チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫

バラの近くで、白いフワフワの綿毛のようなものを見つけたら、それはチュウゴクアミガサハゴロモの幼虫かもしれません。 近年、日本でも急速に分布を広げている新しい害虫です。 幼虫や成虫の特徴、バラの枝に残る産卵痕の見分け方と対処法を紹介します。 農薬の登録状況など、2026年10月現在の情報もまとめました。


バラの近くの鉢に白いフワフワの綿毛がついている・・・これは虫?

チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫

▲アガパンサスの茎についた白い綿毛

YOUYOU

バラの近くに置いているアガパンサスの鉢に白い綿毛みたいのがついていて、なんだろうと手を伸ばしたら動いたの!これ何?

あいびーあいびー

あぁ~。それは近年増えているチュウゴクアミガサハゴロモの幼虫だと思うわ。

日本でまだ新しい害虫なので、YOUちゃんは初めて見て驚いたのね。

今回はこの虫について解説するね。

チュウゴクアミガサハゴロモは、日本ではまだ新しい外来種で、日本での詳しい生態や防除のしかたなどが定まっていません。

 

この記事では、2026年10月現在で分かっている情報からまとめています。

チュウゴクアミガサハゴロモとは?

カメムシ目ハゴロモ科の昆虫

チュウゴクアミガサハゴロモの成虫

▲チュウゴクアミガサハゴロモの成虫

チュウゴクアミガサハゴロモは、カメムシ目ハゴロモ科に属する中国原産の外来種の昆虫です。日本では2015年(資料によっては2017年)に大阪で初めて発見されたまだ新しい虫です。

 

幼虫は白い糸のような毛束をまとっていて、クジャクの羽根のように大きく広げることがあります。その姿が、まるで繊細なサギソウの花を思わせてネットでは「可愛い」と言われることもあります。

 

しかし──じつは成虫も幼虫も植物の汁を吸汁する害虫です。

 

成虫は、上の写真のように暗褐色の蛾のような昆虫です。体長は11~15mmていどで、目が大きくて目立つのでセミのようにも見えます。

世界規模で分布が拡大中

原産地の中国以外では、2010年に韓国で初めて発見され、リンゴ園やクリ園に深刻な被害をもたらしました。

 

2015年(または2017年)に日本で、2018年以降フランスやイタリアで相次いで発見されており、分布が世界規模で広がっています。

チュウゴクアミガサハゴロモはバラの害虫?

幼虫と成虫は植物の汁を吸う

チュウゴクアミガサハゴロモは広範な植物につく害虫です。庭木にも草花にもついて汁を吸います。

 

数匹ていどなら大きな被害になりませんが、大量発生すると、前述の韓国の例のように木を枯らすほどの深刻な被害をもたらします。

 

さらにその排泄物がスス病の原因にもなります。

 

埼玉県ではチャ、ナシ、ブルーベリー、カンキツ、カキ、宿根アスターをはじめ80種類以上の植物に加害・産卵するとして警戒を強めています。

成虫は細い枝に産卵する

チュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕

▲バラの細い葉柄に産卵した痕(6月下旬)

もちろんバラにもつく害虫ですが、バラの場合とくに問題になるのは、枝への産卵です。

 

上の写真は、我が家のベランダで6月下旬に撮影したチュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕です。

 

10mmまでの細い枝を選んで産卵し、幼虫と同じような白いふわふわしたものをつけていくので、産卵痕はよく目立ちます。

 

これだけ細い枝に2列に卵を生むので、先の枝が枯れたり折れたりしやすくなります。

チュウゴクアミガサハゴロモを見つけたら?

幼虫・成虫を見つけたときの対処法

まだ日本では新しい害虫なので、この虫に適用のある農薬がありません。

 

いち早く埼玉県ではこの虫の被害が拡大する恐れがあるとして、特定の農薬を適用外使用できると定める防疫措置が2026年10月16日付で発表されました。

 

しかし、埼玉県以外では物理駆除が基本となります。

 

You Tubeでは、掃除機で吸い取ったり、昆虫用の黄色い粘着シートを使ったり、電撃で撃退するラケットを使ったりと、さまざまに奮闘している様子が見られますが・・・やはり数が多いと大変そうです。

 

しかもいくら目の前の害虫を取り除いても、周りじゅうの草木についているので、またすぐに移動してきてしまいます。

 

人を噛んだり刺したりすることはないと言われていますが、「ピリッとする痛みを感じたことが何度もあるから噛むのではないか?」と発信する人もいるので、注意してください。

産卵痕を見つけたときの対処法

チュウゴクアミガサハゴロモは直径10mmまでの柔らかい細い枝に産卵します。

 

枝先の、切り取っても問題ない場所のことが多いので、産卵痕をみつけたら切り取って処分しましょう。

 

産卵痕の切り取りが公的機関がおすすめする基本的な対策です。卵を減らすことで、個体数を増やさずに済みます。

チュウレンジバチ方式で卵を物理駆除

チュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕(10月)

▲細いベイサルシュートに産卵した痕(10月)

ただし、ときに切り取りたくない場所に産卵することもあります。それが上の写真です。

 

この枝は、細いとはいえ今年発生したつるバラのベイサルシュートです。それなり長さもあり、切るのは少しもったいない気がします。

 

そんなときは、この綿毛を取り除き、爪楊枝やハサミの先を産卵痕に差し込み卵をえぐりだすようにすると良さそうです。

 

その後、残った卵から幼虫が出てこないように、そして枝の補強を兼ねて、テープを巻いておけばなんとか切り取らずに済むかもしれません。

 

要するに、チュウレンジバチの産卵痕と同じように対処するわけです。

 

えぐりだす作業中に枝が折れれば、仕方ありません。諦めましょう。まだ試行錯誤中ですが、ほかの方で、やはりこの方法で対処している動画を見かけました。

 

チュウレンジバチへの対処法はこちらの記事で確認してください

バラと小さなガーデンづくり

バラの葉が縁から食べられる原因は?|チュウレンジハバチの見分け方と対処法

バラの葉が縁から食べられる原因は?|チュウレンジハバチの見分け方と対処法

日本の暖地では年2回、産卵するらしい

YOUYOU

産卵痕を見つけたら切り取るだけなら、そんなに難しくないわね。いつごろ産卵するの?

