バラの新苗も、育て始めて半年。10月は待ちに待った秋花を楽しみながら、来年の主幹となるベイサルシュートの成熟を意識する時期です。
秋花の後のお礼肥えは不要で、10月初旬を目安に肥料止めをします。 水やりや病気・害虫対策を続けながら、冬まで葉をなるべく多く残し、枝の成熟を見守りましょう。 今回は、10月の新苗の基本管理と、枝の成熟について解説します。
10月の新苗は、枝を伸ばす時期から成熟させる時期へ
▲年間サイクルの中で、今はこの位置です(10月)
先月9月の新苗は、切り戻しをしない枝先にちらほら花が咲き始めていました。10月は、浅い切り戻しをした木立ち樹形の株に花が咲いてきます。
春からずっと蕾を摘み続けた新苗も、秋になりようやく花が咲かせられます。まずは、せっかく咲いた花を楽しみましょう。
今月の手入れでは、肥料やりに注意してください。花の後には「お礼肥え」を与えると覚えている方は、つい肥料やりしたくなりますが、秋花の後のお礼肥えはいりません。
この先12月になると、もうバラはすっかり生長をやめ休眠に入ります。10月・11月は、休眠前の今年最後の生長期で、少しでも光合成して養分を蓄えたい時期です。
今月で新苗の育て方シリーズは最終回となります。来月11月からは、通常の「12カ月のバラの育て方」と同じ手入れになります。
YOU我が家のバラは、少ないながら花を咲かせてくれて、毎日眺めるのが楽しみよ。
でも・・・そうか、もう2カ月もすればバラは休眠するのね。
バラ育てって、いつも一歩先を見越して準備するイメージね。
あいびーそうね。そこが一年草とは違うところ。
来年も再来年も元気に花を咲かせてくれるよう、株の将来を考えながら先回りしてお世話していくの。
だから年間サイクルを頭に入れて一歩先を考えていくのが大事なのよ。
10月の新苗の育て方|やること一覧
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10月のやることリスト ・秋花を楽しむ ・咲き終わった花を浅く切る ・固形肥料の追肥は、10月初旬が最後の目安(肥料止め) ・黒星病・ウドンコ病・オオタバコガに注意 ・葉を落とさないよう、冬までしっかり育てる |
10月の新苗の状態│花が咲き、枝が締まってくる
▲10月初旬の新苗。待望の秋花が開花
早いものなら9月から、遅い品種でも10月になれば枝先に秋花が咲き始めます。
木立ち樹形の品種なら秋でも比較的たくさんの蕾が上がり、シュラブ樹形の品種ならたくさん咲くものもあれば、ポツリポツリと少しの花が咲いて終わりのこともあります。
上の写真のドルンブルガーシュロスローズは、新苗で迎えた年の秋花はわずか2輪でした。この品種の秋は、花を咲かせるより、枝を長く伸ばす性質が強いように思えます。
新苗の場合は、秋にどう花が咲くのか、ここで初めて確認できます。これは育ててみないと分からない情報なので、来年のために覚えておきたいですね。
枝はもうどんどん伸びるというより、硬く締まって成熟が進んでいます。
今月の学びは「枝の成熟」についてです。
YOU枝の成熟?今まで花のことしか頭になかったけど、枝も大事なの?
あいびーバラの枝は何年も花を咲かせるために、成熟した枝になることが大事なの。
枝は季節を経ることで自然に成熟していくものだけど、それを助ける手入れがあるし、目で確認することもできるわ。
この記事では最初に「9月のリセット」の答え合わせ。その後に10月の基本管理について。最後に今月の学び「成熟」について紹介します。
「9月のリセット」のその後は?
