夏はコガネムシの産卵シーズンです。コガネムシの成虫は葉や花を食害し、幼虫は根を食べるバラには怖い害虫です。しっかり対策しましょう!
コガネムシはバラを枯らす天敵!
▲緑色で全体に丸いのがコガネムシ
夏になると現れる、ツヤツヤした緑色の甲虫。コガネムシです。じつはこのコガネムシ、バラの天敵と言ってもいいくらい怖い虫なのです。
成虫はバラの葉や花を食べ、幼虫はバラの根を食べます。当然、怖いのは幼虫の方です。
コガネムシは夏の間に産卵するので、夏はコガネムシ対策が欠かせません。知らない内に鉢土に産卵され、幼虫に根を食べられたあげく、バラが枯れてしまったという悲劇も起こります。
実際わたしは、ピエールドゥロンサールとアイスバーグの2鉢を枯らされたことがあります。
コガネムシの幼虫被害、3つの特徴的な症状
コガネムシの成虫を見かけたら、必ずコガネムシ対策が必要です。コガネムシの成虫を見ていなくても、油断は禁物。夏にこんな症状があったら、既に土にコガネムシの幼虫がいて、あなたの大切なバラの根をかじっているかも知れません!
コガネムシの幼虫は土の中にいるので、目で確認することができないため、なかなか被害に気付けません。ここでは、コガネムシの幼虫被害に特徴的な、バラの3つの症状を紹介します。
1、2番花の後、新芽が伸びてこない
▲2番花を切った後の新芽が出てこない
バラの2番花が咲くのが6月下旬~7月にかけて。ちょうどこの頃から、コガネムシの産卵シーズンに入ります。もう鉢に産卵されていて、幼虫がバラの根を食べ始めていたら、もちろんバラは調子を崩します。
他のバラがどんどん新芽を伸ばしているのに、2番花の後の新芽がぜんぜん伸びない。または、ひょろっとした新芽が伸びただけで動きを止めてしまったバラがあったら──。
もしかしたら、コガネムシの幼虫被害に遭っているかも知れません!
2、鉢土の乾きが、明らかに遅い
▲同じように水やりしてるのに、特定の鉢だけ土が乾かない
バラをいくつも育てていて、どれも同じように管理しているはずなのに、明らかに土の乾きが遅い鉢がある場合。もしかしたら、コガネムシの幼虫に根を食べられているかも知れません。
たとえば黒星病で葉を落としてしまったとか、別の理由が考えられない場合、とくに暑くなってきて急に鉢土が乾かなくなったと感じたら、コガネムシの幼虫被害を疑ってください。
3、株元を揺らすとグラグラする
▲株元がグラグラ揺れるなら、かなり危険!
上に挙げた2つの症状があったら、株元を持って揺らしてみてください。もし、グラグラと簡単に揺れるなら、間違いなくコガネムシの幼虫被害に遭っていると思われます。
ここまでひどくなっていると、すぐに対策しても回復までかなり時間がかかります。もしかしたら、もう手遅れかも知れません。こうなる前にコガネムシ対策を始めましょう。
コガネムシの幼虫は、こんな虫。その外見と生態
▲コガネムシの幼虫
コガネムシの幼虫の駆除方法を紹介する前に、コガネムシはどんな虫で、どんな生態なのかをサラリと紹介します。
幼虫の見た目は上のように、頭が茶色くてお尻の黒い、クリーム色の虫です。カブトムシの幼虫を小型にしたような感じで、Uの字に丸まっています。この写真は冬に撮影したもので、この段階で体長2cmくらいあります。
コガネムシの成虫はさまざまな植物の葉や花を食べ、幼虫は根を食害します。なかでもとくにバラが好きらしく、バラに集まってくるところがあります。バラ以外では、ゴルフ場の芝生の根を食害して枯らしてしまうので問題になることが多いです。
初夏に幼虫から成虫になったコガネムシは、夏の間に地中に産卵します。卵は1~2週間で孵化し、植物の根を食べ始めます。2度の脱皮を経て、そのまま土の中で越冬。
このため、冬の植え替えのときにバラの鉢からコガネムシの幼虫が出てきてビックリ! ということが、しばしば起こります。
翌春、温かくなるとコガネムシの幼虫は蛹になり、初夏に成虫となってまた産卵します。
コガネムシの産卵予防
▲ベランダの向うの雑木林から毎年コガネムシがやってくる
バラはとくにコガネムシが好む植物で、近くに山林や夜じゅう明るい街灯のあるところにバラが植えてあるなら、ほぼ必ずコガネムシがやってきます。
我が家はベランダの向うが雑木林で、夜もリビングのカーテンを引かない生活なので、毎年コガネムシが飛んできます。
成虫がやってくるのは仕方ないのですが、鉢に産卵されるのは困ります。まず鉢に産卵するのを予防する方法を3つ紹介します。
1、鉢土に防除シートをかぶせる
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コガネムシの産卵予防は、鉢土を何かで覆い、コガネムシの成虫が土にたどり着けないようにする物理的な方法が一番です。隙間なく、しっかりカバーすることで、コガネムシが入り込むのを防ぎます。
