前回の記事で紹介した「重曹オイルスプレー」。ウドンコ病に効果抜群なんですが、バラに対しての検証がされていないのが気がかりです。散布後のレポートから、適正な濃さを探していきたいと思います。

「重曹オイルスプレー」の確認

▲重曹+植物性オイル+洗剤でつくった原液

が家はベランダ栽培で、バラが増えるごとにウドンコ病に悩まされるようになりました。「ベニカXガード」粒剤で緩和はされるものの、やはり今年も葉っぱが白くなってきている・・・。

 

毎日のように殺菌剤を散布しながら、治らないなぁと思っていた矢先に目を引いたyou tubeの動画タイトル「ウドンコ病がすぐ消える。無農薬で簡単に治す!」。これは視聴しないわけにいきません。

 

そこで紹介されていたのが「重曹オイルスプレー」です。これを試して驚きました! 本当に、魔法のようにウドンコ病が消えるのです。

 

しかし、バラでの影響が検証されていないため、はたして本当に使えるスプレーなのか不安が残ります。そこで、その後の様子を確認しながら、このスプレーは使えるのか? 使えるとしたらどれくらいの濃度が適切なのか? を検証するのが今回の記事の目的です。

 

前回の記事をご覧になっていない方は、まずそちらをご確認ください。

 

▼前回の記事はこちらです

マロさんの「野菜の基準濃度」で散布

ず、動画主のマロさんが家庭菜園で使用している野菜の基準濃度「原液小さじ2杯+水200cc」で散布した場合のレポートです。マロさんはこの濃度で、エンドウ豆やかぼちゃの葉に散布していて、それで悪影響はないとのこと。

 

散布当日

▲葉先にウドンコ病

徴的なくぼみのあるこの葉に散布。

 

▲ウドンコ病、消滅!

 

スプレー散布してすぐにウドンコ病が消えました。葉はオイルコーティングされてツヤツヤです。

 

▲アンジェラの蕾にもウドンコ病

 

アンジェラの蕾の下の方や花柄(軸のこと)もウドンコ病で白くなっています。

 

▲散布してすぐにウドンコ病がほとんど消えた

 

「重曹オイルスプレー」散布で、すぐにここまでウドンコ病が消えました。葉と違い立体的な形をしているので、スプレーがうまく届いていないところがあるので、少し指でなじませました。

 

▲レディエマハミルトンの若葉にウドンコ病

 

レディエマハミルトンの若葉についたウドンコ病。こちらは殺菌剤散布での治療痕が赤黒く残っています。

 

▲若葉のウドンコ病もすぐに消滅!

 

若葉のウドンコ病も、スプレーしてすぐになくなりました。(注:上の写真とは別の葉です)。この葉はかなりひどかったので、何度も念入りに散布しました。

 

ウドンコ病は消えても、葉の縮れはそのままです。

 

散布2日目

▲大人の葉に変化なし

っかりした大人の葉には、目だった変化はありません。この株はかなりウドンコ病がひどかったので、しっかり散布したのですが、オイルのツヤが少し落ち着いたくらいで、悪影響は観られません。触ると少しベタベタします。

 

▲ごく若い小さな葉が落葉

 

紅玉のごく小さい若葉が、指先で触れただけでポロリと落ちました。

 

▲アンジェラの蕾ひとつに異変

 

アンジェラは10輪ほどの房咲きになっているところに散布したうち、ひとつの蕾に異変がありました。蕾の付け根の膨らんだところが茶色く変色しています。

 

葉や花柄などの、スプレーがかかりきっていないところに、まだウドンコ病が残っているのが分かります。花柄は細かい産毛がついているので、スプレーがかかりにくいのかも知れません。

 

散布3日目

▲散布3日目の葉。患部がゴワゴワ

布から3日目。大人の葉に目だった変化はありませんが、もともとウドンコ病がついていた患部を指で触るとゴワゴワしています。写真では、少し黒ずんだり埃のようなツブツブが写っていますが、肉眼ではきれいな普通の葉です。

 

▲若葉の葉先がカラカラに!

 

強風の日があったのでその影響かも知れませんが、比較的若い葉の先がカラカラに乾いているところがあります。ただし、ごく一部です。

 

▲レディエマハミルトンの蕾に異変!

 

これは少しショックだったのですが。レディエマハミルトンの蕾がひとつ、真っ黒になってしまいました。花柄が黒くなっているので、水を吸い上げる導管が傷んでしまったように見えます。おそらく咲けないでしょう。

 

この蕾は株の手前にあり、近くにウドンコ病の若葉がたくさんあったので、とくに念入りに散布した場所です。黒くなってしまったのはこの1輪だけで、他の蕾は問題ありません。

 

▲紅玉の花びらに黒ずみが!

