▲クシヒゲハバチ幼虫の被害でバラの葉が穴だらけに
クシヒゲハバチの幼虫は、薄緑色の半透明の小さなイモムシです。体長は終齢でも1.5cmていど。
クシヒゲハバチ幼虫は葉の裏から食害します。
幼虫が小さいうちは葉の裏側だけ薄く食べるので、葉がレース状に透けて見えます。上の写真のように1cmを越えてくると、葉の表まで貫通して食べるので、葉が穴だらけになってしまいます。
気づくと葉が穴だらけになる理由
クシヒゲハバチ幼虫は、バラの下の方や内側の目立ちにくい場所の葉裏から食べるので、人の目につきにくく、気づいたときには被害が深刻になっていることがよくあります。
放置すると、最終的には葉脈だけを残してバラの葉が食べつくされてしまいます。
オオシロオビクロハバチの生態と被害
成虫の特徴
オオシロオビクロハバチの成虫は、見た目は上記のクシヒゲハバチやクワガタハバチにそっくりですが、体長は大きく、1.2cmほどになります。よく見ると、お腹に白い帯を巻いたような部分があります。
4~10月にかけて2~3回発生します。
オオシロオビクロハバチ被害の特徴
▲オオシロオビクロハバチ幼虫に食べられたあと
オオシロオビクロハバチ幼虫も、上記のクシヒゲハバチと同じように小さいうちは葉裏の中央から薄く食べ始めます。
ただし、オオシロオビクロハバチ幼虫は終齢になると体長2cmほどになるので、上の写真のように葉の中からも縁からも貪欲に食べてしまいます。
くるりと丸まる幼虫の特徴
▲オオシロオビクロハバチ幼虫は、若いうちはくるりと丸まっていることが多い
オオシロオビクロハバチ幼虫は、頭がオレンジ色で、体はややマットな緑色をしたちょっと太目のイモムシです。
上の写真のようにくるりと丸まっていることが多いので、容易に見分けられます。ただし、終齢に近くなると丸まらないようです。
オオシロオビクロハバチ幼虫は2cmほどに育っていると、かなり大食漢です。簡単にバラの葉を食べつくしてしまうので、まだ小さいうちに対処しましょう。
クシヒゲハバチ・クワガタハバチ・オオシロオビクロハバチ幼虫は葉裏にいて見つけにくい
バラの葉を食べるハバチ幼虫としてよく知られているチュウレンジバチ幼虫が人目につきやすいのに対して、それ以外のハバチ(クシヒゲハバチ、クワガタハバチ、オオシロオビクロハバチ)の幼虫は葉裏に潜んでいます。
しかも株の下の方や枝葉の入り組んだ内側にいることが多いので、発見しにくい害虫です。
そのため気づいたときには、大きな被害になっていることが多いので、ていねいな観察で、見逃さないよう注意しましょう。
ハバチの幼虫を見つけたらどうする?
もしハバチの幼虫がバラの葉を食べていたら。ここでは、駆除する方法を3つ紹介します。
物理駆除(捕殺)する
▲牛乳などのパックに入れて捕殺
もっとも効果的なのは、物理駆除、つまり捕まえて駆除する捕殺です。
わたしは、牛乳パックなどに少量の台所用洗剤を入れておき、割り箸などでつまんで幼虫を入れてからシュッとスプレー農薬を吹きかけて口をガムテープなどで貼ります。それを、通常ゴミの日に出して処分しています。
ハバチの幼虫は、ほぼ毛のないイモムシ状の虫です。刺すこともないので、慣れた方なら「テデトール」(つまり“手で取る”)するそうです。葉ごとすり潰す要領でやるので、手が緑色になると聞いたことがあります。わたしは、まだまだその領域にはなれません。
被害葉ごと切り取る
▲害虫ごと葉を切り取って捨てる
まだ幼虫が小さいうちは、1枚の葉にまとまっていることが多いので、そんな葉を見つけたら、葉っぱごと切り取って捨てます。
捨て方は上と同じで、牛乳などのパックに入れてスプレー農薬をシュッとやってからテープで口を閉じ、ゴミとして処分するのがオススメです。
小さいうちに農薬散布で駆除│クシヒゲハバチ幼虫は大きくなると農薬が効きにくい
▲ベニカXネクストスプレーで駆除がオススメ
多くのハバチの幼虫は弱い小さな害虫です。ハンディな殺虫スプレー農薬で簡単に駆除できます。
しかしクシヒゲハバチ幼虫は農薬が効きにくい害虫で、大きく育ってしまうと物理駆除しか方法がなくなります。なるべく小さいうちに駆除しましょう。次の項目で紹介しているように、あらかじめ土に撒いておく殺虫剤なら、ごく小さいうちに駆除されます。
1.5cmほどまで育ったクシヒゲハバチ幼虫には、我が家では「ベニカXネクストスプレー」なら、なんとか駆除できました。しかし、似たようなスプレー農薬「ベニカXファインスプレー」では効果がありませんでした。
ハバチ幼虫の被害を防ぐ予防方法
