バークチップのマルチング

真夏の日向では、鉢の中の温度は想像以上に高くなります。
そんな過酷な環境からバラの根を守る方法のひとつが「マルチング」です。
この記事では、鉢植えの夏の暑さ対策に使いやすいマルチング材の特徴や選び方、上手な使い方を分かりやすく紹介します。


バラのマルチングとは?

畑のマルチング

▲畑で使われる黒マルチ

ルチングとは、土表面をなにかで覆う栽培技術です。英語の「Mulch(マルチ=覆うもの)」が語源となっています。

 

もっとも一般的なのが、畑で使われる黒いビニールを使ったマルチングです。ちぢめて「黒マルチ」と呼ばれます。実際に見たことのある方も多いでしょうね。

バラ栽培でも、マルチングする

バークチップ

▲バラ栽培ではバークなど、ナチュラルなマルチング材が使われる

バラ栽培でもマルチングが取り入れられています。

 

ただし、ガーデニングのマルチング材は黒ビニールではなく、もっと庭になじむナチュラルな素材が使われます。

 

庭ではおもに雑草対策と冬の霜対策、そして土や落ち葉からの黒星病感染を防ぐためにマルチングします。

 

一方、鉢植え栽培では、主に夏の暑さ対策としてマルチングします。

 

つまり庭と鉢植えでは、マルチングの方法も目的もまったく違うのです。

 

この記事では、夏の暑さ対策の一環として取り入れる、鉢植えでのマルチングに絞って詳しく解説します。

そもそも、マルチングは必要?

ベランダの鉢

▲半日陰栽培ならマルチングは必要ない

じつは、すべての鉢バラにマルチングが必要というわけではありません。

 

夏の暑さ対策で、もっとも簡単かつ効果的な方法が”夏の間は半日陰や日陰に鉢ごと移動する“ことです。

 

我が家は1日3時間ていどの日照がある半日陰のベランダでバラを育てています。しかも上の写真をご覧いただければ分かるように、鉢部分はちょうどコンクリートの壁で隠れるつくりです。

 

この環境だと、真夏でも2~3日に1度の水やりでじゅうぶん。

 

このように、鉢ごと半日陰や日陰に移動しているなら、暑さ対策の一環としてのマルチングをする必要はありません。

 

しかし、真夏も日向で育てている、朝・夕2回水やりしてもまだ足りない、という状況なら、積極的に暑さ対策に使えるマルチングを利用してください

 

少しでも鉢の中の温度を下げてバラの根を守りましょう。

 

日陰に鉢を置いている場合は、暑さ対策としてのマルチングは必要ありませんが、唯一気をつけたいのがコガネムシの産卵対策です。夏の暑い時期は、ちょうどコガネムシの産卵時期なので、マルチングでコガネムシ対策をしたいところ。

 

しかし、もしコガネムシに産卵されても、お盆過ぎや9月初旬にベニカXガードやオルトランDXなどを土に撒けば、幼虫が小さいうちに駆除されます。わたしはこの方法をとっているので、マルチングはしません。

 

産卵されること自体を防ぎたいのなら、それ目的でマルチングするのはアリです。

鉢植えでマルチングする5つのメリット

バークチップのマルチング

▲夏の直射日光から土を守るマルチング

ラの鉢栽培でマルチングをする目的は、主に夏の暑さ対策です。

 

日向で鉢栽培をする場合は、少しでもバラが夏の暑さをしのぎやすくするために、マルチングしましょう。

1、根を暑さから守る

夏の日向は、想像以上に過酷な環境です。とある検証によると、気温31度の日向に置いた鉢土は、何もしなければ40度以上にまで上がりました。

 

バラの鉢にマルチングする一番の目的は、土が熱くなりすぎるのを防ぎ、根を守ることです。

2、土の乾燥を防ぐ

土が熱せられれば、水分が過剰に蒸発し、土が乾燥しやすくなります。

 

土に直接日光が届かないようにワンクッション何かを被せることで、乾燥を防ぎます。

3、水やり回数を減らせる

土の乾燥を防ぐことで、人が水やりする回数を減らすことができます。

 

夏の水やりは、通常の2倍の時間がかかる重労働です。

 

水やり回数が減れば、熱中症リスクも減らせます。

4、 黒星病を予防できる

泥はねを予防することで、黒星病予防になります。

5、コガネムシの産卵を防げる

夏はちょうどコガネムシがバラの土に産卵するシーズンです。コガネムシの幼虫はバラの根を食べるので、バラが弱ったり、ひどいときには枯れてしまう原因にもなります。

 

