9月の新苗(ドルンブルガーシュロスローズ)

夏の暑さを乗り越えたバラの新苗は、9月になると再び枝を伸ばし、蕾をつけ始めます。いよいよ、春から摘み続けてきた蕾を咲かせて、秋花を楽しめる季節です。
新苗の秋は、株の状態や品種に合わせて、枝先を軽く切り戻したり、そのまま咲かせたりする「9月のリセット」がポイント。水やりや肥料、病害虫対策など、夏から秋への切り替え方とあわせて解説します。


9月の新苗は、夏を越えて秋の生長へ

バラのサイクル図9月

▲年間サイクルの中で、今はこの位置です(9月)

7~8月の真夏の暑さはバラにとって、健康に乗り越えるのが辛い時期でした。

 

しかし9月になればじょじょに暑さもゆるみます。最高気温が25度前後になる日が続くと、バラが生長しやすい気候になります。

 

これからの9~11月の秋の3カ月間は、バラにとって今年最後の生長期です。

 

新苗の秋は、春からずっと我慢してきた花を、ようやく咲かせられる、楽しみな季節です。

 

しかしこの苗はまだまだ若い苗です。今年の冬でようやく大苗相当になる苗です。ムリにたくさん咲かせすぎず、株を充実させる視点も忘れずに。

 

今月の学びは「剪定で樹形を整える意味」についてです。樹形って、ただ見た目を良くするだけじゃないと理解できます。

 

YOUYOU

先月に葉を落としたわたしの新苗は、意外なほどぐんと背が伸びて、ホッとしているところ。

9月になって、また蕾がついてきたんだけど、これ咲かせていいのかな?

あいびーあいびー

ずっと摘蕾してきた株だし、そろそろ花が見たいでしょ?

咲かせても大丈夫よ。楽しみね^^

9月の新苗の育て方|やること一覧

9月のやることリスト

・9月のリセットをする

・暑さがゆるんだら秋仕様の手入れに切り替える

・固形肥料の追肥

・コガネムシ幼虫など秋の害虫に注意

9月の新苗の状態│涼しくなれば、ぐっと枝が伸びて蕾がつく

9月の新苗(ドルンブルガーシュロスローズ)

▲9月下旬の新苗。枝の長さは1mに

夏の暑さがやわらぎ涼しくなると、バラはまたどんどん生長を始めます。

 

我が家の新苗は、先月の8月の時点で樹高75cmでしたが、9月に入ってからどんどん伸び、枝の長さは1mにまで達しました。それにつれ、左右に大きく広がってきたので、樹高じたいは65cmほどです。

 

9月下旬になり、また蕾が上がってきました。

 

我が家は半日陰栽培なので枝は細いめですが、どれもしっかりと締まった枝に充実してきています。

 

お盆過ぎに発生したベイサルシュートもどんどん生長中です。

 

YOUYOU

この株、とても大きく育って蕾もついたんだけど・・・そういえば9月といえば夏剪定よね。

この蕾、夏剪定で切らないといけないのでは? 本当に咲かせて大丈夫?

あいびーあいびー

それが今回のメインテーマよ。夏剪定はしなくてOK!

大事なのは「9月のリセット」。くわしく解説していくね。

この記事では、前半で「9月のリセット」について。後半で、9月の日常管理について説明しています。

9月の新苗は「9月のリセット」を覚えよう

9月に入ると、どのバラの先生の育て方説明も「夏剪定」一色になります。

 

でも、もともと夏剪定は、しっかり育った地植えの大株に対して行うもの。だから鉢植えでも、地植えに負けないくらい大きく育った株に行う手入れです。

 

それじゃ今年から育て始めたばかりの新苗はどうするか? 結論から言うと、夏剪定しません。よほど大きく育っているならしても構いませんが、基本は夏剪定しない方が良いと思います。

 

夏剪定しないならどうするか? 株の状態に合わせた秋花のための「9月のリセット」を行います。具体的な3つのケースで解説しましょう。

 

新苗の「9月のリセット」3つのやりかた

1、枝先を軽く切り戻す→10月開花予測

2、切り戻さず、枝先についた蕾を順次咲かせる→早咲きなら9月から咲く

3、9月に蕾がついていたら、咲かせてから浅く切り戻す→11月の秋の2番花が狙える

ケース1、四季咲きの木立ち樹形品種なら、軽く切り戻す

9月の新苗。軽い切り戻し後、芽吹いてきた

▲切り戻した後に、旺盛に新芽が出ている9月下旬の新苗

株の品種が分かっていて、それが四季咲きの木立ち樹形品種なら、9月に入り涼しくなってきたころ、「9月のリセット」で枝先を軽く切り戻す方法があります。

 

