自分でブレンドして培養土を作ったり、古土を上手くリサイクルするには土の知識が必要です。今回は、園芸でもっともよく使われている「赤玉土」の特徴やデメリット、それを踏まえた上手な使い方を紹介します。


園芸の基本用土「赤玉土」を知ろう!

▲赤玉土は園芸の基本用土

れまでわたしは、園芸初心者さんにはそのまま使える「バラの土」などの「培養土」をオススメしてきました。土の知識がなくてもいいし、さまざまな土を買いそろえる手間もなくて効率がいいからです。

 

ところで最近わたしは、古土をリサイクルして状態の良い培養土に仕上げようと考えているのですが、そのためには土の知識が絶対に必要だと思い知ったわけで──。今回は、園芸でもっともよく使われている基本用土「赤玉土」について調べたことを詳しく紹介します。

 

土をじっくり知ることで、自分でブレンドして培養土を作ることや、古土をリサイクルして状態のよい培養土を作ることができます。脱・初心者を目指す方にも、ゼヒ知ってほしい赤玉土の知識をまとめました。

 

「赤玉土」は、関東ローム層から採れる火山灰起源の土

▲「関東ローム層」が見られる千葉県・屛風ヶ浦の地層

東ローム層とは、関東平野を広く覆う火山灰起源の地層です。「ローム」とは、粘土質の土壌をさす言葉。ここから採れる土が「赤土」で、赤土の固まりが粒状に砕けた土が「赤玉土」です。


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赤玉土は、その粒の大きさにより「大粒」「中粒」「小粒」に分けられます。

 

草花を育てるなら「小粒」が適し、あるていど大きさのある木には「中粒」、鉢底石代わりに使うなら「大粒」という使われ方がされています。バラには「小粒」か「中粒」がよく使われます。

 

「赤玉土」は、植物が育ちやすい団粒構造の土

▲左が団粒構造の土、右が単粒構造の土

ころで、植物が育ちやすい土とはどんな土でしょう? それにはさまざまな条件がありますが、保水性と保肥性があり、かつ通気性と排水性がある土が園芸に適した土と言われます。

 

この条件を満たすのが「団粒構造」の土です。いくつかの小さな土の粒がくっついて塊になっている上の図の左側のような土が「団粒構造」の土です。土の塊と塊の間に隙間ができるので、ここから水や空気が出入りし、かつ塊の中に水や肥料を抱えることができる土です。

 

右側は「単粒構造」の土で、土の粒がくっつかず全部バラバラになっている砂のような土です。こういう「単粒構造」の土は、水はけが悪いのでいつまでも土の上に水が溜まって抜けにくい状態になります。通気性が悪く、土の中に空気を含むことができません。しかも土に水を含むことがないので、水が抜けたらすぐに乾いてしまいます。肥料を保つこともできません。

 

単粒構造の土は、植物が育つのに適さない、園芸に不向きな土といえます。

 

園芸に適した土にはほかにもさまざまな条件がありますが、土の形状から言えば「団粒構造」の土が良く、赤玉土は「団粒構造」なので園芸に適した土といえます。

 

「赤玉土」は有機物を含まない清潔で痩せた土

▲赤玉土にサフィニアを挿し芽

玉土は、関東ローム層の赤土の下にある塊を砕いてつくられています。長く地中深くにあった土なので、有機物を含まない清潔な土です。

 

この清潔さを利用して、挿し木や挿し芽をする際に赤玉土がよく使われます。雑菌を含んだ土だと、発根する前に腐ってしまう恐れがあるからです。

 

でも裏を返せば、「赤玉土」は微生物も栄養分も含んでいない痩せた土ともいえます。

 

「赤玉土」は弱酸性・「鹿沼土」は酸性の土


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玉土とよく似た園芸用の土に「鹿沼土」という土があります。「鹿沼土」も団粒構造で、有機物を含まない清潔な土です。このため、「鹿沼土」も挿し木や挿し芽によく使われます。

 

でも、赤玉土と鹿沼土には大きな違いがあります。

 

赤玉土がph5~6の弱酸性なのに対し、鹿沼土はph4~5の酸性です。サツキやブルーベリーなどの酸性土壌を好む植物には鹿沼土が適しますが、バラを含む多くの植物は弱酸性を好むので、赤玉土の方が適しているのです。

 

肥料を保つ力も違います。赤玉土は保肥力が高いのに対して、鹿沼土にはほとんど保肥力がありません。

 

保水力にも差があります。じつは鹿沼土は土というより「軽石」に近い形状をしています。そのため排水性や通気性はいいのですが、保水力はあまり高くありません。赤玉土の方が保水力が高いです。

 

「赤玉土」の2つのデメリットと解決方法

▲赤玉土のデメリットを知ることは大事!