マルチングすることで、コガネムシの産卵よけも兼ねられます。

鉢植えの暑さ対策なら、この4種類がおすすめ

販されているマルチング材にはさまざまな種類がありますが、鉢植えの夏の暑さ対策として使いやすいものは限られます。ここでは実際に使いやすく、入手しやすい4種類を紹介します。

ベラボン【総合力No.1】


あく抜き ベラボン Mサイズ 4L 3袋セット ヤシの実チップ 培養土 マルチング材

 

鉢土に降り注ぐ直射日光を遮り、鉢土の乾燥を防ぐのを得意とするマルチング材として、多くのバラの専門家やロザリアンに愛用されているのがヤシの実チップ「ベラボン」です。

 

初めてマルチングするなら、まずベラボンを選んでおけば大きな失敗はありません。

 

暑さ対策がいらなくなれば可燃ごみとして出せるほか、土に混ぜ込んで土壌改良材として使うこともできます。

 

粒の大きなLサイズのベラボンを3cm以上に厚く敷くのがコツです。これだけの厚みがあれば、コガネムシ対策にもなります。

 

価格が少々高いのが難点ですが、暑さ対策に使うマルチング材としては総合力NO.1といえそうです。

バークチップ【見た目も重視】


鹿沼興産 ガーデニングバーク マルチング 20L ガーデニング 屋内 屋外 おしゃれ 景観美 防草

 

バークチップは松などの樹皮を砕いたものです。保水率はベラボンやクリプトモス(下記参照)に及びませんが、土に直接日差しが当たるのを防ぎ、土の温度上昇を抑えます。隙間が大きいので、水やり後に蒸れることもなく、さらに見た目も良いので、鉢バラのマルチング材としてはとても適しています。

 

3cm以上の厚さで敷き詰めることで、暑さ対策と同時にコガネムシの産卵防止にもなります。

 

適度な重さがあるので、風で飛び散りにくいところも使いやすいです。

 

バークチップのサイズは中~小サイズがオススメです。中サイズの方が断熱効果が高く、小サイズの方が隙間がないので乾燥防止にすぐれます。

 

バークチップは、機能性、見た目、入手しやすさ、価格などバランス型のマルチング材です。

クリプトモス【乾燥しやすい環境向き】


クリプトモス 約10L Lサイズ

 

クリプトモスは、杉やヒノキの樹皮を原料とした植え込み材料です。水苔の代用品として開発された洋ラン栽培用の土なので、とにかく保水力が高く、隠れた愛好家の多いマルチング材です。

 

ホームセンターではラン・シダ売り場にあるので、ロザリアンにはあまり知られていませんが、知る人ぞ知る便利アイテムです。

 

厚さ3cmていど敷けば、繊維が細かいのでコガネムシの親が土まで潜り込みにくく、コガネムシ対策にもなります。

 

ただし軽いので、U字の園芸ピンなどを利用すると飛ばされにくいです。

 

クリプトモスは、とくに乾燥が気になるときに使いたいマルチング材です。

水苔【小鉢・高層マンション向き】

自重の15~20倍の水分を含むことができるので、乾燥を強力に防ぎます。ただし、あまりに厚く敷きすぎると多湿になりやすいので、注意が必要です。

 

南向きのベランダのように極度に乾きやすい環境や、ミニバラなどの乾きやすい小さな鉢に、真夏だけ使うなら良いマルチング材になります。

4種類を比較表でチェック

資材 遮熱 保水 コガネムシ 価格
ベラボン やや高
バーク 普通
クリプトモス 普通
水苔 普通
どれを選べばいい?

・迷ったら→ベラボン

・見た目も重視したい→バークチップ

・とにかく乾燥を防ぎたい→クリプトモス

・強力に乾燥を防ぎたい→水苔

マルチングを上手に使うコツ

厚さは3cm前後が目安

暑さ対策に、さらにコガネムシ対策に効果的に使うには、マルチング材を3cmほどしっかり厚みをもたせて敷き詰めることが重要です。

 

表面にぱらっと一層敷くだけでは、暑さ対策としてもコガネムシ対策としても不十分です。

夏だけ使ってもOK

暑さ対策に鉢にマルチングを使う場合は、秋になり、もう暑さ対策がいらなくなれば取り除いても大丈夫です。

 

とくに水苔は多湿になりやすいので、夏だけ使う方がオススメです。

水やりは鉢の重さで判断

マルチングしていると、土の表面の乾き具合が分からないので水やりしにくいという声をよく聞きます。

 

マルチングしている鉢は、鉢を持ち上げ、その重さで判断します。

 

もしくは、サスティーなどの植物用水分計を使うと、土の乾き具合を目で見て判断できます。

 

