日本の原種ユリと、すっかり野生化しているタカサゴユリについて紹介します!

      2017/07/04

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あまり知られていないことですが、じつは日本にはとても美しい原種のユリがたくさんあります。バラが長い園芸史をもつのに比べ、ユリは品種改良の歴史が浅い花です。バラと双璧をはる美しい花、ユリについて調べてみました!

白ユリは聖母マリアを象徴する花

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▲テッポウユリ

てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花──と、日本では美女を形容する花として名高いユリ。欧米ではユリの中でも白ユリは、純潔を象徴する花、さらに聖母マリアを象徴する花とされています。

花言葉「純潔」「無垢」「威厳」です。

聖母マリアを象徴する白ユリは「マドンナ・リリー」と呼ばれ、受胎告知図に盛んに描かれてきました。もともとは「ニワシロユリ」を「マドンナ・リリー」と呼んでいましたが、幕末に、後にオランダに帰着するドイツ人医師シーボルトにより日本の「テッポウユリ」がヨーロッパにもたらされ「イースター・リリー」として人気になったことから、現在では「ニワシロユリ」ではなく「テッポウユリ」を「マドンナ・リリー」と呼ぶことも多くなっているようです。

「テッポウユリ」は、いまやキリスト教の行事に欠かせない花となっています。

 

じつは日本は重要な原種ユリの宝庫!

ラと並び称されるほど人気のあるユリの花は、世界じゅうに100種ほどの原種ユリがあります。日本には約15種類が自生しており、そのうちの7種類が日本以外では見られないユリ(固有種)です。

日本に自生する原種ユリをいくつか紹介しましょう。

 

テッポウユリは沖縄原産の白ユリ

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キリスト教の式典や、日本の葬儀に欠かせないテッポウユリは、沖縄・奄美諸島を原産地とする白ユリです。花期は4~6月爽やかな芳香がします。

 

ヤマユリはオリエンタル・ハイブリッド系統の親

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花径20cm以上になる大型の花を咲かせるヤマユリは、原種とは思えないほど豪華な花です。白い花びらの中心に黄色の筋が入り、紅色の斑点が載る花は「ユリの王様」と呼ばれます。香りは甘く濃厚です。

ヤマユリやカノコユリ、タモトユリを親に交配された園芸品種のユリをオリエンタル・ハイブリッド系統と呼んでいます。代表的な品種は「カサブランカ」です。

ヤマユリの紅斑をなくしさらに大型にした花径30cmにもなる「サクユリ」は、世界最大の原種ユリです。伊豆諸島固有の貴重なユリですが、原産地では絶滅状態にあります。

 

ササユリ

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本州の中部地方以西から四国・九州に自生する淡いピンク色のユリ花期は5~7月ごろ香りも良いユリです。花がやや小ぶり、葉に白い覆輪が入る、花の色が濃いなど、自生地域によりさまざまな変種があります。地域によっては、ササユリを「ヤマユリ」と呼ぶこともあります。

ササユリは学名をLilium japonicumといいます。japonicum」「日本の」という意味で、日本を代表するユリといえます。

 

オトメユリまたはヒメサユリ

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オトメユリは、日本にしか自生していない日本固有のユリです。日本の中でも宮城県南部、及び新潟県、福島県、山形県が県境を接する飯豊連峰、吾妻山、守門岳、朝日連峰、周辺にしか群生していない貴重なユリです。原産地では「オトメユリ」よりも「ヒメサユリ」と呼ばれることが多くあります。

オトメユリは、ササユリを小型にしたような、花径5~6cmていどの花を咲かせます。野生種は環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)に指定されており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストではEndangered (EN)に指定されている絶滅危惧種です。

 

カノコユリ

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九州、四国、台湾や中国にも自生するユリで、栽培がしやすいので古くから庭で観賞用に栽培されてきたユリです。シーボルトによりヨーロッパに紹介され、かつては海外でも盛んに栽培されていましたげ、現在ではあまり人気がないようです。

 

オニユリ

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グアム、中国、朝鮮半島、日本に自生するユリです。日本では北海道から九州でみられ、中国からの帰化植物ともいわれています。

 

スカシユリ

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日本の中部地域以北の海岸沿いで見られるのがスカシユリです。太平洋側では「イワトユリ」日本海側では「イワユリ」と呼ばれます。これらを元に作出されたユリのグループはアジアンテック・ハイブリッド系統と呼ばれ、一般に「スカシユリ」と総称されています。

