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1年最後の月、12月になりました。大人も子どもも楽しみにしているクリスマス・シーズンの到来です。街はもうすっかりクリスマスの飾りつけが終わり、日が暮れるとまばゆいイルミネーションが瞬いています。そろそろ我が家でも・・・と思う今日この頃ですが、さて、クリスマスの飾りつけにはどんな意味があるのでしょう? クリスマス飾りの意味からクリスマスの歴史が垣間見られますよ!

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クリスマス飾りには一つひとつ意味がある!

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リスマスにはきれいなツリーを飾って、ケーキを食べて、プレゼントがもらえて──子どもの頃から誕生日と同じくらい楽しみなのがクリスマスだったという人も多いことでしょう。クリスマスはキリスト教の行事の一つで、イエス・キリストの生誕を祝うお祭りです。ヨーロッパで成立したクリスマスは、その精神性を大切に守りながらも地方色豊かに発展してきました。

 

たとえばフランスではクリスマスはノエルと呼ばれ、イヴの夜の食事のデザートには丸太の形をしたケーキ(ブッシュ・ド・ノエル)を食べるのが習わしです。ドイツはクリスマス・マーケット(ドイツ語でクリスマス・マルクト)が有名です。クリスマスの1ヵ月前から広場にできるクリスマス飾りなどを売る小さな屋台のことをさしています。スイスやドイツの家々の玄関はたっぷりの針葉樹で飾られることが多く、見ごたえがありますよ! 北欧では冬至祭りの影響が強く、妖精がプレゼントを持ってくるということになっています。

 

アメリカの商業と結びついた形のクリスマスを輸入しているので、日本のクリスマスは宗教色が薄く、ヴァレンタイン・デーと同じようなイベントの一つとなっています。無宗教の国・日本らしいクリスマスです。

 

キリスト教と結びついてヨーロッパで長い時間をかけて発達してきたクリスマス飾りには、それぞれ意味があります。キリスト教に関する意味合いが多いのですが、自宅にツリーやリースを飾るとき、そんな意味をちょっと思いだしてみてください。ただ形を真似るだけじゃない、クリスマスのもつ意味合いや、クリスマスの歴史までも感じることができるはずです。

 

今年は知的好奇心も満足させる、大人のクリスマスを過ごしてくださいね!

 

クリスマスツリーの常緑樹は生命力の象徴

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リスト教が生まれたヨーロッパは冬の寒さが厳しく陽の光を喜びとても大切にしてきた歴史があります。

 

北欧に住んでいた古代ゲルマン民族の間では「ユール」と呼ばれる冬至の祭りが行われていました。冬至は1年でもっとも昼の時間の短い日です。冬至を過ぎれば昼の時間が少しずつ長くなる、つまり厳しい季節を脱しじょじょに暖かい春に向かっていく日として祝う風習がありました。このユールでは、冬でも葉を落とさない樫の木を生命力の象徴として使っていました。

 

ユールの樫の木を引き継ぎ、同じ常緑樹のモミの木を飾るようになったのはドイツでのことです。モミの木はきれいな二等辺三角形に育ちます。この形に意味があります。

 

キリスト教では、「父と子と聖霊」がバラバラに存在しているのではなく「一体」であり「唯一神」なのだとする教えがあります。父とは神、子とはイエス・キリスト、聖霊は信者の身に宿る神聖な魂をさします。これは「三位一体」といって、キリスト教の重要な教えです。その教えを目に見える形に具現化しているのがモミの木の二等辺三角形なのです。

 

ユールの常緑樹を貴ぶ冬至祭りがキリスト教と結びついて、16世紀にはドイツでモミの木が飾られるようになったということのようです。これがクリスマスツリーの始まりです。(後述するマルティン・ルターの功績があるようです)。

 

これとは別に、15世紀のフランスを中心に聖書を劇にして見せる「神秘劇」または「聖史劇」と呼ばれる宗教劇が発達しました。この神秘劇でアダムとイブが登場するエデンの園に生えるりんごの木も、クリスマスツリーの起源の一つとされています。

 

ところで、聖書にはキリストの誕生日がいつか記載がないそうです。クリスマスが12月25日になったのは4世紀の中頃のことといわれています。NHKの番組で日本福音ルーテル教会の館野牧師が次のように説明しています。

 

「それは冬至の日で、太陽のお祭りの日で、夜が一番長い日にしてイエス様が生まれる事によって暗闇が消え、光がこの世に満ちあふれる、でクリスマスがはじまったんだと思います」

 

長い暗闇の時代を経てこの世に現れた光であるイエス・キリストの誕生日として、冬至の日がもっともふさわしかったのですね。

 

オーナメントにはキリスト教の影響とユールの影響がみられる!