固形肥料はマルチング材をめくって、直接土にやった方がいいと思います。土に撒くタイプの小さな粒状の薬剤や、水に溶かしてやるタイプの肥料(液体肥料)や活力剤は、マルチング材の上からやって大丈夫です。

アイデア派ならこんな方法も

土を厚く覆って日差しを遮り、乾燥を防ぐなら、じつはこんなものもマルチングに使えます。

 

少し変わったアイデアマルチを2つ紹介します。

マンネングサマルチ【生きたマルチング材】

セダム(マンネングサ)

▲見た目も涼やかなモリムラマンネングサ

マンネングサは、多肉植物の一種です。なかでもモリムラマンネングサは丈夫で害虫がほとんどつかない使いやすいグラウンドカバーです。庭でも使えますが、鉢でも使いやすい、生きたマルチング材です。

 

春のうちにパラパラと鉢土に撒いておけば、夏にはびっしり鉢土を覆います。

 

強力に日光の熱を遮り、土の乾燥を防ぎます。しっかり土を覆っていればコガネムシの産卵も防げます。

 

風当たりもあり乾燥の厳しい環境でとくに効果的です。京阪園芸の小山内健さんは、高層マンションのベランダにはピッタリと解説しています。

→リンク準備中

雑草マルチ【昔からの知恵】

畑で昔からよく使われている方法に雑草マルチがあります。

 

近くに生えている雑草を抜いてきて、少し乾かしてから根を上にして、厚さ10cm以上になるほど土に分厚く被せるのです。

 

ポイントは、種をつけていない植物を選ぶこと。ネコジャラシのように種がついている植物だと雑草が生えてしまいます。根を上にするのは、畑に根付かせないための工夫です。

 

鉢に応用するなら、刈り取った芝や、ススキの葉などが使いやすそうです。

 

乾くと風で跳びやすいので、園芸用のU字ピンなどを使って留めつけておくと安心です。

 

涼しくなり、いらなくなったら燃えるゴミとして処分します。

腐葉土や堆肥をマルチングに使ってもいい?

庭に腐葉土でマルチング

▲雑草防止に腐葉土でマルチング

葉土やたい肥もマルチングに使われます。しかし、これらは庭植えでの場合。庭植えの場合、雑草防止や夏の極端な地温上昇をふせぐため、さらに冬の凍結防止を目的にマルチングします。

 

広範囲に撒くため鉢のように、いらなくなったら集めて捨てるのは難しいので、基本的にずっと撒きっぱなしにするか、いずれ土に漉き込みます。

 

このため、土に漉き込んで土壌改良を兼ねるように腐葉土やたい肥がマルチング材に選ばれるのです。昔ながらの方法ではもみ殻や藁も庭のマルチングに使われてきました。金額を気にしなければ、ベラボンも良い土壌改良材になります。

 

腐葉土やたい肥は、広範囲に撒ける庭ではいいけれど、鉢での暑さ対策、乾燥対策としては、あまり効果が高くありません。

 

コガネムシ対策としてみると、逆にコガネムシに好まれる環境になってしまいます。

マルチングは”暑さ対策のひとつ”

二重鉢

▲鉢側面からの熱を遮断する二重鉢

ルチングは直射日光を遮り土の乾燥を防ぐとても良い方法ですが、真夏の日向栽培をマルチングだけで乗り切るのは少し難しいです。

 

しかし、バークチップのマルチングと白っぽい素焼きの二重鉢で-10度以上になったという検証もあります。

 

マルチングを含めたいくつもの暑さ対策を組み合わせて、少しでもバラが快適に過ごせる環境をつくってください。

 

マルチング+二重鉢で-10度以上の検証結果は、暑さ対策記事にあります。さまざまな対策方法を組み合わせるためにも、こちらもご覧ください。

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まとめ│マルチング材は、目的と環境に合わせて選ぼう

今回は、鉢の上に敷いて夏の暑さ対策にするためのマルチングを紹介しました。

 

ヤシの実の殻の内側を使ったヤシの実チップ「ベラボン」は、水分をよく含み、乾けば縮んで空気を通す特性から、直射の熱を遮りながらも、空気を取り込む、植物の生育に適したマルチング材です。

 

迷ったらベラボンでいいのですが、極端に乾きやすい環境では別の選択肢もあります。

 

マルチングは、バラの株元に産卵する怖い害虫コガネムシの産卵よけにもなります。

 

マルチング材はさまざまな種類がありますが、「迷ったらベラボン」、乾燥が極端ならクリプトモス、小鉢なら水苔というように、自分の環境に合わせて選ぶことが、マルチングを上手に活用するコツです。

 

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