目安は、枝先から全体の1/4程度を切り戻すこと。

 

その後伸びてきた枝に、秋花が咲きます。気候によりますが、10月ごろの開花が期待できます。

 

切り戻しのコツは、

 

①浅く切り戻すこと

②枝の高さをだいたいそろえること

③とくに太く勢いのよい枝は、ほかより少し低く切ること

 

この3つです。詳しくは、後で解説します。

ケース2、切り戻しなしで、そのまま咲かせる

9月の新苗(ドルンブルガーシュロスローズ)

▲切り戻しなしの9月下旬の新苗。蕾がいくつかついている

切り戻しなしでも構いません。「9月のリセット」のしかたと書きましたが、要するに何もせず、枝先を切り戻さずにそのまま伸ばします。

 

しぜんに蕾がついたら、咲かせて楽しみます。

 

・この方法のメリットは、難しいことを考えなくても秋花が咲くこと

・デメリットは、咲く時期がバラバラなこと。細い枝先に咲くので花が小さくなりやすいこと

 

新苗の場合、わたしはこの方法をオススメします。

 

理由は新苗の場合、その品種の秋花がどんなふうに咲くか分からないことが多いからです。

 

近年増えているシュラブ樹形のバラは、秋花が咲くまでとても時間がかかる品種があります。

 

切り戻したために、寒くなるまでに蕾が開かず、花を見られなくて残念な思いをすることがないように、あえて切り戻さないという選択をおすすめするのです。

 

早いものなら、9月から秋花が楽しめます。

 

YOUYOU

枝先を切っても切らなくてもいいなら、どうしてケース1では切っているの?

あいびーあいびー

理由は、細い枝先についた蕾だと、花が小さくなりやすいから。

それと、10月に咲くように、軽く開花時期を調整する意味もあるの。

9月より涼しい10月に咲いた方が、花も長持ちしやすいからね。

ケース3、9月にもう蕾のついた枝があったら?

9月の切りバラ

▲咲いたら早めにカットして室内に

9月になり、いち早く蕾がついていた場合は、そのまま咲かせましょう。

 

そして、花が咲いたら早めにカットして、室内で切り花として楽しみましょう。このとき、枝を深く切り戻しすぎないことが大切です。

 

浅く切り戻しておけば、そこから伸びた新芽に、11月ごろ秋の2番花が咲くかもしれません。品種や気候によるので、咲かないこともありますが。

 

YOUYOU

「夏剪定」と「9月のリセット」は、どう違うの?

あいびーあいびー

夏剪定は、10月中旬~下旬にそろって咲かせるための開花調整技術。

「9月のリセット」は、そろわなくても少し小さい花でもいいから、とにかく咲かせたい場合のやり方よ。

より家庭園芸的な考え方ね。

YOUYOU

わたしなら──そろって咲くのもいいけど、新苗の場合は、まず確実に花が見たいわね。

ただし「9月のリセット」は、当サイト独自の言い方で一般的な園芸用語ではありません。これに当たる言葉がなかったので、わたしが考えた造語になります。

「9月のリセット」について、より詳しく知りたい方は、専門記事をご覧ください

バラと小さなガーデンづくり

バラの夏剪定をしないなら?9月のリセットで秋バラを楽しもう

バラの夏剪定をしないなら?9月のリセットで秋バラを楽しもう

【9月の学び】剪定で樹形を整える意味は?

あいびーあいびー

ところでYOUちゃんは、去年にファーストローズで大苗を育てて、この新苗がセカンドローズよね。

剪定のしかたは慣れたかな?

