花径2~3cmの小花をたわわに咲かせるつるバラがランブラー系統です。あまりバラらしくないので見過ごされがちですが、昔から庭にあるというお宅も少なくないようです。ここでは、細い枝を長く伸ばすランブラー系統のバラについて紹介します。
ランブラー系統は、枝が長くて柔らかいつるバラ
▲ランブラー系統(ハイブリッド・ムルティフロラ系統)のバラ「ブルーマジェンタ」
ランブラー系統は日本原産の原種を親に交配されたつるバラ
ランブラー系統は、つるバラの系統のひとつです。日本原産のノイバラ(ロサ・ムルティフロラ)や、テリハノイバラ(ロサ・ルキアエ、旧ロサ・ウィクライアナ)などを交配の親として、ランブラー系統が作り出されました。
ランブラー系統は、枝を長く6メートルくらいまでも伸ばすので(品種によっては10mくらい伸ばすものもあるそう!)、大型のアーチや長いフェンスなど、広いスペースが必要です。
ランブラー系統の枝はしなやかで、自由に曲げやすいのが特徴です。あまり高くないフェンスでも、うまく誘引することができます。同じつるバラでもクライミング系統は比較的枝が硬いので、低いフェンスに誘引するのは難しいのです。
多くは花径2~3cmの小輪の花を房咲きにして、とても花つきが良い。数は少ないけれど中輪や、10cm近い大輪の品種もあります。
ほとんどが、春のみの一季咲きです。
数は少ないけれど中輪や大輪品種もあり、庭の主役にもなる!
▲ランブラー系統を誘引したバラのアーチ(撮影:花菜ガーデン)
ランブラー系統は、主に2つの系統に分けられます。
日本原産のノイバラ(ロサ・ムルティフロラ)を親とする「ハイブリッド・ムルティフロラ系統【HMult】」と、同じく日本原産のテリハノイバラ(ロサ・ルキアエ)を親とする「ハイブリッド・ウィクライアナ系統【HWich】」です。ロサ・ルキアエは以前はロサ・ウィクライアナと呼ばれていたので、この名称が残っています。
ハイブリッド・ムルティフロラは小花をびっしりと房咲きにし、ハイブリッド・ウィクライアナは、親の照り葉を受け継いでいて、病気に強く、育てやすい特徴があります。
長く伸びた枝先に、やや枝垂れるように花を咲かせる様子は、とても愛らしく、多くのバラに詳しい園芸家が「ランブラー系統を上手く使えば庭の主役になる!」と書いています。
その一方で、ランブラー系統のつるバラは、意外と古くから日本で植えられてきたので、「昔から庭にある」というお宅も珍しくないようです。
ハイブリッド・センペルウィレンス系統とハイブリッド・セティゲラ系統
ロサ・センペルウィレンス(Rosa sempervirens)は、ヨーロッパ南部から北アフリカが原産の原種バラです。このロサ・センペルウィレンスを交配の親としたハイブリッド・センペルウィレンス系統【HSem】は、交配の系統からいえば原種系統(ハイブリッド・スピーシーズ)に分類されます。
ハイブリッド・センペルウィレンス系統の特徴は、半常緑のつる性のバラです。しなやかな枝先を長く伸ばすので、通常はランブラー系統として扱われます。代表的な品種はフェリシテ・エ・ペルペチュです。
ロサ・セティゲラ(Rosa setigera)は、北アメリカ原産の原種バラです。このロサ・セティゲラを交配の親としたハイブリッド・セティゲラ系統【HSet】は交配の系統からいえば原種系統(ハイブリッド・スピーシーズ)に分類されます。しなやかで長い枝をもつので、ハイブリッド・セティゲラ系統もランブラー系統として扱われます。
【ランブラー系統に多く見られる特徴】
樹形 | つる性 | 細くしなやかな枝を長いもので6mまでも伸ばす |
花形 | 一重~八重 | さまざまな花形 |
花色 | 多様 | 多様な花色 |
花径 | 小輪 | ほとんどは花径2~3cmの小輪 |
花期 | 一季咲き | 春のみ |
香り | 微香 | あまり強く香るものは少ない |
強健さ | 樹勢がある | 照り葉の品種は病気に強い |
まとめ
その旺盛な育ちっぷりから「狭い場所では扱いにくいから注意!」と、言われるほど長く枝を伸ばすので、場所を選ぶ系統のバラと言えそう。我が家のように狭いベランダでは、お隣にまではみ出して大変なことになりそう!