目の細かい網戸のネットを使い、自分で作る方もいるようです。
2、白い鉢底石を土の上に敷く
コガネムシは白いものを嫌うので、白い鉢底石を土の上に敷くことで産卵予防効果が期待できます。厚さ2cmくらい敷くといいので、なるべく軽い鉢底石を選びたいところです。
3、土をマンネングサで覆う
▲セダムのマンネングサは、あきれるほど丈夫な多肉植物
先日、夏の暑さ対策にセダム・マンネングサのマルチングを紹介しましたが、これがコガネムシの産卵予防にも役立ちます。
鉢土をしっかり覆うことで、実際に幼虫ゼロを確認しています。
グラウンドカバーなら何でも効果があるわけではなく、芝生やクリーピングタイムで覆った地面では、しっかりコガネムシが産卵してしまいます。マンネングサは厚みがあるからいいのか、それともコガネムシの嫌いな何かがあるのか、詳細は分かりませんが、わたしの経験則として効果アリです。
鉢土のマルチングだけでなく、これなら庭植えでも使えます。
今のところ、わたしの経験則だけの情報なので過信はできませんが、気になった方はお試しください。
補足
いろいろな品種のセダムを試してくれたORCAさんからの補足情報です。ごく一般的なマンネングサから高価なセダムまで数品種を育ててみたところ、「モリムラマンネングサ」「マルハマンネングサ」「ウスユキマンネングサ」「ツルマンネングサ」が丈夫でオススメとのこと。参考にしてください^^
ちなみに、わたし(あいびー)は、モリムラマンネングサを愛用しています。
▼マルチングの記事はこちらからどうぞ
コガネムシの駆除のしかた
次に、コガネムシを駆除する方法を紹介します。まず、コガネムシの成虫を駆除する方法から。
コガネムシの成虫は翅があるので、いくら捕まえてもつぎつぎやってきてキリがありません。「ベニカXファインスプレー」などのハンディタイプの殺虫剤でも駆除できますが、じつはわたしは成虫退治はあきらめています──。
コガネムシの成虫を駆除する方法
応援レポーターのハナたろうさんは、キンチョールを使ってコガネムシの成虫を退治しているそうです。なかなか良く効くそうですよ。
キンチョールはエアゾールタイプなので、新芽や若葉に至近距離からかけるとバラが冷害を起こしてしまうので、注意して使ってください。
富士フレーバー フェロモントラップ ニューウインズパック マメコガネムシ用 本体1セット 【送料無料】 【北海道・沖縄・離島配送不可】
成虫をトラップで捕まえる商品もあります。たくさんバラを育てている方にはいいと思いますが、少々値が張ります。
コガネムシの幼虫を駆除する方法
コガネムシは、夏に地中に産卵します。幼虫が大きく育つまえに、薬剤で駆除するのがもっとも効果的な対策です。よく使われている薬剤を3つ紹介します。
1、オルトランDX粒剤
殺虫剤 害虫 オルトラン オルトランDX粒剤 200g 住友化学園芸
バラにつくさまざまな害虫駆除に高い効果を発揮する「オルトランDX粒剤」は、コガネムシの幼虫駆除もできます。夏の間に1~2回、土に散布しておけば確実に幼虫を駆除してくれます。
2、ベニカXガード粒剤
殺虫 殺菌 病気 ベニカXガード粒剤 お徳用 550g 住友化学園芸
「ベニカXガード粒剤」も、オルトランDX粒剤と同じように土にばら撒いて水やりすれば土の中の幼虫が駆除されるという農薬です。
ベニカXガード粒剤については、詳しい記事があるので、そちらも参考にしてください。
▼ベニカXガードの深掘り記事
3、ベニカ水和剤
ベニカ水和剤は、粉末を水に溶かして使う農薬です。アブラムシなどには、2000~4000倍に希釈して葉面散布します。
コガネムシの幼虫駆除には、2000倍に希釈して株元の土にかけます。
コガネムシの幼虫駆除薬を使用するさいの注意
上にあげた3種類の農薬は、どれも有効成分が「クロチアニジン」という薬品です。クロチアニジンは、バラには年間4回までしか使えません。
クロチアニジンを含んだ農薬には、ほかにも「ベニカXファインスプレー」「ベニカXネクストスプレー」などさざまざな商品があります。クロチアニジンを含んだすべての農薬の使用回数が合計して年間4回までなので、注意してください。
コガネムシの幼虫を駆除する農薬には「ダイアジノン」を主成分とする「サンケイ ダイアジノン粒剤」という農薬もあります。ただし、この農薬の適用作物はキャベツやキュウリ、ジャガイモなど野菜だけです。バラに使うことはできません。
無農薬で幼虫を駆除する方法2つ
あまり農薬を使いたくない方向けに、無農薬でコガネムシの幼虫を駆除する方法を2つ紹介します。
鉢ごとどぶ浸け!
