春に出回るバラの新苗は、赤ちゃんのような若い苗です。5月は、新苗を6号鉢へ鉢増しして、株を大きく育て始める大切な時期。
このページでは、新苗の植え替え方法や蕾を摘む理由、その後の管理のしかたまで、初心者向けに写真付きで詳しく解説します。
セカンドローズで新苗を育ててみよう!
あいびー
YOUちゃん、ファーストローズを1年間、大苗から育ててみて、どうだった?
YOUとにかく手探りでやってみたけど、意外と何度も花が楽しめたし、怖いと思っていた害虫や農薬もなんとかなったし楽しかったわ。
次はどのバラを育てようか考えているもの!
あいびー良かった。それじゃ2鉢目のバラ(セカンドローズ)は「新苗」から育ててみない?
新苗を育てながら、バラってどういう植物か、バラの手入れにはどんな意味があるのか、考えながら育ててみたら、良いおさらいになると思うの。
YOU次は新苗チャレンジね! やってみたいわ。
バラの新苗とは?|春に出回る若い苗
新苗は4月~6月に販売される「赤ちゃん苗」
▲春バラが咲くころに出回る新苗
バラの新苗とは、春の4月~6月ごろに出回る若い苗のことです。よく「赤ちゃん苗」と表現されます。ちょうど春バラが咲く時期に販売されるので、バラ苗専門店以外に、春のバラ祭り開催中のバラ園入り口でも入手できます。
上の写真のように、4号ていどの仮のポットに仮植えされています。新苗は、ひょろりとした新しい枝が1~2本出ていて、枝先に蕾や花がついている姿のことが多いです。
▲接ぎ口にテープが巻かれている切り継ぎ苗
バラ苗は、台木に咲かせたい品種の芽を接いだり(芽接ぎ)、枝を接いだり(切り接ぎ)してつくられます。芽接ぎ苗なら株元にテープがなくて、切り接ぎ苗なら上の写真のように株元にテープが巻かれています。
台木に接ぎ木したところから外れやすいので、取り扱いに注意しましょう。
新苗は価格が手頃な反面、大苗より少し管理にコツが必要です。でも、1年間バラを育てた経験があれば、きっと大丈夫。順を追って丁寧に説明するので、一緒にやっていきましょう。
5月のバラの状態│5月の新苗は「鉢増し」で植え替える
▲5月は本来、春の1番花が咲く時期
12月~2月まで休眠して過ごしてきたバラは、3月に目を覚まし芽吹き始めます。4月に枝葉を伸ばし蕾を上げ、5月に春の1番花が咲きます。つまり5月は、バラの生育期真っただ中です。
大苗と同じように新苗もまず植え替えをしますが、大苗のときと違ったやり方をします。
大苗のような休眠期の植え替えは根の周りの土をぜんぶ取り替えるので「土替え」とも呼ばれます。一方、生育期の植え替えではなるべく土を落とさずに、一回り大きな鉢に植え替えるので「鉢増し」と呼ばれます。
つまり新苗の植え替えは、なるべく土を落とさない「鉢増し」で行います。
あいびー新苗の植え替えは、なるべく土を落とさない「鉢増し」です。これ、大事なポイントですよ。
5月の新苗の育て方|最初にやること
新苗が入っている4号鉢はとても小さいので、そのまま育てることはできません。必ず一回り大きな6号鉢に鉢増しして育てます。
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新苗の鉢増しで準備するもの ・新苗 ・6号鉢(プラスチック製でOK) ・バラの培養土(バラ専用の土)/どこのメーカーのものでもOK ・鉢底ネット(底穴が大きい鉢なら必要) ・鉢底石(底穴が小さい鉢なら必要) ・ビニタイまたは麻紐 ・ベニカXガード(土に撒くタイプの農薬) |
※購入時期が違う方へ
新苗は、4月中旬〜6月ごろまで流通するため、入手時期にズレがあります。
このページでは「5月の作業」として紹介していますが、4月中旬~6月までなら、同じ手順で鉢増しして大丈夫です。
新苗を6号鉢に植え替える理由│2回の鉢増しで大きく育てる
▲バラの新苗と6号プラ鉢
新苗は、まず6号鉢(口径18cm)に鉢増しします。さらに1カ月後に2度目の鉢増しで8号鉢にします。こうすることで根がよく育ち、より早く大きくすることができます。
いきなり大きな8号鉢や10号鉢に植えた方が楽な気がしますが、それだと根の張りがあまり良くなく、根に対して土が多すぎると乾きにくく根腐れしやすいのです。
少し手間ですが、2度の鉢増しを経た方が初心者さんには失敗しにくい安全な方法です。