小花が多いけれど、中輪や大輪の品種もあるようなので、要チェックです!
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こんばんは 初めて書き込みいたします
うちの庭でランブラー のフランソワジュランビルを植えて3年になります。
とにかく伸びて主枝は3本なのですが主枝からサイドシュートが何本も出てまたそのサイドシュートからサイドシュートが出てと収拾がつきません。剪定や誘引の仕方を知りたいのですが、ネットで調べてもランブラー の記述があまりなくて困っています。こちらで企画をしてもらえたら嬉しいです。
JILLさんこんにちは。コメントありがとうございます。
ランブラーはとても美しい景観をつくってくれるけれど、枝が暴れて始末に困ることが多いんですよね。
ランブラーの記述少ないですよね。わたしも気になっています。
つるバラ=クライミングと書かれているケースがほとんどですよね。
クライミングと同じ管理で構わないランブラーもありますが、
JILLさんの育てているフランソワジュランビルは違います。
こういうほふくするタイプのランブラーは、翌年咲くのはほぼシュート枝のみです。
花が終わってサイドシュートが伸びてきたら、そのシュートのみを残して
花の咲いた枝は切り取ります。(図解がないとちょっと分かりにくいですね)
整枝する時期は、初夏(花後)に行えばシュートの葉が美しいので
夏~秋の葉の観賞価値が上がります。
面倒なら、他のバラ同様に冬の休眠期に行っても構いません。
ランブラーはとにかく樹勢が強いので、剪定の上手下手にあまり左右されません。
小さく管理したいなら、思い切って枝を減らしても大丈夫です。
枝が減って空間があいたら、そこにまた新しい枝が伸びてきます。
──と、かつて「つるバラの神さま」と呼ばれた方がその著書に書いてます。
ランブラーは誘引が楽しいです^^
どんなふうに曲げても咲くので、窓をぐるりと取り囲むようにしたり
(つまり下垂させても咲く!)
枝のしなやかさを生かして、壁に絵を描く要領で誘引を楽しんでください。
参考にしていただけたらと思います。
記事化の方もいずれ・・・。
あいびー
お答えありがとうございました。
1×6m程の低いフェンスに誘引していて、これ以上伸びてほしくないというところでサイドシュートを切って後は咲いた枝は切っていましたが、咲いてない枝も主幹とシュート以外は切って良いんですね。安心しました。
JILLさん、こんにちは。
脇芽がもっさり出てくると思うので、
あまり難しく考えずに切って大丈夫です。
主幹すら、あまりに長くなるようなら「これ以上伸びてほしくない」という
ところで切って平気だと思います。
もちろん曲げちゃってもいいんですが^^
シュート管理は、クライミングのように厳格にする必要ないです。
ある程度のびて、枝先が垂れてきたら脇芽がわーっと吹いてくるので
細い脇芽は冬に10cmくらい残してチョンチョン切ってしまっていいと思います。
以前「そだレポ」した「紅玉」がランブラーに近い性質なので
その育ちかたを確認してから記事にまとめたいと思っています。
あいびー
こんばんは
そうなのです。
まさに私はもっさりをどうしたらいいかあいびーさんに質問したかったのです。
2回質問してやっと自分の聞きたいことがわかりました。
JILLさんへ。
なるほど。もっさり出てくる小枝の処理に困ってらしたんですね。
ベイサルシュート扱いできそうな太い枝は残し、
小枝は冬につけ根から10cmほど残して切り取っていいですよ。
全部を誘引していたら、枝だらけになっちゃいますよね。
来春には、切り残した10cmほどの小枝から芽吹いて花が咲きますよ^^
あいびー