YOUYOU

ううん、どこをどう切っていいのかサッパリ。

なるべく同じ高さにってのだけは覚えたけれど、やっぱり枝を切るのは苦手よ。

今月の学びは、剪定のしかたと樹形を整える意味についてです。

 

バラの剪定をするときの基本は同じ時期に、だいたい同じ高さで切るというのが大切です。

 

剪定後の芽吹き

▲同じ時期に高さをそろえて切れば同じタイミングで芽吹く

切る時期と高さをそろえれば、ほぼ同じタイミングで芽吹き、どの枝も均等に育ちやすくなります。

 

これは、それぞれの枝に配分されるエネルギーが、だいたいそろっている状態です。

 

 

剪定後の芽吹き2

▲勢いの良い太い枝の芽が長く伸びだしている

バラは、勢いよく伸びる枝や背の高い枝に優先的にエネルギーを配分する傾向があります。つまり、株ごとの頂芽優勢のような動きをしがちです。

 

そのため極端に高い枝がないように、なるべく高さをそろえて剪定するのですが、とくに勢いの良い太い枝の場合は、ほかより少し低い位置で剪定します。こうすることで、その枝ばかりにエネルギーが集中するのを防ぎ、まんべんなく芽が育ちやすくなります。

 

上の写真の右側の枝がとくに勢いが良く、ほかと同じくらいの高さに切っただけでは勢いが止まりませんでした。ご覧のように、ぐんと大きく伸びだしてしまいました。

 

芽の勢いをそろえるには、ほかの枝より少し低く剪定した方が良かったです。

 

つまり剪定のコツは、

 

①同じ時期に剪定する

②だいたい同じ高さで剪定する

③とくに勢いの良い枝は、ほかより少し低く剪定する

 

これら3点を意識すると、剪定によって枝ごとの生長の勢いを調整し、株全体のバランスを整えやすくなります。

 

あいびーあいびー

剪定するタイミングや高さは少しの差なら問題ないけど、あまりに差がありすぎると、低い方の枝の芽吹きが遅かったり、生長が悪かったり、蕾がつかないというケースもあるのよ。

YOUYOU

剪定って、樹形をかっこよく整えるためにするんだと思ってたわ。

たしかに枝の長さがバラバラよりも、きちんとそろっている方が整っている印象です。でも、じつは剪定には見た目より、それぞれの枝の生長の勢いを調整する目的の方が大切な意味をもちます。

 

どの枝にもまんべんなくエネルギーを分配することで、どの枝にもよく日光が届く樹形をつくることができ、それが次に咲く花数が増えることにもつながります。

 

YOUYOU

樹形にそんな大切な意味があったのね。

あ、これって、あいびーさんがいつも言ってるバラのエネルギー管理?

あいびーあいびー

そう。これもエネルギー管理のひとつね。

剪定で枝の高さを調整することで、同時に枝へのエネルギー分配も調整しているの。

9月の基本管理|夏から秋へ切り替える

置き場所│暑さがやわらいだら日向管理に

9月は意外と年による気候の差がはっきりしている月です。いつまでも真夏の暑さが続く年もあれば、9月になったとたんに秋の気配がする年もあります。

 

真夏の暑さが続く年は、引き続き9月も真夏仕様の管理を続けます。置き場所も半日陰で、厳しい日差しをあるていど遮りながら、健康に夏越しできるようにしましょう。

 

涼しくなったら、秋仕様に管理を変えます。置き場所は、なるべく日差しのよく当たる日向管理に戻します。

 

真夏の暑さがやわらぐと、バラはまた旺盛に新芽を伸ばしはじめます。日光をたくさんの葉(ソーラーパネル)で受け止め、生長のエネルギーをつくってもらいましょう。

水やり│じょじょに頻度を下げてゆく

涼しくなるにつれ、じょじょに真夏のように極端に土が乾くことがなくなります。

 

少しずつ通常の1回通水で良くなり、やがて1日に1回、または2日に1回の水やりでも大丈夫になってゆきます。

 

土の乾きを確認しながら、真夏仕様の水やりから秋仕様の水やりに変えていきましょう。土が乾いたらたっぷり水やりします。

 

涼しくなってくれば、もう暑さ対策のための二重鉢やマルチングも必要なくなります。とくにマルチングは土の乾きを確認しにくいので、涼しくなれば取り除いて大丈夫です。

肥料・活力剤│秋の生長に欠かせない追肥を

前回の肥料やりは8月初旬に固形肥料を与えたので、1カ月後の9月初旬にまた固形肥料を与えます。

 

もう日向栽培に戻しているなら規定量の8割ていど。まだ暑くて半日陰に置いているなら規定量の6割ていどを目安に与えます。

 

わたしがよく使っているIB肥料「グリーンそだちEX」なら、日向栽培で12粒、半日陰栽培なら9粒が目安になります。

 

追肥の目安

・日向栽培 規定量の8割ていど

・半日陰栽培 規定量の6割ていど

 

夏の間、液体肥料を与えていた方は、真夏の暑さが続くうちは、続けて液体肥料を使うことをオススメします。涼しくなってきたら、固形肥料に切り替えましょう。

 

