20XX+1年3月
ベランダで初めてつるバラを育て始めたYOUちゃん。昨年の秋に植え付け、年末の12月に剪定と誘引作業をして、冬の間しっかり水やりしてきて、ようやく3月を迎えました。様子を見にあいびー先輩がYOUちゃんの家に来ていますよ!
*このページはパソコン画面でご覧いただくことをオススメします。

YOUちゃんのピエール・ドゥ・ロンサールの調子はどう?

枝じゅうから芽が伸びてきてるんですよ!
これって、順調に育っているんですよね?

これなら間違いなく花が咲いてくれると思うわ。
・・・あら? これ!?
CONENTS
つるバラの根元に、ベーサル・シュートを発見!

これがどうかしたの?
何か問題ありですか?

これは「シュート」といってね、
来年の主役になってくれる、すごく大切な枝になる芽なの!
シュートが出てるってことは、とても順調に育っているって証拠よ。
この芽は大切に育てないといけないわ!

大切に育てるって・・・どうすればいいの?
シュートには2種類ある!

株元から出てくるのが「ベーサル・シュート」で、幹の途中から出てくるのが「サイド・シュート」よ。
これは株元から出ているから「ベーサル・シュート」ね。
通常の枝は花を咲かせるための花枝なので、すぐに葉を広げてやがて先端に花芽を作ります。シュートは花を咲かせる枝ではなくて、来年の主幹になる枝なので葉をつけずにどんどん伸びていき、枝も太くなっていきます。育ち方が明らかに花枝とは違うので、育ってくればどれが花枝でどれがシュートか分かります。シュートの幹は明るい緑色でツヤツヤとして丸まると太っているので、まるでアスパラガスの茎のようです!
株元から出てくるシュートは「ベーサル・シュート」と呼ばれ、主幹の途中から出てくるシュートは「サイド・シュート」と呼ばれます。今の時点では株元から出ているベーサル・シュートの芽しか分かりませんが、もっと育ってくればサイド・シュートも分かるようになってきます。どちらも大切に育てたい枝です。
サッカーに注意!
ベーサル・シュートを確認したら、それがどこから出ているかをチェックしましょう。
通常バラの苗は、台木に接ぎ木をして作られています。台木はノイバラなどの強健な原種のバラが使われていて、そこにピエール・ドゥ・ロンサールなどの園芸品種のバラを接ぎ木しているのです。接ぎ木した部分よりも上から出てくるベーサル・シュートは園芸品種のバラですが、接ぎ木した部分よりも下つまり台木から出てくるベーサル・シュートは台木のバラです。
台木から出てくるシュートは「サッカー」、ときに「サッカー・シュート」と呼ばれます。サッカーもシュートに数えれば、シュートには3種類あると言えます。
サッカーは英語で書けば「football」ではなくて「sucker」。「吸い取る者」という意味です。サッカーは、本来咲かせたい園芸品種のバラの養分を吸い取る困った枝なのです。日本語では「吸枝」と呼ばれています。サッカーは、株から離れたところで根から発生することもあります。基本的にサッカーは付け根から切り取ります。

今はとにかくベーサル・シュートの芽を乾かさないようにしっかり水やりすることと
芽を育てるために追肥のしかたを覚えることにしましょう!
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3月の水やりには気をつけて!

1週間に1~2回ていどの水やりで良かったのよね。
3月からはどうすればいいの?

3月に入っても寒い日が続いたりすることがあって、
人間にとっては2月も3月もそう変わらないと思いがちなのね。
それで、休眠期と同じようにたまにしか水やりしないで
せっかく育とうとしている芽を乾かしてしまうことがよくあるの!

だってまだまだ寒いもの!
でも、せっかく出てきたシュートの芽を乾かしたら大変よね。

シュートの芽が枯れてしまったらショックよね!
だからこの時期は、2~3日に1度くらい水やりしたいわね。
バラは、乾かし気味に育てた方が根や枝がよく伸びて立派な花を咲かせやすいのだけど
この芽出し時期と、つぼみが上がる時期だけは乾かすのは厳禁ね!
乾かすくらいなら、水やりすぎかな? って方がいいほどよ。

了解!
他にも注意点あるかしら?

その方法を覚えてね。
立派な花とシュートのために! つるバラへの追肥のしかたを覚えよう!