▲鉢ごと水に浸ける「どぶ浸け」
あまり大きくない鉢植えなら、鉢ごとバケツの水にどっぷり浸ける「どぶ浸け」で土の中の虫を駆除できます。土に潜んでいた虫が息苦しくなって上がってくるので、そこですかさず捕殺します。
コガネムシの幼虫だけでなく、アリやナメクジなども一緒に駆除できます。
水に浸けておく時間は、1~2時間もあれば大丈夫でしょう。
ニームオイルの希釈液を散布
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ニームオイルの希釈液を土に散布することでコガネムシの幼虫を土から追い出すことができます。商品によりますが、だいたい200~300倍に希釈して使います。
散布後15分ほど(長い目で見れば1時間)待つと土に潜んでいた幼虫が表面に上がってくるので、ここですかさず捕殺します。しばらく見張っている必要があります。
この方法なら、地植えのバラにも対応できます。
まとめ
夏に注意したいコガネムシについて紹介しました。コガネムシの「幼虫」に「要注意」・・・だじゃれですが、バラにはほんとうに怖い虫なので、必ず対策してくださいね!
バラを育てる環境により、コガネムシの幼虫被害のない場合もありますが、1度でも被害に遭った経験があるなら、毎夏に対策しておいた方がいいと思います。大切なバラを枯らされるより、ずっとマシですから!
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コガネムシ。考えてませんでした。バラはまだ2年目なので・・・
ガーデニング自体2年目ですが。
柑橘系にはカミキリムシやカメムシで被害が凄いとは聞きますが。
バラはコガネムシなんですね。知りませんでした。
そっか。今は14鉢で1~2鉢。ちんちくりんの芽しか出てこないのは
コガネムシの幼虫かもしれないですね。
年に4回までとは、きつそうな薬剤ですね。
使用してたのはGFオルトランでした。
ベニカXガード。買ってみよかな?
サンプルでニームオイルもあるけど。。。
今年は長雨で、しかも雨続きの梅雨でうどんこ病に黒星病だらけで
薬剤散布しても、雨ばかりで効果が期待できませんでした。
ま、葉はボロボロですが、元気に咲きましたけど。
ありがとうございます。
コガネムシの幼虫の可能性か。。。
ORCAさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
バラではコガネムシの幼虫と、カミキリムシも怖いです。
我が家ではコガネムシは見かけても、カミキリムシは見たことがないんですよね。
それでカミキリムシの記事が書けない(ーー;
いいんだか、悪いんだか・・・。
GFオルトランは、コガネムシの幼虫には効かないので
オルトランDXかベニカXガードを使ってくださいね。
他の害虫駆除にもなるので、1本もっておくと便利ですよ。
ウドンコ病や黒星病もあるなら、ベニカXガードがいいかもしれないですね^^
あいびー
マンネングサ。いいですね~ さてさて。バラ農園さんのサイトでは春にはチップを取り除いてくださいと・・・ 昨年に購入した一部は。大半はチップを敷き詰めてましたが。一部は。マンネングサを植えたんです。(植え替えするならば、来年の1番花が終了後とかの品種) 一部にはチップにマンネングサってのも(笑 セダム。色々と購入してみましたよ~ でも。大半は。。。得に高い品種はあきまへんね。 モリマンネングサ。 ウスユキマンネングサ。 マルハマンネングサ。 ツルマンネングサが丈夫のようです。 モッサ~と育ってます。 あの高価なセダムだちは。。。一応、生存だけしてる感じです。栽培場でけなげに生きてます。 とくにモリマンネングサとウスユキマンネングサが最強で成長も最速のようです。 マルチングチップ入りのマンネングサってそのままでも良いのでしょうか?
ORCAさん、こんにちは。
マルチングチップを春に取り除いてくださいというのは。
ん~。
いつチップを敷いたかにもよると思いますが、
冬になる前から敷いていたものだとすると、
枝葉についていた病気の菌や害虫が潜んでいるかもしれないから
かな?
松なんかのこも巻きと同じような感じかなぁ?
だとすると、啓蟄と同時に取り除くのがいいと思います。
まぁ、わたしの想像ですけどね~。
セダムは、わたしはモリムラマンネングサを使っています。
高価なセダムたちダメでしたか(^^;
マンネングサは、漢字表記だと「万年草」でしょうから、
名前からして、いかにも強そうですよね!
せっかく検証していただいたのだから、
記事の方に補足でオススメ品種書いておきますね^^
ありがとうございます。
マルチングチップ入りのマンネングサは・・・
上に書いた理由が当たりだとすると、
できればチップを取り除いた方がいいような気がしますね。
マンネングサごと取り除いて、新しいマンネングサを撒いておけば
すぐに再生すると思いますよ^^
あいびー