あまり日照条件のよくない場所でも、寒冷地でもかなり温かいところでも、さまざまな難条件をクリアして可憐な花を咲かせてくれる名つるバラといえば──。それが、この「ニュー・ドーン」です。1997年の世界バラ会議で殿堂入りを果たしているつるバラ「ニュー・ドーン」を紹介します。
ニュー・ドーン
New Dawn
DATA
バラの系統 | ラージフラワード・クライマー【LCl】 |
開花のしかた | 返り咲き 5~6輪の房咲き |
花径 | 8cm |
花形 | 半八重のカップ咲き |
香り | 微香 |
樹形 | クライミング樹形(3~4m) |
作出情報 | 1930年 アメリカ /Somerset Rose Nursery |
交配 | Dr W Van Fleetの枝変わり |
備考 |
遅咲き 半日陰にとても強い。耐病性が強い 1997年の世界バラ会議で殿堂入り |
「ニュー・ドーン」は、半日陰に強い、強健な遅咲きつるバラ
1997年に開催された世界バラ会議ベネルクス大会(ベルギー・オランダ・ルクセンブルグ)で、バラの栄誉殿堂入りを果たしたのが「ニュー・ドーン」です。
淡くやわらかなピンク色は、シルバーピンクまたは真珠色と呼ばれることもあり、どんな色のバラとも合わせやすく使い勝手のよい人気品種です。
枝先が3~4mまで長く伸びるので、大型のアーチに誘引しても見ごたえがあります。逆に狭い場所では、旺盛に伸びる枝と格闘することになってしまうので注意が必要です。
遅咲きで、他の花がひと段落ついた頃に見ごろを迎えます。上の写真は、他のバラが最盛期の頃のニュー・ドーン。咲いている花はまだ少なく、びっしりとつぼみを上げているのが印象的でした。これが満開になったら素晴らしい眺めでしょうね!
一番花より花数は減るものの、返り咲きも期待できます。株が充実してくると、より返り咲きしやすくなり、香り(ティーの香り)も強くなってくるようです。
長い花枝の先に5~6輪の花を房咲きする
ニュー・ドーンは、5~6輪の房咲きになります。咲き始めは上を向いて咲いていますが、房がすべて咲いてくると花枝(ステム)が長いので花の重みで下を向いてきます。返り咲きでは大きな房にならず、高いところに上を向いたまま咲いて花が見えないということもよく起きるようです。
上の写真は、大型アーチに誘引したニュー・ドーンを下から見上げたところです。花枝が長いのがよく分かりますね。
花もちはあまり良くなく、2~3日ではらはらと花びらを散らします。隣家の敷地に花びらが散る場所では、少し注意が必要です!
半日陰でもよく咲く耐陰性に加え耐病性も高い強健品種で、初心者にも育てやすい!
陽当たりのよい場所に植えれば広い壁も難なく枝でうめてしまうほど伸長力が強く、さらに半日陰にも強いのが「ニュー・ドーン」の特徴です。
日照条件のあまり良くない北側のフェンスでもよく咲いてくれます。耐病性も高く、薬剤散布はほとんど必要ありません。耐寒性、耐暑性にも優れる使い勝手の良い強健品種です。
葉と葉の間が長く、込み入った感じにならないので、2種類のつるバラを混ぜたように誘引することもできます。枝はしなやかで曲げやすい。大きめのトゲがまばらについています。
白花や八重咲き品種も!
枝替わりに白花の「ホワイト・ニュードーン」、八重咲きで咲き進むとロゼット咲きになる「アウェイクニング」があります。性質はどちらもニュー・ドーンと同じです。
口コミと値段の目安
バラ苗ショップからのコメント
つるバラの銘花。八重のカップ咲き。大きな花房を形成し、アイボリーピンク色で軟らかな雰囲気です。春から秋まで繰り返し咲きますが、春の咲き出しの美しさは格別です。細く優美なつるは3m以上伸びますので、フェンス、トレリスに適しています。日陰に強いのも大きな特徴で、北向きの壁面や1日の日照4時間以下の場所でも栽培できます。(ザ・ローズショップ)
ロザリアンの口コミ
やさしいピンク色の可愛いニュードーンですが・・・トゲは大きく硬いです。花柄摘みをしているだけでも、腕がキズだらけになります。
3年目ではじめて返り咲きしました。花径は同じくらいですが、7月のように房咲きにはなりませんでした。全部で10輪くらいでしょうかポツリポツリと咲いています。
バラ苗の値段の目安
バラ苗 ニュードーン 国産大苗6号スリット鉢つるバラ(CL) 四季咲き ピンク系
まとめ
隣家の陰になる場所の多い日本の住宅事情でも使いやすいつるバラといえば、この「ニュー・ドーン」です。北側のフェンスでも咲かせられるほど耐陰性が高く、病気にも強くて樹勢も旺盛な、幅広い場所で使い勝手の良いバラです。さらに株が充実してくればよく返り咲き、香りも強くなってきます。
京成バラ園の記事に「日陰でもよく育ち、病気にも強くて強健で、香りがあって、四季咲きするバラはどれですか?」と、欲張りな注文をされることがあるそうですが、ここまで厳しい条件ではほとんど該当するバラはなく、ほぼ唯一と言っていいのが「ニュー・ドーン」だと書かれていました。香りはあまり強くなく、四季咲きではなく返り咲きですが、かなり条件に近いと言えますね。
花色はやわらかいピンク色。白花や八重咲き品種もきれいです。詳しい情報が乏しかったのでここには載せませんでしたが、真っ赤なニュー・ドーン・ルージュという品種もあるようです。