YOUちゃんは元肥入りの培養土を使ったから、自分で入れる必要はなかったわね。
今回の肥料は、元肥に追加する肥料だから「追肥(ついひ)」と呼ばれるの。
葉を育てやがて咲く花をきれいに咲かせ、
シュートを大きく育てるために必要な肥料よ。
追肥には2つの方法があります!
追肥には、液体の肥料と固形の肥料があります。どちらも商品の説明に従って使います。
写真の「花工場」(住友化学園芸)と「プロミック」(ハイポネックス・ジャパン)は、どちらもホーム・センターでよく見かける商品なので、これらを例に使い方を紹介します。もちろんバラ専用の追肥を使うのもおすすめです。その場合も、商品説明に従って与えてください。
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価格:588円 |
花工場には「原液」と書かれた商品と、「そのまま使える」と書かれた商品があります。「原液」は自分で水に薄めて使う肥料。「そのまま使える」は規定量を既に水で薄めてある肥料で、商品名通りそのまま使うことができます。
さまざまな植物に使える商品ですが、バラに使う場合は、鉢植えなら1000倍を1週間に1度。庭植えなら250倍を2週間に1度と書かれています。
上の写真は、花工場のキャップの内側の図です。「約5ml」と書かれている下の青い点線の中、U字型の内側で約2mlです。2mlを2リットルのペットボトルに入れ水で薄めれば1000倍液が作れます。
わたしは水やりで直径26cm高さ26cmのバケツを使っています。よく見かける一般的なサイズです。このバケツの容量は10リットルです。このバケツいっぱいの水に10mlの原液を溶かせば1000倍液が作れます。
肥料は多すぎると植物に悪い影響を与えます。表示された倍率よりも濃くしないよう、注意してください。
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>プロミック いろいろな植物用 150g[ハイポネックス 肥料]【あす楽対応】 価格:597円 |
プロミックは固形肥料です。土の上に置いておけば、水やりごとに少しずつ溶けだして、約2カ月間、肥料の効き目が続きます。直径21cm~27cmの7~9号鉢なら4錠を目安に使います。
鉢の縁の方に、それぞれ離して土の上に置きます。薬品ではないので素手で触っても大丈夫です。
おすすめは、水やりごとに薄い液肥を与える方法!
液体肥料を使っても固形肥料を使っても、もちろんバラ専用の追肥を使ってもいいのですが、わたしのおすすめは、「原液タイプの液肥を規定量よりも薄く作って水やりごとに与える」方法です。
さきほどの10リットル入るバケツに液体肥料を2~5mlくらいを入れ薄めて、水やりするのです。何日に1回やると気にすることなく、水やりごとに毎回、液肥を少し混ぜます。この方法なら肥料が濃すぎて「肥料焼け」を起こす心配もなく、「前はいつ肥料やったっけ?」と悩まずにすみます。
じつはつるバラに必ずしも追肥は必要ない!
ほとんどのつるバラは春のみの一季咲きです。春以降は、株を充実させるためだけにすべてのエネルギーを使えるので、じつは必ずしも追肥は必要ありません。冬に植え替えを行い、しっかり元肥を与えているなら、それだけで大丈夫なのです。
でも、植えつけてから3年目までの若い株は、株をしっかり育てたい時期なので、つるバラでも追肥をした方がいいと思います。株が充実した4年目からは、追肥はしなくても構いません。
逆に、つるバラをあまり大きくせずコンパクトに育てたいなら、1年目から追肥を行わないのも手です。

わたしはいちいちカレンダーで肥料やりの日を確認したりするのが面倒なので、薄い液肥を水やりごとに与える方法で落ち着いています。
株がしっかり充実した4年目以降のつるバラには、追肥は必要ありません。
まとめ

シュートについても説明していますが、これについては後日もう少し詳しくお話したいと思います。
バラ咲く季節まであと2ヵ月。楽しんで作業しましょう!

1鉢、室内の窓辺に置いてみました。
こうして見るとシクラメンて大型のスミレみたいだと思ったわ!
花を育てるのが、とっても楽しくなってきました。
第10回「剪定と誘引作業!」編<<<今回>>>第12回「病気と害虫の予防を開始!」編につづく。

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