薄い花びらを幾重にも重ねた繊細な花、そして花を包むガクに苔のようなものがついた個性的な姿。日本語にすれば「ナポレオンの帽子」という一度聴いたら忘れられない名前。個性的なバラが多いオールド・ローズの中でも特に際立つ個性を放つシャポー・ドゥ・ナポレオンを紹介します。
シャポー・ド・ナポレオン
Chapeau de Napoleon
DATA
バラの系統 | モス【M】またはケンティフォリア【C】 |
開花のしかた | 一季咲き、スプレー咲き |
花径 | 8cm |
花形 | カップ咲き~やや乱れたロゼット咲き |
香り | 強香(ややスパイシーなダマスク香) |
樹形 | やや直立ぎみのシュラブ樹形 |
作出情報 | 1827年 フランス/ヴィベール |
備考 | 別名「クレステッド・モス」
枝が2.5~3mくらいまで伸びるのでつるバラとして使える |
「シャポー・ド・ナポレオン」は、モス系統を代表するバラ
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ロサ・ケンティフォリアの枝替わりでできたのがモス系統のバラです。モス系統のバラは、たくさんの薄い花びらをもつケンティフォリア系統の特徴に加えて、花柄や萼に腺毛が密集してついていて、まるで苔が生えているように見えます。「シャポー・ド・ナポレオン」は、モス系統を代表するバラです。
ただし、「シャポー・ド・ナポレオン」はモス系統ではなく、ケンティフォリア系統だとする説もあります。他のモス系統のバラのように、花柄にも腺毛がついているということはありません。
一度見たら忘れられない特別なバラ
▲たしかにナポレオンの帽子と「シャポー・ド・ナポレオン」のつぼみはそっくり!
咲き始めはころんとしたカップ咲きで、咲き進むとやや乱れたかんじのロゼット咲きになるバラです。
「シャポー・ド・ナポレオン」という品種名は、つぼみを覆っている三角形の萼(がく)がナポレオンの二角帽子(ビコーン)を思わせることに由来しています。萼に腺毛がびっしりついている姿や、ロサ・ケンティフォリアゆずりの枚数の多い薄い花びら、ややスパイシーな強いダマスク香と、魅力的なところの多いバラで、きっと一目見たら忘れられないことでしょう。
作出情報に「1827年フランス/ヴィベール」と書いていますが、正しくはスイスの修道院に咲いているバラをフランス人育種家のヴィベールが1827年に発表したということのようです。
「シャポー・ド・ナポレオン」は、今も多くのファンをもつ人気のオールド・ローズです。
花つきが良く、育てやすい、活用範囲の広いバラ
▲つぼみはややベタついて、松ヤニのような匂いが!
脇のつぼみが次々と花開くので、長い間、花が楽しめます。
枝先が2.5m~3mていどまで伸び、つるバラとして扱うこともできます。枝はあまり硬くなく扱いやすく、フェンスや壁に誘引しやすい品種です。強く剪定しても花を咲かせるので、1.2mほどのブッシュ樹形に仕立てることもできます。
強健で、半日陰でもよく育ちます。病気にもかかりにくく、あまり虫もつかない、初心者にも育てやすい品種です。
雨には少し弱いところがあり、ボーリングして花が開かないことがあるので、あまり雨のかからない軒下の方が育てやすいようです。
口コミと値段の目安
バラ苗ショップからのコメント
花名は「ナポレオンの帽子」を意味し、名の通り独特な蕾の形が良く知られています。モスローズの代名詞的存在、スパイシーなダマスク香に恵まれ、しなやかな枝を活かして誘引して咲かせるとその美しさを最大限に発揮できます。(村田ばら園)
ロザリアンの口コミ
若い枝や蕾はベタベタしていて松ヤニのような香りがし、枝はしなやかで支柱が必要です。蕾が小さいうちはアブラムシが付いているようにしか見えません。しかし、虫はあまり寄ってこないんですよね。この松ヤニのような香りが虫を寄せ付けないのかもしれません。
葉は明るい緑で艶はありません。花はいかにもオールドローズといった感じのフワッとした花形に優しいローズピンクです。香りもオールドローズ香がよく香ります。
バラ苗の値段の目安
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まとめ
樹形はシュラブで、病気や害虫に強く育てやすいところも、いかにもオールド・ローズらしいですね。枝を長く残してつるバラとして仕立ててもいいし、短くカットしてブッシュ樹形にしてもちゃんと咲いてくれます。使い勝手もよく、利用価値の高いバラです。とても魅力的ですね!