新苗の鉢増し方法|初心者向けに写真付きで解説
1、6号鉢にバラの土を少し入れておく
▲鉢底ネット、鉢底石、バラの培養土を少し入れておく
6号鉢の底穴の形により鉢底ネットや鉢底石を入れます。底穴が大きい場合は鉢底ネットを。底穴が小さい、ひとつしかないという場合は鉢底ネット+鉢底石を少し入れます。細かい網目状の底穴なら、どちらも要りません。
上の写真の鉢は、底に大きな穴が3つ開いている形なので、鉢底ネットのみ敷いています。
そこに、バラの培養土を3cmていど入れます。
2、新苗を仮ポットから抜くときの注意点
▲株元の台木を親指と人差し指で挟む
まず支柱と品種タグをはずし、苗を仮ポットから出します。苗を傷つけないよう、必ず台木の部分(株元の茶色の木の部分)を親指と人差し指で挟んでから、台木を持った方の手に載せる要領でそっと仮ポットを抜きます。
▲台木を指で挟んだ方の手に載せる要領で仮ポットを抜く
このとき、なるべく土を落とさないよう注意して抜きましょう。
▲新苗の根鉢
土とバラの根でポットと同じ形のまま抜けました。これを根鉢(ねばち)と言います。
生長期の植え替えでは、この根鉢を崩さないのが大事です。なるべく土を落とさないよう、接ぎ木した部分を触らないよう、慎重に作業します。
3、6号鉢に置いて高さ調整│新苗の根鉢は崩さないのが基本
▲6号鉢の真ん中に新苗を置く
根鉢を崩さないよう注意しながら6号鉢の真ん中に新苗を置いて高さを見ます。
新苗の表土が鉢の縁の2cm(ウォータースペース分)下になるように、高さを調整します。
4、バラの培養土をまわりに入れる
▲バラの培養土を根鉢のまわりに入れる
根鉢と鉢の間にバラの培養土を入れます。
5、床にトントンして土を落ち着かせる
▲床にトントンして土を落ち着かせる
鉢底を床に軽くトントンして、土を落ち着かせます。新苗の根はとてもデリケートなので、土を棒で突いたりせず、トントンするのみです。
6、支柱を立てて強風対策をする
▲支柱を立てて結びつける
最初についていた支柱を立てて、ビニタイや麻紐で結んでおきます。
新苗は強風で接ぎ口から枝が外れることがあるので、必ず支柱を立ててください。
7、ベニカXガードを散布
▲ベニカXガードを株元に散布
病気予防と殺虫効果のあるベニカXガードを株元に散布します。ベニカXガードは1株あたり10gですが、新苗は小さいので半分の5gを散布します。
バラの品種タグは、支柱ではなく別の棒につけて鉢の縁に立てておきます。こうすれば日差しを遮りません。ちなみに、適当な棒がなかったので古い割り箸を使っています。
8、鉢増し後はたっぷり水やりを
▲たっぷり×2回水やりを
ウォータースペースに水を溜める要領でたっぷり水やりします。
鉢底から水が流れ出たら、もう一度ウォータースペースに水を溜めて水やりを。最初の水やりは特に念入りに。
9、花や蕾を摘む(ピンチする)
▲花や蕾を摘み取る(ピンチする)
枝先に花や蕾がついていたら摘み取ります。初めてだと「せっかくの花なのに・・・」と、とてももったいなく感じますよね。でも、それはみんな同じです。まず株を育てるために、ここはぐっとこらえて新苗の花や蕾は取りましょう。
花や蕾だけをピンポイントで取ってもいいのですが、下の段からも蕾が上がってくることが多いので、わたしは2枚ほど葉をつけて指先でポキリと折り取ります(ピンチします)。
花や蕾だけピンチする場合は、新しい蕾が上がってこないか観察していて、見つけ次第またピンチしましょう。
ここまで新苗独自の大切な注意点がたくさんあったので、ポイントをまとめます。
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新苗の鉢増しポイント 1、6号鉢に鉢増しする(すぐに8号や10号鉢にしない) 2、触っていいのは土に近い茶色の幹(台木)だけ。接ぎ木部分や緑色の枝は触らないこと 3、根鉢は崩さない 4、必ず支柱を立てる/強風で接ぎ口から枝が外れやすいので支柱は絶対に必要 5、花や蕾をすべて取り除く |
YOU大苗の植え替えとはだいぶやり方が違うわね。赤ちゃん苗だから丁寧に扱っているのがよく分かるわ。
だけど──蕾を取ってしまうの? それだとせっかくの花が咲かないじゃない!