ハバチ幼虫は被害が出てから対処するのではなく、できれば発生する前に予防しておくことをオススメします。理由は、大きくなってしまった幼虫には、農薬が効きにくいことがあるからです。慣れないうちは、捕殺するのも気持ち的にストレスです。
当サイトの初心者向けの病害虫対策は、粒剤の農薬をローテーション散布することでしっかり予防する「ガッツリタイプ」と少し被害が出てから対処する「観察タイプ」の2つのタイプに分けています。それぞれの予防方法を紹介します。
ガッツリタイプ、観察タイプについてくわしくは、こちらをご覧ください
バラと小さなガーデンづくり
バラの農薬の使い方|初心者向けに2つの考え方(ガッツリ・観察)を解説
粒剤のローテーション散布で予防する(ガッツリタイプ)
▲土に撒くタイプの農薬をローテーション使用する
ガッツリタイプの方は、ベニカXガード粒剤(写真左)とGFオルトラン粒剤(写真中央)を1カ月ごとにローテーション散布して病気や害虫を予防します。
どちらの粒剤も、有効成分を根から吸い上げ木全体に行きわたらせることで、ハバチの幼虫がまだ人の目に見えないほど小さいうちに駆除されます。
株の下葉や葉裏を観察する(観察タイプ)
▲葉に小さな穴を見つけたら、すぐ対処
よく観察することで、農薬の本数を減らす「観察タイプ」の方は、葉に小さな穴を見つけたらすぐにベニカXネクストスプレーで対処します。株の下の方や内側の、人の目の届きにくいところも、ていねいに観察してください。
ハバチは小さいうちの対処が重要
チュウレンジバチのように目立つところにいる幼虫なら見つけやすいけれど、それ以外のハバチ幼虫は葉裏に潜んでいます。葉裏をしっかりチェックするよう習慣づけてください。
とくにクシヒゲハバチ幼虫は、大きく育つと農薬が効きにくくなります。なるべく小さいうちにベニカXネクストスプレーで駆除しましょう。
よくある質問(FAQ)
ハバチは人を刺す?
ハバチの成虫は、人を刺す針も毒ももっていません。幼虫も刺すことはありません。慣れた方なら、軍手などで(ときに素手でも)穴の開いた葉をさすり、幼虫ごとこすって駆除する人もいます。
ハバチの幼虫を放置するとどうなる?
ハバチの幼虫は終齢になるとバラの近く(土の中など)で蛹になり、成虫になってまたすぐ卵を産み付けます。放置してもいいことはありません。
葉がなくなったバラは枯れる?
▲ハバチ幼虫に食べられボロボロになったバラの葉
害虫に食べられてすっかり葉がなくなっても、バラはそう簡単に枯れません。しっかり害虫を駆除しておけば、しばらくすればまた新芽を伸ばします。
葉のない間、光合成ができないわけだから、株の生長は遅くなるし、全体にダメージを負っているのは確かなので、すぐに花を咲かせるのは木が弱る原因になります。しっかり木が回復するのを待ってから咲かせましょう。
黒い小さいハチみたいなのが飛んでいるけど害虫?
それはハバチの可能性が高いです。バラに産卵するハバチは数種類いますが、飛んでくる虫をどうにかするのは難しい。木酢液やニームオイルなどの嫌な臭いで、あまり虫が寄り付かない環境をつくるくらいしか対策はありません。
もしバラに産卵されても、幼虫がごく小さいうちに駆除されるよう、浸透性のある粒剤やスプレー農薬で駆除するのが得策です。
まとめ|葉の食べられ方を見るとハバチの種類が見えてくる
バラにつくハバチについてまとめて紹介しました。よく知られているチュウレンジバチ幼虫は葉の縁から食べる緑色のイモムシです。
葉の真ん中から食べてレース状にしたり、穴だらけにするのはクシヒゲハバチやクワガタハバチ、オオシロオビクロハバチの幼虫です。どれも大食漢で、しかも集団で食べるので、バラの葉をボロボロにしてしまいます。
本やネットではチュウレンジハバチばかりが取り上げられますが、他のハバチ幼虫は調べてもなかなか出てきません。
あなたのバラがもし真ん中から食べられて穴だらけにされたなら、それはクシヒゲハバチ、クワガタハバチ、オオシロオビクロハバチの幼虫のどれかだと思われます。
対処方法はどれも同じですが、とくにクシヒゲハバチは農薬耐性が高く駆除しにくいので、まだ小さいうちにしっかり対策しましょう。
バラの病害虫対策ガッツリタイプ&観察タイプについてはこちらから
バラと小さなガーデンづくり
バラの農薬の使い方|初心者向けに2つの考え方(ガッツリ・観察)を解説
バラの害虫と病気の見分け方と対処のしかたはこちらから
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バラの害虫と病気|初心者向けに見分け方と対処法を解説
病気と害虫対策の目次はこちらからどうぞ
バラと小さなガーデンづくり
病気と害虫対策の総合案内ページ





