1、四季咲きの木立ち樹形のバラ│9月に軽い切り戻しをした株
▲切り戻し後についた蕾が開花する
9月のリセットで、枝先を軽く切り戻した株です。この品種は四季咲きの木立ち樹形のバラ「アジュール」です。
枝先を切り戻した後に伸びてきた芽についた蕾が開花しています。
品種や日当たりにより前後しますが、だいたい45~50日ていどで次の花が咲きます。
我が家は半日陰栽培ですが、既に芽吹いていた芽を生かして切り戻したので45日くらいで開花しました。
2、四季咲きのシュラブ樹形のバラ│切り戻しなしでそのまま咲かせる
▲10月下旬に2輪目の秋花が開花
この品種はドイツで作出されたドルンブルガーシュロスローズです。
ドイツではフロリバンダ系統(四季咲きの木立ち樹形)とされていますが、「バラの家」ではシュラブ系統(四季咲きのシュラブ樹形)とされています。ドイツと日本では、気候により育ち方が変わったようです。
秋の咲き方が分からなかったので、9月のリセットでは切り戻しなしで、そのまま咲かせました。
その結果、10月初旬と下旬にそれぞれ1輪ずつ。計2輪が咲きました。枝が長く伸びているので、秋は枝が伸びやすく、花は少ない目になる品種のようです。
3、四季咲きのシュラブ樹形のバラ│9月に咲いてから切り戻した
▲切り戻し後は蕾がつかず枝が伸びている
この品種はフランスで作出されたベルロマンチカです。150~200cmと、やや大型になる四季咲きのシュラブ系統のバラです。
9月にいくつか蕾があったので、その蕾を咲かせてから軽く切り戻しました。
その結果、切り戻した後は旺盛に枝が伸びるばかりで蕾がつく気配がありません。長い枝先が120cmに達し、画面に収まり切りませんでした。
この品種は春に株いっぱいに小花を咲かせる品種ですが、四季咲きとはいえ、秋はかなり花数が少なく、枝が伸びがちなようです。
品種情報で、秋にどう咲くかを確認するのは難しいので、秋花の咲き方は育てて初めて分かることです。
とくにシュラブ樹形のバラは秋花の咲き方にバラツキがあるので、最初の年はどういう咲き方をするのか確認する年になります。
10月の基本管理
1、置き場所│よく日の当たる場所に
10月~11月にかけて、バラは今年最後の生長期を迎えます。よく日の当たるところで管理しましょう。
2、水やり│鉢土が乾いたらたっぷりと
▲土を浅く掘って湿り気を確認する
バラの鉢土はじょじょに乾きにくくなってきます。毎日1回の水やりでは、やりすぎになってしまうかもしれません。
水やりしようかどうか迷う場合は、鉢土を浅く掘って、手で湿り気を確認してみましょう。指先に冷たい湿り気を感じるなら、まだ水やりタイミングではありません。
3、肥料・活力剤│10月は年内最後の肥料やり
10月は「肥料止め」(または「止め肥え」)の時期です。「肥料止め」とは、年内最後の肥料やりをするという意味です。
9月に肥料を与えてから1カ月たったら、早い目に追肥を行います。これで肥料止めとなります。
日向栽培なら規定量の8割ていど。半日陰栽培なら規定量の6割ていどを目安に与えます。
わたしがよく使っているIB肥料「グリーンそだちEX」なら、日向栽培で12粒、半日陰栽培なら9粒が目安になります。
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追肥の目安 ・日向栽培 規定量の8割ていど ・半日陰栽培 規定量の6割ていど |
「花が咲いたらお礼肥えをする」と覚えている方も多いようですが、それは春に限ったことで、秋には当てはまりません。
秋花が咲いた後に、お礼肥えはしません。
いつまでも肥料が効いていると、伸びる方にばかり養分を使ってしまい、枝の成熟につながりにくくなりがちです。そのため、10月に追肥をしたらそれ以降はもう肥料を与えません。
この時期、活力剤はとくに必要ありません。
4、10月のバラの病気と害虫対策
10月の病気対策
▲黒星病にかかったバラの葉
真夏の暑さを抜けると、また病気や害虫が活発に活動しはじめます。先月に引き続き、黒星病やウドンコ病が発生しやすいので、しっかり対策しましょう。
おすすめは「ベニカBT殺菌粒剤」です。この農薬はバラの病気耐性を上げてくれる効果があります。
しかも自然界にある天然の菌(BT菌)を利用した農薬なので、年間使用回数に制限がなく、使いやすい商品です。
ベニカBT殺菌粒剤についてくわしくは、こちらのページにあります
バラと小さなガーデンづくり
ベニカBT殺菌粒剤とは?|天然由来で病気を予防する使い方と効果
10月の害虫対策
▲幅広い害虫駆除に「ベニカXネクストスプレー」