あいびーあいびー

まだはっきりしないところも多いけど、日本では年2回産卵すると推定されているわ。

チュウゴクアミガサハゴロモの日本での生態の詳細はまだ分かっていません。

 

韓国では年1回発生と報告されていますが、日本の暖地では年2回と推定されています。

 

大阪では、成虫が6月頃と10月頃の年2回発生し、卵で冬を越すことが分かっています。

 

関東でも同じように、4月頃に孵化し、6月頃から第1世代の成虫、9月頃から第2世代の成虫が出て、第2世代の成虫が、翌春に孵化する卵(越冬卵)を産む、と説明されています。

 

今わかっている暖地でのライフサイクルを表にまとめました。

 

時期 姿 様子
12月〜3月 卵 枝の内部で冬を越す
4月〜6月 幼虫 白いフワフワの姿
6月〜7月 成虫 羽化して、枝に産卵する
夏 第2世代の幼虫 白いフワフワの姿
9月〜12月 第2世代の成虫 越冬する卵を産む

 

成虫は6月ごろから秋まで見られ、羽化が多いのは6〜7月と9〜12月ごろです。

 

秋の産卵痕は、木立ちバラなら、冬剪定の際に産卵痕のある枝をあわせて除去できます。

 

気を付けたいのは6~7月の産卵痕と、冬剪定しないつるバラの秋の産卵痕です。

 

見つけ次第、枝を切り取るか、チュウレンジバチ方式で卵を駆除しましょう。

チュウゴクアミガサハゴロモに効く農薬はある?

大発生すると物理駆除も大変ですが、まだ新しい外来種で、チュウゴクアミガサハゴロモを対象とする通常の登録農薬は、2026年10月時点ではありません。

 

 ただし、薬剤の殺虫効果については国内でも試験が行われています。

 

愛媛県の試験では、ダントツ水溶剤など複数の薬剤で成虫に対する殺虫効果が確認されています。また、韓国でも本種に対する農薬の効果が報告されています。

 

しかし、試験で殺虫効果が確認されていることと、家庭のバラに使用できることは別です。登録内容や公的な防除措置を確認し、使用できる条件に従わなければいけません。

 

2026年10月には、埼玉県内に限り、植物防疫法に基づく例外的な防除措置が公表されました。対象作物には花き類もあります。詳細は埼玉県の最新の防除情報を確認してください。

 

今後、ほかの地域でも状況に応じた対応が検討され、家庭でバラを育てる人にも適切な防除手段が広がることを期待したいところです。

チュウゴクアミガサハゴロモに対する埼玉県の取り組み

間違いやすい昆虫は?

チュウゴクアミガサハゴロモと在来種のアミガサハゴロモ

▲在来種との見分け方 出典/農水省植物防疫所病害虫情報

日本には在来種の「アミガサハゴロモ」という、よく似た昆虫がいます。

 

見分けるポイントは翅の色と白斑の入り方です。幼虫も少し違いますね。

 

アミガサハゴロモは上の図では違いが分かりにくいのですが、多くはもう少し緑がかった翅の色をしています。

 

白斑はアミガサハゴロモの方が狭い範囲で長く内側に入っています。

 

チュウゴクアミガサハゴロモの翅アップ

▲我が家で見かけた個体の翅アップ

これは、我が家で見かけた個体の翅アップ写真です。

 

白斑が丸みを帯びた三角形で、内側に長く入り込まない形なので、外来種のチュウゴクアミガサハゴロモで間違いなさそうです。

まとめ|新しい害虫なので、今後の情報にも注意

今回は、近年、急激に増えているチュウゴクアミガサハゴロモについて紹介しました。

 

幼虫も成虫も植物の汁を吸う、今後注意したい害虫です。

 

2026年10月現在、埼玉県では特例による防除措置が設けられていますが、ほかの地域では通常の登録内容に従って使用できる農薬はありません。

 

バラでは、産卵痕を見つけて切り取ることが、現時点での基本的な対策です。

 

日本には、この害虫に対する有効な天敵が少ないというみかたもあり、今後爆発的に増えるおそれもあると言われています。

 

産卵痕を見つけたら、すぐに切り取り処分して、少しでも個体数を増やさないようにつとめたいですね。

 

YOUYOU

害虫が増えているなら、すぐに農薬が使えるようにすればいいのに!

あいびーあいびー

農薬の登録が下りるまで数年間の実際の使用試験が必要なので、まだ許可が下りるまで時間がかかりそうなの。

でも・・・これは全国で埼玉県のように特例を設けた方が良さそうな気がするわね。

 

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バラの育て方/12カ月の育て方・季節ごと・一年を通して

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参考文献

農水省 植物防疫所病害虫情報/https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/pestinfo/attach/attach/140/140-cyuugokuamigasa.html

埼玉県 病害虫防除所pdf/https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/289005/info_20261016.pdf

日本農業新聞 みんなの防除/https://boujo.agrinews.co.jp/archives/boujo/pochaziashantungensis

 

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