苔を使った涼し気なテラリウムは「コケリウム」と呼ばれています。以前、自己流で作ったことがありますが、今回はプロのワークショップに参加してきました。詳細をレポートします!
「コケリウム」って何?
▲エアープランツを組み合わせたテラリウム
「テラリウム」は、ガラスケースで植物を育てる方法
コケリウムの前に、まずテラリウムから説明しましょう。
テラリウムとは、植物をガラス容器に入れて育てる方法です。なんと、テラリウムは19世紀の大英帝国時代のロンドンで生まれたものです!
当時はプラントハンターと呼ばれる人たちが世界各地から珍しい植物を収集していた時代でした。収集した植物を運ぶのに便利なことから、テラリウムは注目を集めました。
さらに、大きな温室を作り南国の珍しい植物を育てて楽しんでいた当時の王侯貴族のような真似はできないけれど、そのミニチュアバージョンとして、小さなガラスケースのなかで植物を育てるのが中産階級の間で流行しました。
21世紀の現代でもテラリウムは人気があります。テラリウムはガラスケースに入っているので清潔感があり、室内で管理するため虫がつくこともないので、身近に植物を楽しみたい人に親しまれています。
とくに根を張らずに空中の湿度だけで生育するチランジアなどのエアープランツを入れておけば、メンテナンスフリーです。雑貨のような気軽さで、あまり植物に詳しくない人でも取り入れられるインドア・グリーンとして、インテリアに取り入れている方が多いですね。
コケリウムは、「苔」を使ったテラリウム!
▲コスギゴケ(小杉苔)
コケリウムは、正しくは「苔テラリウム」。つまりコケリウムとは、苔を使ったテラリウムなのです。コケリウムを室内で楽しむメリットはたくさんあります。
コケリウムを室内で楽しむ3つのメリット
メリットその1、コケリウムはとても清潔!
まず苔は、根から水分や養分を吸い上げません。根はありますが、それはただ体を支えるためにあるものです。ということは、苔を育てるために、肥沃な土が必要ないということです。体を支えられるものなら何でもいいわけなので、土を使わずに育てることができます。
いくらきれいに花が咲いていても、土に植えられた植物をダイニング・テーブルに置くのはちょっと嫌ですよね。でも、コケリウムなら清潔なので、ダイニング・テーブルにも気持ちよく置けます。
メリットその2、蛍光灯の光だけで育てられる!
苔にはさまざまな種類があります。日光が好きな種類もあればあまり日光が好きでない種類もあります。日光が好きでない種類を選べば、蛍光灯の光だけで育てることができます。
メリットその3、ローメンテナンスでいつもきれい!
日光があまり好きでない苔が育つために必要なのは、弱い光と適度な湿度です。適度な湿度さえあれば、苔は蛍光灯の光だけで瑞々しい姿を保つことができます。毎日、水やりする必要はありません。ときどき霧吹きで湿り気を与えておけば大丈夫です。
密閉容器なら、霧吹きさえ必要ありません。小さなガラス容器のなかで、完璧な生態系がつくられるので、人間は、ただその様子を眺めていればいいのです!
ワークショップでコケリウムを作ろう!
今回、わたしが参加したワークショップは、「Feel the garden」と「リカシツ」が開催している初級編のワークショップです。上の、ちょっと大きな試験管のようなビンにコケリウムを作ります。
▼リカシツのワークショップ情報はこちらから
1、材料を確認
ガラス容器(シリコン製の蓋がついた密閉できるタイプ)
コケ(今回は蛍光灯だけで育つヒノキゴケを使用)
飾り(ミニチュアの人形や、小石など)
砂(コケを植えつけるもの。金魚や熱帯魚の水槽に敷く床材や、ハイドロボールなどでもOK)
ハサミ
ピンセット(アクアリウム用の長いもの)
霧吹き
消毒液
タオルやキッチンペーパー、ボウルなど適宜
2、容器や砂を洗ってガラス容器に敷く
ワークショップでは、すぐに制作に取り掛かれるよう準備されていましたが、自分で作るときには、あらかじめガラス容器や砂をよく洗っておきます。とくに砂は細かい汚れが出るので、丁寧に洗います。
水が濁らないくらい砂を洗ったら、ガラス容器の底に2cmくらいの厚みに敷きます。
3、コケをカットして指先でデザインする
小さなガラス容器なので、10本ほどのヒノキゴケを選んで、余分な根をカットします。
選んだヒノキゴケを霧吹きで湿らせると、水分を含んでふわっと広がります。
10本のヒノキゴケの根元をまとめて左手の親指と人差し指でつまみ、右手でバランスよく整えます。指でつまんた根元が小さくまとまっていて、ヒノキゴケが上に向かって放射状に伸びる形をイメージするときれいになります。
4、ピンセットでつまんで砂に植える
アクアリウム用の長いピンセットを使って、まず容器に敷いた砂の中央を凹ませます。
次にヒノキゴケの、左手の指でつまんでいるところをピンセットでつまんで、凹ませた砂にさします。このとき、コケがばらけないよう注意です!
5、慎重に飾りを入れる!
ジオラマなどに使われるような小さな人形や動物。ナチュラルに仕上げたいなら、小石を飾りに入れても素敵です。
6、水と消毒液を入れて完成!
砂が水に漬かるていどの水を入れ、最後に消毒液を。消毒液は何か聞くのを忘れましたが、防藻・防錆剤かなぁと思っています。
コケリウムはどれくらい長もちする?
▲制作から1ヵ月半後のコケリウム
密閉タイプならガラス容器のなかで完璧な生態系が保たれるので、まったく手入れが必要ないとされるコケリウムですが、どれくらい長もちするのでしょう?
上の写真は実際にわたしが作ってから1ヵ月半たったコケリウムです。なんか見事にツートンカラーになってます。下半分は、作った当初と同じきれいな緑色ですが、上半分はオレンジ色・・・これ、枯れてるんじゃ?
インストラクターさんいわく「コケは生き物だから、ガラス容器のなかで生長します。色が悪くなってきたらそこを切っておけば脇からまた新芽が伸びてきますよ」ということだったので、切ろうかと思うのですが、容器の口が狭くてハサミが届きません! 全部出してもう一度植え付け直せばいいのですが、しばらくこのまま様子を見ようかな、と思います。
まとめ
以前、自己流で作ったときもしばらく楽しめましたが、腐敗臭がしてきたため廃棄処分してしまいました。今回は、プロのワークショップに参加してみて、「消毒液」を使っていたので、なるほど~と思いまいましたね。
個人的に消毒薬の正体は、▼このあたりの商品じゃないかなぁと思っています。
コケリウムは清潔なのでダイニング・テーブルに置いてもいいし、窓辺に置く必要がないのでワーキングデスクの横に飾ってもいいし、水やりしなくていいので本棚に置いてもいいですね! プレゼントにも喜ばれそうです。
何より涼し気で、見ているだけで癒されますね!
ローメンテナンスとはいえ、きれいに保つには少しは管理が必要なようですが、作り方を覚えてしまえば、メンテナンスついでに何度も作りかえられるところもいいですね^^
機会があったら、プロのワークショップにも参加してみてもいいし、1ヵ月くらい楽しむだけなら、自己流でもぜんぜんOKですよ!
▼以前、自己流で作ったコケリウムの記事はコチラ。