10月は、ハバチ類の幼虫や、大型イモムシなどが発生します。
花や葉をよく観察して、見つけたらハンドスプレー農薬で駆除しましょう。
上の写真のようなベニカXネクストスプレー、またはベニカグリーンVスプレーがオススメです。
住友化学園芸 ベニカXネクストスプレー(1000ml) |
べニカグリーンV スプレー(1L)【ベニカ】 |
▲オオタバコガの卵に注意
10月の秋バラの開花に合わせたように蕾や新芽に卵を生みつけていく蛾がいます。オオタバコガです。
完全夜行性の蛾で、昨日までなかったのに、朝にポツリポツリと産み付けてあるのを見つけることがあります。
これを見逃すと、せっかくの秋花の蕾に穴を開けられてしまいます。朝のパトロールで卵を見つけたら、手で払い落としておきましょう。
もう大きく育ってしまったイモムシを見つけたら、農薬が効きにくいので、テデトール(手で取る)の物理駆除が効果的です。
秋にはオオタバコガだけでなく、春~夏に発生した大型イモムシも現れます。被害が出たら、しっかり犯人を探しだして駆除しましょう。
春~夏の大型イモムシ、とくに秋に注意したい大型イモムシ、それぞれの専門ページで確認を
バラと小さなガーデンづくり
バラの蕾が丸かじり!若葉が丸坊主!春〜夏に出る大型イモムシの特徴・探し方・駆除方法
バラと小さなガーデンづくり
秋バラの蕾に穴が!オオタバコガなど大型イモムシの見分け方・駆除方法
5、花が咲き終わったら
▲花から一番近い5枚葉の上5mmのところをカットする
秋花が咲き終わったら、花から一番近い5枚葉(品種によっては7枚葉)の上5mm~1cmのところでカットします。
品種やその年の気候、日当たりにもよりますが、次の花(秋の2番花または3番花)が咲くかも知れません。
もし次の花が咲かなかったとしても、1枚でも多く葉を残すことで、残り少ない年内の生長時期に光合成をして枝を成熟させるのに役立ちます。
【10月の学び】枝の成熟について
枝の成熟とは、やわらかい枝が木に変わっていくこと
▲発生したばかりの若いベイサルシュート(6月の様子)
今月の学びは「枝の成熟」です。
春から秋にかけて伸びた枝(ベイサルシュート)は、最初は、みずみずしくてやわらかい「緑の枝」です。
これが年月とともに少しずつ硬くなり、やがて茶色くざらざらした「木の枝」に変わっていきます。この変化を、木質化といいます。 枝の成熟とは、この木質化が進み、枝が硬く締まっていく過程のことです。
この記事では、枝が木質化して硬くなっていく分かりやすい変化に注目して解説します。
なぜ枝の成熟が必要なの?
枝が成熟することには、大きく3つの意味があるといわれています。
1つ目は、冬の寒さに耐えるためです。
やわらかい若い枝は水分が多く、寒さで傷みやすいのに対して、成熟した枝は寒さに強くなります。
2つ目は、養分を蓄えるためです。
バラは冬に葉を落とすので、春の芽吹きは、秋までに枝や根に蓄えた養分を使って始まります。枝は、その蓄えの置き場所でもあります。
3つ目は、株の骨格になるためです。
ベイサルシュートは、来年以降、株の中心になる大切な枝です。ここがしっかり育つほど、たくさんの花が咲かせられる株になります。
YOU枝や根に養分を蓄えるの? 枝ってただの通り道だと思ってたわ。
あいびーもちろん水分や養分を行き来させる通り道でもあるんだけど、同時に貯蔵庫でもあるのよ。
ベイサルシュートは来年の主幹になる枝だから、来年の花付きは、今年どれだけ成熟した枝にできるかに大きく関わってくるのよ。
枝が成熟するとどうなるの?
▲左手前が今年のベイサルシュート、右が2年目の枝、左奥が4年目の枝(10月の様子)
上の写真は、わが家で数年育てているリュシオールの10月の株元です。左手前が今年伸びたベイサルシュート、右手前が去年伸びたベイサルシュートです。
去年の枝のほうが、少しつやが落ち着いて、細かい縦線が入っているのが分かるでしょうか。
左奥の枝は、4年目ほどになります。緑色がすっかり抜けて、茶色いざらざらした樹皮に変わっています。
土から立ち上がっている幹はさらに古く、5年くらい経っているでしょう。グレーの硬い樹皮に覆われていて、一見、枯れているようにも見えますが、これが「成熟した枝」の姿です。
木質化の進み方は、品種によって大きく違います。リュシオールは、2〜3年目の枝でも、10年たったかのように木質化が進むことがあり、わが家で驚いた品種です。
今年発生したベイサルシュートは、こうして年月をかけじょじょに成熟していきます。
YOUわたしの新苗の株元をよく見たら、少しだけ茶色の縦線が入っていたわ。これが成熟の印なのね!