キリストの誕生を報せるベツレヘムの星

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リストはベツレヘムという場所で生まれます。聖書によると、東方に住む3人の賢者が、西の空にそれまで見たこともない星が現れたことでキリストの誕生を知ったとされています。この星を目指して旅をした3人の賢者は、マリアの手に抱かれたキリストを探し当てます。

 

「ベツレヘムの星」はキリストの誕生を報せ、東方の3人の賢者を導いた宗教的な星です。クリスマスツリーの一番上に飾られる大きな星は、このベツレヘムの星をあらわしています。

 

丸い飾りはエデンの園の「知恵の実」

Christmas Continued
Christmas Continued / jeff_golden

リーの項目で書いたように、クリスマスツリーはエデンの園のりんごの木を起源の一つにもっています。そのため、赤いりんごが飾られることが多かったのですが、現在はりんごの代わりに丸い形のオーナメントを飾ることが多くなっています。

 

杖の形のキャンディは羊飼いの杖の象徴

Candy Canes
Candy Canes / Manchester Library

白の飴を斜めに練り杖の形にしたキャンディを「キャンディ・ケイン」と呼びます。キリスト教の教えでは、しばしばキリストを羊飼いに、羊を信者に例えることがあります。羊飼いは羊の群れを統率し、正しい方向に導く者といった意味合いです。キャンディ・ケインは、羊飼いの杖の象徴です。ということは、キリストをも象徴しているということなのですね!

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ベルは祝福のシンボル

ルはキリストの誕生を報せる祝福のシンボルです。キリストを羊飼いとすれば、羊飼いが羊を導くために使うベルという捉え方もできます。

 

イルミネーションは満天の星の輝き

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Martin Luther, painted portrait DDC_8746 / Abode of Chaos

の人物は、プロテスタントの源流を作った宗教改革の創始者として知られるマルティン・ルター。16世紀初頭のドイツで活動していた神学者です。

 

16世紀のある日、礼拝を終えて家路についたルターは、真っ暗な森の中で木の向こうに輝く満天の星空を見てツリーにろうそくの火を灯すことを思いつきます。家路を照らし、人を導く神の光のように見えたのだそうです。

 

19世紀になり、ろうそくはアメリカでより安全なイルミネーションとなり、現在につながっています。

 

ジンジャークッキーは魔除けとペスト予防から

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ンジャークッキーまたはジンジャーブレッドともいわれる、生姜(ジンジャー)をきかせたクッキーは、キリスト教ではなくもともとの「ユール」つまり冬至の祭りに起源があるのではないかといわれています。

 

ユールは昼の時間が長くなることを、太陽が息を吹き返して復活することを喜ぶ祭りですが、同時に翌年の豊穣無病息災を願ったお祭りでもあります。生姜をはじめとする香辛料は食べ物に入れると長もちすることから重宝され、その強い香りから魔除けの意味もあったので、クリスマスシーズンに飾るようになったのではないかと推測されています。

 

ジンジャークッキーを人の形に作るのは16世紀のイングランドに端を発します。16世紀にペストが大流行したときに、イングランドの国王ヘンリー8世生姜がペストの予防になるとして広く国民に広めたことから、ジンジャークッキーを国王に似せて人型に作る習慣ができたといわれています。人型のジンジャークッキーはジンジャーマンクッキーと呼ばれています。

 

麦わらで作ったオーナメントは北欧やドイツ風

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Angel / Cali4beach

イツや北欧では麦わらで作った素朴なオーナメント(ストロー・オーナメント)をよく見かけます。これもユールの影響からきています。ユールは翌年の豊穣を願う祭りでもあったので、麦の豊作を願って麦わらの飾りをつけるのです。クリスマスが終わるとストロー・オーナメントを焼き、その灰を畑にまいて肥やしとして使うのだとか。