あいびーそう。新苗の蕾は9月までずっと取り続けるの。花を咲かせるのは10月以降よ。
蕾を摘むのは気持ち的に辛いけど、これも大事な作業なの。
鉢増し後の新苗の管理方法
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鉢増し後の管理まとめ ・置き場所 1~2日は半日陰、それ以降はよく日の当たる場所へ ・水やり 土が乾いたらたっぷりと ・肥料・活力剤 必須ではないが、与えるなら発根を促す活力剤を ・病気 ベニカXガードで予防 ・害虫 ベニカXガードで駆除 |
置き場所|最初は半日陰で養生
鉢増し作業の後1~2日は半日陰で養生し、その後よく日の当たる場所へ。強風の当たる場所は避けましょう。
水やり|乾いたらたっぷりが基本
土が乾いたらたっぷりと与える。乾く・湿るのメリハリをつけて根を育てます。
▼水やりの基本をおさらいして、根を育てましょう
肥料は必要?活力剤は使う?
ほとんどのバラの培養土には元肥が入っているので、最初に肥料を入れる必要はありません。
必須ではありませんが、根を育てるため、リキダスなどの活力剤を利用するのはアリです。
病気と害虫はベニカXガードで予防
5月は黒星病やウドンコ病、ハバチの幼虫、イモムシ類とさまざまな病気や害虫が発生します。ベニカXガードを散布しておけば、だいたい防いでくれるので、忘れず散布しましょう。
新苗の蕾を摘む理由|なぜ花を咲かせないの?
あいびーじつは新苗の蕾を摘む理由は、エネルギー管理を考えれば理解できます。ここでは、その理由を一緒に考えてみましょう。
花を咲かせるのは、バラにとってすごくエネルギーを使うことです。新苗はまだ小さな赤ちゃん苗なので、エネルギーを株や根に貯えられていません。そんな状態で花を咲かせてしまうと、株はエネルギー不足に陥ってしまいます。
今は花を咲かせるよりも、株を育てる方にエネルギーを使ってほしいので、人為的に花や蕾を摘むことで、そちらに回すエネルギーを節約しているのです。
YOUなるほど。花や蕾に使うエネルギーを節約して、その分、株を大きくする方を優先しているのね。でも・・・せっかくついた蕾を1輪だけでも咲かせちゃダメかしら?
新苗の蕾を1輪咲かせたからといって、すぐにバラが枯れるわけではありません。ずっと蕾を取り続けた株に比べたら生長が少し遅くなる、というていどです。
だから1輪くらいなら大丈夫。でも、2輪、3輪と、咲かせる花数が増えれば、それだけ株が大きくなれず、長い目で見ればあまり良い結果に繋がりません。
今はちょっと我慢して、秋花から咲かせるのが新苗を早く大きく育てるコツです。
5月の新苗の育て方まとめ|秋の開花を目指そう
今回は、5月のバラの新苗の育て方として、新苗の鉢増しからその後の管理のしかたまでを紹介しました。バラの生育期に行う新苗の鉢増しは、休眠期に行う大苗の植え替えとかなり違っています。間違わないよう、ポイントをしっかり確認してください。
5月に鉢増しした新苗の今後のスケジュールは次の通りです。
6月/2回目の鉢増しで8号鉢に
夏の間ずっと蕾を摘み続ける
9月初旬/夏剪定
10月中旬/秋花が開花
これ以降は大苗と同じ管理になります。
花が見られる秋まで、調子を崩さないよう大切に育てましょう。
次の新苗の6月の育て方はこちらです
→準備中
毎月の育て方の全体は、こちらからどうぞ
初心者のための全体目次はこちらです
バラと小さなガーデンづくり
はじめてのバラ栽培|初心者向けガイド
育て方の全体目次はこちらです
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バラの育て方/12カ月の育て方・季節ごと・一年を通して
