 

紅玉の蕾の周りはウドンコ病の巣窟だったので、蕾を中心に散布しました。葉や蕾に目だった影響はありませんが、花びらの先が黒くなっています。花びらにかけるのは、さすがにまずそうです。

 

散布6日目

▲散布3日目以降は変化なし

初に紹介した、左上に小さな凹みのある葉の散布後6日目の様子です。その後、まったく変化はありません。ウドンコ病なんてどこ吹く風といった様子です。

 

他の、葉先がカサカサになったもの、花柄が茶色くなったもの、蕾全体が黒くなってしまったもの、花びらの先が黒ずんだもの、すべて散布3日目以降そのままです。改善するわけではありませんが、悪化もしていません。

 

野菜の基準濃度の2倍の薄さで散布(バラ濃度こいめ)

はりマロさんの野菜の基準濃度では濃すぎるようなので、基準濃度の2倍の薄さ(原液小さじ1杯+水200cc)に調節して散布してみました。これを「バラ濃度こいめ」と呼ぶことにします。前回の散布で悪影響が見られた若葉や蕾での変化を中心に観察します。

 

散布当日

▲アンジェラのウドンコ病

回とは別のアンジェラの蕾に散布します。若葉と花柄の両方にウドンコ病があります。

 

▲散布してすぐウドンコ病が消滅

 

散布してすぐにウドンコ病が消えました。手につく油っぽさは、野菜の基準濃度のときよりかなり減っています。油臭さもほとんどありません。

 

▲花びらのウドンコ病に散布

 

野菜の基準濃度の散布で黒ずみが出てしまった花びらにも散布しました。側面に少しウドンコ病が出ていたのですが、散布してすぐに白いツブツブは消えました。

 

散布2日目

▲散布から2日目。変化なし

ラ濃度こいめ(野菜の基準濃度の2倍希釈液)を散布してから2日目。アンジェラの若葉、花柄、蕾ともに変化なしです。若葉の葉先に見える赤い部分は殺菌剤での治療痕で、「重曹オイルスプレー」を散布する以前からあるものです。

 

▲散布した花びらに黒ずみナシ

 

散布したところの花びらに変化は観られませんが、指で撫でてみると、少しゴワついていました。そして、開いてきた他の花びらの内側にもウドンコ病・・・。重ねがけは良くなさそうなので、このまま観察します。

 

散布3日目

▲散布から3日目。変化なし

ンジェラの若葉、花柄、蕾どれにも変化は観られません。ウドンコ病の再発もなければ、黒ずみなどの異変もありません。葉が濡れているのは、雨がかかったためです。

 

「バラ濃度こいめ」(野菜の基準濃度の2倍の薄さ)なら、大きな悪影響はなさそうですね。

 

▲花びらの端が薄っすら黒い?

 

紅玉の花びらの端が、よくよく見れば薄っすら黒いようです。内側にウドンコ病がついているので、そちらの影響かもしれませんが。

 

野菜の基準濃度の3倍の薄さで散布(バラ濃度うすいめ)

いたい野菜の基準濃度の2倍の薄さ(バラ濃度こいめ)で良さそうですが、比較のため3倍の薄さでも試してみました。3倍の薄さは「原液小さじ1杯(5cc)+水300cc」です。野菜の基準濃度の3倍の薄さを「バラ濃度うすいめ」と呼びます。

 

散布当日

▲もはや貴重なウドンコ病まみれの花房

はや我が家のベランダでウドンコ病のあるバラがほとんどなく、ようやくフェンスの裏側に隠れていたアンジェラの貴重なウドンコまみれの花房をみつけました。なかなか白いですね。

 

▲1度がけでは裏側の花柄が白いまま

 

全体にまんべんなくかけたつもりでしたが、1度かけただけで葉はすっきりキレイになったものの、花柄の裏側が白く残りました。

 

▲重ねがけ+指でなじませてスッキリ!

 

花柄の裏側を中心に重ねがけし、さらに指でなじませて、ここまでウドンコ病をなくすことができました。これまでに比べて効果は弱いですが、少し手間をかければかなりウドンコ病を消すことができます。

 

▲「デスデモーナ」の花びらに3倍希釈液を散布

 

アンジェラの花房に「重曹オイルスプレー」をかけていたところ、下にうなだれて咲いていた「デスデモーナ」の花に垂れてしまいました。

 

「デスデモーナ」にウドンコ病は発生していませんが、どうせかかってしまったのなら──と、いうことで。この花びらにも「バラ濃度うすいめ」を散布しました。異変が出ないか観察します。

 

散布2日目

▲ほぼウドンコ病は消えている

光でやや見にくい写真なのですが、ウドンコ病はほぼなくなっています。ただし若葉がツヤ消し状で、ウドンコ病がもしかしたら残っているのかな?──という感じです。再発しないか引き続き観察します。

 

▲花びらに赤味が出て萎れているけれど・・・

 

デスデモーナの花びらは、「重曹オイルスプレー」がかかった1枚に赤味が差し萎れています。やはり悪影響が出てしまったか! と、思ったのですが──。

 

▲散布していない「デスデモーナ」の花

 

スプレー散布していない他の「デスデモーナ」の花も、外側の花びらが赤味を差して萎れています。要するに外弁から順に傷んできているだけで、影響があったとしてもごくわずかと思われます。

 

きなりのすもも さんの、重曹オイルスプレー散布レポート

自宅のバラたちにウドンコ病が爆発的に広がり困ってらした きなりのすもも さんが、早速「重曹オイルスプレー」を試してみてくれました。その経過をレポート形式でまとめてご自身のブログで発表されています。葉裏をチェックしたり、雨に濡れたときの様子など、わたしの気づかなかったところも観察されています。また、重曹ではなくカリグリーンの方が良いのでは? という鋭い考察も目を引きます。

 

きなりのすもも さんは現役のライターさんなので読みやすく、きれいにまとまった記事構成になっています。参考に、ぜひご覧になってくださいね!

 

 

 

とりあえず、今回のレポートはここまでです。

さらに観察を続け、のこりはまた追記して更新します。

 

▼バラの病虫害対策と農薬の記事はこちらからご覧ください

 

cropped-rose1.png
スポンサーリンク