 

リースは永遠のシンボル

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wreaths / Muffet

書には「私はαでありΩである。最初であり最後である」と記されています。これは神とその愛が永遠の存在であることをあらわしており、それがリースの最初も終わりもない形に通じるとしてクリスマスに飾られるようになりました。

 

リース自体の起源はローマ時代にまで遡りますが、じつはとても身近なところにもリースがあります。結婚指輪です。結婚指輪の丸い形が、二人の終わりのない愛情をあらわしているのですね。つまりクリスマスリースと結婚指輪は同じ意味合いを持っているのです。

 

ポインセチアはアメリカを経てヨーロッパで人気に!

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インセチアもクリスマスに欠かせない植物ですが、どうしてクリスマスにポインセチアを飾るようになったのかも紹介しましょう。

 

ポインセチアはメキシコ原産の植物です。17世紀にメキシコに住み着いた修道僧たちは、クリスマスの頃に赤く色づくポインセチアをみて、ちょうどクリスマスを象徴する色の植物だと思ったのだそうです。しかも上から見ると、赤い星のように見えることにも注目しました。

 

その後、19世紀にアメリカに持ち込まれたポインセチアはヨーロッパに渡り、クリスマスを彩る植物として人気になりました。

 

クリスマス飾りの色の意味

リスマス飾りでは緑と赤が使われます。緑と赤をベースに金や白もよく使われますね。それぞれの色にも意味があります。

 

赤はキリストの血

はキリストが人々の罪を背負って流した血の色です。キリストの深い愛情をあらわしています。

 

また、クリスマスツリーがエデンの園のりんごの木をモチーフに成立した経緯からすると「知恵の実」であるりんごの意味あいもありそうです。

 

古代ケルト民族の「ユール」が翌年の豊穣を願う祭りだったことから考えると、「実り」を象徴的に表しているという側面もありそうです。松ぼっくりなどの実ものを使うのも、同じく翌年の豊穣を願う気持ちからといえそうです。

 

緑は生命力の象徴


Project 365 Day 87: Holly / Peter O’Connor aka anemoneprojectors

寒の冬にも葉を茂らせている常緑樹は強い生命力をあらわしています。ツリーとしてはモミの木がよく使われますが、リースなどには柊(セイヨウヒイラギ)の枝もよく使われます。柊のトゲのある葉はキリストの受難をあらわすとされています。

 

セイヨウヒイラギには魔力があると信じられていたことから、クリスマスの期間に悪魔や妖精が悪さをしないようにという意味合いもこめられているそうです。

 

ちなみに日本原産の柊は黒い実がなります。クリスマスに用いられる赤い実がなるセイヨウヒイラギ(別名ホーリー)はまったく別の植物です。

 

金色はベツレヘムの星

色はキリストの誕生を報せるベツレヘムの星の色です。

 

白は雪の象徴

はもちろんをあらわしています。純潔の象徴でもあります。

 

まとめ

クリスマス飾りについて調べたことをまとめてみました。まだまだ書ききれないことはたくさんありますが、長くなりすぎるのでまた次の機会に。

 

今回いろいろ調べてみて思ったのは、キリスト教が長い年月を経て世界中に広がっていったその過程がクリスマス飾りに残っているのだな、ということです。もちろん赤はキリストの血、リースは永遠に続く神の愛を象徴しているなど、キリスト教寄りの意味づけはたくさんあります。でも、もっと遡ればクリスマスは古代ゲルマン人の冬至祭り「ユール」の影響が強いし、リースも古代ローマ時代が起源だし、キリスト教的な意味づけは後からつけ加えられた部分が多いようです。

 

イングランドの王さまをかたどったジンジャーマン・クッキーや、メキシコに渡った修道士が見つけたポインセチアなど、クリスマス・アイテムのそれぞれに歴史があります。それらが連綿と今のクリスマスに受け継がれているのです。

 

クリスマスがたどってきた長い長い歴史と、それが極東の地日本で再現されている現実を考えると、とても興味深く感じられます。

 

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