芸用の基本用土としてとても使いやすい「赤玉土」ですが、デメリットもあります。ここでは「赤玉土」の2つのデメリットと、その解決方法について紹介します。

 

デメリット1、崩れやすい

玉土は、とくに水を含むと崩れやすく、赤玉土が崩れると「赤土」に戻ってしまいます。「赤土」は単粒構造の土なので排水性や通気性が悪く、植物を育てるのに適しません。

 

プランターなどに赤玉土で植物を植えこみ、そのまま植え替えせずに何年も放置すると、やがて赤玉土が崩れて水はけの悪い赤土に戻ってしまいます。その結果、根腐れを起こす原因になりやすいのです。

 

デメリットの解決方法


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赤玉土のなかには、崩れにくい「硬質」の赤玉土を厳選してパッケージした商品や、焼き締めて硬質にした赤玉土もあります。通常のものより少し値段が高くなりますが、崩れにくい高機能な赤玉土です。

 

デメリット2、リン酸肥料が効かなくなる

玉土は火山灰起源の土なので鉄やアルミニウムを多く含みます。

 

植物の基本肥料は「チッソ(N)・リン酸(P)・カリ(K)」です。このうちのリン酸が、鉄やアルミニウムと結合することで別の物質に変化してしまい、肥料として機能しなくなるというデメリットを引き起こします。

 

このため、リン酸肥料を赤玉土に撒いても、植物が肥料として吸収できるのは10~20%ていどだと言われています。

 

デメリットの3つの解決方法

1、リン酸が多いめの肥料を与える


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たとえば「N8:P20:K8」のように極端にリン酸を多く含む肥料を使うか、「N8:P8:K8」のように同じ比率の肥料にリン酸肥料をプラスして使うと、リン酸が効かないデメリットを解消することができます。

 

「バットグアノ」はリン酸単体の肥料なので、プラスするには使いやすい肥料です。

 

2、たい肥を多いめに入れる


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赤玉土に、たい肥を多く入れて解決することもできます。

 

たい肥には植物性たい肥(腐葉土やバークたい肥)と動物性たい肥(牛ふんたい肥や馬ふんたい肥)があります。これらのたい肥には腐食酸が含まれていて、腐食酸の働きでリン酸肥料が効きにくくなるデメリットを軽減してくれます。

 

たい肥を多く入れると軽い土になりがちですが、バラはやや重い土が好きです。そこはバランスを取って使ってください。

 

3、ケイ酸塩白土(けいさんえんはくど)を入れる


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ケイ酸塩白土(けいさんえんはくど)を入れるという方法もあります。「ミリオン」という商品がよく知られていますが、他の商品もあります。

 

ケイ酸塩白土は、赤玉土より先にリン酸成分を捕まえるのですが、ケイ酸塩白土が捕まえたリン酸成分は植物が吸収することができる形です。このため、赤玉土にケイ酸塩白土を入れることでリン酸肥料が効かなくなるデメリットを軽減できるのです。

 

ケイ酸塩白土は、根腐れを防止する効果もある、とても有用な土です。

 

基本の「培養土」は「赤玉土7:腐葉土3」


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年の培養土は、持ち運びの利便性から、あとたぶん赤玉土がリン酸肥料を効かなくするデメリットを考えて、たい肥を多く入れて軽くつくられることが多いのですが、今から遡ること20年以上前の初期の「培養土」は「赤玉土7:腐葉土3」だったそうです。

 

保水性・保肥性に優れ、通気性・通水性にも優れる団粒構造をもち、有機物を含まない清潔で弱酸性の赤玉土をベースに、有機肥料分を補いさらにふかふかな土にする目的で腐葉土を混ぜたんですね。

 

近年の培養土はさらにさまざまな土を混ぜることで高機能な培養土にしていますが、基本は「赤玉土7:腐葉土3」です。

 

これをベースに、自分で土のブレンドを考えましょう。

 

赤玉土を利用したブレンド例

▲赤玉土をメインに利用した土のブレンドを考えよう!

れまでの情報をもとにブレンド例を考えてみました。

 

赤玉土(小粒または中粒)6:たい肥4(植物性+動物性)+ケイ酸塩白土少々

 

もう少し軽くしたいなら

 

赤玉土5(小粒または中粒):たい肥4(植物性+動物性):土壌改良剤1(くん炭またはパーライト)+ケイ酸塩白土少々

 

こんな感じでしょうか? たい肥が多いめでケイ酸塩白土も入れているので、これなら元肥のリン酸肥料を多くしなくても大丈夫そうです。

 

以前、紹介したバラの先生方のブレンド例のなかでは、小山内健先生のブレンド方法に近い結果となりました。

 

▼基本用土とプロのおすすめブレンド例の記事

まとめ

今回は、バラだけでない幅広い園芸の基本用土として使われる「赤玉土」について深堀りして紹介しました。

 

保水性・保肥性・通気性・通水性に優れる団粒構造をもつ「赤玉土」は、植物を育てるメリットがたくさんある優れた土であることが分かりましたね。

 

でも同時に、肥料分も有機物も含まないのでたい肥をプラスしなければいけないこと、そしてリン酸肥料を効かなくするデメリットがあることも抑えておくべきポイントです。

 

これらを踏まえて上手な使い方を考える必要があります。

 

わたしが考えた土のブレンド例も紹介していますが、皆さまなりのブレンドを考えてみてくださいね^^

 

リサイクル土を状態の良い培養土にするには、もっとさまざまな知識が必要なので、それについてはまた別のページで考えていきます。

 

▼「土と肥料・薬剤・園芸資材について」の記事一覧はこちらから

 

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