大切な衣類を食い荒らす害虫「ヒメマルカツオブシムシ」はマーガレットの花が大好きです! 洗濯物の近くに咲かせてはいけない要注意花、マーガレットと害虫ヒメマルカツオブシムシとの関係を紹介します。
清楚で人気の高い花、マーガレット
▲白いマーガレットは清楚な印象
白い花びらと黄色い雄しべの対比が美しいマーガレットは、スペイン領カナリア諸島原産の半耐寒性の低木です。この原種に改良を加えたさまざまな園芸品種があり、現在では八重咲き品種やピンク色、黄色のマーガレットもあります。花束やフラワーアレンジメントの花として広く人気があります。
マーガレットは花が咲き切っても花びらが散らないという特徴があり、花がきれいなまま長く楽しめるのでガーデンフラワーとしても、鉢花としても好まれます。最近では、花びらが「落ちない」ことを強調し、JAが中心となって受験生の縁起物としてPRされてもいます。
数年前、葉の色が蛍光色っぽいきれいなマーガレットを花屋で見つけたわたしは、これをベランダに咲かせていました。そして、悲劇は起きたのです・・・。
タオルに変な虫がついている・・・
Larvae. Anthrenus vebasci. Varied Carpet Beetle. Dermestidae / gailhampshire
▲ヒメマルカツオブシムシの幼虫
今ではすべての洗濯物を部屋干ししていますが、当時はベランダの半分で園芸を楽しみ、もう半分に洗濯物を干していました。外干しするのはタオル類だけ。ふんわりしたタオルよりも、太陽光で干したカリッとした吸水性のいいタオルが好きだったんですね。
ところが、洗ったタオルを入れておくラックから出したばかりのタオルに、白と薄茶色の縞模様のある小さなイモ虫がついているようになったんです。お風呂上りに顔や髪を拭こうとして「ギャー!」ということに・・・。これは恐怖でした。
当時は分からなかったんですが、これヒメマルカツオブシムシの幼虫でした。ベランダに干しておいたタオルに産卵され、タオルラックの中で孵化したらしいのです(==
シルクやウールの衣類に穴が!
▲お気に入りのシルクのブラウスに穴が・・・
ベランダに干したタオルから家の中に侵入したヒメマルカツオブシムシは、クローゼットにも入り込みました。天然繊維が好きなようで、安物の合繊衣類には目もくれず、シルクやウールばかりを狙って穴をあけてくれました。
この幼虫、脱皮しながら大きくなるらしく、ベッド脇に脱皮した縞模様の抜け殻を見つけるようになって気づきました。我が家では、ベッドパッドに厚手のウールマットを使っているのです・・・。
「ウギャー!」
ヒメマルカツオブシムシは、産卵してから外に飛び立つ
Anthrène du bouillon blanc / JR Guillaumin
▲ヒメマルカツオブシムシの成虫
家の中で幼虫時代を過ごしたヒメマルカツオブシムシは、成虫になり、5月ごろ外に飛び立ちます。成虫の大きさは2.5~3mmほどの、ころんとした小さな虫です。全体に、茶色と白のまだら模様をしています。
ようやく外に出て行ったとホッとしたいところですが、そう上手くはいきません。
この虫、成虫になるとすぐに卵を産んで、それから外に飛んでいくのです。──つまり、一度家に招き入れてしまったが最後、幼虫を絶滅させなければヒメマルカツオブシムシは家の中に居座り続けるのです!
我が家ではそれまで一度も害虫被害に遭ったことがなかったので、衣類用防虫剤を使っていなかったのもあり、たくさんの穴あき被害を出してしまいました。その後、衣類用防虫剤をたくさん買い込んで、あっちにもこっちにも置いたのは言うまでもありません。
ベッドマットは、気持ちが悪いのですべて廃棄し、新しいものに買い替えました。結構な出費でした・・・。
ベランダのマーガレットがヒメマルカツオブシムシを呼ぶ!
▲マーガレットにつくヒメマルカツオブシムシ 出展/wiki
じつはヒメマルカツオブシムシは、マーガレットの花が好きです。マーガレット以外にもヒメジョオンなどのキク科の花に集まります。しかも白色がとくに好きなので、白っぽい洗濯物(我が家のタオルはほぼ白です・・・)に産卵することが多いのだそうです。
人の衣類について家の中に入り込むこともあります。マーガレットが咲いている花壇の近くを通る方は、家に入る前に服を払ってから入った方が良いようです。
マーガレットには白以外にもピンクや黄色もありますが、どの色のマーガレットにも集まります。
洗濯物の近くにマーガレットを植えてはダメ!
▲外干ししている方は要注意!
ということで、記事タイトルに戻ります。「洗濯物の近くにマーガレットを植えてはダメ!」です。花は素敵だけれどマーガレットは、外干ししている方にとって要注意のお花です!
どうしてもマーガレットを植えて楽しみたいなら、ヒメマルカツオブシムシの成虫が活動する5月前に、4月中旬には処分した方が良いと思います。
まとめ
今回は、一度家に入りこまれるとやっかいな害虫「ヒメマルカツオブシムシ」と、この害虫を呼びやすい「マーガレット」について紹介しました。
衣類を食べる害虫には「ヒメマルカツオブシムシ」以外にも「ヒメカツオブシムシ」「イガ」「コイガ」があります。「ヒメカツオブシムシ」は、幼虫は「ヒメマルカツオブシムシ」にそっくりで、成虫は真っ黒な甲虫です。体長は3.5~4.5cm。「イガ」と「コイガ」は小さな蛾で、幼虫は透明~白のイモムシです。
マーガレットは素敵な花だけれど、害虫を呼ぶ花だと。そして、たとえ一度も衣類に穴をあけられたことがなくても衣類用防虫剤は必要だなぁと、決意を新たにしたというお話しでした。みなさんも気をつけてくださいね!