暑さが続いている間は環境ストレスを軽減するタイプの活力剤(バイオスティミュラント資材)が有効でした。

 

涼しくなったら必要に応じて「リキダス」や「メネデール」などの、根の生長を促進させる活力剤に切り替えてもいいでしょう。

9月のバラの病気と害虫対策

暑い間は、バラの病気も害虫も比較的おとなしかったはずですが、涼しくなるにつれ、またこれらも活発になってきます。

 

病気では黒星病やウドンコ病が発生しやすくなります。

 

オオタハコガの卵

▲蕾に産み付けられたオオタバコガの卵 写真提供/天女の舞子

害虫では、暑いうちは引き続きハダニに注意を。葉裏へのシリンジ(霧吹き)で、予防してください。涼しくなってくると、大型イモムシ類が出てきます。

 

ホソオビアシブトクチバ、ヨトウムシ、ヨモギエダシャクなどの春に見かけたイモムシに加え、秋に集中して発生するオオタバコガも現れます。

 

とくにオオタバコガは、蕾が上がってきたら要注意。蕾にぽつりぽつりと産卵していくので、見つけたら指で払って卵を落としておきましょう。

 

もしも大きく食べられてしまっていたら、犯人を探しだして捕殺します。

秋に発生する大型イモムシについてはこちらの記事にまとめてあります

バラと小さなガーデンづくり

秋に発生する大型イモムシ「オオタバコガ」「ヨトウムシ」「ホソオビアシブトクチバ」の幼虫対策。害虫の特徴と駆除のしかた

秋に発生する大型イモムシ「オオタバコガ」「ヨトウムシ」「ホソオビアシブトクチバ」の幼虫対策。害虫の特徴と駆除のしかた

 

ベニカXガード粒剤

▲コガネムシの幼虫駆除に効果的な「ベニカXガード粒剤」

害虫では、コガネムシの幼虫駆除が大切です。

 

コガネムシが鉢土に産卵していると、孵化した幼虫がバラの根を食べ始めます。コガネムシの幼虫駆除を忘れると、バラの根がほとんどなくなり、ついに枯れてしまうこともあります。

 

こういう事故を防ぐために、8月下旬または9月初旬に必ずコガネムシを駆除できる農薬を撒きましょう。

 

「ベニカXガード粒剤」または「オルトランDX粒剤」が、とくに効果的です。

 

この農薬を撒いたら、コガネムシの産卵除け目的のマルチングは、外してしまって大丈夫です。

まとめ│早いものなら9月から秋花が咲く

9月は、暑い夏から過ごしやすい気候になる秋への過渡期です。暑い間は真夏の管理を続け、涼しくなってきたら秋仕様の管理に変えます。

 

秋はまたバラが旺盛に生長する時期です。日当たりの良い場所に置き、適切な水やりと肥料で、しっかり生長してもらいましょう。

 

ずっと蕾を摘み続けてきた新苗も、秋花からやっと咲かせても大丈夫になります。

 

ハイブリッドティ系統やフロリバンダ系統のバラ(つまり四季咲きの木立ち樹形品種)なら枝先を軽く切り戻して10月に状態の良い花を咲かせましょう。

 

品種特性がよく分からないなら、切り戻しなしで、蕾がついたらそのまま咲かせます。

 

いよいよ開花の秋です。どんな花が咲くか楽しみですね!

 

YOUYOU

いよいよ新苗の花が見られるのね。ずっと蕾を摘んできたから、すごい楽しみよ!

あいびーあいびー

新苗を買ってからすぐに病害虫の多い梅雨を迎え、続いて真夏の暑さに悩まされ。

しかも、ずっと蕾を摘んで花が見られなかったわけだから、新苗って育てる側にとってかなりストレスな苗なのよ。

でも、よく頑張ったわね。新苗の秋花は、頑張ったYOUちゃんへのご褒美よ。

 

 

次の新苗の10月の育て方<最終回>はこちらです

→準備中

9月のリセットについて詳しくは専門記事で確認できます

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毎月の新苗の育て方の全体は、こちらからどうぞ

バラと小さなガーデンづくり

バラの新苗の育て方|春から秋まで6カ月の育成ガイド

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初心者のための全体目次はこちらです

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はじめてのバラ栽培|初心者向けガイド

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バラの育て方/12カ月の育て方・季節ごと・一年を通して

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