あいびーYOUちゃんの株は線が入るのが早かったわね。10月だと枝のみずみずしさが消えて、白っぽいつや消しになるくらいのことが多いわね。
目に見える形で成熟が分かるのは、品種や環境によりけりなので、今はまだ緑のツルリとした状態でもいずれ成熟していくから、心配ないわよ。
枝の成熟を意識した10月の管理
じつは、寒くなってくれば枝は自然に成熟していきます。でも10月ならではの、より成熟を意識した管理方法が3つあります。
できることから、取り入れてみてください。
1、秋花を咲かせる
▲ドルンブルガーシュロスローズの秋花
ひとつ目は、秋花を咲かせることです。
蕾がつくと、それまで伸び続けていた枝の生長が落ち着きます。花を咲かせることは、枝の伸長を止め、成熟を促すひとつのきっかけになります。
品種によっては、秋花が咲きにくいバラもあります。秋花を咲かせることが絶対条件ではありませんが、枝を成熟させるひとつの方法となります。
2、肥料止めをする
▲これ以上追肥をしない
もうひとつは、肥料止めです。10月に追肥をしたら、これ以降は年内の肥料やりをしません。もちろん、花後のお礼肥えもしません。
「肥料を効かせすぎると枝が軟弱になる」とよく言われます。
植物の3養素のN(チッ素)P(リン酸)K(カリ)のうち、とくにチッ素は枝葉を伸ばす成分です。これが効きすぎると、バラは枝葉を伸ばすことにエネルギーを使い、枝に養分を蓄えるのが遅れがちになります。
秋はとくに、生長から冬支度へ切り替わる大切な時期です。そのため秋の肥料は、いつまでも長く効かせすぎないことで、冬支度への切り替わりをスムーズにするのです。
3、葉をなるべく多く残す
▲花後は浅く切り戻す
10月と、来月の11月が年内最後のバラの生長期になります。この時期に、少しでも多く光合成して、エネルギーを蓄えることが枝の成熟につながります。
そのため、花後は浅く切り戻すに留めます。次の花が咲く可能性もあるので、5枚葉(または7枚葉)の上で切りますが、これだけ浅く切り戻すのは、1枚でも多く葉を残すためです。
黒星病やうどんこ病に気をつけるのも、葉を落とさないためです。
これまでの【学び】を振り返る
5月~10月まで半年にわたる新苗の育て方では、それぞれの月に【学び】の章をつくり、バラ育てで大事になる考え方を解説してきました。
簡単に振り返ってみましょう。
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新苗の育て方6カ月の【学び】 ・5月│エネルギー管理:蕾を摘むことで、花咲くエネルギーを株づくりに回す ・6月│頂芽優勢:ベイサルシュートのピンチを使って、頂芽と脇芽の関係を理解する ・7月│根域:2度目の鉢増しで根域を広げることで、株をより大きく育てる ・8月│葉はソーラーパネル:葉を失いやすい夏も、緑の葉を維持する重要性 ・9月│樹形を整える意味:今後の生長を見越して枝を整理する意味 ・10月│枝の成熟:今年伸びたベイサルシュートを、来年以降の主幹となる枝に育てる |
新苗を育てる半年間は、ただ枝を伸ばし、花を咲かせるだけの期間ではありません。
季節ごとの生長の仕組みを知り、その時期に必要な手入れを重ねながら、来年以降も花を咲かせる株に育てていく期間です。
11月からは、通常の「12カ月のバラの育て方」を参考に、引き続き株を育てていきましょう。
まとめ│10月は、来年の主幹となる枝の成熟を意識する月
10月は秋花まっさかり。5月からずっと蕾を摘みながら育てた株の花を楽しむ季節です。
どんな花が咲きましたか?今年はまだまだ若い株です。花数も少なかったかもしれません。でも来年、再来年と、花はもっと立派になり数ももっと増えます。
来年以降、たくさんの花を咲かせるためにも、今年伸びたベイサルシュートが成熟していく過程を意識しながら、冬まで大切に育てていきましょう。
はじめて新苗を育てた方には、なかなか大変な半年だったと思います。ここから先は「12カ月の育て方」ページを参考に、バラ育てを楽しんでください。
YOUファーストローズで大苗を育てたときは、とにかく必死で、言われるままにやっていたけど、今回の新苗では、ひとつひとつの意味を確認しながらできたから、主体的に動けるようになった気がするわ。
あいびーそう、それが大事だと思う。
作業の意味が分かれば、バラの状態を見ながら、自分で考えて手入れできるようになるものね。
これからも経験を重ねて、自分なりのバラ育てを見つけていきましょう!
新苗シリーズ5月~10月の育て方は、こちらにあります
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バラの新苗の育て方|春から秋まで6カ月の育成ガイド
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バラの月別の育て方|1月〜12月の管理と作業一覧
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バラの育て方/12カ月の育て方・季節ごと・一年を通して
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