モダン・ローズの中の「シュラブ系統」について紹介します。半つる性(シュラブ樹形)になるものが多くあり、イングリッシュ・ローズ(ER)も、このシュラブ系統に属しています。名称が少しややこしいので、正しく覚えてくださいね!
「シュラブ系統」は、多くは半つる性のモダン・ローズ
▲シュラブ系統のバラ「ローブリッター」
シュラブというのは樹形の分類で「半つる性」を表す言葉です。株元はしっかりと立ち上がり、なにかに誘引しなくても自立することができますが、枝が長いものでは3mくらいにまで伸び、先にいくほど細くしなやかになるので噴水のように枝垂れる樹形です。
シュラブ樹形はオールドローズに多く見られる樹形で、庭にしぜんな茂みを作ったり、なにかに誘引してつるバラのように使うこともできます。
シュラブ系統は、モダン・ローズの中でどの系統にも属さないバラが集められたグループです。その多くはシュラブ樹形ですが、シュラブ樹形ではないものも含まれます。たとえば上の写真の「ローブリッター」は枝が細く、自立することができません。樹形でいえばランブラー樹形ですが、系統としてはシュラブ系統に属します。
シュラブ樹形と紛らわしいためか、シュラブ系統のバラは、しばしば「モダン・シュラブ」と呼ばれます。
イングリッシュ・ローズ【ER】はシュラブ系統【S】に分類される
▲シュラブ系統のイングリッシュ・ローズ「グラハム・トーマス」(Rosa`Graham Thomas´)
イングリッシュ・ローズは、イギリスのバラの育種家デビッド・オースチン氏が作出しているバラです。オールド・ローズの良さとモダン・ローズの良さをあわせもつバラとして、世界中で愛されています。もちろん日本でも人気の高いバラです。
「イングリッシュ・ローズ」という名称は、バラを植物学的に分類するものではありません。言うなればブランド名のようなものです。比較的新しく作り出されたバラなので、イングリッシュ・ローズはモダン・ローズの一つですが、ハイブリッド・ティー系統でもなければフロリバンダ系統でも、クライミング系統でもありません。当てはまる既存の系統がないので、イングリッシュ・ローズはその他のバラということで「シュラブ系統」に分類されています。
「イングリッシュ・ローズ」という系統名はない
▲イングリッシュ・ローズをふんだんに使ったローズ・ガーデン(横浜・港の見える丘公園)
バラ苗の販売サイトなどで、イングリッシュ・ローズを【ER】と略語で書かれているのを見かけます。同じように他のバラは【HT】とか【A】とも書かれています。【HT】は、ハイブリッド・ティー系統の略語で、【A】はアルバ系統の略語です。
このことから「イングリッシュ・ローズ」という系統名があると勘違いしてしまいがちですが、上に書いたように、「イングリッシュ・ローズ」はブランド名で、系統名ではありません。イングリッシュ・ローズは系統でいえば「シュラブ系統」に属します。
まとめ
モダン・ローズのなかのシュラブ系統について紹介しました。
シュラブ系統は、既成のモダン・ローズの系統に属さないバラを集めたグループなので、共通した特徴はありません。が、その多くはシュラブ樹形(半つる性)のバラです。
シュラブ系統の代表的なバラにイングリッシュ・ローズがあります。イングリッシュ・ローズは、オールド・ローズの花形やシュラブ樹形などを受け継いだモダン・ローズです。
イングリッシュ・ローズという系統名があると勘違いしてしまいますが、じつはそうではなく、イングリッシュ・ローズはいわばブランド名で、系統でいえば「シュラブ系統」に属します。少し勘違いしやすいので、正しく覚えてくださいね!