他のユリと異なり、花を植え向きに咲かせるのが特徴です。香りはありません。写真は園芸品種のスカシユリです。

 

ユリは栽培が難しい花

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本に自生するユリが多いのにあまり庭に植えられないのは、じつはユリは栽培が難しいところがあるからです。たとえばヤマユリは、発芽から開花まで少なくとも5年以上必要です。肥料のやりすぎによって分球して咲かなくなったりウイルス感染により奇形の花になったり、去年まで元気に咲いていたものがとつぜん枯死してしまうということもあります。

同じところに長くとどまるのを嫌う性質があり、自然状態でも美しい花を群生して咲かせていたかと思えば、翌年には絶えてしまうということがよくあるそうです。そういえばササユリを毎年たくさん庭に咲かせている方のブログで、毎年すべての球根を1mずつずらして植え直しているという記事を読んだことがあります。

 

お盆のころに咲く白百合はテッポウユリではなく外来種のタカサゴユリ

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盆の帰省シーズン高速道路脇に白ユリが咲いているのを見かける人も多いと思います。白ユリといえば「テッポウユリ」です。わたしも長くあれは「テッポウユリ」だと思っていたのですが、上に紹介したように、テッポウユリの自生地域は沖縄や奄美諸島。しかも花期は4~6月です。お盆シーズンの関東に咲いているとは思えません。

ユリの紹介サイトにも、夏に咲くテッポウユリなんて見当たらず、なんだか分からなくて、ずっとモヤモヤしていたのですが、その正体がやっと分かりました。

あれは「テッポウユリ」ではなくて「タカサゴユリ」です!

タカサゴユリとは、台湾原産のユリで、1924年に庭植えや切り花用として日本に持ち込まれたものです。花はテッポウユリとよく似ていますが、花の外側に赤い筋が入るので区別することができます。はテッポウユリよりも小型で密についており、「ホソバテッポウユリ」と呼ばれることもあります。

上の項目で紹介したように、もともと日本に自生している原種ユリは気難しいところがあり、栽培が難しいのですが、タカサゴユリはとても生命力の強いユリです。ヤマユリが発芽から花を咲かせるのに5年以上かかるのに対して、タカサゴユリは発芽した翌年から花を咲かせます。現在では西日本を中心に広く自生しています。

国立環境研究所では、在来種と競合し、もともと自生していた日本原産のユリがタカサゴユリにより駆逐されてしまうのではないかと、警戒しています。現在は駆除指定にされていませんが、積極的に植えないよう促しています。とはいえ花がきれいなので、なかなか駆除されないのが現状のようです。

 

駐車場脇に咲いた白ユリ

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速道路脇のユリを写真におさめようにも、ちょっと車を止めて撮影するわけにもいかず困っていたのですが、意外にもわたしの住んでいるマンションの駐車場脇群れ咲いていました! 少し人目につかないところで、今まで気がつきませんでしたが、けっこうたくさん咲いています。

花はテッポウユリに似ていますが、花びらの外側に赤い筋はなく、真っ白。なにより大きく違うのは、このユリには香りがありません!

どうやらこれ、タカサゴユリとテッポウユリの自然交雑種「シンテッポウユリ」と呼ばれているもののようです。これもタカサゴユリと同様に外来植物として警戒されている対象です。いずれ駆除対象になるかもしれない予備軍です。

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かなり大きな株もありましたので、わたしが気がつかなかっただけで、数年前からここで咲いているようです。たしかにこんなにきれいなのに「外来植物だから!」とほりあげて駆除するのはしのびないように思えますね。

 

まとめ

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今回はユリについて調べてみました。なんと日本は美しい原種ユリがたくさんあるユリの王国だったのですね! その日本固有種を脅かしかねない外来植物のタカサゴユリが、今、勢力を旺盛に広げています。たしかに日本の固有種に悪影響を及ぼすのなら駆除しなければいけないのでしょうが、夏の帰省シーズンにあちらこちらに咲いている白ユリはとてもきれいで、わたしの中では個人的に夏の風物詩となりつつあります。

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じつは去年ベランダで2球のササユリの球根を植えたのですが、発芽したのは1球のみ。しかも今年は開花しませんでした。秋になったら別の鉢に植え替えようと思っていますが、はたして咲いてくれるかどうか。

確実に咲いてくれそうなタカサゴユリの子株を、駐車場脇から掘ってこようかなぁ、なんて考えています。駆除対象になりそうな野生種なら、気軽にいただいてきてベランダで楽しめそうです! ただし、種を飛ばさないように気をつけなければいけませんね。

 

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